旧・兎は星乙女と共に   作:二ベル

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たぶん、次の次くらいで新しい章に変えれる気がします。
アミッドさんは『目が離せない弟』程度で恋心は無いです。今のところ。


聖火巡礼

「ん・・・・ふぁ・・・・」

 

スル・・・サワサワ・・・

ベッドシーツが、掛け布団がズレる音、程よい体温、心地よい胸の鼓動を感じて目を覚ます。寝起きで働かない頭で自分の状態を確認。

 

―――病室のベッド・・・・私の私室ではありませんね

 

 

最後の記憶を掘り起こせば、白髪の男の子とベッドに潜り込んだことを思い出し赤面。

 

 

「わ、私はなんということを・・・!?」

 

別に何があったというわけでもなく、すぐに眠りに落ちベッドにいた少年もまた何をしてくるわけでもなく・・・それはもうぐっすりと眠れたのだ。それでも、恋仲という訳でもないのに同衾はいかがなものなのか・・・というか、少年はその辺の考えが少しズレている気がする。

 

 

―――アーディさんがベッドにいても、恥ずかしがるでも驚くでもない反応でしたし・・・ひょっとしていつもなのでしょうか?

 

 

もしそうだとしたら、この少年は世の男性が血の涙を流すレベルのことを当然の様にしているのでは・・・と戦慄。かといって全く羞恥心がないといえばそうでもない。顔を近づければ少し赤くなって逃げようとするし、触診しているときも感じやすいのか顔を真っ赤にしているときもある。

 

 

―――初対面の時は、好奇心と不安の板ばさみ・・・かつ、どこか心の不安定さを感じましたが。その時に比べれば、多少は良い方向へと進んでいるのでしょうか?

 

 

この少年は、どうも精神的に不安定な部分がある。それを出会ってすぐに見抜いたアミッドはアリーゼ達に同行している少年を見かけては、なるべく声をかけるようにしている。団員達に聞く限りでは、『バベル前の広場でよくベンチに腰掛けてて、目を閉じてるんですけど見えてるみたいで手を振ったら返してくれるんですよ。癒しですよ、あれ』などという情報ばかりだ。眠れる少年の頭を撫でてやれば、その特徴的な髪の触り心地はまた心地良い。

 

 

「確か・・・髪の長さはアリーゼさんの趣味でしたか。質に関しては・・・アストレア様でしょうか?ふむ・・・確かにこれはやみつきになりますね」

 

 

過去に何があったのかは知らないが、現在はとても愛されているらしい。髪を切る事ができないのは、惚れた弱味なのか過去に対する依存のようなものなのか、どっちなのだろうか?そんなことを思いながら少年の顔を見やると

 

 

「・・・・・」

「・・・・・」

 

 

目が合った。合ってしまった。

綺麗な深紅(ルベライト)の瞳と目が合う。無言で見つめ合う2人。

 

 

「・・・あの」

「・・・なんでしょうか?」

「どうして・・・頭を撫でているんですか?あと、さっき、胸に顔を乗せてました?」

「・・・こほん。気のせいでしょう疲れているみたいなので、強めのお薬をお出ししますね」

「疲れてるのはアミッドさんじゃ・・・」

 

 

一体どこから起きていたのだろうか?そう思いながら、咳払いをして上体を起こして時計を確認。昼を過ぎて夕方へ入ろうとしていた。

 

「そろそろアストレア様が来られる頃でしょうか」

「え、僕の質問は無視ですか?」

「・・・抱き心地のよい体をされているみたいですね、いつも女性に抱かれているんですか?」

「言い方ぁ!?」

「仮眠にしては、とてもぐっすりと眠ることができました・・・ありがとうございます。いくらお支払いをすれば?」

「アミッドお姉さんやっぱりまだ疲れてませんか!?」

「ふっふふふ、すいません冗談です。ほらほら、アーディさんベルさんは退院の準備をしますので、貴方も着替えて来てください」

 

アミッドはベッドを降り、衣服のシワをポンポンと掃い棚からベルの着替えを取り出してアーディを起こす。

着替えはベルが眠っている間、様子を見に来ていたアストレアと春姫が『いつ目が覚めても良いように』と着易い浴衣を持ってきていた。

 

