案は
【廃教会をアポロンFが爆破。ベル君怒りの戦争遊戯】
【ソードオラトリアでアイズ+ヘルメスFが調査したパントリーでのオリヴァス戦】
ただオリヴァス戦をするとミノ戦との時間がおかしくね?ってなるので悩んでます。
ミノ戦時は確かロキFが遠征に向かっている所でしたからね
「問おう、正義とは」
「・・・無償に基づく善行。・・・悪を斬り、悪を討つ。それが・・・」
「『巨正』をもって世を正す・・・・なるほど。善意の押し売りとはずいぶん強引な正義だ。では、『悪』が同じ論法をとった場合・・・果たしてどうなるのかな?」
・・・また夢を見る。僕は、違う夢を見る。
好きで見ているわけでもなく、あの頃から、ずっと何かを問いかけてくるような、でも、答えられないと『お前の元から2人がいなくなったのは、お前に原因があるのではないか?ほら、また答えられない。」と言われているようで、それがとても嫌だった。
あの子を・・・・自分の意思とは言え、囮をさせるのは果たして正しい行いなのだろうか。僕には・・・・・きっとわからない。
英雄の姿は・・・・どこにもいない。英雄なら・・・・いったい、どうするのだろう。
誰が誰にたいして問うているのかは、僕にはわからない。でも、その声の主は僕に聞いて来ているようで、でも、答えたところで正解があるようには思えなくて、答えれば答えるほど泥沼に嵌ってしまうようなそんな嫌な感じがして、そしてまた、僕はあの暗く冷たい笑みを持った瞳に睨まれて、吐き気と共に目を覚ますのだ。
■ ■ ■
「・・・・・ォェッ」
背中を摩られながら、僕は呼吸を整える。
女神様と一緒に寝ていても、たまに発作のように現れる。体は震え、嫌な汗が流れて、そして、えずく。この間の黒い
それを見て僕は、考えないように誤魔化していたものを無理やり突きつけられたようで、女神様に縋って泣いたのを思い出す。
【天秤は振り切れ、断罪の刃は振り下ろされた。さあ、汝等に問おう。暗黒より至れ、ディア・エレボス】
それは、とても僕のための力には思えなかった。
僕を追い詰めるようにずっと、
「ベル・・・大丈夫??無理せずに吐きなさい」
「・・・ごめんなさい」
「いいのよ・・・いいの・・・あなたは何も悪いことなんてしていないわ。」
「もう少し・・・もう少しだけ、抱きしめててください。ごめんなさい・・・」
「ええ、落ち着いたら一緒にお風呂にでも入りましょう?朝に入るのもまた新鮮でいいわよ?気分もよくなるわ」
「・・・・えへへ、はい。そうですね」
出会った頃は、それこそ悲鳴を上げて女神様達をビックリさせて落ち着くまで抱きしめられていたけれど、今でもそれはあまり変わらないらしい。
アストレア様は、僕が落ち着くまでずっと抱きしめて頭を撫でてくれて、それでようやく落ち着いた頃に中々朝食を食べに来ないことを気にしたアリーゼさんが部屋にやってきて、僕の様子を見て顔色を変えてブランケットを持って来てくれた。
そして落ち着いた頃に、何だか寂しくてアリーゼさんにお願いして3人でお風呂に入って湯船に浸かって、そこで漸く頭を切り替えられた。
アリーゼさんは何も言わずただ、アストレア様に体を預ける僕の傍にいて手を握ってくれていた。
「アストレア様の胸・・・ふわふわしてて何だか落ち着きますね・・・」
「ふふ、ベルが元気になってくれるなら、悪い気はしないわ」
「今日でたぶん、【ソーマ・ファミリア】の件はなんとかなるって輝夜さんが言ってたので・・・」
「・・・大丈夫?無理しなくてもいいのよ?」
「大丈夫です、無理はしてないですよ。嫌な夢を・・・見ただけですから」
「そう?ならいいのだけれど・・・・。無事に帰って来てね?そしたらまた抱きしめてあげましょう」
「・・・えへへ、はい、がんばります」
お風呂から出て、朝食を食べて、女神様に髪を梳いてもらって、装備を整えて、輝夜さんと手を繋いでホームを出る。
「行ってきます、女神様!」
「・・・ええ、いってらっしゃい」
ホームの外で待つ輝夜さんと手をつないで、バベルへと足を向けて歩く。
今日は・・・・雨が降りそうだなぁ。
■ ■ ■
「・・・・アストレア様」
「なあに?アリーゼ」
「ベルのあれ、直らないんですね・・・」
「みたいね・・・【ディアンケヒト・ファミリア】にでも薬を頼んでみるべきかしら・・・」
