壮大なストーリーはね。
続いた。
⚪︎月⚪︎日
YAMAに訪れるようになってから数ヶ月。
基本的に現れるのはINOSHISHIやSHIKAなどの野生動物(?)であり、竜種に出会うなどの珍事はなかった。フラグ回収ならず。
残念に思うかもしれないが、今の俺の実力でも勝てないのは事実。出会ったら即死で英霊の座にも行けずピチュンする。素直に出会わなくて良かったと思う。
とはいえ、出会ったINOSHISHIやSHIKAが弱いというわけではない。だってYAMA暮らしだもん、あいつら。
兎に角、突進がつおい。力が正義と改めて理解させられる。これが巷で噂のわからせってやつか(錯乱)
ただ、負けているわけではない。マーリン相手に使っていた、五条悟の様な自分を中心とした球状の空気の層を発生させるという防御壁を使う。
ただ無限とかわけわからないやつではなく、空気の密度を上げただけの壁なのでやろうと思えば無理矢理突破できる──というのを対策して、壁を二重にして間に真空の層を追加した。(完璧なマーリン対策)
第一層を突破したやつは気圧の差でェ
────死ぬゥ!(ガバガバ理論)
あとはなんか、固有結界…覚えたいなぁ、いつかは。
こう「領域展開ッ!」
みたいなやつ。
呪術廻戦は多くの(厨二病)患者を生んだよね。俺も受けたよ、影響。でも仕方ないよ、かっこいいもん。
まあ、そのおかげで安全圏からチクチク攻撃できるようになった。攻撃力に関してはカリバーンを引き抜くまではまだまだ時間がある。なので他の必殺技的なのをいくつか覚えたい。あ、今使える技の名前も考えておこう。
猪肉と鹿肉うめぇ。
⚪︎月⚪︎日
音速で飛行するTSUBAMEを仕留めたぜ。いぇあ。
奴は強かった。移動だけで周りに衝撃波を撒き散らし一般人では近づくこともできない。しかしそこは逸般人に踏み入れかけている俺。
木刀片手に、一振り。魔術の補助を受けた刀身は、瞬時に伸縮し居合を伸ばしてTSUBAMEの体を切り裂いた。
地に堕ちたそいつを喰らいながら、反省会を行う。
あと農民のやっていた燕返しはオート発動出来る様になりたい。まだまだ実践して反復練習あるのみだ。
それと前も言ってた様に、技名を考えた。
技を使う時に、言葉に出すのは恥ずかしいから、心の中でだけ叫ぶと誓った。それがこれだ。
風限王壁…身体を守る球体状の空気による防壁。
纒空…風の魔力を纏わせ、攻撃範囲を広げる。
風王兵装…不可視の風でできた操作できる浮遊武具。
空歩…風を圧縮して放ち起動する歩法。
消音空装…空気を隔て音の発生を消失させる。
風王結界…屈折率を操り不可視にする。
風王鉄槌…圧縮した風を放つ。
下二つは、本家も搭載している技だ。勿論改良したが。風王結界は何にでも纏える様に、風王鉄槌は何回でも使い回しできる様に。
ていうか、本家もできたんじゃないか?
…サーヴァントの枠にはまっていない全盛期なら余裕でできそう。(無茶苦茶夜更かしして漸くできる様になったのに)
気を取り直して。
それにしてもなかなかいい感じじゃないか。適度に厨二なこの感じ、素晴らしい。
これからも技の開発を続けよう。
⚪︎月⚪︎日
野生のOKAMIが現れた!
アーサーはOKAMIを手懐けた!
というわけで、オオカミさんを捕まえました。騎乗スキルBだしネ。竜の因子から生み出した純度100%の魔力で威圧すれば大人しくお腹を見せてくれたよ。
はい! オオカミさんを捕まえた理由? かっこいいからに決まってんだろ(理不尽な激怒)!
ここで俺の価値基準をはっきりさせよう。俺の中でカッコいいか、良くないか、だ。前世日本人で多少の倫理観は持ち合わせているが、この世界はそんな物クソ喰らえと言わんばかりの無秩序。
周りと違うのはわかっているんだが、それでもある程度合わせると、俺の持つ倫理観は少し緩くなった様だ。そんな中でも目標にした最強はカッコ良く有らねばならぬという。
そっちを優先しても仕方ないよね。
というわけで、オオカミがカッコよかったので飼い慣らした。名前は勿論フェンリル。王道かつ、かっこいいので採用だ。本物を超えて欲しい。
そうして、YAMAではフェンリルと一緒に、村ではマーリンと共に過ごしている。
鍛錬の方の成果は燕返しと魔術を使わない斬撃を放てる様になった。燕返しは少しズルイ習得方法だ。
まず初めに魔術の補助有りで身体能力諸々を強化して、速さを無理矢理向上させた状態で成功させ、その感覚を掴んだまま生身でチャレンジという方法を使った。
まあ、使えるもんは使わないと勿体無いし生身で打てる様にもなったので問題なし。ヨシ!
