この作品、タグ通りメタ発言マシマシです。
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「あー、今日も勇者部の活動、頑張ったなー」
体を伸ばしながら人影の無い薄暗い廊下を歩く友奈。
もう校舎内に残っているのは彼女だけのようだ。
その時、金属を激しく打ち合うような大きな音が聞こえてきた。
「ん? なにかな?」
廊下の窓から覗いてみると、グラウンドを二つの影が跳び回り走り回っているのが見えた。
一人は白っぽい戦装束を翻しクロスボウを撃っていた。その鋭い射撃を手元で回転させた槍で防ぐ黒っぽい戦装束の人物。
今度は槍を振るう方がクロスボウを持っている方に襲いかかる。その一撃はクロスボウで受け止められる。
動きが一瞬止まった時点で、二人が自分と同じくらいの年齢の少女であることに気づく友奈。
しかし……
「これ、人間じゃあり得ない動きだよ。ヤバいよ、ヤバいよ……」
それは人外の戦闘であった。
それに気づくや否や慌てて逃げ出す友奈。見なかったことにしようと思った。
「はあ、はあ……。ここまで帰ってくれば大丈夫かな?」
走り続けて自宅まで帰り着いた友奈。息も荒く居間のソファーに体を投げ出す。
折悪しく、今夜は両親は出かけていて留守だ。
ふと、悪い予感が体を貫く。
本能に身を任せて体を
「ヒッ……!!」
もうもうと埃がたつ中、人影が見えた。
先ほどグラウンドで見かけた黒っぽい戦装束の少女。ソファーから槍を引き抜くとニヤッと笑いかけてきた。
アンダーフレームのメガネを掛けたブラウンの髪色の少女だ。
「今の一撃、よく
友奈は後ずさる。
槍使いから目を離さないようにしながらチラリとだけ掃き出し窓を見る。幸い鍵は掛かっていないようだ。
「でもね。この戦いと勇者については秘匿義務があるんだ。悪いけど目撃者は消さないといけない。運が悪いと思って諦めてね♡」
目にも止まらない一撃だった。鋭い槍の一撃が友奈を襲う。
それを、反射神経ではない。命の危機の予感のみに従い本能的に体を動かして避けた。
「にゃは♡ イイよ、イイよ!」
喜びの声を上げる槍使いの少女。
友奈は掃き出し窓を開け放つや、庭に転がり出る。
またもや槍の一撃!
今度も紙一重で避けたが、庭の物置小屋が木っ端微塵に弾け飛んだ。友奈も衝撃で転んでしまう。
その時、ポケットからスマホも転がり出てしまった。電源が入ったのか画面が白く光る。友奈は気づいていないのだが、そこには桔梗の花と桜の花の意匠が交互に光っていた。
「手間取らせてもらったけど、これでお終いにゃ」
槍使いが槍を構えて近寄ってくる。
友奈は倒れ込んでいたが上半身だけを起き上がらせ後ずさる。知らず、右手が落ちているスマホの上に掛かりタップしてしまった。
「バイバイ!」
投げ槍の一撃が放たれたのと、スマホの画面から強烈な光が放たれたのはどちらが早かったのだろうか?
ガギン!!
鋭い金属音と共に槍が弾かれていた。
友奈の前に少女が立っていた。
青い戦装束を身に纏い、輝くような金色の髪色をした凜々しい少女。その手に握った
彼女は槍使いを牽制しながらも友奈に視線を向ける。そして、その口が言葉を紡いだ。
「問おう! お前が私の、マスターか?」
「へ?」
友奈は思考が止まってしまった。
まったく何のことやら不明である。
その友奈の様子に大体の事情を察したのであろう。大刀の少女は友奈を捨て置き、槍使いに対して大刀を構える。
「何も知らないようだな。仕方がない。とりあえず、この場の危機は私が打ち払おう」
槍使いはニヤニヤ笑いながら、余裕の態度で槍を構える。
「へー、キミ、マスターだったんだ? でも、詳しい事情を知らないようだね。それじゃ、たとえサーヴァントが最優のセイバーだといえど私の敵じゃないかもね」
その時、辺りに声が響いた。
「今日は小手調べだって言ったでしょ、ランサー。そろそろ帰ってきなさい」
「えー!? これからが面白くなるところなのに……」
「この完成型マスターの言うことが聞けないって言うの? また煮干しの買い出しのためだけに呼び出すわよ」
「そんな意味のないことだけに呼び出すのはやめて欲しいにゃ」
どこから聞こえてくるのか分からない声と緊張感のないやり取りをした後、槍使いはやれやれという態度をとりながら徐々に体を透けさせていく。
「という事だにゃ。勝負は預けるよ。それじゃね。バイバイ!」
その言葉と共に槍使いは、今までそこにいたのが嘘であったかのように気配も残さずに消えてしまった。
「さて」
大刀の少女が友奈を振り向く。
「その様子では、何も事情を知らないようだな」
「えっと、何が起こっているんですか?」