 

「・・・あれ?」

「どうかされましたか?」

「えっと・・・アリーゼさんたちは?」

「出禁です」

「えっ」

「いえ、その・・・ベルさんには申し訳ないのですが『私もここにいるわ!ベルと添い寝してあげるのよ!』と騒ぐもので・・・治療院ではお静かに!!と。」

「アリーゼさぁん・・・」

 

少年が落ち込むその姿に胸が痛むが、仕方がないのだ。『治療院ではお静かに』これは絶対なのだ、故に仕方がないのだ。

主神と狐人の眷族だけは朝と夕方にそれぞれ交代で様子を見に来ているだけで騒ぐようなこともないから許可はしているが、こればかりは仕方がないのだ。

 

 

「着替えはできそうですか?」

「はい・・・大丈夫です・・・アーディさんはまだ入院ですか?」

「いえ、この方は貴方が退院するまでしないと言い張るのでいるだけですよ」

「えぇ・・・」

「ア、アミッドさん?あの、襟を掴まれるとその、見えちゃうんだけど・・・」

「ではさっさと起きてください」

「起きる!起きるから!?見えちゃう、見えちゃうってばぁぁあぁ!?」

 

ジト目のアミッドに襟首を捕まれ引きずられていくアーディは、病衣の中が見えると騒ぎながら部屋を出て行きベルは黙々と着替えを実行。体はまだだるさが残っているが、こればかりは時間による自然治癒を待つしかなくゆっくりとした足並みで病室のドアを開けて外に出る。

 

「歩けるようですね」

「外で待っててくれたんですか?」

「着替えるのに時間が掛かっていたようですので・・・。ああ、アーディさんは先にロビーに連れて行きましたよ。ちょうどアストレア様も来られてます」

 

その一言に、分かりやすいように顔を明るくさせる少年にアミッドは振り切れんばかりの兎の尻尾を幻視した。歩きにくそうにするベルの手を取ってロビーに連れて行けば、椅子に座って待っている女神アストレアが現れたベルに手を振って微笑んでいた。

 

 

「アストレア様っ!」

「ベル!起きたのね!良かった・・・良かった・・・」

 

女神は近づいてきた少年を抱きしめて、目覚めて歩いていることに喜んで破顔。

ロビーだということを指摘されて2人して赤面。しかし、その手は繋いだまま離す事はなかった。

アーディも迎えが来ていたのか、シャクティと話をしておりベルに礼を言うなり帰っていった。

 

「またね、ベル君!・・・本当に、ありがとう!」

「ベル・クラネル・・・アーディを助けてくれてありがとう」

 

それから遅れて、退院の手続きを済ませてアミッドに礼を言った後、2人も治療院を出て行った。

 

 

しかし道中、少年に受難があることなどこの時は知る由もなかった。

 

■ ■ ■

 

「・・・・」

「ベル、体・・・痛むかしら?おんぶ、してあげましょうか?」

「だ、大丈夫です」

「そう?無理はいけないのよ?貴方は病み上がりなんだから」

「だ、大丈夫・・・大丈夫・・・です・・・」

 

 

太陽が傾き、都市が夕焼け色に染まり始める頃、少年の顔はそれはもう真っ赤に染まっていた。真っ赤に染まって、女神の背に隠れるようにして歩いていた。

その理由はもちろん

 

 

『よう、アルゴノゥト!!退院したのか!』

『あら、アルゴノゥト!この果物持っていきなさいな!』

『ふぁいあぼるとおおおおお!!』

『フィナ、ライ、ルゥ、真似しないの!すいませんアルゴノゥトさん!!』

 

右からやれ『アルゴノゥト』左からも『アルゴノゥト』。

あの戦いを見ていたであろう人たちからの視線と声に、少年は羞恥心から顔を真っ赤に燃やしていた。

 

『【再戦を望むか我が敵よ】!』

『――ォオオオオオッ!』

『【私との再戦を望むか、我が敵よ】!!』

『――ォオオオオオッ!』

 

「ひぐ・・・えっぐ・・・」

「ベ、ベル・・・?」

 

『【神々よ、とくとご覧あれ! 雄と雄の悲喜こもごも、笑いに満ちた勇壮なる戦いを!】』

『【――さあ、冒険をしよう】!くぅ~~~次の二つ名は決まりだな!』

 

「ふ、ふえぇぇ・・・」

「ベ、ベルゥ~大丈夫かしらぁ?」

 

迷宮都市で気付かないうちに黒歴史を作り出して掘り返されるのは、間違っているだろうか?

