問おう! お前が私の、マスターか?   作:多聞町

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後編

 友奈と風が聖杯戦争において共闘関係を結ぼうとしていたところ、東郷率いるバーサーカーが攻めてきた。

 窮地に陥るセイバーだったが、アーチャーの援護の下、神速の抜刀術でバーサーカーを吹き飛ばす。

 だが、バーサーカーは無傷のまま雄叫びを上げながら立ち上がるのだった。

 

 

 

 

「このままでは押し切られます。セイバー! 私と一緒に切り札を……」

 

 アーチャーがそうセイバーに共闘を持ちかけた時だった。

 

「あらあら、若葉ちゃんともあろうお方がバーサーカー程度に苦戦ですか……?」

 

「なに? お前は…………」

 

 声がした方にセイバーが目を向けると、そこには豊かな胸を強調した巫女服姿の黒髪の少女が上品かつ腹黒そうに笑っていた。

 その後ろには、セイバーによく似た顔立ちのお嬢様然とした少女も立っている。

 

「ひなた!?」

 

「うふふふ……。ここではキャスターと呼んでくださいな」

 

「まさか、お前が別の陣営のサーヴァントだったとは……」

 

「ええ。さすがに英霊同士。同じ陣営に召喚されるはずもありませんからね。せめてもと、若葉ちゃんの子孫を()り立てる側に回ったんです」

 

「なんと……!!」

 

 驚くセイバーの目の前で、キャスターを後ろに下がらせてお嬢様然とした少女が前に出てくる。

 

「ということで、ひなタンはこの乃木園子様のサーヴァントになったんだぜー! いぇーい!!」

 

 大昔に流行ったゴーゴーのような踊りをしながらそう言ったかと思うと、ダブルピースを頭上に掲げる。

 やはり乃木園子。お嬢様然とした見かけであっても、やはり中身は乃木園子だった。

 

「しかしお前は生前、巫女だった。キャスターになったからといって我々と戦える戦闘力は持っていないはず……」

 

「そんなことは無いんよ。この乃木園子様はサーヴァントとともタメを張れる最強の勇者なんよ~」

 

「それに私にはこの人もいます。出てきなさい、アサシン!」

 

 キャスターがそう声を掛けると、その隣に白い髪色の野性的なサーヴァントが姿を現す。

 その意外な展開に絶句するセイバー。

 

「まさか、サーヴァントがサーヴァントを使うとは……」

 

「花により散れ! 事情により、私は園子とキャスターの味方をしなければならない。悪いな、風。だが、我らの前に立ちふさがるならば容赦はしない!」

 

 そう言いながら、アサシンはヌンチャクを構える。

 その時、別方向から声が掛かった。

 

「騙されないで、乃木さん。そのアサシンは偽物よ! なぜならば、私こそが真アサシンなのだから!!」

 

 一同、声がした方へと顔を向ける。

 そこには紅の戦装束に身を包み、大鎌を地面に突き立てた黒髪の美少女が立っている。

 

「なに? なんなの? このメチャクチャな展開!!」

 

 東郷がオーバーヒートを起こしたようだ。何に対してなのか、誰にも分からないが逆ギレをしている。

 一方、このお話の主人公である友奈も展開について行けないようだ。阿呆のように口をポカンと開けて固まっている。

 

「見なさい! この死神が持っているような美しい大鎌を。これこそが、私こそが真アサシンであるという証拠よ!!」

 

「待ってくれ、千景。もう私にも何がなにやら分からないんだ。サーヴァントがサーヴァントを使役するだとか、アサシンが二種類いるだとか……」

 

 すると、ランサーの撤退時のようにどこからともなく声が辺りに響いた。

 

「なにをやっているんですか、アサシン。隠密行動こそが旨であるアサシンが皆の前に姿を晒してどうするんですか?」

 

「申し訳ありません、マスター。しかし、私の偽物が出てきた以上……」

 

「そんなことはどうでもいいんですよ。なんのために君を召喚したのか? 夏凛の姿をあらゆる角度から盗撮するためなんですよ。貴方が七体に分身出来ることを評価しての召喚なんです。分かりましたか? 百の貌ならぬ七人御先の千景さん?」

 

「くっ、そんなどうでもいいことで召喚されたなんて、末代までの恥だわ!」

 

 真アサシンはとても悔しそうな顔をしながら消えていった。

 風は額に手を当て目を瞑りながら天を仰ぐ。

 

「あー、真アサシンのマスターはあのシスコンか~。男のくせにどうやってマスターになったのかは分からないけど、まあアイツならルールの抜け道を突くことは出来るでしょうね~」

 

 

 

 

 既に皆、やる気が失せてしまったようだ。

 どうしたものかと、それぞれの陣営同士で顔を見合わせていたその時だった。

 