友奈は地面に尻餅をついた状態で大刀の少女を見上げて問い掛ける。
「うむ。今、ここ讃州市では聖杯戦争が勃発している」
「聖杯戦争?」
「そうだ。簡単に言うと、現勇者である七人のマスターが、過去の勇者である七人の英霊をサーヴァントとして呼び出し、戦わせて殺し合わせ、その魂を燃料として聖杯を起動させて天の神を叩くというものなんだ」
「きれいさっぱり訳が分からないんだけど!?」
「神樹の寿命が近いため、大赦が無理矢理に設定した人類救済方法なんだ。七人のサーヴァントの名称、立ち位置など詳しくは Fa■e/st■y ni■ht をググってくれ。大体似たようなものだ」
「なにそれ? 読者目線じゃないと何も分からないと思うんだけど! このお話の登場人物である私にも優しく説明して、お願い!」
その友奈の発言からはあえて目を逸らす大刀の少女。真面目な顔を作って友奈を諭してくる。
「とにかく分からなくてもいいから、分かった振りでいいからしていてくれ。そもそもお前の右手の甲には令呪が現れているではないか。それが私のマスターである証拠だ」
友奈が自分の右手の甲を見ると桔梗の花の意匠が赤黒く浮かんでいる。
一方、大刀の少女の右手の甲には桜の花の意匠が赤黒く浮かんでいた。
「令呪はお前と私を繋ぐものだ。お前が私に令呪の名の下に絶対の命令を一つ下す度に、一つ花弁が失われる。私の令呪の花弁もだ。五つの花弁すべてを失うと、私とお前の間の契約が切れてしまう」
「そうなると、どうなるの?」
「散華が起こって、お前は体の機能を一つ失い、またサーヴァントを呼び出し直さなければならない」
「いやだよ、そんなの」
「嫌なら戦え。勝ち残れば良し。負けて私が死ぬようなことがあれば大赦に保護を求めろ。そうしなければ、まだサーヴァントが残っていると思っている陣営から命を狙われるぞ」
その説明に友奈の顔がみるみる青ざめる。
「とにかく私のことはセイバーと呼んでくれ。お前の、マスターの力になろう。共にこの聖杯戦争を勝ち残るんだ」
暫く、友奈が両手の人差し指をこめかみに当て難しい顔でセイバーから与えられた情報を咀嚼しようとしていると、そのセイバーの顔がキリリと引き締まる。
「む! 他のサーヴァントが近づいている。私は迎撃に向かう。マスターは隠れていろ!」
「え!? ちょっと待って!」
門から飛び出していくセイバー。慌てて友奈も追いかける。
ガギン!!
またもや大きな金属音が響き渡った。
セイバーが、友奈がグラウンドで見かけたもう一方の少女――白っぽい戦装束を身に纏ったクロスボウを操る少女――に斬りかかっていた。
クロスボウ使いの少女はその斬撃をクロスボウの胴体で防いでいる。
「セイバーですね。いきなり斬り付けてくるとは、なんて手癖の悪い……」
「その得物。アーチャーだな。四の五の言うな! この話は短編なんだ。素早く決着をつけないと話が終わらないんだ!!」
「なんて恐ろしいメタ発言……。小説には作法というものがあるんですよ。ちゃんとTPOを弁えた発言をしてください」
「うるさい! このロリコン疑惑の晴れないワザリングハイツめ!」
「なんてこと! あなただって、ひなたさんの介護がなければ日常生活が送れないポンコツ武士じゃないですか!」
何がしたいのか、互いの得物を力任せに押し付け合いながら口喧嘩を始める二体のサーヴァント。
「待って! いきなり戦うなんてダメだよ!!」
走ってきた友奈がその戦いを止めようとする。
すると……
「そうね。友奈の言うとおりだわ。一旦引きなさい、アーチャー」
現れた麦穂色の髪の少女。複雑そうな笑顔を浮かべている。
そのよく知っている顔に友奈は驚く。彼女の属している勇者部の部長だった。
「風先輩!?」
「友奈……。アンタも選ばれたのね。やっぱり勇者適性値ダントツは伊達じゃなかったのね」
「風先輩は最初から知っていたんですね?」
「そうよ。そもそも勇者部自体、マスターとなる勇者を集めて監視しておくための部活だったんだから」
「え!? じゃあ、もしかして東郷さんや樹ちゃんも……?」
「もう選ばれているかどうかは分からないけど、時間の問題ね」
「でも、マスターは七人だって。勇者部は四人しかいませんよ」
「足りない分は大赦が揃えるはずよ。いえ、もしかしたら他の地区の勇者候補生から選ばれて、この讃州市にやって来るかも……。さっきのランサーのマスターだって大赦が用意した勇者のようだったし」
そういったやり取りをしていると、セイバーが友奈に話しかけてきた。
先ほど風が止めた際に、一応セイバーもアーチャーも一時休戦をしていたようだ。
「なんだ。元々お前も勇者だったのか」
「いやいや、勇者部っていう中学生の部活動ですよ」