 

 

結論

 

「助けてお義母さあああああああああああん!!」

 

 

年頃の男の子には、これ以上ない拷問だった。

少年は自分でも気付かないうちに黒歴史を生んでしまっていたのだ!だがしかし、許してやってほしい!少年はお年頃。そういう言動をしたっておかしくはないのだ!!

 

「あ、あずどれあざまぁぁぁ!?」

 

少年は顔を真っ赤に涙を浮かべて女神の腰に抱きついて懇願する。

 

「ひゃぅ!?ベ、ベル、こ、腰に抱きつくのはいけないわ!?」

「はやぐ、はやぐ帰りまじょうぅぅぅ!?」

「い、今、今帰ってる!今帰ってるからぁ!?」

 

少年は女神に懇願して体を揺らす。

女神は少年に揺さぶられてその体を揺らす。

 

『おいお前等!英雄の凱旋だぞ、邪魔だ邪魔だ!!道あけろ!!』

 

そこで知った声が聞こえた。

荒くれ者のモルドだ。

ベルは救いの手が現れたと、それはもう英雄を見る目でその男を見た。

 

「よう・・・」

「モ、モルドさん・・・」

「まあ、なんだその・・・お前もお年頃ってやつだもんな。男なら誰だっていつかは言ってみたいことくらい、俺にだってわかるぜ・・・」

 

少年は咄嗟に感じ取った。

『あれ、これ、なにかおかしい』と。

これは救いの手なんかじゃない、その証拠に、目の前の荒くれ者の口はピクピクと笑いを我慢していた!!

 

「あ、あの・・・?」

「・・・アルゴノゥ・・・ブフッ」

「・・・・・」

「いや、悪ぃ悪ぃ・・・わざとじゃ・・・ね・・・えんだ・・・くふっ・・・いいよなあぁ・・・必殺技って。しびれるぜぇ」

「あああああああああっ!?」

 

 

ダメだこのおじさん!!

明らかに酒を飲んでからかいに来てる!!

とんでもない人だ!ギルティだ!!許されないぞお!?

 

「ア、アストレア様ぁ!?」

「ど、どうしたのかしら?」

「モ、モルドさんはきっと闇派閥です!?」

「お、おい【涙兎(ダクリ・ラビット)】!?そりゃぁ、ねえよ!!ちょっと酒の肴にしただけじゃねえか!」

「アストレア様あぁ!?」

「う、うーん・・・彼は確かマグニ・・だったかしら?別にそういう派閥ではなかったと思うのだけれど・・」

「そんな!?」

「それより、早く帰りましょう?みんな・・・待っているわよ?」

 

 

『応援してるぜ!アルゴノゥト~!』

そんな謎の声援を受けて、ベルは顔を真っ赤にしてダンジョンに潜っていないのにも関わらず疲労困憊で今すぐにあの聖女様に『おらりお、こわい』と愚痴を言いたくなってしまい仕舞いには

 

 

「ぼ、僕は・・・アルゴノゥトだった・・・?」

 

と、混乱。

女神も何て言ってやればいいのか言葉に詰まってしまった。

 

「ふ、ふふ、ふへへ・・・・」

「ベ、ベルが壊れた・・・」

「わ、わが、我が名は、アルゴノゥト・・・今はただのアルゴノゥトだが、いずれ、え、英雄に・・・ふえぇ」

「しっかり、べるぅぅう!?」

 

 

これは、頭がおかしくなった少年と女神が歩む帰路の物語(ファミリア・ミィス)

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

「で、ベルは羞恥のあまり真っ赤になって帰ってきて」

「扉を開けた途端に私達にもいじられて」

「涙目になってアストレア様を咄嗟にお姫様抱っこして」

「お部屋に引きこもられてしまいました・・・」

 

 