「わはははははは……!!」

 

 突如、上空から大きな笑い声が聞こえてきた。

 

「なに!?」

 

 思わず見上げる友奈。当然、他のマスター達もサーヴァント達も上空を見上げる。

 そこには大きな円形の盾が浮かんでおり、さらにその上にオレンジの戦装束を身に纏った小柄な少女が立っていた。

 

「サーヴァント・ライダー、ここに参上! お前たち、全員この土居球子様の手下にしてやる! 共に四国を統一して、天の神を倒すために遠征するぞ!! タマについてこいやー!!」

 

 戦装束にはなぜか重厚なマントが付いている。それをたなびかせ、両手を目一杯に広げて力説するライダー。

 ところで、そのライダーの足下にはやはり小柄な少女が蹲っている。

 

「なにやってるんですか、ライダー!? 勝手に真名を明かさないでください! ヒィイ、高いよ、恐いよ。せめて手摺ぐらい付けてぇええ!」

 

 捕まるところもない高所にいるため怖がりながらも、真名を明かしてしまったライダーに抗議の声を上げる少女。

 だが、ライダーはまったく気にした様子がない。

 

「なに言ってるんだ、樹? 真名が分かったところで、このタマが負けるはずがないだろう? それよりも、よくここまで付いてきた。樹にはタマの横で、いの一番に勝利の美酒を味わわせてやるぞ! 何事も、このタマに任せタマえ!」

 

 そのやり取りは地上の面々にも聞こえてきた。

 中でも風は目を点にして、唖然としながら声を掛ける。

 

「樹、なにやってんの? そりゃ、ライダーのマスターと言ったらアタシの妹なんだろうけどさ……。アンタたち、十年ほど時間軸間違えた役どころやってない?」

 

 

 

 

「オーホホホホホ……! さすが風さんですわ。鋭い突っ込み、お見事です!」

 

 すると甲高い笑い声が響く。風が思わず振り向くと、そこには園子とはまた違い、どこか薄っぺらい感じを抱かせる成金趣味のドレスに身を包んだ金髪の少女がいた。

 

「アンタ、ルヴィa……もとい、弥勒!?」

 

「そうですわ。かの有名な弥勒家の深窓の令嬢、弥勒夕海子ですわ!」

 

「アンタ、言ってて空しくない? 弥勒家なんて没落してから百年以上も経っているんじゃ……?」

 

「ですから、この聖杯戦争を制して弥勒家を再興させるんですのよ!」

 

 確かに弥勒家は遙かな昔、大赦内でも有数の名家だったはず。しかし没落してから時が経っており、いまや庶民である。だが、夕海子は自信満々に言い返してきた。

 

「ちょっと待って。アタシがアーチャー陣営、樹がライダー陣営、友奈がセイバー陣営、東郷がバーサーカー陣営、夏凛がランサー陣営、乃木がアサシン込みのキャスター陣営、シスコンが真アサシン陣営…………??? サーヴァントの空きがもう無いわよ?」

 

「フフフフフ……。風さん、タグをよく見なさい! クロスオーバーしているのは Fa■e/st■y ni■ht 単体じゃないんですのよ。『Fateシリーズ』……つまりは? 来なさい、国土さん!」

 

 夕海子がそう叫ぶと、紫の魔法少女スタイルの衣装を身に纏った亜耶が走ってきた。

 

「はぁはぁ……。呼びましたか、弥勒先輩?」

 

「見なさい、風さん。この国土さんがわたくしの手駒ですわ!」

 

「亜耶を顎で使うとはいい度胸ですね、夕海子。あまり無茶ぶりをしますと、この弥勒が許しませんよ」

 

 亜耶を指差した夕海子がドヤ顔を決めると、亜耶が持っている魔法のステッキ然とした杖がクネクネピョンピョンと動きながら喋りだした。

 風は、その杖をガン見する。

 

「なに、この杖!?」

 

「これは、わたくしのご先祖様の魂を宿した、この世に二つしか無いと言われる魔法の杖。その名もカレイドステッキのマジカルレンチですわ!!」

 

「誰か、助けて……」

 

 この訳の分からない展開に、ついに風も心が折れたようだ。

 すると、二人の少女がさらに駆けつけてくる。

 一人は桜色の魔法少女スタイル、もう一人は赤い魔法少女スタイルだ。

 

「急にそんなに急いでどうしたんですか、亜耶さん?」

 

「あ、須美ちゃん」

 

 桜色の魔法少女が亜耶に問い掛ける。

 その姿を見て、園子が声を上げた。

 

「なるほど! Yuyuyu/kaleid liner プリズマ☆ワッシー というところなんだね! なるほどなるほど。こっちのわっしーと同一人物? 設定だし、プリズマ版はどっちも小学生だしね~」

