最強に成りたい、王子(偽)   作:獣耳もふり隊

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⚠︎今話は空白が多いです。また、日記形式ではありません。

後出しみたいでなんか悪いですけど、主人公の原作知識はこの世界で何年も生きてて結構、朧げです。


幻想種最強

──それは突然だった。

 

 

 衛兵から持ち込まれた、サクソン人と言う大陸から流入した民族が、ブリテンを統一するために我が国の民を虐殺していると言う話だ。

 

 国全体を守っていたアヴァロンは限界を超えたため既に解除している。

 次第に、アヴァロンの加護が無くなったので奴らは好き放題している、と言う話を何件も聞くようになっていた。

 

 またサクソン人は力こそ蛮族に劣るが、それ以上に厄介な狡賢い知能を持っており、被害が絶えないとの事だ。

 

 

 王である己の耳にまで届くのだから、余程酷いようだ。

 

 そんな訳で、現在の最高戦力である俺とガウェイン卿を引き連れて遠征を行うこととなった。

 

 俺に次ぐ最強はランスロット卿だったのだが彼は育児に専念している。ちなみに彼の妻はギネヴィアだ。

 ガウェイン卿についても彼らを案じて本人が立候補したのだ。

 

 戦力といっても、今回に関しては視察がメインだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …筈なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ガハッ!」

 

 

──ガウェインが敵の攻撃で気絶する。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()、だ。

 

 それが一体どれだけ異常な出来事なのか理解できるだろうか。

 かの騎士は太陽が出ている間、全能力が三倍となる。なんの訓練もしてない成人男性に換算しても、りんご程度軽く握る潰せるレベルだ。さらに加えて、全能力が三倍である。

 

 身体っていうのは部位が個別に動いてる訳では無い、連動しているのだ。それぞれの部位が三倍となった中、連動した動きの効果は三倍どころでは無い。

 

 例えば一メートルもジャンプできる人間がいたとしよう。その人間に全能力三倍を与えるとジャンプの高さは十メートルを軽く超えられる。

 

 そんな能力を備え、身体能力を鍛え、ガラティーンと言う武器まで持った彼が、

 

 

──────、()()()()だ。

 

 

 

 

 

 その攻撃を喰らわせた敵は、目の前の()()

 

 生物として最上級の頂点。何度か見たことのある雑種竜(デミ・ドラゴン)とは比べ物にならないほどの威圧感。こちらを捉えるその目には確かな理性が垣間見える。

 

 

──白き竜。その血を飲み干し、ブリテンの意思となったヴォーティガーン。

 

 それが俺の知っている情報だ。どんな思想で、能力で、目的で、何を為そうとしているのかは分からない。完全なブラックボックス(未知)

 

 

 俺はそいつと相対していた。

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 そいつが姿を現し、此方に明確な敵意を向けた瞬間、ガウェイン卿はガラティーン(転輪する勝利の剣)を放っていた。

 しかし攻撃が当たったはずの奴は、傷一つ負わないどころか、先ほどよりも存在力のケタを増している。

 

 そして、眼前の竜は口内にエネルギーを凝縮する。と思えば、目の前が真っ白になった。

 

 続いて体にかかる衝撃に、ブレスを放たれたのだと理解する。発動していたアヴァロンと風限王壁により防がれるが、それでも多少ダメージを受ける。

 

 アヴァロンの範囲を広げ、咄嗟に近くにいた兵士も守るが、攻撃の為前方へ進んでいたガウェインには届かない。

 

 数秒して衝撃も消え、ガウェイン卿のいた場所を確認する。そこには気絶して、瀕死になっている姿が見える。

 

 生きていることを確認すると、守っていた兵士にガウェイン卿を連れて撤退することを伝える。

 

 

「…──ガーデン・オブ・アヴァロン

 

 固有結界を発動する。

 

 花畑の世界に俺とヴォーティガーンのみを対象に隔離して、撤退の邪魔をさせないようにする。

 

『GYAAAAッ!!』

 

 何が気に障ったのか。それとも、その咆哮が標準なのか。物凄い轟音が耳に響く。

 

 

 スイッチを入れ、敵意に殺意で返答する。

 小手調とばかりに、アヴァロンに収まったエクスカリバーの柄に手をあて、

 

────()()

 

 

 放出したエクスカリバーの光は、ヴォーティガーンに確かに当たった。が、ダメージを負った様子はない。むしろ強化されている。

 

 攻撃されたのが癪に障るのか、先程の十倍ほどのブレスを此方に放つ。勿論、ノータイムでだ。

 

────攻撃力が上がっただけの同じ手にかかるわけない。

 

アヴァロン(全て遠き理想郷)」「万物風化」

 

 アヴァロンによって勢い弱まったエネルギー塊を万物風化により消滅させる。固有結界内では魔力が使いたい放題だ。

 

「暴風雷雨」「乱気流」「──風王禍空」

 

 固有結界内を悪天候に変化させ、威力が上昇した竜巻を発生させる。さらに指向性を持たせ、左手の上で圧縮させ、槍の形にする。

 

「雷霆空縮」

 

 電気を纏う風の槍。これを量産し、それぞれ電磁砲として照射する。

 

 

『──────GHAAAAAA──…ッ!!』

 

 対するヴォーティガーン。先程とは桁違いの咆哮で迫り来る雷槍を掻き消す。そのうち、二、三本が消えぬまま突き刺さる。だがそれは擦り傷をつけるだけで硬質な鱗に弾かれる。

 

 成る程。どうやら、奴は体に触れた聖剣の光を喰らうようだ。

 

 

 

 

 

………オイオイ、俺の天敵じゃねぇか。

 

 

 何か、手は無いか!

