どけ、ワタシはヤンウマだぞ。   作:2Nok_969633

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 なんか…凄い(小並感

 この土日にここまで…日間とか本当にありがとうございます。なんだろう…正直、恐怖を感じていたんだよね。何せ急に伸びたので…。怪文書って怖いわ。

 ただ、なんて言っていいのかわからないけれど…ありがとう。(大事な事なので二回書きました)

 読者の皆様に…ここまで急に伸びたので話の展開とかどうしようかなって少しばかり迷いました。でも、ごめんなさい。当初、考えていたことと、半ば通り越したノリで今まで通りになりますが…書きたいこと、やってみたらバイブス高くね?あげあげ超あげっしょ!ウェイウェイ!的な事を優先して書いていくので…下手っぴだしそれで色々と下がるのは結果として仕方のない事だろうけど、これからも書き続けますのでウマ娘を今後ともよろしくお願いします。

 あとこの場にて。
 現実での『大阪杯』豪雨+重馬場の中お疲れ様でした。高松宮も雨で危なかったし今度は晴れると良いね。






いってらっしゃい、トレーナーさん

 

 

 

 恥ずかしい…ただただ恥ずかしい。トレーナーともあろう者が朝っぱらから泣くなんて…。しかも大の大人が、だ。…死にたい。もう嫌だ。誰か殺してくれ、俺を殺してくれ。

 

 そう思いながら目に映る、少しばかり短めの桜色の道を通る。学園前の桜のトンネルは、この時期ならではのもので実に2度目の光景だ。1度目は勿論トレセン学園に入ったばかりの頃である…。あの頃は不安だらけだったが今の俺に恐るものは何も無い。俺には進まなければならない理由がある。何かを捨てなければ何も変えることなんて出来ない。そうだ…涙がどうした。もう…何も怖くない。ここが、ここからが第一歩なんだ。俺の夢への始まりの道だ。そう思う俺を祝福するかの如く、チラチラと舞う花びらが風と共に揺れて俺の心を癒してくれる事に感謝をしつつ、速やかにライスに栄養を補給させるために急ぎ足でトレセン学園へと戻る最中である。上着を着て身体を冷やさせない、あんな黒歴史があった後でもストレッチを省かないなどなど…未熟者ではあるが俺とてトレーナーの1人。せめてもの最低限の行いを怠るわけにはいかないのだ。数十分前の出来事が余計にそうさせる要因なのかもしれない。

 

 俺は今、やる気に満ちている。やるんだ、やってやるんだ。俺がライスシャワーの進んでいく道を支える橋となるのだ。祝福の雨を降らせてやるのだ。雨乞いだ、雨乞いだ。そして俺とライスシャワーでそれぞれの夢を叶えるのだ。そう心に誓って…見よ、満開の桜と明るくなってきた青空が俺たちを歓迎しているぞ。

 

 さて、戻る前に少しばかりの贅沢な一時を与えなければならない。何せ、この後に控えている山籠り自体過酷なものになる。俺とライスだけの2人きりという閉鎖的な空間で、尚且つ過酷な訓練が控えているためだ。よって贅沢ができるのはレースを終えた日を入れなければ今日この日だけとなる…だからこそ。

 

 「ライス、勝利祈願と称してはちみつジュースでも飲んでいかないか?これから先は甘いものといえば大体りんごとかニンジンになってしまうだろうし、俺も今日は1番質のいいやつを一緒に飲みたい気分なんだ。」

 

 「え?ホント?本当に…いいの?」

 

 「ああ、遠慮することはない。いっちばんとびっきり高いやつを飲もう‼︎」

 

 「やったぁ‼︎ありがとう…お兄さま‼︎」

 

 ふっふっふ…。思う存分飲むと良い!俺はライスシャワーのトレーナーなんだぞ。ライスシャワーの誇るべきお兄さまだぞ!こんなところで挫けるタマでどうする。俺よ、下を向いている暇なんて無いのだ、行くぞ!かちんこちんになった鋼の意志が変わらぬうちに!