⚪︎月⚪︎日
数日前にマーリンに固有結界を使える様になりたい旨をつたえた。
そして今日、姿を見せなかったマーリンがやってきた。その姿を見た俺は、固有結界についての書物でも調べてくれたのかな? と思案したが、感情がないはずのマーリンが何やら嬉しそうにしてるのを見て、ん? と思った。
持ち前の直感をフル稼働して考えてもわからん。わからんことは聞こう、とマーリンの元へ向かう。
奴はこんなことを宣った。
「ふふふ、今日はキミの誕生日なんだよ。今まで祝ったこともないし、欲しいものをねだることも少なかったから、大振舞いしてあげるよ」
「おめでとう。キミに固有結界を授けよう!」
は!?
「んん!キミの驚いた顔は珍しい。ふふ、何、サプライズというやつさ。たまにはこんなのも悪くないね」
は!?
「おや、そんなに驚くかい? ぅん、確かにこれまでこんなことしたことも無かったけど、そこまで驚かれるとは心外だなぁ」
は!?
「キミが驚いて固まっているうちに授けておこう」
驚きすぎて反応がなくなった俺の顔をマーリンが両手で押さえて、顔を近づけてくる。──んむぅ。
…ハァッ!?!???!!!?
「んふふ、じゃあねっ」
マーリンが去っていった後、本日何度目かも分からない驚きに思考がショートして数十分ほどその場で固まっていた。ディープなやつだった。
驚きに染まった意識が戻ってくる。固有結界について考えようとすると説明がスッと浮かび、無意識に理解した。
名は 「ガーデン・オブ・アヴァロン」
花畑と星見の塔、限り無い星と差し込む陽光が黄金比の理想郷だ。
効果は内在する者のうち、敵対意思が無い者に対して回復と魔力増強のバフがかかり続ける。
この固有結界はマーリンが生み出したものであり、俺の心象世界では無い。そのため、俺の体・心に変化が起こるたび、固有結界もその形と力が変わっていく。
ただ、元の形はコレであり、そこから派生するというのであって、全く別のものから作り直されるということでは無い。
あと、他にも色々知識が付いてきた。存在力として上位者達と呼ばれる存在は、固有結界を自身で作り上げる方法を編み出したり。その受け継ぎを出来るようにしたり。固有結界を持っているのが常識であったり。
そして何より驚いたのが、俺の受け継いだ固有結界は抑止力の修正を受けにくいということだ。
元来、
その点俺は半分が竜の因子であり、固有結界自体もマーリンからの貰い物で、根本が精霊から成り立っている。
これらのことから、抑止力の修正が4分の1程度まで収まるらしい。
固有結界内は生き物が暮らすこともできるのでフェンリルを主として特に仲の良いYAMA暮らしの方々に入ってもらおう。
一瞬、俺が固有結界を消したらどうなるのか不安になったが、杞憂に終わった。俺の心象世界が世界と繋がるかどうかというだけで、消えるというわけでは無い。そういえばエミヤも剣取り出してたしな。
ついでに翌日マーリンに聞いたところ
「キスはしなくても受け継げた」
らしい。
……
⚪︎月⚪︎日
遂に選定の剣を引き抜く日が訪れた。
マーリンに連れられて、町外れに歩を進める。そこには、岩に突き刺さった剣の持ち手が存在している。
俺はゆっくりとソレに手を掛ける。
ふと、マーリンが声を掛けてくる。
「それを抜いたが最後、キミは王となり破滅の道を進み始めることとなるだろう」
…
……
………
────ああ、知ってる。
少なくとも、まともな最後は送れないだろう。
だけどな、俺は後悔しない。
最後までしぶとく生き残ってやる。
「──わかっている」
基本的になんの言葉も発さないこの無口フェイスが働いたことにマーリンがほんの少し驚き、俺の意思が変わらないことが伝わっただろう。
手に力を込めて、石から剣を抜刀する。
その日、ブリテンに王が誕生した。
⚪︎月⚪︎日
カリバーンが折れた。
というわけで本作アーサーくんは無口ジト目が基本のプリティーボーイです。
ん、書き溜め?するわけないじゃないか。できたそばからリリースするよ。その代わり、誤字脱字あったら教えてね♡。(軽率に♡を散らす男)