22/2/9推敲完了
はっ! 寝てた? いや寝る前に電車に乗っていなかったから転生したってことか。とりあえず目的地に着くまでの間は知識を漁るか。
◇
ふむふむ成る程ね、私は人類の敵、『ヒュージ』に対抗できる存在『リリィ』で今から『リリィ』の学び舎、『ガーデン』の中でも有名な『百合ヶ丘女学院』に合格したから向かっていると。
真っ当に生きるために必要な生活必需品は事前に送られているから、あとは私の『CHARM』を持って行くだけ──
──待て待て待て、ブレイバックルは? 私の『CHARM』として『グングニル・カービン』しか持たせれてないよ!? ……とりあえず目的地に着いたらしいから出るか。
はぁ、元々神なんていう信用ならんものを信じた私が悪いよな、よしこれからは気分を変え──
「あの!」
「ん」
声を掛けられたから後ろを振り向いたら同じ服の女の娘が居た、同じ服か……同じ服!? ──いや百合ヶ丘女学院の制服だからこの娘も百合ヶ丘女学院の生徒か。
「えーと、君も同じ高等部からの新入生かい?」
「はい、そうです! 補欠合格ですけど、えへへ」
「話し掛けた理由を聞いてもいいかな?」
「貴女も百合ヶ丘の生徒ですよね、だからここからでも一緒に行けたらいいなー、って思ったんです! ……あの、嫌でしたか?」
「気になっただけだから気にしないでね。ここで出会ったのもなにかの運命だし一緒に行こうか」
「はい!」
確か百合ヶ丘の補欠合格は"能力的に突き抜けた部分"が必要とといわれているだっけ、じゃあこの娘は──あ、名前を聞いてない。
「あ、自己紹介してませんね、私は一つの柳の木に果物の梨と瑠璃色の璃と書いて一柳梨璃と言います」
「私は剣崎小刀祢、漢字は言葉で伝えるのが難しいからあとで教えるよ。梨璃さん」
タイミングが良すぎてエスパーかと思ったわ、リリィとかヒュージがいるからエスパーとかの存在は有り得そうだけどね。
◇
とまぁ、雑談をしながら歩いてたら校門みたいな所に着いたよ。流石は名門ガーデン、とにかくデカい。よし、いざ記念すべき第一歩! ──ってうわ!?
高そうな車が前にビューンって来た、怖い絶対関わっちゃいかんやつだ。うん無視し──
「ドアくらい自分で開けます。今日からは自分の面倒は自分で見なくてはならないんですから」
どっかの企業の令嬢だよ、当たっとけば金を請求できたかもしれねぇな。
「あら? ごきげんよう」
「えっ?」
「貴女たちもう帰ってよろしくてよ」
「えっ……私たち今着いたばかりですが。第一私たちは貴女の命令を聞く理由がない。そうだろう? 梨璃さん」
「あっ、はい!」
「……すいません、わたくしてっきりお父様が送り付けた付き人だと勘違いしていましたわ。まあ袖振り合うも多生の縁と申しますし」
「確かある人は見ただけでも縁が作れる*1と言ってましたし。あ、私は剣崎小刀祢です」
「ご丁寧にどうも、わたくしは楓・J・ヌーベルと申します」
「私は一柳梨璃です!」
「うん? そう主張なさらなくてもリリィなのは分かっていますわ」
「違いますよ楓さん、名前が梨璃なんですよ」
「ああ! リリィの梨璃さんですか。生まれながらのリリィということですわね」
「いえ……あの、思い立ったのは去年なんですけど」
あのー梨璃、私、楓で横に並んでんだけどさ、私会話の中に入れてないよ、まぁいい機会か『レアスキル』を漁り終わってないから二人で会話してもらってる間に終わらせますか。
◇
「中等部以来お久しぶりです、夢結様」
「何か御用ですか? 遠藤さん」
「亜羅椰と呼んでいただけませんか?」
んー、レアスキルの円環の御手かゼノンパラドキサかユーバーザインがいいな〜、次点に鷹の目かブレイブかな。てかなんか騒がしいな。
「え、楓さんは?」
「向こうに行きましたよ」
「あれ君は? というか梨璃さんもいないし」
「あれっ!? 梨璃さんいつの間に!」
人混みの中に行ったか? これが野次馬精神か……
「なかなかすばしっこい奴じゃの」
「じゃの?」
「じゃの?」
「じゃが一歩間違えれば斬られかねんぞ」
「私の両肩に載せている髪の毛をどけてくれないかな?」
「おーすまんすまん、ここからだと人混みが邪魔での、CHARMケースに乗ったらたまたま肩に載ってしまったようじゃの」
「そっか、で君の名前は? 私は剣崎小刀祢だ」
「ワシの名はミリアム・ヒルデガルド・Ⅴ・グロピウスじゃ。それ、そっちのちびっこの名はなんと言うんじゃ?」
「私は知らないぞ」
「あ、私ですか? 私は二水二水って言います」
えーと鼻血を出している娘が二川二水、私の後ろにいるのじゃロリがミリアム・ヨルムンガンド・Ⅴ・グロピウス、いやミリアム・ヨルムンガンド・Ⅴ・グロリンピウス、と見せかけて! ヨルニム・ミルデガンド・Ⅴ・グロリンピウスだな! どれもなんか違うな、ミリアム・ヒルデガルド・Ⅴ・グロピウスか。
「お主なにか失礼なことを考えておらんか?」
「……そういえばなんでさっきから鐘が鳴ってるんだ?」
「話を聞いておらんかったのか?」
「ちと考えごとをしててね」
「話を要約すると、校内の研究施設から生体標本のヒュージが逃走したから捕獲しろという訳じゃな、周囲の環境に擬態するらしいからペアで行動しなきゃ危険らしいぞ」
