旧・兎は星乙女と共に   作:二ベル

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アストレアファミリアとベルが出会ってからオラリオに来るまでのちょっとした間の話です。


アストレア様と輝夜がオラリオに帰り、その後に別の眷属がベルの元に来るのと入れ替わりでアリーゼが帰ったあとの話


幕間―星屑の庭にて―

 

 

 

その日、アストレアファミリアにギルドからある依頼書が届けられていた。

[ダンジョン内25、26、27階層にて不穏な動きをする複数の冒険者の目撃アリ。要調査されたし]

 

何でも大量の火炎石のやり取りが行われているという情報がギルドに流れてきたらしい。

その話し合いをベルの元に行ってからアリーゼか帰還したのと合わせるようにその知らせが来たためリューと狼人のネーゼを除いたメンバーで話し合いをしていた。

 

 

とは言っても、届けられた羊皮紙の内容が薄すぎて全員が怪しんでいた。

 

「―――で、どうするのだ?団長様よ。行くのでございますか?」

 

 

「怪しい動きってのは、アレだろやっぱ。闇派閥しかねえよなぁ・・・。あいつらもう大人しくしててくんねぇかなぁ・・・」

 

輝夜もライラも面倒ごとに振り回されて疲れましたという顔でアリーゼを見る。

アリーゼは腕を組み、目を瞑り、少し考えるフリをしてから答える。

 

 

「―――え?行かないけど。面倒だし」

 

 

「は?」「ん?」「え?」「はい?」

 

眷属たちは皆一様に似たり寄ったりな反応をした。

怪しくはある。でも、放っておいていいものなのか?と。

アリーゼのことだ、あの能天気そうにしていてもきっとちゃんと考えているのだろうと信頼して答えを待っていたら、まさかの「行かない」「面倒」と即答されてしまったのだ。驚くというよりは困惑した。

「え?いいの?」と。

 

 

「―――まぁ、私も罠だとは思っておりますが、理由を聞かせていただけませんか?団長様?」

 

 

「そうね、まず内容が薄すぎる。何これ、なんでたった1行で終わらせてるの?もう少し情報あるでしょう?それに、」

 

 

「それに?」

 

 

「"強制任務(ミッション)"じゃないものこれ。だったら行かないわ」

 

 

ほう、一応は考えているのか。ただ単に面倒くさいだけだと言ったら蹴り飛ばしてやろうかと思っていたぞ。と輝夜は返す。

ただ少し、何か、別の理由があるような気がしたので念のため、念のため聞いてみることにする。

もしかしたらこれは[建前]かもしれないから。

 

 

「――――本音は?」

 

 

「ベルがいるのよ!!変な怪我でもしたらあの子、泣くわ!!間違いなく!!だったら怪しい匂いのする場所にわざわざ足を踏み入れる必要は無いでしょう??」

 

 

私が帰るとき、抱きついて『行かないでお姉ちゃん!!』って言ってくれたのよ、もう、結婚しようかと思ったわ!!

などと熱く語りだして全員が頭を抱えた。

「もうこいつ駄目かもしれない・・・」と。

 

 

「―――まぁ、否定はしない。私たちもベルに出会ってから、なんと言うか・・・危機に敏感になってきた節があるしな。では、どうするのだ?野放しにすると?」

 

 

「うーん・・・そうねぇ・・・ライラ、念のためだけど、『勇者』にこの羊皮紙見せてみてくれないかしら。」

 

 

「はぁ??まさか、お前、ロキファミリアに丸投げするつもりか?死人が出たらそれこそこっちが潰されるぞ」

 

「違う違う、『勇者』ならどう思うのかの確認をして欲しいだけよ。死ぬかもしれないってわかっててわざわざ仲間を送り出す人じゃないでしょ?」

 

 

「あー・・・なるほど。わかった。見せてくるわ。ギルドにはどう言い訳するんだ?」

 

 

「ローズさん辺りにでも伝えるわ。あの人なら・・・というか付き合いの長い人ならまだ信用できるし。それに」

 

「それに?」

 

「ギルドの中にも少なからずいるんじゃないかしら?関係者が。この羊皮紙にギルドの誰が書いたのかの署名ないみたいだし。」

 

 

とりあえず羊皮紙の内容の任務は行わないことを決定し、『勇者』にも確認をしてみるということで話は終わった。

その後、ロキファミリアから帰ってきたライラから

「『うん、まぁ、罠だね。僕なら行かないかな』だってよ」と報告があったためそのままガネーシャファミリアにアリーゼと輝夜は向かうことにした。

 

 

「団長様、なぜガネーシャファミリアに?」

 

「んー・・・とりあえずアーディとシャクティさんに報告とベルのことも伝えておこうかなと思って。あとはギルドの中を調べたほうがいいんじゃないかと思って」

 

 

「では神ガネーシャにも動いてもらうと?」

 

「私たちじゃウラノス様に会うことはまず無理でしょ?かと言ってギルド長は・・・まあ大丈夫だろうけど、ギルドは今信用しないほうがいい気がするのよね」

 

 

そんなやり取りをしながら、ガネーシャファミリアに行き、羊皮紙の件、ギルドが怪しいので調査したほうがいいということを伝えに行く。

―――後に、神ガネーシャがウラノスの元に行きその話をした後、"別働隊"による25~27階層の調査が行われ、大量の火炎石が発見された。

もっとも、その別働隊と出くわした闇派閥が動揺し点火してしまったため、別働隊は即座に離脱。

25~27階層を崩壊させてあるモンスターが産まれその場にいた闇派閥の人間たちは瞬殺されることになる。

 

 

 

「―――はぁ~早く後始末を終わらせてあの子を迎えに行きたいわ」

 

 

今日も空は青い。

地下深くで地獄が繰り広げられているなど露知らず、アリーゼはそんなことを空を見上げて呟くのだった。




別働隊・・・いったい何者なんだ・・・((震え声))
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