スキルの反動による倦怠感など、火事場のクソ力とでも言うべきなのか荷物を落として女神を抱えて脱兎のごとく部屋に引きこもってしまった。今頃女神の胸に飛び込んで、しくしくと涙で胸を濡らしながら女神に頭を撫でられている頃だろう。

 

 

「・・・お年頃だものねぇ」

「お年頃ですねぇ」

「・・・アリーゼも輝夜も、いえ、皆、やりすぎだったのでは?」

「いやいやリオン。お前もちゃっかり『格好よかったですよ、アルゴノゥト』って言ってたじゃねぇか」

「ラ、ライラ!?わ、私は別にっ」

「まぁ、まさか帰り道で言われてるなんて、思いもしなかったけどよ」

 

 

彼女たちは知らなかった。

少年が帰り道に、あの戦いでの一部始終を見ていた者たちに声をかけられていたことなんて。

ましてや、住民達は皆、称賛や眩しいものを見る目を持って言っていたのであって、からかいの念は一部しかない。姉達は、『かわいいものが見れた』『格好いいものが見れた』『今ので疲れが吹き飛んだ気がする』と言うばかり。

 

 

「まあやっと帰ってこれて気まずそうにされるよりはいいんじゃないかしら?」

「そうですねぇ・・・。それで団長?家出に対する罰は与えるのですか?」

「うーん・・・・どうしようかしら。あの子も大変だったみたいだし・・・」

「流石に今のでチャラにしてあげては?」

「うーん・・・でも、見たいのよねえ」

「何をですか?」

「そんなの決まってるじゃない、リオン」

 

『女装よ』とウィンクしながら言うアリーゼの言葉に、団員達は固まった。

忘れていた。忙しさで忘れていた。

でも、これはチャンスなのではないか?普段ならしてくれない。お古のシャツとかは着てくれるけど際どいのは着てくれないし、この際・・・といういけない考えをし始めていた。

 

 

「出てきたあの子が気まずそうにしてたら、そうね・・・させましょうか」

「さすが団長・・・」

「そういえば『ダイダロス通り』の落書きを消すの大変でしたねぇ」

「うっ・・・わ、私は知らないわ」

「【オレっち、参上っ!!】・・・次やったら鱗を剥がしてやろうかと思いました」

「ああ、輝夜が消しに行っていたのですか」

「口実としては十分ではございませんか?」

 

 

姉達は輪になって、会議をする。

どのような格好をさせるのか・・・を。

 

 

「ああでも、これ以上あの子を弄るのは禁止ね。可哀想だわ」

「「了解」」

「あとはそうね・・・ランクアップしているでしょうから、祝って上げましょう」

「まあ、あんなことしていたらなぁ・・・」

 

 

このやり取りの数分後、先ほどのことなどケロッと忘れてホクホク顔で羊皮紙を見せに来る少年の顔に彼女たちは打ち抜かれることになる。

 

 

 

 

■ ■ ■

 

 

「ひっぐ・・・えっぐ・・・」

「ほらほらベル。いい加減泣き止んで頂戴。それに、くすぐったいわ」

「だっだってぇ・・・!」

「その内、ほとぼりも冷めるでしょうから、安心しなさい。それより、ステイタス、更新しましょう?」

「・・・はぁい」

 

 

女神に宥められた少年は浴衣をはだけさせて上半身を露にしてうつ伏せになり、女神は机の引き出しから針と羊皮紙を取り出して少年の上に跨る。

ぷつっと針を人差し指に刺して、それが背中に滴り落ちて、波紋を起こした。

 

 

遥か一千年前、それは『儀式』と呼ばれていた。

神が落とす滴を人という受け皿が得て、昇華の階段を昇る。それは未来を掴むための鍵であり、困難に打ち勝つための破邪の力であると、そう言われていた。

 

 

「これはただのきっかけ」

「きっかけ?」

「そ。貴方達下界の住人の可能性を広げ、私達でも見通せない無限の枝を広げる促進剤にすぎないの」

 

実際に果てのない航路を進むのは人であり、波を越え、雨を凌ぎ、嵐に立ち向かい、地平線の彼方をも旅する櫂を漕ぐ子供達の手。

 

