ウルトラマンギンガをはじめとする『
それはウルトラ戦士達の勝利で幕を閉じたが、これで終わった訳ではなかった。
ウルトラダークキラーが倒された後、ウルトラマントレギアは結界を通じて新世代ヒーローズ達の前に現れ、自身こそが全ての黒幕である事を明かすと同時に「いつもお前達は片方の局面からしか物事を見ない」と彼らの正義感を否定し、光の国の破壊を宣言。
ギンガ達はこれを阻止すべくトレギアに立ち向かうが、トレギアの仕掛けた爆弾の罠で一網打尽にされ、大ダメージを負ってしまう。
さらにトレギアはウルトラマンタロウと交戦する最中、新世代ヒーローズから後を託され参戦してきたタイガ達トライスクワッドをいとも容易く、タロウの目の前で消滅させた。
悲痛に息子の名前を叫びながら感情の昂るままにタロウは『ウルトラダイナマイト』を発動。トレギアもそれに酷似した技で迎え撃つ。
それぞれ赤と青の炎を纏いながら両者は力強くぶつかり合い、その中でタロウは友の心に呼び掛ける。
タロウ「一緒に光の国に帰るんだ!光を取り戻せトレギア‼︎」
トレギア「何も分かっていないなタロウ!私は『光』と『絆』を否定する!全ては幻にすぎない‼︎はあああああああああっ‼︎」
タロウ「うおおおおおおおおおっ‼︎」
互いのエネルギーが臨界に達し、激しい大爆発が起きる。
やがて爆風の中からトレギアとタロウが現れるも、お互いに立っていられるのがやっとの状態だった。
トレギア「グッ……さすがだな……No.6」
タロウ「ハァッ、ハァッ……」
トレギア「せめてもの慰めに教えてやる…タロウ。私は今この手でお前の息子を消したが、死んではいない」
タロウ「なに……⁉︎」
トレギア「今頃仲間共々、宇宙の狭間を彷徨っていることだろうさ……まぁ、探すにしても骨が折れるだろうけどね……」
そう言ってトレギアは背後に魔法陣のようなゲートを作り出し、その中へと消えていった。
タロウ「トレギア……待て……!グッ……」
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新世代ヒーローズと暗黒軍団の決戦の地、惑星テンネブリス。
ここはギンガストリウムのニュージェネレーションダイナマイトの影響で廃墟と化していた。
そこにウルトラマントレギアは居た。
トレギアは惑星テンネブリスを散策し、あるものを見つけた。
トレギア「やはり残っていたか……流石は怨念の集合体、と言ったところか」
トレギアは手に持った小さな筒状のカプセルで周囲に漂う何かを掬い取るようにかき集めた。
カプセルの中には、紫色の蒸気のようなものが詰まっている。
それは、ウルトラダークキラーの力の源であり、ウルトラ戦士のダークネス生成にも用いられていた邪悪な物質、キラープラズマだった。
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それからトレギアは、ある次元の宇宙にやってきた。
ここはギンガとビクトリー、2人のウルトラマンが活躍している宇宙。
その月面に浮遊している1機の宇宙船。それは宇宙最強の肉体を手に入れるために水晶体『ビクトリウム』を狙って暗躍していた宇宙人、チブル星人エクセラーが遺したものだった。
トレギア「チブル星人が乗り捨てた船か……これは使えるな」
船内のチブル星人のラボ。
トレギアはカプセル型の実験装置を操作し、採取したキラープラズマから新たな生命体を生み出そうとしていた。
トレギアは元は光の国の科学者だった。なのでこの手の装置の扱いには長けていた。
トレギア「チブル星人はかねてから遺伝子操作の研究をしていた……すべては高度な頭脳に釣り合う強い肉体を得るために……」
トレギアは装置の設定を完了させると起動スイッチをオンにした。
トレギア「さて、ここから何が生まれるかな……」
