問題児と悪魔の妹が異世界から来るそうですよ?   作:亡き不死鳥

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ゴールデンウィークだと筆が進む進む


黒ウサギのコミュニティ

 

 

フランとてんゐのゲームが終わり、二人は観戦していた十六夜と黒ウサギと合流した

 

「いやー負けた負けた。完敗だよ!」

 

妙に清々しく笑ながらてんゐは言った。自分のゲームを余りに豪快に打ち壊したフランを気に入ったようだ

 

「てんゐさんまたサボってたんですか?というか暇つぶしで死人が出かねないギフトゲームするの辞めてくださいよ!」

 

「まあまあ、参加は自己責任。それに皆運がなかっただけだよ。それに私が負けたらちゃんとギフトを……おっと忘れてた。嬢ちゃんにギフトゲームの報酬を渡してなかったね」

 

てんゐが懐を探ると人参の飾りがついたネックレス、というかヒモを人参の飾りに通してあるだけの首飾りが出てきた

 

「こ、これって…!」

 

「おもちゃか?」

 

「違います!これはてんゐさんの……」

 

「食料か」

 

「このおバカさま!」

 

スパーンと十六夜をハリセンで叩く黒ウサギ。その光景を無視しててんゐはフランに首飾りを渡した

 

「これには私のギフトの恩恵が込められていてね、簡単に言うと幸運を溜め込み幸運になれる首飾りなんだよ」

 

「幸運になれる?」

 

フランはてんゐの言っている事がよく分からず首を傾げる。幸運になれるのが良い事なのは分かる。しかしそれでどうなるのかイマイチ理解出来ないのだ

 

「よく、『人生で良い事と悪い事は半分ずつ起こる。だから今が不幸でも絶望してはならない』みたいな事を言うやつがいるじゃん?で、これはその『良い事』の状態を保てる道具だよ」

 

「ん〜?ジャンケンで絶対勝てるってこと?」

 

「面白い例えだ。でもジャンケンはそもそも運じゃないから違うかな。人の意思が介入しちゃうとそれはもう運じゃないんだよ。だからどっちかっていうとクジ引きが正しいね。その場合は『ハズレ』を引かない。まあ1等から10等まであったらどれを引くかは運しだいだけどね」

 

「んー、よく分からないけど良い事なんだね!」

 

「結局そこに落ち着くんだねぇ。ま、そうそう。良い事良い事」

 

「わーい良い事だー!」

 

「……その無邪気さは素直に羨ましく思うよ」

 

呆れたような顔で喜んでいるフランを見つめるてんゐ。しかし、この無邪気さは危うい。ただ闇雲に運を持つ事は時に本当に危険な事態を巻き起こしかねない。

 

「フラン。少しばかり忠告だ」

 

「?」

 

「運は移り変わる物だ。幸運になった者が不幸になるのは別に珍しくない。恒久の時を幸運に浸った者が瞬間的な不幸で全てを失う事もある。幸運のみを得ていた者が不幸を受け入れられない事もある。ま、何が言いたいかっていうと『ソレ』をあまり過信し過ぎないようにね」

 

言ってから思った。今日はやけに口が滑る日だ。普段はもっと相手をバカにする方に口が回るし、相手がどうなろうと知ったこっちゃない。でも今日はゲームに負けたのに笑ってしまったし、年寄りみたいにお節介を焼いてしまった。全くもって自分のキャラじゃない

 

「てんゐ、ありがとね!心配してくれて!」

 

「……引っ付くんじゃないよ」

 

ぎゅむー、と頬ずりをせんばかりに抱きついてきた。そんなされるがままの自分を見て、『会ったばかりなのに毒されてるなー』と、まるで他人事のように感じていた

 

「はぁ、あたしゃもう帰るよ。今日は疲れたわ」

 

フランの拘束を抜け出し残念そうにしているフランと未だに漫才を繰り広げている二人に言った。

 

「あ、ではてんゐさんもご一緒に…」

 

「悪いね、時間的にそろそろ迎えが来るんだ。というか来た」

 

「え?」

 