「神々によって言う言葉は変わってくる。謝る者、はぐらかす者、願う者。」

「・・・・・」

「多くの神々が、様々な想いを込めて、指を切り、己の血をこの地上に落としてきたわ。」

 

遥か昔日から、今もまだ。

光の波紋を起こした後、神血(イコル)を浴びた人の肌は水面のように震える。

 

「『英雄』が生まれることを願う神様も・・・いるんですか?」

「そうね・・・ヘルメスとかがそうかしら?」

「・・・・ヘルメス様に『ゴス○ル』しなきゃ」

「こ、殺しちゃだめよ?」

「はあい」

 

 

漆黒の文字群が肌の上を踊る。

それはまるで聖火の中に神託の言葉が浮かび上がる光景にも似ている。

ほっそりとした指がなぞられる度、一文字ずつ流れるように施されていくのは碑文のごとき刻印だ。

 

刻み込まれる【神聖文字(ヒエログリフ)】。

 

「今回はどんな冒険をしたのかしら?」

「んー・・・ダークファンタジー?」

「ふふっ、ベルは嫌いよねそういうの」

「怖いのは嫌です」

 

目に見えることのない子の歴史。

経験値(エクセリア)】をインク代わりにし、神の手が『神の恩恵(ファルナ)』を新たな形に変えていく。生まれた物語を書き記すように。次の貢をめくるように。

 

 

「ああ、そういえば貴方が戦った黒いミノタウロス・・・えっと、アステリオスだったかしら?」

「?」

「ギルドではその潜在能力をLv.6と決めたそうよ。まぁ、7に近いってロキの眷族が言っていたけれど」

「僕・・・よく生きてたなあ」

「見ててヒヤヒヤしたわ・・・」

「ご、ごめんなさい・・・でも、その、春姫さんも助けてくれたから」

「そうね・・・・さて、うん。」

「?」

 

 

指が止まった。

そして、咳払いをして女神は告げる。

『おめでとう』と。

起き上がり、いつものように女神に体を預けるようにしてもたれかかり一緒に羊皮紙を眺めた。

 

 

「イシュタル・ファミリアやら人造迷宮(クノッソス)に異端児に闇派閥と狩猟者との戦闘。さらにはアーディちゃんを元に戻すという誰にもできない偉業に加えてアステリオスとの死闘。うん、頭が痛いわ・・・ベル、頭を撫でてくれないかしら?」

 

「え、えと・・・よしよし」

 

「ふふ、ありがとう・・・ベルもよく頑張りました。【ステイタス】については知っているでしょうけど、いつも通り『基本アビリティ』は初期数値化されてゼロから再出発。今回昇格(ランクアップ)で手に入った『発展アビリティ』は『精癒』の1つ。勝手に修得させてもらったけど大丈夫よね?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「あとは、新しい『スキル』が発現してるわ・・・ヘスティアのお陰かしら?」

 

「いい神様ですよね、ヘスティア様」

 

「相性がいいのかもしれないわね」

 

 

ベル・クラネル

Lv.4

力:I 0

耐久:I 0

器用:I 0

敏捷:I 0

魔力:I 0

幸運:G

魔防:G

精癒:I

 

<<スキル>>

人魔の饗宴(モンストレル・シュンポシオン)

パッシブ:自身に害ある存在からの遭遇率を減らす(認識されにくくなる)

アクティブ:自身でトリガーを設定し、害あるモノを誘引する

反響帝位(エコロケーション):自身を中心に音波を聞き取り人・魔物の距離・大きさを特定。対象によって音波変質

 

追憶一途(ノスタルジア・フレーゼ)

・早熟する

・懸想が続く限り効果持続

・懸想の丈により効果向上

魔道書【記憶継承(ディアドゴス・メモリア)】の影響発生時、効果向上。

    

復讐者(シャトー・ディフ)

任意発動(アクティブトリガー)

・人型の敵に対し攻撃力、高域強化。

・人型の敵に対し敏捷、超域強化。

・追撃時、攻撃力、敏捷、超域強化。

・怒りの丈により効果向上。

・カウントダウン(Lvに依存)

カウントごとに威力、敏捷上昇。

カウントに応じ精神力、体力を大幅消費。

・精神疲弊

 

聖火巡礼(ペレグリヌス・ウェスタ)