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それから長い年月が経過し、装置の扉が開くとそこから溢れ出した紫色のモヤから小さな生命体が現れた。
「ここは……どこ?」
小人のような生命体が外に出ると、そこはトレギアがキラープラズマを採取した惑星テンネブリスだった。
何も分からぬまま、生命体はテンネブリスを彷徨う。すると突然、彼の脳裏に不可解なビジョンが浮かび上がった。
「なんだ、これ……」
それは光と闇の壮絶な戦いだった。
そこに現れる青い影。
トレギア「お目覚めかな?新しい
トレギアは次元を超える能力『トレラ・スラー』を使って、宇宙船をテンネブリスへと移動させていたのだ。
「ボクは…だれ…?」
トレギア「そうだな……君は見るからにおぞましい見た目をしているから、ヒディアス。君の名前はダークキラーヒディアスだ」
これが、ダークキラーヒディアス誕生の瞬間だった。
トレギアはヒディアスに自らの思想と、彼の出生の秘密を語る。
トレギア「宇宙には昼も夜もない。光も闇もただの幻なんだ。あるのはただ真空。虚無。すべては空虚だ」
ヒディアス「そうなの?」
トレギア「君の父親、ウルトラダークキラーは恨みや憎しみの赴くままに、全てを闇に塗り替えようとして滅んだ」
ヒディアス「ボクの……おとうさん?」
トレギア「君はそのダークキラーの遺伝子を受け継いだ彼の息子だ。君もさっき見ただろう?あれはダークキラーの戦いの記憶だよ」
ヒディアス「どうしてボクを造ったの?」
トレギア「面白そうだと思ったから、かな。私と一緒に見て回るかい?宇宙の闇を……」
ヒディアス「宇宙の……闇……」
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ボクはトレギアと共に、あらゆる宇宙を旅して回った。
その中でボクは多くの生き物たちの醜い一面を垣間見た。いや、見せられたという方が正しいか。
そしていつしかボクはトレギアの考えこそが宇宙の真理なのだと思うようになっていった。
それからトレギアは、ボクを惑星テンネブリスに置いてパラレルアースという宇宙へと赴いた。
そこには、トレギアの友人の血を引くウルトラマンがいるらしい。トレギアは地球という星に干渉し、色々と引っ掻き回していたようだ。
ボクは退屈だった。この静寂の中で、またトレギアが来てくれることを期待しながら静かに佇むことしか出来なかった。
そんなヒディアスに、大きな転機が訪れる。
トレギア「久しぶりだね、ヒディアス。大きくなったじゃないか」
振り返ったヒディアスの目に飛び込んできたのは、トレギアの姿だった。
ヒディアス「来てくれたんだね、トレギア」
ある日、トレギアが不意に惑星テンネブリスにやってきたのだ。ずっと心細さを抱いていたヒディアスの心はパッと明るくなっていた。
だが、そんな安心は長く続かなかった。
トレギア「ヒディアス、君に大事な話がある」
ヒディアス「話って?」
トレギア「君とはもうここでお別れだ」
ヒディアス「え……どうして?」
トレギアはヒディアスに青い風船を差し出しながら語りかける。
トレギア「私はもうあまり長くはないかもしれない。だから、もし私の身に何かあった時は、君が私の代わりに示してくれ。この世界には光も闇も、正義も悪も無い、あるのは『無』だけだと言うことを。では、ごきげんよう」
ヒディアス「え……それってどういうこと?ねぇ、トレギア!」
風船を受け取りながらも、突然別れを告げられたことに戸惑いを隠せずトレギアを問い詰めるヒディアス。
だがトレギアは何も答えることなく姿を消した。
トレギアがボクの元を去ってから半年ほどの月日が経過した。
そんな時、ボクの耳に飛び込んできたのは、あのトレギアが滅びたという報せだった。
トレギアがウルトラマンタイガとの戦いに敗れた時、彼の体内に封じ込められていた『邪神魔獣グリムド』が封印の緩みによって体外に飛び出した。トレギアは逆にこれを利用して、ウルトラマンタロウを闇に堕として自らの傀儡とし、タイガ達新世代ヒーローズに決戦を仕掛けた。