黒ウサギや十六夜達が周りを見回すが特に誰かがいる様子もない。不思議に思っているとてんゐがフランの頭をポンポン叩いた

 

「ま、さっき言った事を忘れてくれなきゃああたしゃ満足だからね。それと……黒ウサギのコミュニティに入るなら少しばかり覚悟が必要だよ。それとこれは餞別」

 

後半は黒ウサギと十六夜に聞かれないように小さい声で告げ、水色のブレスレットと小さな紙をフランに渡した

 

「え?てんゐ、それってどういう……?それにこれなに?」

 

「それは水神から盗……貰ったやつ。使い方は紙に書いてあるから。じゃ、またね〜」

 

ピョーンとてんゐが跳ねると、てんゐの姿が空中から消えた

 

「消えちゃった」

 

「あの方はご友人が沢山いらっしゃいますからね。サボり仲間でも見つけたのでしょう。では私達も帰りましょう。今度は逃がしませんからね!」

 

黒ウサギが釘を刺す中、十六夜は手を顎にあてかんがえこんでいた

 

「?十六夜さんどうかしましたか?」

 

「なあ黒ウサギ。お前はなんで俺たちを呼び出す必要があったんだ?」

 

突然の十六夜の指摘に黒ウサギは目に見えて動揺した。十六夜の指摘は黒ウサギが意図的に隠していることだったからだ

 

「それは……十六夜さん達にオモシロオカシク過ごしてもらおうと……」

 

「ああ、そうだな。俺も始めはそう思った。その点に関してお前は完璧だったよ。ルール説明で興味を持った俺達にフランによるゲームで箱庭そのものに関心を移し、なおかつリーダーが待ってるからと説明を省いた。だがな、リーダーが十一歳だったり水樹を得た時の喜び様といい、不自然な点が目立った。リーダーが若いのは才能と言われればそこまでだが水樹を貰った時の表情で確信が持てた。水源がなく、リーダーが若い。箱庭のギフトゲームを案内する程のコミュニティならありえない。どうだ?百点満点とまではいかなくても七十五点くらいはいくだろ」

 

「っ………!」

 

「そういえばてんゐも黒ウサギのコミュニティに入るなら少しばかり覚悟が必要だって言ってた」

 

「ッッ……!!」

 

今まで黙って聞いていたフランも十六夜の言葉を裏付ける発言をしてしまった。そして黒ウサギもそれに答えることが出来ない

 

「沈黙は是なりだぜ黒ウサギ。この状況で黙りこんでても状況は悪化するだけだぞ。それとも他のコミュニティに行ってもいいのか?」

 

「え?私は…ムグ」

 

「や、待ってください!」

 

「だから待ってるだろ。ホラ、いいから話せ。面白ければ協力してやるよ」

 

十六夜に口を塞がれ喋れないフラン。そんな様子に気づかず黒ウサギは観念したかのように口を開いた

 

「……わかりました。この黒ウサギもお腹を括って精々オモシロオカシク、我々のコミュニティの惨状を語らせていただこうじゃないですか」

 

それから黒ウサギは自分のコミュニティの現状を話し始めた。コミュニティの誇りである『名』と『旗印』を奪われたこと。さらに中枢を成す仲間達は一人も残っていないこと。そのうえギフトゲームに参加できるギフトを持つ者が黒ウサギとリーダーのジン坊ちゃん二人だけで後は十歳以下の子供ばかりだということ

 

「もう崖っぷちだな!」

 

「ホントですねー♪」

 

十六夜の言葉にウフフと笑う黒ウサギはガクリと膝をついて項垂れる。口に出すとますます自分のコミュニティのヤバさを再認識せずにはいられないのだ

 

「だ、大丈夫?」

 

「ふ、フランちゃん!心配してくれるのは貴方だけなのですよ!」

 

「わぷっ」

 

「いいから早く続きを話せ。なんでそんな状態になった」

 

「フギャ!」

 

慰めるフランを抱きしめる黒ウサギの耳を引っ張り、話の続きを催促する

 

「うぅ……私達は全てを奪われたのです。箱庭を襲う災厄、『魔王』によって」

 

