問題児と悪魔の妹が異世界から来るそうですよ?   作:亡き不死鳥

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やばい、筆が進まなくなって来た

まあ不定期更新でもちょこちょこ書いて行こうと思ってます。ではどうぞ


友達の証

 

 

 

箱庭の夜行性以外の生物が寝静まった頃、二人の吸血鬼は雲の上を飛び回り、追い、追われ、打ち合っていた。

 

『吸血鬼』

 

曰く、 大木を片手で持ち上げるほどの怪力を持つ

 

曰く、瞬く間に里を通り抜けると言われている

 

曰く、大量の悪魔を一声で召還する魔力を持つ

 

曰く、頭以外なら全身の再生を一晩で出来る再生能力を持つ

 

それに加えついでにたくさんのコウモリに分身したり、霧状になる事も出来るそうだ

 

 

見れば分かるとおり力、速さ、魔力、再生力、特殊能力。どれをとっても恐ろしい。その分弱点も多いが今は夜だ。吸血鬼が最も力を持つ時間。朝日が出るには優に数時間は掛かるであろう。そんな中二人の吸血鬼は何度目かになる剣と槍を交錯させた

 

「レーヴァテインか。魔剣の名を称する剣が由来なだけはある。私の武器もこのザマだ」

 

レティシアが武器として使っていた槍は所々が溶け、壊れ、とても不恰好になってしまっていた。それに比べて…

 

「?」

 

フランのレーヴァテインの火力は未だ衰えることを知らず、相手を焼き尽くさんばかりに魔力の炎が燃えさかっている

 

(三流紛いの武装だとはいえ、やすやすと溶ける武器ではないのだがな。力量を見るという名目での勝負ではこれが限界か。まだ余力が残っている様に見えるが……私が全力を出させる程追い詰めることが出来るとは思えないな)

 

ふぅ、と一息付きレティシアは壊れかけの槍を持ち直しフランに突っ込んだ。それをフランは炎剣で受け止める。そこにすかさず足が焼ける事を厭わずレティシアはレーヴァテインを蹴り飛ばした

 

「うわっ!」

 

突然の衝撃にフランは軽くバランスを崩す。しかし直ぐに立て直し再びレティシアに向かおうとした。一方のレティシアは身を捻じり、槍を大きく振りかぶった

 

「私の我儘に付き合ってくれてありがとう。これを受け止められれば私は負けを認めよう。では、勝負だ!」

 

全身を使い勢いよく投げつける。投げられた槍は瞬く間に摩擦で熱を帯び、一直線にフランの元へ向かって行く。

 

「えい!!」

 

それを迎え撃つフランの行動は至ってシンプルだった。レーヴァテインで弾く……のではなく、自らの手で槍を掴み取ったのだ

 

バキン!

 

無情にも握られた槍は最後の仕事を終えたかのようにフランの手の中で砕け散った

 

「………参った。私の負けだ。お前の力を認めよう」

 

両手を上げ降参する。それを見たフランはニッと笑い、レーヴァテインの炎を消した

 

 

☆☆☆

 

 

翌日、ノーネームの飛鳥、耀、ジン、そして黒ウサギと十六夜とフランと三毛猫はフォレス・ガロのコミュニティの居住区画に訪れていた。なんでもガルドがギフトゲームの場に此処を選んだとか。しかしそこはまるで森のように姿を豹変させていた

 

「……ジャングル?」

 

「虎の住む居住区だしおかしくはないだろ」

 

「いえ、おかしいです。フォレス・ガロのコミュニティの本拠は普通の居住区だったはず……それにこの木々はまさか」

 

見覚えがあるかのような反応をする黒ウサギ。ジンも木に手を当て、顔をしかめている。フランも木々はに手を伸ばす。その樹枝はまるで生き物のように脈を打っていた

 

「流れているのは……血?この脈動は鬼化、かな。ということは……」

 

レティシアだ。そうフランは理解した。昨日はレティシアが『また明日来る』というので忘れていたけど、元々レティシアはノーネームの力量を見ようとしているから、多分ガルドの方に協力しているはずだ。この舞台を整えたのもレティシアだと思われた

 

「あら?みんな!ここに契約書類(ギアスロール)が貼ってあるわよ」

 

【ギフトゲーム名『ハンティング』】

 

久遠飛鳥

春日部耀

ジン=ラッセル

 

・クリア条件

 

ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐

 

・クリア方法

ゲーム内に配置された指定武具でのみ討伐可能

指定武具以外によって傷つけることは契約(ギアス)によって不可能

 

・敗北条件

降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

・宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の下"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。

フォレス・ガロ印

 

「ガルドの身をクリア条件に……指定武器で打倒!?」

 

「こ、これはまずいです!」

 

黒ウサギとジンが悲鳴のような声を上げた

 