 

 

 

──焦る。

 

 

 70近くの思考を回して、対策を考える。

 まず、喰らえる光の容量にほぼ限界は無いだろう。奴が強くなる養分にしかならない。

 次にどんな光を吸収するのか、これに関しては未知数。エクスカリバーとガラティーンは少なくとも対象だ。太陽光などは喰らっていない為、魔術的に関わっているもののみか、それともただ単に食らっていないのか。

 体表は竜鱗に覆われており、その竜鱗自体が強い耐魔性を持っている。物理的な攻撃手段が必要だ。

 一際大きい咆哮は衝撃波を伴っており、ある程度の魔術では掻き消される。

 ブレスはタメが必要になる。ただ、チャージ自体は一瞬のため、ノータイム発射と変わりない。回数制限も特に無さそうだ。

 その巨体からはあまり早いスピードで動くことはできな──…ッ!

 

 

 いつのまにか視界から消える。圧倒的悪寒にすぐさま背後を振り向こうとする。背後には大きな鉤爪を振りかぶっているヴォーティガーン。

 

──意識が飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴォーティガーンの鉤爪。それはアヴァロン(全て遠き理想郷)の光すら喰らい尽くして、その持ち主へと攻撃を当てる。

 生存本能からか、咄嗟に急所だけは庇ったアーサーが背中から抉れた肉と背骨が見えながら大量の出血をして倒れ伏す。

 

 

 

 その傷は、固有結界内であろうと、再生するのに相当時間がかかるレベルのものだ。

 

 

 

 

 

 ヴォーティガーンは容赦なく、ブレスを溜める動作を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…────風王纒化」

 

 もはやボロボロとなり、立つことすら難しい我が身を鞭打って、強制的に限界を突破をさせる。

 

 傷は回復なんざしちゃいない。

 

 

 

 くは、ははははッ! 

 まだ死ねねぇ。

 

「──ははッ」

 

 

 自分でも何が面白いのか分からない。ただ、身体はまだ動く。なら、

 

 

 

「──、殺す」

 

 絶対に殺してやる。

 

 お前を殺した後に死ぬのはいい、ただ、今死ぬのだけはいただけねぇ。

 

 お前を残して死んだら、俺の国に危害を与えるだろう? 俺の国に、手を出させるかよ。

 

 こちとら、子供ん時から王としての責務を果たしてたんだ。そりぁ、愛国心の一つや二つ生まれる。

 

 

 

…コレは()()()()を救う戦いだ。

 

 

 

 

 せめて相打ちに終わらしてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、片手にエクスカリバー(約束された勝利の剣)を握る。

 

 

…やっぱり最後はこれなんだよな。

 

 

 

 

 

 勝利が約束されんだろ。任せたぞ、と心の中で語り、剣を構える。

 

 

 思考をフル稼働させて魔力を凝縮。一片もの魔力を漏らさず、剣の芯に込める。

 

 

──魔力伝導率100%

 

 最高効率で魔力を込められた剣は最早一欠片も輝ず、刀身本来の鈍い鋼色が反射する。

 

 

 久しぶりに省略せず、言葉にする一節。

 

 

 

 

 

「──是は、()()を救う戦いである」

 

 

 

 世界を救うことが本質の聖剣が本来の力で応える。()()()()を救うために、と。

 

 

 限界を突破して強化された肉体がブチブチと音を立てながら、亜光速でヴォーティガーンの背後へと飛び込む。

 

 

(何が騎士だ、カリバーンよりもエクスカリバーの方がよっぽど最高だ)

 

 心に秘めた想いを曝け出す。

 

(マーリン、…俺は好きだったのかもな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────エクスゥ、カリバーァァァア!!」

 

 

 

 

 

 

 自らを鼓舞する生まれて初めて出す絶唱と同時に真名解放。

 高すぎる魔力密度により白く輝く斬撃は、ヴォーティガーンに触れるとともに消えていく。

 

(わかってるさ、()()限界は無いんだろ)

 

 

 何処かのヒーローは言った。

 

  Plus(更に) Ultra(向こうへ)

 

 

 

 ブレーキを踏まず、アクセルを全開にしろ。限界を超えるまで照射し続ける。

 

 

 いつのまにか、固有結界は切れた。それでも放ち続ける。

 

 ヴォーティガーンも負けんとばかりにブレスを放つ。

──再展開したアヴァロンで撃ち返す。

 

 ブレスが駄目なら物理で、

──ロンゴミニアドで捩じ伏せる。

 

 

 そうしているうちにもヴォーティディガーンの許容量は圧迫されていく。放出できないエネルギーが乱反射する。

 

 

 

 

 

 

 

 

──80%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────85%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────90%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────93%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────、95%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 足りない。クソがァッ!