 

 

 

 「いらっしゃいませ!」

 

 「はちみつ硬め濃いめ多めスペシャルを二つお願いします。」

 

 「はい、はちみつ硬め濃いめ多めスペシャル二つですね、合計3000円になります‼︎」

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・

 

 

 

 「フニュー…美味しかったあ…。」

 

 「ああ、そうだな…景気付けには持ってこいだ。」

 

 

 

 本当に…甘すぎ多すぎ硬すぎ高すぎ財布がカラカラだ、やれやれだぜ。気分って怖い。

 

 

 

 「お兄さま、今日の特訓…朝から行っても、良いと…思うんだけど、ダメ…かな?」

 

 「いや、流石に準備がまだ完全には出来てないんだ。それに…ライスも授業があるだろ?だから夕方にライスと待ち合わせを…そうだな、三女神像の前に待ち合わせでどうだ?」

 

 「うん…わかった。」

 

 「そんじゃ、俺は戻るわ。ライス、また後で。」

 

 「うん…またね、お兄さま。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はちみーは美味しいよな。ウマ娘にとっては、だけど。味覚狂うでほんま。

 

 さて、トレセン学園のトレーナー寮に無事辿り着いた。自分の部屋へと戻りシャワーを浴び着替えを済ませる。ライス達学生らも、まだ授業までは時間がある分、のんびりとしているだろうがこちらにその余裕は無い。彼女達ウマ娘が授業を受けている間、トレーナー達はそれぞれ練習メニューを組んだり偵察をしたりビデオで試合を確認したり、とこれまた中々に忙しい毎日を送っている。その為に必要な精神力が意外にも想像以上だということに気付かされていた。

 

 ウマ娘を勝たせること…それ以前に彼女達を壊してはいけない事も前提ではあるが…多くのトレーナーが抱える問題の要因の一つとして、あまりにも若すぎることが含まれるだろう。流石に10代になったばかりの子供に対し、厳しい練習を積ませ…絶対に明るい未来が確証されていないウマ娘としての人生に夢を与えて見させなければならない。加えて我々トレーナーは指導者として成功しなければ解雇される。それでもこれが俺たち、トレーナーとしての仕事なのだ。だからこそトレーナーという存在は、その並外れた選球眼を身に覚えさせ、一生分の脳みそをフルに回転させる。新人の場合は尚更だろう。ベテラントレーナーとかよくもまあ病まないな、何あの鋼メンタル。それより人事部も頭おかしいからね。最も、こんな学園に入ってくるウマ娘も大概おかし…いや、なんでもない。俺も入っている身。さらに言えば学園の上側からお金を貰っている立場上…悪口は良くないよな。やはりお金には勝てなかったよ。お金、ダイスキ。マニー…うっ頭が。

 

 話が逸れてしまったな。

 兎も角、今の時点で天皇賞に関係のないことを深く考えるのも良くは無い。油断は禁物だが心配性になるのも沼に落ちる要因…大丈夫、大丈夫だ。よし…さてさて、あらかじめ用意はしておいたキャンプ用品…だが足りないものもチラホラあるな。それに、数日分の食料を買いに行かなければならないことや、これから先の天候のチェック、念の為ではあるが万が一ということも踏まえて応急処置用の小道具の最終整理、各ウマ娘達のデータ漏れがないかどうかの確認作業をもう一度行わなければならない。常に見直しは大事なのだ。

 だが、まずは腹ごしらえを済ませよう。確か昨日の残りが……ちょうど量が2人分か。弁当にするかそれとも…むむむ…いや、弁当はいいか。お昼ご飯は食べないで今のうちにまとめて食べよう。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・

 

 

 

 確認作業もある程度終わり買い物も済ませ、帰ってきたのは12時過ぎ。学園はちょうど休み時間のようで、多くのウマ娘達が騒いでいる。良いねえ…素晴らしい…眼福ですなぁ…鍛え抜かれた筋肉が実に素晴らし…おっといけない。これ以上触れれば蹴られてしまう。加えてよりにもよって三女神像の前で…偉大な歴史の前で、邪とも呼べるような考えをしてはいかん。