「うーん・・・・それで直るなら苦労はしないと思いますけど・・・。というか、ベルがあそこまで追い詰められてるなら、"スキル"になってたりしてもおかしくないんじゃないですか?」
「私も・・・最近、怪しんでるのよね、それ」
「というと・・・?」
アリーゼからの質問に私は、1枚の羊皮紙を手にとって眺める。
2つ目のスキルの項目を。
【
「追憶・・・過去とか思い出とかですよね?私はてっきり、『アルフィアとザルドとの生活』とか『私達との今日までの思い出』とかだと思ってるんですけど」
「まあ・・・間違ってはいないわ。ただ、その『アルフィアとザルドとの生活』。そこに
「・・・・あの子はずっと苦しみ続けることになるってことですか?」
「なんともいえないわね・・・曖昧なものだから。」
「私みたいに『恋をして』発現してくれたらよかったんですけどね~」
「あなたは・・・・あの子に対する思いが強すぎじゃないかしら?」
「そりゃまぁ、一目惚れというやつですし」
アリーゼはドヤ顔で無理やり話を切り替えるようにして重たい空気を飛ばす。
考えてもわからないものは、仕方ないものね・・・・。
私も、そろそろ出かける用意をしないといけないわ。
「じゃあアリーゼ、私はギルドの方へ行くから。そっちはお願いね」
「はい、【ガネーシャ・ファミリア】とは今日中に、取り押さえに行くことになってますので。」
「・・・輝夜たちの方は、本命ではないのでしょう?」
「ええまあ・・・・あっちは偶々ベルが雇ったサポーターの子が【ソーマ・ファミリア】だったってだけですので、ベルは口にしません・・・できないみたいですけど、何とかしようと思ってるみたいでそれに輝夜が情報収集も兼ねて動いてくれているってだけで、こっちには支障はありませんよ」
「そう・・・・。無茶はしないようにね。」
そう話を終えて、お互いに出かけていく。
女神アストレアはギルドで【ソーマ・ファミリア】の数々の迷惑行為に対するペナルティとして活動停止処分を決定しに。
【ガネーシャ・ファミリア】との取り押さえによって、場合によってはさらに重い処分を。
・・・もっとも、ファミリアを私物化し、闇派閥との繋がりが濃いとされる
■ ■ ■
「ベル・・・・反応はあるか?」
「・・・・3・・・4・・・かな。たぶん、今朝、リリに絡んでいた人たちだと思う」
「特定できるようになったのか?」
「ううん、輝夜さん達みたいに付き合いが長くて心音をよく聞いていたら別だけど・・・それ以外はだいたい同じだよ」
「・・・便利なのか便利じゃないのか」
「・・・・・・疲れるんだよ?これ。」
「わかってるわかってる。だからそんな目をして見つめてくるな。私が悪かった」
今僕達は、遠回りをして10階層に向かっている。
10階層についたら輝夜さんは僕が特定できるギリギリの距離で隠れて、僕とリリのパーティーで『リリが裏切って装備を持ち逃げする』という状況を作るという作戦で動いている。
装備を持ち逃げしたリリは、地上に早くいけるルートを通って逃げるらしく、そこで待ち伏せをしてくるはずだ。というのが輝夜さんの考えらしい。
「リリ、本当に大丈夫?」
「・・・まぁ、覚悟の上です。ここまできたら付き合いますよ。まさか、宿に帰ったらアストレア様がいて事情徴収というか・・・まぁ、いろいろ聞かれるとは思いませんでしたし」
「輝夜さん、アストレア様って・・・その・・・」
「ん?あぁ、昔からああいう方だ。護衛もつけずにな」
「えぇー・・・・」
「ふふふ、それでもベル様?ベル様こそいいんですか?リリにナイフを取らせるなんて」
「まぁ・・・・ほんとは嫌だけど・・・仕方ないよ。」
リリは僕にモンスターを誘き寄せるためのアイテムをけしかけて、ナイフを奪って逃走。
僕はモンスターをなんとか倒して、リリを追いかける。
その頃には待ち伏せ犯が現れているはずだから、それを取り押さえるらしい。
「では、はじめるか」
「「はい!!」」
■ ■ ■
ゴーグルを嵌めて、目を閉じて、集中する。
腰にあるのは予備で持ってきた短剣。
リリはもうすでに行ってしまった。
聞こえてくるのは、近づいてくる無数の足音。
―――仮に、仮に僕がソロで、リリが本当にここで裏切ってしまっていたとしたら、僕はきっとここで折れて発狂しているよね。