・自動発動

・浄化効果

・生命力、精神力の小回復。

・生きる意志に応じて効果向上。

・信頼度に応じて効果共有。

・聖火付与

・魔法に浄化効果付随

 

※魔法と複合起動可能

 

<<魔法>>

 

□【サタナス・ヴェーリオン】

詠唱式【福音(ゴスペル)

・不可視の音による攻撃魔法を発生。

・任意で使用武器に振動を付与。

 

 

■スペルキー【哭け()

・周囲に残っている音の魔力を起爆。

・聖属性

 

 

乙女ノ天秤(ヴァルゴ・リブラ)】 

□詠唱式【天秤よ】

・対象との武器もしくは、詠唱済み魔法を入れ替える。

・魔法のみ登録可能。

・登録可能数×残り1

■登録済み魔法:ライトバースト

・詠唱式【閃光ヨ駆ケ抜ケヨ闇ヲ切リ裂ケ代行者タル我ガ名ハ光精霊(ルクス)光ノ化身光ノ女王(オウ)

※登録する場合、詠唱式、効果を把握している必要がある。使用後、登録は消える。

 威力は本物よりも劣化する。

 

□【天秤よ傾け、我等を赦し全てを与えよ】

 ・一定範囲内における自身を含む味方の全能力を上昇させる。

□【天秤よ傾け、罪人は現れた。汝等の全てを奪え】

 ・一定範囲内における自身の敵対者の全能力を低下させる。

■追加詠唱

【天秤は振り切れ、断罪の刃は振り下ろされた。さあ、汝等に問おう。暗黒より至れ――ディア・エレボス】

 ・範囲内における敵対者の戦意を大幅低下(リストレイトに近い状態にする)。

 ・恐怖付与。

 ・効果時間中、自身を含めて一切の経験値が入らない。

※効果時間5分。

 

 

□【聖火ノ天秤(ウェスタ・リブラ)】 

 ・聖火巡礼(ペレグリヌス・ウェスタ)との複合起動時のみ。

□【聖火を灯し天秤よ、彼の者に救いを与えよ】

 ・一定範囲内における自身もしくは味方の1人全能力、生命力を上昇させる。

 

 

乙女ノ揺籠(アストライアー・クレイドル)

 ・絶対安全領域の展開

 ・回復効果

 ・効果時間15分

 

長文詠唱

【贖えぬ罪、あらゆる罪、我が義母の罪を、我は背負おう。】

【凍える夜には共に手を繋ぎ傍にいよう。道に迷ったときは共に歩もう。】

【我はもう何も失いたくない。】

【箱庭に愛された我が運命はとうに引き裂かれた。我は貴方を憎んでいる。】

【されど】【されど】【されど】

【我から温もりを奪いし悪神よ、我を見守りし父神よ、我が歩む道を照らし示す月女神よ、

我が義母の想いを認め赦し背を押す星乙女ら四柱よ、どうかご照覧あれ。】

【我が凍り付いた心はとうに温もりを得た。ならば同胞達に温もりを分け与えよう】

【我は望む、誰も傷つかぬ世界をと。我は願う、涙を流し彷徨う子が生まれぬ世界をと。我は誓おう、次は我こそが手を差し伸べると】

【救いを与え、揺り籠のごとく安らぎを与えよう】

【何故ならば――我が心はとうに救われているからだ】

 

 

・月下条件化において月が隠れない限り効果範囲拡大

・月下条件化において詠唱式変異

 