 

 始祖の三大女神像…か。ふぅむ…確かこの学園には始祖の女神像が願いを叶えてくれる、なんてものがあるとか。像の前を通る時に何かしらが起きる…それがいつ起こるかは不明であり確証もないのだが、生徒たちの間では試合前によく行われているそうで…伝統行事とも呼ばれているらしい。実際わからんでもないとは思う。必勝祈願とかするものに近い事なのだろう。それに、始祖の元となった彼女達が偉大な存在であったことは間違いない事は確かだ。

 

 っとと、いかんいかん。寮へと戻りますかねえ。俺はこれから準備があるんでね。トレーナーが女神像に祈るってのもおかしな話だし…そういえば山籠りなんて危険なことを、よくもまあ許可してくれたよ…理事長、会長、副会長、たづなさん、葵さん…誰かに助けられてばかりで本当に頭が上がらない。

 

 …?あれ、そういえば最近会ったっけ。

 

 まあ良いか。そうそう、そうだった。ヒシアマゾンさんにもライスを少しばかり預かりますって言っておかないとな。府中とはいえまだ春になったばかり…夜は冷えるし、もし風邪なんて引いてしまったら…その実、俺のトレーナー生活の道は死を意味するだろう。ストレスも普段よりかかる。何より1番気がかりなのはライスの過剰ともいえる程のトレーニング馬鹿なところだ。あの子、見かけによらず脳筋だからな…。ここを如何に制御するか、これが問題となるだろう。さて、どうしたものやら…。

 

 

 

 

 

 

 「ん?あ、おーい!トレーナー!トレーナーじゃん!やっほー無敵のテイオー様だぞぉ?会いたかったぜこのこのぉ…久しぶりだね、元気してた?」

 

 「こんにちは、マスター。」

 

 「あら?お久しぶりですわ。トレーナーさん。」

 

 「は?」

 

 突如耳に入った明らかにこちらに向けられたであろう声。が、周りにそれらしきトレーナーの影がない…少なからず3人いるはずだ。だと言うのに何故か周りには誰もいない。気が付けば先程まで居たであろうウマ娘達も見当たらない。噴水の音だけがこの場を支配している。

 

 振り向いてはいけない。何処か心の中で理性によって保たれていたであろうもの…頭の中で鳴り響く警告音。だが、好奇心というものは常々その恐怖に打ち勝ち進んでいくものである。というのは建前でそもそも、

 

 

 

 身体が言うことを聞かない。

 

 

 「誰だ?」

 

 

 口が勝手に動く。声からしてわかるのに何故そう聞くんだ。やめろ、振り向くな、振り向いてはいけない。

 分かってはいるのに…恐る恐るではあるが勝手に動いていく身体が、時間にして僅か5秒も無いであろうその時間が、あまりにも長く感じてしまったのは気のせいではない。のしかかる重圧も凄まじいためか、はたまた面倒臭いと思ってしまった為か…最後の方には、自らの意思で身体を後ろへと向いたその時点で…俺は詰んでいたのであろう。そんなことを数秒前までの俺が知る由もない。

 

 

 

 俺自身の目に映った…紛れもなくウマ娘の子達がそこに居た。それぞれトウカイテイオー、ミホノブルボン、メジロマックイーンというまあなんとも贅沢…な…子………た…ち…g……さ、サングラかけてマスクまでして完全に不審者の格好じゃねえか。な、何しているんだ?こいつr

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ブルボンさん、テイオー。やっておしまいなさい!」

 

 「命令を受理しました。リミッター、解除。」

 

 「まっかせて〜!奇跡は起こすもの、だからねっ!」

 

 

 

 「な、名前を言ったらますます意味が、おまえら!何をするk  おい、はなs  あぁ 、あ   あ?」

 

 

 

 

 

 