よかった。輝夜さん達がいて。
ドスン、ドスンと近づいてくる足音。
リリの作ったモンスターを誘き寄せるためのアイテム・・・『匂い』に誘き寄せられたモンスターに、僕の『誘引』に誘き寄せられたモンスター。
その光景は、他者から見れば「自殺するつもりか?」と思われても仕方ないものだと思う。
「・・・・・やっぱり、ちょっと怖いなぁ」
後でいっぱい、抱きしめてもらおう。
ギリギリまで引き寄せる。
5・・・・4・・・・
まだまだ、体に触れるギリギリまで・・・・
2・・・・1・・・・
――――じゃあ、行くよ。
「
ゴーン!!と10階層、霧の中にて鐘の音が響き渡った。
音の中心地に残るのは、モンスターの灰のみだ。
■ ■ ■
薄暗いダンジョン内で響く、男の狂喜に満ちた叫び声。
その中で横たわるのは1匹の少女。
腹部を蹴られ、ボールのように吹き飛んでは、地面をバウンドし勢いがようやく止まった頃、少女は襲いかかってくる痛みの渦にもがき苦しんだ。
「あっ・・・ぐぁ・・・・うあぁっ・・・っ!!?」
「はっははははははっ!!いいザマだなぁコソ泥がぁ!ここを通ると思って張っておいてよかったぜ・・なぁおい!!」
俺の武器をよくも盗んでくれたな、今度はお前の番だ。ぶっ殺す前に身ぐるみ全部剥いでやる。そう嗜虐的な目をしながら男は言葉を発する。
少女の髪をつかみ、持ち上げ、ローブを剥ぎ取って装備品を取り上げていく。
「魔石に、金時計にぃ・・・・おいおい、お前、魔剣まで持ってやがったのかよ!?ひゃっはははははっ!!これも盗んだのかよ!!ありがとうよ、ありがたく使ってやる!!」
愉悦に満ちた顔をして、男は少女の頭を踏みつける。ぐりぐりと。ぐりぐりと。嬲る様に痛めつけていく。
高価なアイテムを手にして目に見えて上機嫌になっていく。
「あ・・・ぐぁ・・・」
あの少年は、女はまだ来ない。
本当に信頼できるのかすら、わからないが。
―――そういえば、1人だけじゃないとか言ってましたっけ。
「派手にやってんなぁ、旦那ぁ」
第三者の声が投じられる。
後ろには2人・・・・これで、4人。少年が言っていた人数だ。
―――ずっと疑問でした。なぜ、あの人には『何処に誰がいる』のがわかるのかが。
少女は、疑問を頭の中で繰り返す。
男達の声すら聞こえないほど思考する。
―――そういえば、モンスターにも気づかれていませんでしたね。挨拶までしてましたし。いったい何なんでしょう。
そこでようやく、周りの音が聞こえ出す。
「な、キ、キラーアント・・・・!?」
持ち運ぶためにか、下半身を断たれ、生殺し状態のキラーアントをカヌゥと呼ばれる男が持っていた。
「1つ、提案なんですがね・・・・全部、置いていってくれませんかね?」
そういって、少女の頭を踏みつけている男に向かってキラーアントを投げつける。
「・・・・正気か、てめえらぁあああああああああああ!?それが何を意味してんのかわかってやってんのか!?あぁ!?」
キラーアントは瀕死の状態に陥ると特別なフェロモンを発散する。仲間を呼び寄せる特別な救難信号を。
カヌゥの後ろにいた2人も同じくそれぞれが1匹ずつ生殺し状態のキラーアントを持っており、ボトボトと地面に落として転がす。
これで、この場所には3匹分のフェロモンが延々と垂れ流される。
―――やっぱり、リリのいる派閥は狂っている・・・・。
「さっさと逃げたほうがいいんじゃないですかい?旦那ァ?」
「・・・・ちぃ!!」
ルームの出入り口の1つから数匹のキラーアントが顔を出す。
怒りと恐怖に染まった男はギリギリと歯を食いしばった後、リリから奪った荷物を全て放り投げる。
「くそったれがぁぁ!!!」
男はカヌゥの横を駆け抜け、一目散にルームから逃げ出した。
やがて、複数の断末魔と男の野獣のような悲鳴が響き渡り、静かになった。
「・・・・よぉ、大丈夫かぁ、アーデ?」
「・・・・」
「・・・誰だお前は?」
―――悲鳴が聞こえたと思ったらリリの後ろから?じゃあ、あの男の走っていったところには・・・
「はぁ・・・僕こういうのなんか嫌だな」
「ベル・・・様?」
「ん?ごめんね、リリ。まさか本当にギリギリまで助けに行かないとは思わなかった。さっきの人は生きてるよ。まぁ、お縄らしいけど」