「なるほど、それで思考に耽てた私を待っていたと」
「そういう訳じゃな」
「じゃ行きますか、ミリアムさん」
「そうそう出江様からこれを渡してくれと言われたのじゃ、小刀祢の親戚から百合ヶ丘に送られた物らしいんじゃの」
「親戚?」
「これじゃ」
「ほう、なるほどね」
「知っている物か?」
「勿論だとも!!」
ミリアムが持ってんのブレイバックルじゃねーか、嬉しさのあまり泣きかけた。神よ数十分前は疑ってすまんかった。
「急に大声を出してどうしたのじゃ?」
「嬉しくてね、本当に貰えるとは思わなくてね」
「なんなんじゃこれは?」
「ブレイバックルっていって面白い物さ。そういうばカードみたいなの渡されなかった?」
「確かに渡されたのう、スペードのエース、トランプか?」
「そんなもんさ」
「でよーわからんが、出発じゃ」
剣崎小刀祢とミリアム・ヒルデガルド・Ⅴ・グロピウスは生体標本として捕らえられていたヒュージを探しにそこら中を歩いていた、現在は切通と呼ばれる道を歩いている。
「なかなか歩いたのに見つからないねーミリアム」
「さん付けしなくてもいいとは言ったがそんな急にやめるものか? お主には遠慮というものはないのか?」
「私は元々人にさん付けをしたくない性分なんでね」
「そんな性分は初耳じゃ!」
その時突然前と後ろから石が落ちる音がする。そしてガスが辺りから噴出しだす。
「前後から音、そしてガスの噴出か。ヒュージが二体いる可能性がある、あとは目眩し……いや、まだ襲ってこないことから私たちの相打ちを狙うほどの知能があるってことか」
「小刀祢、ワシはそこまで戦術に理解がある方ではないぞ、だから戦術云々は頼ってよいか?」
「戦術なんて大層なもんじゃないけど全然頼っていいよ。まず初めにレアスキルを聞いていい?」
「フェイズトランセンデンスじゃ」
「ビームみたいな感じでマギを出せる?」
「できるぞ」
「じゃあ私がヒュージを二体引きつけるから二体が射線に入った瞬間に撃ってくれ」
「合図とかがなくてよいのか?」
「私はミリアムを信じる、だからミリアムは私を信じてくれ」
「不安じゃの、はぁ信じる以外の道がないのが辛いのう」
「ふっ、それじゃあ始めるぞ」
「おう!」
切通となった丘をグングニル・カービンで殴ったり弾を撃ったりして音を立てる
「陽動だとしてもずっと音を立ててるんだ、意思疎通ができないお前らは気になって2体とも近付いて来るよな!」
ヒュージが並んだ瞬間にミリアムは砲口をヒュージに向け必殺技を放つ。
「今じゃ! 必殺フェイズトランセンデンス!」
位置的にヒュージの間に挟まっている小刀祢は丘を足で蹴りフェイズトランセンデンスの射線から離れる、ミリアムから遠い方のヒュージはそれを見てもう一体のヒュージをテンタクル種特有の三つの脚で小刀祢同様に蹴り丘の上へ上がる。
「マジか!? ミリアム逃げた奴を狙えるか?」
「ぐへぇ〜」
「駄目か、じゃあ今からは私が相手だ」
ヒュージは丘から小刀祢を自分の体で潰そうと狙い定め落ちる。
小刀祢はそれを弾を撃ちながら後ろへ避ける。
ヒュージは間髪入れずに一本の脚を支えにして残りの二本の脚で執拗に右手──CHARMを持っている手──を狙い攻撃する。
「お前もしかしなくてもCHARMを吹き飛ばそうとしてるだろ」
そうだ、と言わんばかりに攻撃の手を強め小刀祢の右手からCHARM離れさせる。
小刀祢はCHARMが手から離れたことに怯まず、攻撃をバク転を三回繰り返し追撃も含めて全てを避ける。
「心臓に悪いね。それじゃあ私の変身を見せてやるよ」
腹にブレイバックルを当てスロットにラウズカードを入れる、そうするとカードの形を模したの帯が伸び、固定される。
ブレイバックルのハンドルを握り、引くことでブレイバックルからオリハルコンエレメントが放出される。
丘とオリハルコンエレメントの間にいるヒュージは、オリハルコンエレメントによって丘へと押され何故か壊れない丘とオリハルコンエレメントに挟まれ潰される。
「え?」
この状況を見た小刀祢の脳は一時的に理解を拒絶した。
◇
「いやそうはならんやろ」
数十分経ってやっと状況を理解して発した言葉である。
「うーんと変身解除してミリアムをおんぶしながら百合ヶ丘に戻るか」
変身を解きCHARMを回収してミリアムに近付く。
「ミリアム起きろ」
「……起きとるわ」
「寝そべってないで、って意味だ」
「お主はレアスキルに造詣が深くないのか?」
「人類の歴史くらい深い」
「それじゃあ分かると思うがフェイズトランセンデンスの使用後は枯渇状態に陥り、S級でもない限り動けんのだぞ」
「その状態になって数十分は経ってるよ」
「少しもわしを労う気はないのか」
剣崎小刀祢は満面の笑みで答える。
「ない!」
「その笑顔ムカつくのじゃ!」
「動かないならピザみたいに回しながら持ってあげる」
「……」
「どうした!?」
この女、人を煽る時は常に満面の笑みである。
「……もう好きなようにするのじゃ!」
「パッと思いついたからお姫様抱っこにするね」
その後、剣崎小刀祢は戦闘後の一柳梨璃と白井夢結、そして生き埋めにされている楓・J・ヌーベルと出会い、共に百合ヶ丘に戻り入学式に出た。
オリハルコンエレメント最強!