【贖えぬ罪、あらゆる罪、我が義母の罪を、我は背負おう。】

【凍える夜には共に手を繋ぎ傍にいよう。道に迷ったときは共に歩もう。】

(わたし)はもう何も失いたくない。】

【箱庭に愛された我が運命はとうに引き裂かれた。我は貴方(おまえ)を憎んでいる。】

【我から温もりを奪いし悪神(エレボス)よ、我を見守りし父神(ゼウス)よ、我が歩む道を照らし示す月女神(アルテミス)よ、

我が義母の想いを認め赦し背を押す星乙女(アストレア)ら四柱よ、どうかご照覧あれ。】

【我が凍り付いた心はとうに温もりを得た。ならば同胞達に温もりを分け与えよう】

【我は望む、誰も傷つかぬ世界をと。我は願う、涙を流し彷徨う子が生まれぬ世界をと。我は誓おう、次は我こそが手を差し伸べると】

【我は拒む、傷つくことを。我は拒む、奪い奪われることを。我は、故に、拒絶する。】

【今こそ、(おまえたち)が奪ったモノを返してもらおう】

【だから大丈夫、今はただ眠るがいい。】

【目が覚めれば汝を苛む悪夢は消えている。】

【大丈夫、その心を許し、我が手を取りなさい。それだけでいい。】

【汝が歩むべき道を照らし示そう。】

【たとえ闇が空を塞ごうとも、天上の星光が常に我等の帰るべき道標となるだろう。】

【故に、その温もりに身を委ね、あるべき場所へと帰りなさい。】

乙女ノ揺籠(アストライアー・クレイドル)

 

・効果時間15分

・回復効果

・雷属性付与

 

 

 

「聖火巡礼・・・・?」

「恐らく、度々あなたを気にかけてくれてるヘスティアに・・・いえ、あの時、貴方に『帰りなさい』って言ってくれたこととかに影響したんじゃないかしら。生命力を回復させるっていうのは貴方がボロボロの状態で都市を動き回っていたから・・・じゃないかしら。」

「効果共有っていうのは?」

「ほら、火は燃え移ったりするでしょう?」

「・・・なるほど・・・なる、ほど?」

「貴方や貴方の味方が命の危機に瀕したときに、助けてくれるのかもしれないわ。それこそ火のように弱々しくなったり強くなったりと揺らぐ可能性があるみたいだけど・・・少なくとも、貴方の復讐者(シャトー・ディフ)の負担を軽減してくれると思うわ」

 

 

新しいスキルの考察をベルに伝えるもこればかりは実際に試してみないことにはわからない。それよりも・・・とアストレアはベルを抱きしめる力を強めて魔法の項目を指差した。ベルも勿論気が付いてはいたが、使えなくなった魔法が復活していた。正確には少しばかり形が変わっていたが。

 

 

「少し、使い勝手がよくなっているんじゃないかしら?」

「・・・『任意で使用武器に振動を付与』。これって今までみたいにボキボキ壊れないってことですよね・・・しゅごい・・・」

「あとはスペルキー・・・これは威力が上がったと思うべきかしら。」

「でも、どうして形が少し変わって復活したんでしょうか?もしかして、魔道書の影響?」

「た、たぶん・・・大方、エレボスが『縛りプレイのご褒美だ』ってことじゃないかしら」

「あの魔道書、燃やしませんか?」

「燃えなかったのよ・・・」

「不燃かー・・・」

 

 

嫌そうな目で女神を見つめる少年を『でもいいじゃない復活したんだから』と宥める。

今頃きっと空の上でベルの偉業を拍手喝采をしていることだろうあの男神に『縛りプレイでこの子を苦しめないでほしい』と願う女神であった。

 

 

「こ、こほん。それより!アリーゼ達に見せていらっしゃい!」

「ハッ・・・!は、はい!」

 

そう言って羊皮紙を持って浴衣を直すことも忘れてホクホク顔でアリーゼ達の元に向かうベルの背を慈愛の目で見つめるアストレア。しかし、忘れものを思い出すように、ふと、思い出した。

 

 

「ランクアップしたということは・・・・二つ名・・・どうしようかしら・・・」

 

 

 

絶対、弄られる。

 

嫌な汗が、女神の谷間に吸い込まれていった。




聖火巡礼(ペレグリヌス・ウェスタ)は、聖火の恩寵(カリス・ウェスタ)にしようと思っていたのですが、恩寵=恩恵らしく、何か違うなー・・・と思って迷子を巡礼者と考えてラテン語で検索したら出てきたのを採用しました。

ベル君が「生きたい」という思いが強ければその火は強く灯り、周りにも伝播しますが逆に精神的にも弱っていればその火は弱まり「ギリギリ死なない」状態にするだけの効果になります。


魔法【サタナス・ヴェーリオン】は今まで武器が振動しては砕け散っていたのが使い勝手が良くなる形で変異してます。
悪神様の置き土産の魔道書のご褒美的なものです。
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