Complement Rainbow!   作:門矢零

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スピンオフ小説、スタートです!

時系列は第1話のラストシーンの直後となります。

それでは、どうぞ!


第1回 俺たちを引き合わせたもの

スクールアイドルをやりたいと言う歩夢の決意を見届けた後、宏高は歩夢と自宅の正面入口の前で別れて、家の中に入った。

 

宏高「……ふぅ」

 

長かった一日が終わり、自室の机の椅子に腰掛けて一人ため息をつく。

 

タイガ『お疲れさん』

宏高「ああ、今日はホントに大変だったよ」

 

それもそうだろう。スクールアイドル同好会を探して部室棟を飛び回り、ようやく見つけたと思ったら同好会は既に廃部、『優木せつ菜』の姿もなかった。

さらに突然お台場の街に怪獣まで現れ、ウルトラマンとなって戦ったとなれば、当然宏高の心身は疲労するものだ。

 

宏高「あ、そういえばまだ話の途中だったっけ。」

 

宏高が思い出したようにタイガに話題を振る。

当のタイガは、イメージ体の姿で宏高のベッドの上に胡座をかいて座っていた。

 

タイガ『そうだな。俺の活躍を見てたってのは、一体どういう意味なんだ?』

宏高「ああ、その事か。この世界ではウルトラマンの活躍がテレビで放送されているんだよ。だから俺はタイガは勿論、それ以前のニュージェネレーションヒーローズとかの事も知ってる。タイガが一度闇堕ちした事もね」

タイガ『それはやめろよ』

 

タイガが不満の声を漏らす。

宏高が最後にからかい気味に言ったことは、タイガにとってある意味“黒歴史”とも言える出来事だからだ。

 

タイガ『まあそれなら、戦い方が分かってても不思議じゃないな』

宏高「じゃあ次は俺の番。タイガはどうしてこの地球に来たの?そしていつ俺の中に入ったんだ?」

 

タイガは現在に至るまでの経緯を話し始めた。

 

タイガ『ヒロユキのいる地球を離れた後、俺はタイタス、フーマと宇宙で修業していた。そんな時、宇宙警備隊の要請を受けて俺達トライスクワッドはこの次元の宇宙に来た。そこで俺達はウルトラ6兄弟と一緒に敵と交戦したんだが……』

宏高「一体何があった?」

タイガ『戦いの最中に、そいつはこの地球を破壊しようとした。』

宏高「……え?」

 

宏高の驚きを他所にタイガは説明を続ける。

 

タイガ『俺とタイタス、フーマが咄嗟に奴が撃った一撃を防いだことでそれは免れたが、俺達はまた体を維持できない程の大ダメージを負って、離れ離れになってしまった……』

宏高「そんなことが……」

タイガ『この星の時間で言えば、3ヶ月くらい前の事になる。その所為か、フォトンアースやトライストリウムになる力まで失われて……』

 

タイガがここまで語ったところで、宏高が質問した。

 

宏高「それで、タイガはいつ俺と一体化を?」

タイガ『お前が度々言ってる、優木せつ菜って子のライブの時だな』

宏高「そんな時に⁉︎」

 

まったく気付かなかった。

 

タイガ『まあ、無理もないよな。お前すごく夢中だったし、気が付かなくても』

宏高「………」

 

これにはさすがの宏高も言葉が出なかった。

 

タイガ『あの時、光の粒子となってお台場っていう街を彷徨っていた俺は、彼女の強い歌声に引き寄せられたんだ。あの歌を聴いた時、心の底が熱くなるような感じがして……ホントにスゴいもんだな、スクールアイドルってのは』

 

なんとなくだが宏高は理解した。

タイガも自分と同じで、せつ菜の歌に心奪われていた。だから同じ気持ちだった自分を選んだのだと。

 

宏高「なるほどね……タイガもトキメいたんだ」

タイガ『ときめく?』

宏高「嬉しくなったりして、胸がドキドキすることだよ」

タイガ『まぁでも、俺の目に狂いは無かった!お前には誰かの為に命を張れる度胸がある。』

 

それを聞いて宏高は確信していた。

あの時、自分を潰さんと落下してきた瓦礫を防いでくれたのはタイガだったこと、そしてタイガが「今ならまだ逃げられる」と言ったのは、自分の覚悟を見極めるためだったことを。

 

タイガ『ホントお前を見てると、ヒロユキといた時を思い出すよ……』

宏高「寂しくなったのか?」

タイガ『いや、あいつは言ってくれた。「アイテムがなくても気持ちは一つだ」って。だから俺は、前を向いていられる。』

宏高「そっか。じゃあ改めてよろしくな。タイガ」

 

宏高はタイガに向かって右拳を突き出すと、タイガもそれに応えるように拳を突き合わせた。

 

タイガ『ああ!』

 

その時だった。

 

 

ピンポーーーーーン

 

 

宏高の家のチャイムが鳴った。

 

宏高「……はい」

歩夢「あ、宏くん!」

 

ドアを開けると、そこに居たのは制服の上にエプロンを身に着けた歩夢だった。

 

宏高「どうしたの?」

歩夢「今日一緒に晩ご飯どう?お母さんもいいよって言ってるよ!」

宏高「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 

 

それから数十分後……

歩夢の家で夕飯を食べ終えた宏高は、歩夢に礼を言ってから自分の家に戻った。

 

宏高「ごちそうさま。ありがとうね、歩夢」

歩夢「どういたしまして。おやすみ、宏くん」

宏高「おやすみ」

 

 

────────────────────

 

 

風呂上がり、部屋着に着替えて…ベッドに横になろうとしていた宏高に、タイガはかねてから思っていた疑問をぶつけた。

 

タイガ『なぁ宏高。昨日から気になってたんだが……お前……親は?』

宏高「俺の両親は海外勤務でね。今は一人暮らしなんだ。でも家の事は一通り出来るし、隣は歩夢の家で今日みたいに食事に誘ってくれる事もあるから、特に不便は無いかな」

タイガ『寂しくはないのか?』

宏高「寂しくないって言ったら嘘になるけど、仕事の都合じゃ仕方ないし、いずれ自立するための予行演習と思って、気楽にやってるよ」

タイガ『逞しいんだな。あとさ、あの歩夢って…いつも一緒にいるけど、お前の何なんだ?』

宏高「え?幼馴染だよ…小さい頃から家族ぐるみの付き合いがある…」

タイガ『本当にそれだけか?』

宏高「なっ、どういう事だよ⁉︎もう……おやすみっ」

 

少々ムキになりながら強引に話をはぐらかすと、宏高は眠りについたのだった。




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