 

「さすがのソノやな! あ、ウチは四国で一番うるさいカレイドステッキって言われとるマジカルシズカや! 今後、よろしゅうな!!」

 

 桜色の魔法少女──須美の持つ魔法のステッキがやはりクネクネピョンピョンと動きながら声を張り上げる。

 

「とにかくだ。亜耶さんも須美も油断するなよ。サーヴァントが六体もいる。アタシたちが夢幻召喚(インストール)をしても、なかなかしんどい戦いになるぞ」

 

「そうね。あ、お姉様もいる。どうしよう? わた……」

 

「五月蠅い、静かにしろ、アカナ。お前は本来設定には無い三本目のカレイドステッキなんだからな」

 

「……了解」

 

 さらに隣にいた赤い魔法少女が、自分の持っているやはりクネクネピョンピョンする杖を押さえ込む。

 

「あー、ミノさんだー。じゃあ、もしかしてアーヤの立ち位置って本来、私がいる位置なんじゃ……」

 

 それを遠目に見ていた園子。何故か涙目になっていた。

 

 

 

 

 いよいよカオスが極まってきた状況の中、ついに四国を取り巻く巨大な壁が発光する。

 樹海化である。

 光が収まると、辺りはファンタジックな風景に様変わりしていた。

 

「風先輩、樹海化が起こりましたよ」

 

「そうね。神樹様がなにかの危機を感じたのかもしれないわね」

 

 戸惑う友奈の言葉に、風もうなずく。

 他のマスター達もサーヴァント達も急な事態の変化に、やはり戸惑いの様子だ。

 

 

 

 

 すると空の彼方から、今だに近くの空に浮かんでいるライダーの盾がちっちゃく見えるほど巨大な鏡が飛んでくる。その鏡の上には、日本神話に登場するような女神然とした衣装の女性が立っていた。

 

「あの女性、友奈ちゃんにそっくりだわ……」

 

「でも、なんだかオバサン臭いわね」

 

 女性の見た目に対して東郷と風が感想を漏らす。

 すると、女性が目を吊り上げて怒り出した。

 

「だれがオバサン臭いですって!? 妾は天の神! これでも見た目は二十代前半設定なのよ!!」

 

「いやいや、アタシたち中学生から見たら二十歳超えたら、人によってはもうオバサンだから」

 

 その風の反論に、周りから『お前は怖いもの知らずか!?』という冷ややかな視線が集中する。

 

「ムキィィイイイイ!! これだから人間という存在は!! やはり三百年前に根絶やしにするべきだったわ!! 聞け、雑種ども!! 妾が手ずから滅ぼしてくれようぞ!!」

 

「クハーッ! ここに来てそれかぁ……。まさかギル○メッシュ枠が天の神だとは、この犬吠埼風様の目を持ってしても見抜けなかったわ」

 

「うるさい、うるさい、うるさい!! 妾の目の前から消えよ!!」

 

 天の神の背後の空間に水面の如く波紋が幾つも浮かび上がる。

 そこから、数えるのも嫌になるほどの大量の光の矢が、幾本もの巨大なサソリの尻尾が、やはり大量の卵型の爆弾が、四本の角を束ねたドリル状のものが何組も、何百体もの炎を纏った星屑の群れが、果てはもくもくと急激に黒い煙が飛び出してきた。

 

「みんな! ここが正念場だ!! 天の神を迎え撃つぞ!!」

 

 セイバーが大刀を構えて、皆を鼓舞する。

 するとサーヴァント達から、マスター達から、果ては魔法少女達からも鬨の声が上がる。

 

「「「「「オーッ!!!」」」」」

 

 

 

 

 その様を見ていた友奈。冷や汗をタラリと垂らす。

 

「これ一体、どうなっちゃうの?」

 

 それに答えるは東郷だ。

 

「これは短編なのよ、友奈ちゃん。決まっているでしょ。俺たちの戦いはこれからだエンドだって」

 

「ええーっ!?」

 

 その答えに呆れ返る友奈であったが、もちろんドウシヨウモナイコトなのだ。

 

 

 そうらえ ばくばく。

 

 




 青セイバー若葉がタイトルどおりの台詞を言っているシーンが突如下りてきたんです。
 で、試しに七騎のサーヴァントに西暦勇者を割り振ってみると芋づる式にプロットが完成。
 うたのんとみーちゃんと真鈴と花本ちゃんとメブゥとしずシズとチュン助を出せなかったのが心残りです。
 え、プリズマ☆ワッシー? マジカルレンチ? なにもかもルヴィアと夕海子の印象が重なってしまったのが悪いんや!

 なお、最後の「そうらえ ばくばく」。香川県の民話の語り納めの言葉だそうです。
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