 あと少し、死ね死ね死ね死ね死ね死ねェッ。

 

 

 

 

「ォォォオオォォオォオオオオッ!」

 

 

届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け。

 

…────届か、ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、ふと声が聞こえた。男とも女とも判別がつかない、声。そいつは言った、

 

 

 

《あと少し、足してやろう。その代わり私達の依頼を受けろ》

 

 

 

──()()()()()()。力を寄越せ。

 

 

 

《……── 》

 

 

 

 ナニカとの接続が切れた感覚がした瞬間、聖剣はこれまで以上に力を放出する。

 

 オイオイ、お前、まだそんな余力あったのかよ…。いや、俺が引き出し切れてなかったんだな、わりぃ。

 

 

 

 

 エクスカリバーの魔力はヴォーティガーンの許容量を超えて呑み込み、全方位へとその輝きを散らしていく。その輝きは、ブリテンの大地へ恵みとなって降りかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──とある円卓騎士の家族。

 

「パパー! この光なに? すっごいきれー」

「あなた、コレは…」

 

「…この輝き、魔力。…王よ、どうかご無事で」

 

 

 

 

──退避した太陽の騎士一行。

 

「コレは、我らが王の光か…」

「騎士長ッ!ガウェイン様の意識が戻りました! また、あの光に触れた箇所の傷が次々と埋まっています!」

 

 

 

 

──とある過保護な異父姉。

 

「何してるのよ! それじゃあ、モードレットに王を受け継げないじゃない。何よりあの子の目標であるあなたがそんなんでどうするのよアーサー!」

 

 

 

 

──とあるYAMAの幻想種達。

 

『遂にはそこまで至ったか。同胞を喰ろうて貰われたには、その分しっかり強くなって貰わんと割りに合わん。呵呵ッ!』

 

『幻想種を喰らいすぎて人の要素が減っているがのぅ。ま、食らわれることは弱肉強食のこの世界。故に抵抗はないし、面白い奴であったな』

 

『そろそろ私たちも用済み、ですかね。世界の裏側へと向かいますか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、随分と派手にやったねぇ。キミ」

 

 マーリンの声が聞こえる。視界は半分しか見えない。左目が潰れたみたいだ。体も動かせないが、根性でエクスカリバーを支えにしながら立ち続ける。

 

 女の前でカッコ悪い真似は出来ねぇ。

 意地でも痛みを我慢しながらマーリンの方へと目を向ける。その顔にはいつもと違い、影が差している。

 

「…どぅ…た」

 

 言葉も掠れてまともに出やしない。だがマーリンは俺の言いたいことを理解してくれた様で、頭が痛いと言わんばかりのポーズをしながら、応える。

 

「どうしたって…キミ。世界と契約したんだよね」

 

 世界と契約って…?

 そう思ってると、エクスカリバーを放った際に声が聞こえてきたことを思い出す。あれか。

 

「そう、それだね。大怪我もよっぽどだけど、ソレに比べればまだマシだよ。はぁ…、どうして私はキミに惚れてしまったのだろう?」

 

 なんて言ったんだ? 耳も聞こえなくなってきた。ただ、マーリンが顔を少し恥ずかしがっているのは見て取れる。

 

「全く、…こういう時に鈍感を発動させなくたっていいだろう! ばーか。…まあ、これからキミは過去に送られるらしい、依頼の、"世界を守るため"に。だから、」

 

────必ず、帰ってきてよ。なんでもするって言ったよね?

 

 その声だけは確かに聞こえた。俺は、少しでもその言葉に返事をしたくて…

 

「────()()、だ

 

 

 

 何処まで言えたかなんて分からない。身体の感覚も死んでいき、何やら、温かいものに包まれている気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真っ暗になった視界が少しだけ見えるようになる。

 

──────星が、輝いている。

 

 燦々と、満遍なく。

 

 

 足元には小さな、地球。

 

 触ってみようと、すり抜ける。

 

 

 意識がはっきりとしていき、

 

 

 目の前に、一際輝く何か。

 

 

 

 何処からか世界の声が聞こえる。

 

 

 

 

 

 

《──()()で肉体を補って、世界を救え》

 

 

 

 

 

 輝いているのは杯だ。

 

 

 

 

 

 

 

 黄金の杯を掴む。

 

 

 ナカを覗くと、黒い液体。

 

 

 

 

 

 更に意識がはっきりとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──穢れた聖杯じゃねぇかッ!!!

 

 チェンジでッ!

 

 

 

 

 

 

 

 要求は通らず、容赦なく泥を浴びせられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ツッコミどころは色々あると思います(作者もあり)。
ただ、本当に書き溜めなしの勢い任せなのでご容赦を。

日間ランキング七位も本当にありがとうございました。4/3時点。

感想、誤字報告も助かってます。

僕は眠いです(3:25)。
グンナイ。
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