そういって、リリに渡していたナイフを拾い上げて、リリを抱き上げて男達に向き直る。
「ちょっと怖いと思うけど・・・・耳を塞いでて?」
「へ?あ、はい」
「おい、どこから出てきた!?」
「カヌゥそれどころじゃねえ、近いのだけでも拾って逃げるぞ!!」
男2人はカヌゥに言葉を投げ、逃げる準備を始める。
ベルにはそれが、どうしても、不思議に見えた。
それと、少し、ムッとしたので、
「・・・・どこに逃げ場があるの?」と言ってみた。
男達3人は、「は?」という顔をしているし、リリは段々わかってきたのか、冷や汗を流し始めて強く耳を塞ぐ。
ベルは息を大きく吸って、ルーム中・・・・もっと外まで響くように叫ぶ。
「・・・・『来いッ!!!』」
その一言、たった一言で、モンスターの足音・・・正確には大量のキラーアントたちがルームに飛び込んできた。
リリを含めた4人は顔を青くさせ、悲鳴をあげ、どうにか逃げようとするも、逃げ場など既になかった。
次第にルームを埋め尽くすようにキラーアントたちが蠢きだし、男達は血まみれになりながら必死に剣を振り回す。
「それだけ戦えるなら、自分で稼げばいいのに・・・・」
大好きな家族が悪に堕ちてまでやったことの後に、こんなくだらない事をしている人間がいることに失望して、そして静かに唱えた。
「――――『
その一言。たった一言で、ルーム中に押し寄せていたモンスターを灰に変えて、男達を再起不能にした。
一気に訪れた静寂に、リリは息を呑み少年の顔を見れば、少年はどこか見たくないものから目を背けるように目を閉じて、リリを降ろしてポーションを渡した。
「ごめんね・・・・。怪我させて」
「いえ、覚悟の上ですし・・・それに、ちゃんと助けてくれましたから」
「ごめん・・・ごめん・・・。痛みが引いたら、帰ろう。その間にこの人たちを縛り上げておくから。といっても、もう【ガネーシャ・ファミリア】の人たちが来たみたいだけど」
「え・・・?」
とても辛そうな顔をするベルにリリは『何故そんな顔をするのか』を聞こうにも聞けず、すぐに鈍色の髪の女性と数名の団員、そして着物姿の美女が現れた。
ベルはそれに気づくと、ゆっくりと近づいて着物姿の美女に縋るように抱きついた。
「・・・大丈夫か?すごい声だったぞ」
「輝夜さん・・・ちょっと・・・・喉が痛い」
「ベル君に・・・彼女が例のサポーターちゃんだね。じゃあ、皆はそこで倒れてる男たちを運んで!!サポーターちゃんは一度うちで預かるから!!」
「リリ、たぶん、アストレア様が話を通してくれてる。『あとはあなた次第。』だって」
そう言うとベルは、力尽きるように輝夜に体を預けて意識を失った。
「ベル様?ベル様!?大丈夫ですか!?」
「・・・大丈夫だ。問題ない。慣れない事をして疲れているだけだ。アーディ、悪いが私達はこれで帰るぞ。後は頼む」
「はいよー!たぶん、上でリオンが待ってるだろうし。ベル君にお礼言っておいてねー」
そうしてベルを背負った輝夜は地上へと帰還していく。
「・・・あ、あの、アーディさんでしたっけ?」
「・・・何かな?」
「その・・・えっと、この魔剣・・・・」
「いいよ、言ってみて。君は協力者だから多少の融通は聞くように言われてるから」
「じゃぁ、これを、ベル様に渡してください。威力はベル様の魔法ほどじゃないですし、回数もあとどれくらいかわかりませんけど」
「ん・・・わかった。じゃ、行こっか」
「・・・・はい」
■ ■ ■
【アストレア・ファミリア】本拠
星屑の庭 主神室
そこで、疲れきった顔で眠っているベルをベッドに寝かせてアリーゼと輝夜は話をしていた。
「で、ベルは消耗しちゃって寝込んでる。と」
「・・・・あぁ。いつもより大きい声だったからな。喉が痛いと言っていた。恐らく、声量で『誘引』の範囲を広げられるんだろうな」
後は、連続した『誘引』によって体力を消耗していた。と続ける。
「なるほどねー。ベルにとっては今回は嫌な仕事だったかな。やっぱり」
「まぁ、そうだろうな。あのパルゥムを囮にするのを最後まで嫌がっていたしな」
「・・・ベルはどうしてあの子を気にしていたの?まさか、恋!?」
真面目な話をしているのにふざけだす団長のノリを無視して輝夜は言葉を続ける。