 突如視界から陽の光が失われた。暗闇の中に放り出されたポツンと1人、トレーナーの俺。

 その時を待ってました!、と言っているかのように包み込んで来る光の粒子が束となり…道標と化す。

 暗闇の中で一筋の光が俺に当たると、そこから目の前に広がるのは三本の光の柱がみるみる枝分かれになって…光の柱の方へと無理矢理引っ張られていく。

 身体中の穴という穴から漏れ出る嫌な汗。

 頭をハンマーで殴られたかのような痛みに伴って起きる混乱に処理が追いつかず映っているもの全てがみるみる歪んでいく。光の柱から枝分かれしたものが俺の身体を次々と突き刺していき、全身に通る神経伝達物質が知らせる痛みのサイレンが臨界点を超え、最早何も感じなくなった身体に入り込んでくる何かが、何が、おこ、…聞こえ てく  る。空、耳?いや、ち   がう…こ れは?

 

 

 

 「ああ  あ  あがっ な  いが き、ごえ    っぇ⁈」

 

 

 

 なん、だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突如、

 

 

 

 

 

 

 脳内に溢れ出る

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()記憶

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「トレーナー…トレーナー?あっ居た!トレーナー見ぃつけた!トレーナー!ねえねえ、トレーナーってば!どうどう?この前のボク、めちゃくちゃかっこよかったでしょ!…そうでしょ、そうでしょ!ふふんっ、もっともっと褒めるが良いぞよ〜?ボクは奇跡を起こすテイオー様なんだから!…だからさ、他の子を見るのは、さ。…もう、やめてよ。ボクだけのトレーナーなんだから…。ボクだけを見ないとどうなるか、身体が覚えているよね?」

 

 「マスター、あなたと居ると…不思議と心が『安定』します。よって、これから先もあなたの隣にずっと居たい、と私は…思うだけではダメだということを理解しました。私のデータベースからマスターを監禁することで『安定』の供給が永久に可能となり…1番の近道だと認識。よって行動に移します、マスター…諦めてください。」

 

 「トレーナーさん、今度の休日には是非メジロ家へ来てくださることを推奨致しますわ。メジロ家たるもの…いつ来ても良いようにトレーナーさんの部屋や服に至るまでご用意していますの。私とあなたで、これからの歴史を作っていければ、と…。」

 

 「ごめんなさい…お兄さま。ライスね…お兄さまに、1番してはいけない事をしちゃったの。でもね、ライス…いっぱいお金を持ってるんだ。これからも…お金、沢山…入るし。だから…お兄さまはもう何もしなくて良いんだよ?ただ…側にいて欲しいだけ、なの。ずぅっと…ライスの近くに、いるだけで良いの…。ライスがお兄さまを…幸せにしてあげるから。」

 

 

 

 

 「トレーナー!」

 

 「マスター!」

 

 「トレーナーさん!」

 

 「お兄さま!」

 

 「…ナー君!」

 

 「モルモッ…」

 

 「トレー…ん」

 

 「…レ…」

 

 「バックシ…」

 

 「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 目覚ましが鳴る。壊そうと何度叩きつけても壊れない目覚ましが鳴っている。電池も入れていない目覚まし時計が鳴り続ける。

 なんで、なんで…なんで!なんでなんでなんで!

 何故こうも繰り返す。どの選択をしても繰り返される…俺が一体全体彼女達に何をしたって言うんだ!いつになったらトレセン学園から解放されるんだ!なんで俺が担当した子達はみんな…あんな…うぅ。

 

 吐いても吐いても出てくるのは声だけ。身体は絶好調のように感じるのに全身に襲いかかる圧と残っている幻肢痛のような痛み…。胃液すら出てこないもどかしさは尋常じゃない。いっその事、吐いてしまった方が楽なのに吐くことすら出来ない。…なんなんだこれは。

 

 最初は夢なのだろうと思っていた…。だと言うのに永遠と若かりし頃の俺に戻ってくる。どの子を担当しても、どの子を勝たしても負かしても自分以外の全てがウマ娘に囲まれて…延々とトレーナーとして彷徨い続けている。義務を果たしても…果たせなくてもだ。負けなしの戦いをしても、3位ばかり取っても、不可能チャレンジを成功させても、怪我をさせても、自分で死を選んでも…俺がかつて住んでいた部屋に戻ってくる。もう累計何年になるのだろうか…いい加減、俺をトレーナーから解放してくれ…もう嫌なんだ、あの子達からもう…。繰り返していくことを実感していくうちにその頻度も、タイミングも…多くそして早くなっている気がする…。監禁されていないだけマシに思えているのも、俺の頭がとうにイカれてしまった証拠なのだろうか。

 

 

 

 <トレーナー!トレーナー!トレーナー!トレーナー!トレーナー!トレーナー!