その単語によって十六夜の目が輝いた

 

「魔王!箱庭には魔王なんて素敵ネーミングで呼ばれる奴がいるのか?」

 

十六夜の頭にはツノを生やし何メートルもあるゴツイ身体にマントを身につけた魔王が思い浮かんだ

 

「え、ええまあ。けど十六夜さんが思い描いている魔王とは差異があると……」

 

「魔王……」

 

ついでにフランは偉そうに椅子に踏ん反り返って椅子から転げ落ちるレミリアの姿が浮かんでいた

 

「けど魔王なんて名乗るんだから強大で凶悪で、全力で叩き潰しても誰からも咎められることのないような素敵に不適にゲスい奴なんだろ?」

 

「ま、まあ倒したら多方面から感謝される可能性はございます。倒せば条件次第で隷属させることも可能ですし」

 

「へえ?」

 

そこからは黒ウサギの魔王についての説明が始まった。主催者権限によって強制参加させられるギフトゲーム。それによって奪われた地位と名誉と仲間。それについて話す時、何度も口を閉ざしそうになりながら必死で言葉を紡いでいく。

 

それを聞いていくうちにフランはある想像を浮かべた。それは……紅魔館と紅魔館のメンバーが誰かに奪われてしまう光景だった。

 

「ッ……!」

 

ブルリと悪寒が走る。今までいた家族に会えなくなる。その時自分は泣くだろう。暴れるだろう。逆に何も出来なくなるかもしれない。だからこそ、そんな状況に陥っても諦めることなく行動している黒ウサギがとても眩しく思えた

 

そして語り終えた黒ウサギは二人に深く頭を下げて懇願した

 

「コミュニティの再建は茨の道ではあります。けど私達は仲間が帰る場所を守りつつ、コミュニティを再建し……何時の日か、コミュニティの名と旗印を取り戻し掲げたいのです!そのためには十六夜さんやフランちゃんの強大な力を持つプレイヤーを頼る他ありません!どうかその強大な力、我々のコミュニティに貸していただけないでしょうか!?」

 

「わかった」

 

「えっ!?」

 

黒ウサギに即答したのはフランだった。それに黒ウサギは驚いた。優しいので協力してくれるとは思っていたが、即答されるとは思っていなかった。それにもしかしたら魔王と戦うことの恐ろしさを分からずに協力しようとしているのではないか?そう思いフランに確認を取ろうとして……やめた。フランの目には覚悟が映っていたのだ。どういう理由かは分かりかねたが、ここで水をさすのは無粋に感じた

 

「ありがとうございます。フランちゃん。十六夜さんは……」

 

腕を組み考えこんでいる十六夜に目を向ける。フランも静かに十六夜の発言を待った。そして…

 

「いいな、それ」

 

「ほ、ホントですか!?」

 

「ああ。ま、こんなデタラメで面白い世界に呼び出してくれたんだ。その分の働きはしてやる。けど他二人の説得には協力しないからな。騙すも誑かすも構わないが、後腐れのないように頼むぜ。同じチームでやっていくなら尚更な」

 

「………はい」

 

「大丈夫だよ黒ウサギ。あの二人は正直にいえば協力してくれるよ。うん、絶対」

 

「フランちゃん……。そうですね、利用するような真似をしては得られる信用も得られませんね。すみませんでした。コミュニティを思うあまりその意識が黒ウサギの中で低くなってしまっていたようです。……よし!帰ったら飛鳥さんと耀さんにしっかりはっきり説明するのですよ!」

 

「おう、その調子だ黒ウサギ」

 

「頑張れ黒ウサギ!」

 

「んじゃ、箱庭に行こうぜ」

 

「はい!」

 

そして終始笑顔のまま箱庭に戻った黒ウサギは……

 

 

 

 

「なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですかぁ!!」

 

 

 

 

既に涙目になっていた

 

 

 




言い忘れてましたがこの小説は『フラン異世界記』なので若干主人公達が空気になることが多々あります。ご了承を

あともう一つのアイテムの説明は後ほど
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