「少なくとも勇者を目指していたって事だろう?」
「いやいや、勇者部って言ってもみんなの為になることを勇んでやることが活動だから。普通に分かりやすく言えばボランティア部だから。こんな戦いをするための部活動じゃないから。私自身も勇気のある人にはなりたいけど、命のやり取りを行うって意味での勇者は目指してないから」
セイバーの誤解を解こうとあわあわしながら言い訳を言い募る友奈。
そして風は、そんな二人のやり取りを意に介さずに提案をしてくる。
「とにかく勇者部の仲間同士で潰し合うのは後回しにして、強敵のはずの大赦が派遣してくる陣営を潰すわ。友奈、一時休戦をして同盟を組むわよ」
いや、これは提案ではない。ほとんど相手の意向を無視した事後承諾である。
「ええー!?」
そのマイペースぶりにドン引きする友奈。
とにかく今後の作戦でも、と友奈の家に引き返す一行。
門の前まで来た時、何者かに押された車椅子に座る濡れ羽色の髪色をした大和撫子を視認する。
「久しぶりね、友奈ちゃん」
「いやいや、数時間前にも部室で会ったよね、東郷さん?」
友奈にとって掛け替えのない友達、東郷美森だ。部活も一緒だし、クラスも一緒。そもそも家も隣だ。
その東郷の車椅子を押す人物は深い影に隠れて人物を特定できない。いつの間にか日が落ちており、辺りは暗い。街灯や周辺の家から漏れる明かりだけが頼りだ。
「そんなことはどうでもいいの! 友奈ちゃんは今すぐこの聖杯戦争から手を引いて!!」
「全くどういうことか分からないよ、東郷さん。説明してくれなきゃ、分かんないよ」
感情的に叫ぶ東郷。その様に困惑する友奈。
「これを見てもそんなことが言えるの!? 前へ出なさい、バーサーカー!!」
東郷の車椅子を押していた人物が前へ出てくる。彼女の顔に街灯の明かりが差す。
友奈にそっくりな顔をした少女だ。桜色の戦装束を身に纏っている。だが、友奈がこれまでに見てきた三体のサーヴァント。彼女達が身に纏う戦装束とは異なり、凶悪なイメージがつきまとう装束だ。
なにせ、頭の額当てからは二本の角が突き出し、右手の手甲は体の大きさとはアンバランスなほどに大きい。
しかも、彼女の目はハイライトを無くしており凶暴性を宿している。口の端からは涎が垂れていた。
「URYYYYYY!!」
彼女が雄叫びを上げた。ただし、どこか芝居がかっていて音程も高く、可愛らしいという印象が内包されている。
「これが勇者のなれの果てよ」
「URY?」
バーサーカーが小首を傾げる。
「彼女は勇気を持ちたい、勇者でありたいと願った。その
東郷は滂沱の涙を流しながら力説する。
「友奈ちゃんにはこういう風にはなって欲しくないの! だから、セイバーを殺して聖杯戦争からも手を引いてもらいます。後は大赦の庇護下に入って安全に過ごして!!」
すると、セイバーから冷静な突っ込みが入る。
「いや、それはなれの果てじゃないぞ。切り札を使った影響だ。酒呑童子を下ろしているようだな。切り札の使い過ぎはサーヴァントとなった英霊であっても、体にも精神にも良くない影響があるぞ、バーサーカー」
「URY?」
再び小首を傾げるバーサーカー。
そんな彼女たちの姿に切れる東郷。
「もういいわ! セイバーを殺して友奈ちゃんを解放するのよ! やっちゃいなさい、バーサーカー!!」
「URYYYYYY!!」
それは素早くも重い一撃だった。
バーサーカーのパンチは、その一撃を大刀で受け止めたセイバーを吹き飛ばした。
さらにバーサーカーは吹き飛ばしたセイバーへと走り寄り、追撃を掛ける。
二撃、三撃。翻弄されるセイバー。
「不味いわね。単独で張り合うのは無理みたい。アーチャー、セイバーと連携してバーサーカーを倒しなさい!!」
焦る風の指示が飛ぶ。
「分かりました。セイバーと連携してバーサーカーを迎撃します!」
アーチャーはクロスボウを連射してバーサーカーを牽制する。
バーサーカーもさすがにセイバーへの追撃を止め、射かけられる矢を捌いていく。
そして、その間に体勢を整えたセイバーが大刀を腰の鞘へと収め、居合抜きの構えをとった。
「よくもやってくれたな! いくぞ、バーサーカー!! 唸れ、
放たれる神速の抜刀。
その一撃にバーサーカーも吹き飛ばされる。
「やったか?」
「セイバー、それはフラグだよ!」
「URYYYYYY!!」
セイバーと友奈のへっぽこなやり取りの通り、無傷のバーサーカーが雄叫びを上げながら立ち上がった。
勇者史外典第三章が始まったようで。たかしーの描かれ方に興味津々です。
さて、スランプだし4月1日だしということで、突如下りてきたアイディアを熟成もせずに生煮えでぶち込んでいくスタイル。
後編は昼頃更新の予定です。