「このゲームはそんなに危険なの?」

 

「いえ、ゲームそのものは単純です。問題はこのルールです。このルールでは飛鳥さんのギフトで彼を操ることも、耀さんのギフトで傷つける事も出来ない事になります」

 

「へぇ、敵は命懸けで五分に持ち込んだってことか。観客にしてみれば面白くていいけどな」

 

「気軽に言ってくれるわね。……条件はかなり厳しいわよ」

 

ギアスロールには指定武器が何かは書かれていない。さらにギフトへの制限。このギフトゲームを吹っかけた張本人だからか些か飛鳥の表情は暗かった

 

それを見たフランはゆっくりと飛鳥の背後に忍び寄り……脇の下をくすぐった

 

「ひゃっ!あはははははは!ちょ、ちょっとフラン!?え?なに!?なんで!?」

 

「いや〜飛鳥が元気なさそうだったから励まそうかと」

 

くすぐっていると手が何か柔らかい物をむにゅっと掴んだ

 

「むっ、黒ウサギとは少し違った圧力が……」

 

「ちょっと!そこは…んっ!」

 

女の子同士のくんずほぐれつに黒ウサギは呆れ、ジンは顔を赤くして顔を逸らし、十六夜はニヤニヤしながら眺め、耀に至ってはある部分を恨めしそうに睨みつけていた

 

「いい加減に……しなさい!」

 

「わわっ!?」

 

フランの手を掴み取った飛鳥がまるで縄跳びを回すかのように背中から前へとフランを回して抱きしめた

 

「はぁ…全く、励ますならもっとやり方があるでしょうに。……まあ少しは元気になったわ。……ええそうよね。あの外道にはこれくらいのハンデは必要よね」

 

その姿は普段のプライドが高い飛鳥に戻っていた。静かな闘志をメラメラと燃やしながら門の中へ入っていった

 

「耀も頑張ってね」

 

「うん、頑張る」

 

パンッとハイタッチを交わし、耀も後を追いかける

 

「おチビ、俺の作戦はこのゲームにかかってるってことを忘れんなよ」

 

「はい。必ず勝ってみせます!」

 

ジンも十六夜に激励を貰い二人の後を追いかけていった

 

 

 

ギフトゲーム開始(スタート)

 

 

☆☆☆

 

勇み足で進んで行く飛鳥、耀、ジン。その三人の目の前には恐らくフォレス・ガロの本拠であったと思われる館が存在した。その館は虎の文様が施された扉は無残に取り払われ、窓ガラスは砕かれている。豪奢な外観は塗装もろともツタに剥ぎ取られていた

 

「春日部さん、この中にガルドがいるのは確かなのね?」

 

「うん、来る途中に見えた。ガルドは二階にいる」

 

ここまでの道すがら、耀は犬の嗅覚、鷹の視力を併用してガルドの居場所を突き止めていた。しかし道中には罠の一つも無かったことに疑問と警戒を三人に感じさせている

 

「ジン君。貴方は此処で待っていなさい」

 

「ど、どうしてですか?僕だってギフトを持ってます。足手まといには」

 

「そうじゃないわ。貴方には退路を守って欲しいの。上で何が起こるかもわからないしね」

 

「……わかりました」

 

退路を守る重要性が分かっているのでジンもしぶしぶ階下でまつことにした。

飛鳥と耀は階段を登った先の扉の両脇に立ち機会を窺う。そして意を決した二人は勢いよく中に飛び込んだ

 

「………GEEEEYAAAaaa!!!」

 

言葉を失った虎の怪物が白銀の十字剣を背に守って立ち塞がった

 

「逃げて!」

 

それにいち早く反応したのは耀だった。飛鳥を階段に突き飛ばし、虎の一撃を辛うじて受け止めた

 

「うっ!」

 

しかし思っていた以上の威力に苦悶の声を漏らす

 

「ジン君!逃げなさい!」

 

「え!?ま、待ってください!まだ耀さんが上に!」

 

「《いいから逃げなさい!》」

 

飛鳥の命令にジンの意識は津波に巻き込まれたように途切れた。そして飛鳥を抱きかかえるとそのまま一目散に館の外へ走り抜けた。

ガルドと向き合っていた耀は匂いでそれを確認するとガルドの突進を避け、体制を立て直した。ガルドの方を向くと再び白銀の十字剣を背に耀と向き合っていた

 

(間違いない。あれが指定武器だ)

 

そう結論づけてからの行動は早かった。ガルドの真っ正面へ駆け出したのだ

 

「GYAAAAAA!!」

 

敵対の意思を見せるとガルドは耀へ向けて突進を繰り出して来た

 

(いまっ!)