しかしタイガとタロウ、親子対決の末にタイガは仲間と力を合わせてタロウを正気に戻すことに成功し、トレギアが召喚した怪獣軍団も全て撃破された。
追い詰められたトレギアは最後の手段としてグリムドと融合しようとしたが、体が弱っていた為に逆にグリムドに取り込まれてしまった。
完全体となったグリムドはウルトラマン達を圧倒するも、最後には新世代ヒーローズ全員の力が一つになって生まれた神秘の巨人『ウルトラマンレイガ』によってグリムドは倒され、それに伴いトレギアも消滅した。
トレギアはもういなくなった。ボクはひとりぼっちになった。
トレギアはどうしてボクに何も言ってくれなかったのか。何なんだ、この虚しさは。
そうか、これが……これが無なんだ。死の果てには何も残らない。
トレギア、あなたの追い求めていたものが何なのか、少しだけど分かったような気がするよ。
ボクは決めた。この世界には絶望しかない。トレギアに代わって、それを宇宙に示そう。彼が成しえなかったことを、ボクが引き継ごう。
ヒディアスはトレギアから貰った青い風船を見つめていた。よく見ると球体の中で何かが蠢いているのが見える。
一体何が入っているのだろうか。
ヒディアスは指先を唇に当て、フッと息を吹いた。
パチン!と青い風船が破裂すると、中から紫色の影が飛び出した。
それはトレギアの力の源となっていた、邪神魔獣グリムドの力の欠片、「混沌」の一部が実体化したものだった。
ヒディアスは目の前に浮かび上がる「混沌」を、両手を広げて迎え入れた。
紫色の影は竜巻のように渦巻くと、ヒディアスの胸のカラータイマーに吸い込まれていった。
ヒディアス「なんだ……このすさまじい闇は……これが邪神の、混沌の力か……!」
【ヒディアスの独白】
僕は進化した。
邪神の力の欠片を取り込んだことで、空間も次元も自由に飛び越えられるようになった。トレギアと同じように。
キラープラズマを使って、怪獣を強化することもできる。
トレギアが遺したささやかなプレゼントは、こんなにも素晴らしい力を授けてくれた。
もしかしたら父すら超えたかもしれない。
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僕は父ウルトラダークキラーの記憶と自身の持つキラープラズマを頼りに闇のアイテムの製作に着手した。
チブル星人エクセラーの宇宙船にあった、ダークスパークのデータを基に『ダークネススパーク』を開発した。
僕の持つキラープラズマの中には、かつて父が吸収したウルトラマンエックス、ジード、そしてロッソとブルの光エネルギーが含まれている。
そこから彼らの力をコピーして作り上げたのが『ダークネスデバイザー』、『ダークネスライザー』、そして『ダークネスジャイロ』だ。
それから僕はあるものを探しに宇宙空間に飛び出した。そして見つけたのだ。
宇宙空間に漂う黒と赤のリング状のアイテムを。
ヒディアス「ようやく会えたね……「宇宙で最も邪悪な心を持つ者の元を巡り、持ち主の力を増幅させる」と言われているダークリング。さぁ、僕のモノになれ……」
ダークリングは僕の手によく馴染んだ。
これでオモチャは全て揃った。
僕はこれらを使って全ての宇宙を恐怖で塗り潰す。
そしてゆくゆくは全てのウルトラマンを根絶やしにするつもりだ。
おっと、宇宙警備隊がもう僕の存在を嗅ぎつけたらしい。なんて鼻が利く連中だ。
でも、果たしてキミたちに僕が止められるかな。
僕は不滅だ。この世界に悪意が溢れている限りね……
ウルトラダークキラーの「遺伝子」とウルトラマントレギアの「遺志」を受け継いだ悪魔は、全てを無に帰す、闇の道化になろうとしていた……
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