「いや、ない。それはない。断じて」
「じゃあ何よ」
「・・・・『寂しそうな子だな』」
「へ?」
「コロコロと音を変えて安定しないし、確信もないが、ベルはあの娘を『寂しそうな子』だと言っていた。状況までとは言わんが・・・何か思うところがあったのではないかと私は思うぞ」
「なるほど?」
「というか・・・・」
と輝夜は零し、アリーゼにジト目を向ける。
「えっ何!?」という反応をする彼女に対して
「まさか、私達の団長様が【ソーマ・ファミリア】のペナルティとして酒蔵の酒瓶を割って、証拠隠滅を図ろうとした
そう、アリーゼは【ガネーシャ・ファミリア】と共に取り押さえに行ったところ、なにやら証拠隠滅を図ろうと動いていたザニスを見つけ、即座に押さえ込みを行おうと接近し、顔面に飛び膝蹴りを食らわせたのだ。
ペナルティで、『ファミリアの運営の見直しが完了するまで、無期限での活動禁止。中毒性が疑われている神酒の処分』を言い渡されたのだ。
主神ソーマは膝を抱え、どこぞの朱髪の女神は「ウチの神酒がああああああああああああ!!?」と悲鳴を上げてひっくり返ったという二次被害というか珍事があったが・・・
最後に「疲れた、風呂に入って寝る。」と残して輝夜は部屋を出て行った。
残されたのはアリーゼのみ。
そっとベッドに潜り込んで、右腕を自分の枕代わりにして左腕でベルの頭を撫でる。
申し訳ない仕事をさせてしまったなぁ・・・。とそう思って。
「お疲れ様、ベル。ありがとうね、手伝うって言ってくれて。」
今日はもうゆっくり休もう。そう言って、ベルはともかく主神の部屋だということも忘れて、アリーゼはベルと添い寝をするのだった。
■ ■ ■
翌日、僕はアリーゼさんとダンジョンに向かう途中、あのパルゥムの女の子を見かけた。
バックパックを背負っている。
てっきり恩恵を捨てて一般人として生活をしているとばかり思っていたから・・・思わず声をかけた。
「・・・リリ?」
「おはようございます、ベル様。」
「えっと・・・・何してるの?」
「それがその・・・・ハハハ。乳しかない貧乏神に捕まりまして」
「はぁ・・・」
曰く、安めのアパートでも探している道中、『低身長』『巨乳』『ツインテール』『謎の紐』『ロリっ子』『僕っ子』の女神に強引な勧誘をされたらしい。逃げても逃げても追いかけてくるため、根負けしてしまったのだとか。
「私が!サポーターが!!最初の眷属って何なんですか!?どうしろと!?あのじゃが丸君を売ることしか脳のない女神めえええええええ!!!」
「あ・・・・あはははは」
「というわけでして・・・せっかく手を貸してくださったのに、すいませんベル様。」
「ううん、いいよ。少なくとも前よりはマシなんでしょ?」
「ええ、まぁ。そうですね」
リリの顔は、どこかスッキリしたような憑き物が落ちたような顔をしていて明るく見えた。
その瞳に淀みはなくて、どこか・・・・羨ましく思えた。
「どうしました?」
「ううん、なんか、顔つきが変わったなって」
「そうでしょうか?」
「うん。良いと思うよ」
「ふふふ。そうですか。・・・・ああ、そうだベル様?」
「ん?」
「私、サポーターなので、誰か『戦いに専念してくれる人』を探しているのですが・・・心当たりはありませんか?」
「・・・・・ないかな」
「ちょっと!?」
「ははは、冗談だよ。いいよ、契約しよ。リリ」
「はい、ありがとうございます。では、改めて『お姉さん、お姉さん、白い髪のお姉さん』」
そう言って、初めての台詞を繰り返して、今度は友人として契約をする。
アリーゼさんが合流してきて3人でダンジョンに向かう。
ああ、そうだ。伝えてなかった。
「ねえ、リリ?」
「はい??」
「僕ね・・・・・女じゃないよ」
「・・・・・は?」
天気は快晴。昨日の雨雲は何処にもなく、固まってしまったバックパックを背負った少女を置き去りにしてダンジョンへと向かう。
「え・・・・えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
僕とアリーゼさんは目を合わせてそろって笑う。
「「あっははははははは!!!」」
リリ編、そこまで長引くことないな。と思いました。
あれ、えっちなシーンがないぞ!!?どこに落としてきたんだ!?