 

耀とガルドが接触くる寸前に、耀はグリフォンのギフトを使い地を勢いよく蹴った。耀の下をガルドが通り抜ける。今度は空を蹴り十字剣まで一直線に飛ぶ

 

(取った!)

 

ガルドの守りを抜け指定武器を手に入れた。あっさり手に入ったことに拍子抜けしながら手の中の武器の重みを感じる。それは明らかな油断だった。だからこそ背後に忍び寄る虎への反応が一瞬遅れた

 

「GYAAAAAAA!!」

 

ガルドの一撃が耀の右腕を切り裂いた

 

「ーーーーーツ!!!」

 

声にならない悲鳴を上げる。ガルドの一撃により指定武器は手から離れ、壁際まで吹き飛ばされてしまった

 

(す、凄い痛い。ちょっと本気で泣きそうかも)

 

手からドクドクと流れ出る血を見ながら心の中で泣き言が漏れる。しかしそんな事をしている暇はない。まだ目の前にはガルドが立ちはだかっているのだ。またいつ襲いかかってくるか分からない。今は耀から十字剣の間に入り込んでこちらの様子を窺っているが、寝そべっていては確実に襲ってくる。痛みに耐えながらもゆっくりと立ち上がった

 

(あぁ、本当に痛いなぁ)

 

腕の痛みが此処から逃げるように訴えてくる。ノーネームでも治療する道具くらいあるだろう。逃げればこの痛みから逃げられる。そんな思考が頭をよぎる。しかしそれはダメだ。それは友達を裏切る事になる。友達を作るために異世界に来たのに友達を裏切るなんて本末転倒だ

 

(絶対に……勝つ!)

 

意気込むが腕の痛みは変わらない。この状態でガルドに勝てるかと聞かれれば難しいと答えるだろう。せめて元の状態に戻れれば………元の?

 

耀は昨晩の事を思い出していた。夜中にフランの元へ訪れ、そこで見たもの

 

(傷を…まるで魔法みたいに無くした。血に傷を乗せるかのように……)

 

ふわっと耀の身体から霧が現れる。それは傷口から出ているようだった。血のように赤い霧が傷口から出て行き、そして最後にはガルドに付けられた傷は消え去っていた

 

(ありがとう、フラン。これで……また戦える!)

 

今度こそ堂々とガルドと対峙した。目には先程のような油断も過信もない。勝つことだけを心に決めた戦士の姿がそこにはあった

 

(でもどうやって倒そう?)

 

傷が塞がったからといって勝った訳ではない。此処からどうすれば倒せるのかが問題だった。グリフォンのギフトに吸血鬼のギフト。この二つを上手く使いこなせば勝てるはずだ。

 

ガルドは先程から警戒しているのか近づいて来る気配はないので考えに集中した。少し考えると、一応の案が浮かんだ

 

(痛そうだな。またアレを喰らうのかー)

 

自分の案に軽く恐怖を感じながらも決行を決めた。ドンッと前回と同じように地面を蹴りガルドに向かう。そして右に左に上に下にと、ステップを踏むかのようにガルドを撹乱する。吸血鬼のギフトを使ってから身体が軽くなるのを感じていた。今度はガルドの攻撃をあっさり避けると指定武器の元へ駆け出した。横目で確認するとガルドもこちらへ駆けて来るのが見える。十字剣をひっ掴むと離してしまわないように強く握りしめる

 

「!?あっつ……」

 

手に焼けるような痛みが走るが、眼前にガルドが迫って来ていたので痛みを押し殺してガルドの一撃に備える。ガルドは腕を振り抜き、耀を切り裂かんと爪を振るった。それを耀はあえて受け止め、その衝撃で後ろに飛んだ。完全には避けきれず僅かに腕を切ったが、それを気にする事なく飛びながら十字剣を手放した。今のガルドの体制は崩れている。人間が拳を振り抜いた後、大きい動きが出来ないのと同じ状態だ。その隙を見逃さず、耀は手放した銀の十字剣の頭に足を乗せグリフォンのギフトで蹴り飛ばした。その衝撃に押され剣はガルドの額へ真っ直ぐに吸い込まれていった

 

「GeYa……」

 

十字剣の激しい光と歯切れの悪い悲鳴を残し、ガルドはそのまま動かなくなった

 

「ハァ…ハァ…」

 

ガクッと足を折り耀は床に座り込んだ。疲れと痛みを貰ったが、それ相応の達成感を感じた。すると扉の方から足音が二つ響いた

 

「春日部さん!」

 

「春日部さん、大丈夫ですか!?」

 

「飛鳥にジン…」

 

心配そうにこちらを見てくる二人。そんな二人へ向けて耀は…

 

「勝った…」

 

普段の無表情が嘘のような素敵な笑みを浮かべた

 

 




吸血鬼のギフト、ゲットだぜ!
これは初めからやらせたかったことなので実現できて良かったです
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