 

 

 

 ああ、まただ。この着信でまた…身体が勝手に動き出す。もう…抵抗することさえ諦めた。トレセン学園に入りトレーナーとして活躍する…かつて俺が夢を見て目指していた何か。憎たらしいコールが以前は…だいぶ昔の俺には元気を与えてくれていたことが、最早狂気の沙汰である。今ではもう…何も感じなくなりたいほどに…このスマホから聞こえて来るであろう絶望を与える原因の2文字の言葉が合図となって、この感情も消えてしまうのだろう。どうせ…口が勝手に動き出すのだろう。慣れとは実に怖いものだ。抗っても抗っても無駄なのだと、この身に嫌というほど教え込まれた。臨機応変に立ち振る舞うことが最適解なのだと、そう感じるほどに。

 

 

 

 

 

 

 「はい、もしもし。」

 

 『おはようございます。トレセン学園のものでございます。この度はおめでとうございます。あなたをトレーナーとして認定することが【決定】されました。よって、階級は新人から、とはなりますが採用となりましたので…今年度から是非とも我がトレセン学園で腕を奮っていただきたいのですが…。』

 

 「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

 

 『良いお返事をありがとうございます。手続きの方はこちらの方で済ませますので…そうですね。4月に行われる入学式の前日あたりに…日程が…そうですね。今メールアドレスの方にアンケートを送らさせていただきました。届いているかどうかの確認をお願いしたいのですが…。」

 

 「…はい。確認出来ています。」

 

 『ありがとうございます。そちらに書いてある日のどれかをお選びしてください。後日、スケジュール予定を含めた規定書などが届くと思います。その中に学園を案内する日時が書かれた書類も入っていますので…。当日からスカウトなども可能となっておりますが、慌てず自分のペースで行ってください。』

 

 「わかりました。本当に…ありがとうございます。」

 

 『こちらこそ、感謝の言葉もありません。では、失礼します。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふぅ…やったぜ!

 ん?周りがいつもよりも散らかっている?どうしてなのかは知らないが何故か腹の奥底が煮えたぎるように感じている…。一体何に苛立っていたのだろうか。…いや、今気にすることは目の前の事だ。さあ、いよいよだ。夢見るウマ娘の舞台へと…俺は握り拳を作って思いっきり、目覚まし時計を叩く。叩く。叩く前にもう鳴り止んでいたというのに、叩いて、叩いて叩いて叩き潰そうとして…叩くのをやめた。時計の針は動いていないのに、針の音だけが聞こえている。壊れているであろう時計を何故か手放せないでいる俺を観察するかの如く、植木鉢に生えていた青い薔薇がじっと俺を見つめているような気がした。もう、ここには帰ってこれないのかもしれないのに、この花だけはこのままここに置いておかなければならない気がして…窓を開けた。気持ちのいい朝だ。そうは思わないかい?

 

 

 

 

 

 

 『他の娘との卑が上がりすぎて、継承がうまくいかなかったようですね。交流を疎かにしないように心がけしましょう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ートレセン学園。ウマ娘の殆どが憧れを抱きながら通る茨の道であり、求める勝利を目指して少女達が奮闘し、仲間たちと共に鍛えていくための場でもある。

 

 

 

 そこで、遂に願いを叶えるための…念願のトレーナーとしての日々が今、始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 花びらが舞い散る中、三女神像は今日もにこやかに笑っている。

 

 

 

 




 


 ルドルフの設定ってちょっと怖いよね、戦績とかの話ではないよ?



 次回…スカウトが多い+学校の準備があるから少し時間がかかる、しばし待て。




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