宏高「あれ…俺が一番乗りか……」
放課後、部室に行くとまだ誰一人来ていなかった。
珍しい事もあるもんだ、と思いつつ宏高はソファーに腰掛けてくつろぐ。
その時、扉が開く音がした。
彼方「あ、ヒロく〜ん」
入ってきたのは彼方だった。
宏高「お疲れ様です、彼方さん」
彼方「今日は随分早いねぇ〜」
宏高「いえ、俺も今来たところで……」
彼方「じゃあ、皆揃うまですやぴしちゃお〜」
そう言って彼方は宏高の隣に座ると、彼の膝に頭を乗せた。
宏高「…彼方さん…」
彼方「…ありがとうね」
宏高「えっ?」
彼方「あの時ヒロくんがああ言ってくれなかったら、遥ちゃんとすれ違ったままだったから……」
宏高「ぁ……」
遥がスクールアイドルを辞めようとして、彼方が落ち込んだ時に宏高が言った言葉。
『あなたと遥ちゃんのどちらかが夢を捨てるなんて事、絶対にあっちゃいけない!』
宏高「いえ、俺はそんな大層な事は……」
彼方「また謙遜しちゃって〜。自分の手柄を素直に喜べないのはヒロくんの悪い癖だぞ〜」
宏高「は、はぁ……」
彼方「もっと自信持っていいんだよ〜。それに彼方ちゃん、ヒロくんの事可愛い弟みたいに思ってるからね〜………すやぁ……」
そして彼方は、宏高の膝の上で眠りについた。
タイガ『寝落ち早いな』
タイタス『今日もバイトというものが控えているのだろう。休める時に休んでおくのが一番だ』
フーマ『こんだけ頑張ってんだから、1日くらい休んだってバチは当たんねぇと思うけどなぁ』
宏高「……弟、か……」
タイガ『宏高?』
宏高「兄弟がいるって、どんな感じなのかな〜と思ってね」
タイタス『ふむ……そう言われると、我々には難しい話題だな』
フーマ『俺達みんな一人っ子だしな』
トライスクワッドの3人には、それぞれ自身の血筋について思い悩んでいた時期があった。
ウルトラ兄弟の一員にして、宇宙警備隊の筆頭教官であるウルトラマンタロウという偉大な父を持つタイガ。
両親がU40の反逆者『ヘラー軍団』の構成員であったタイタス。
親がO-50の戦士の頂に挑むもリタイアし、それ故に「負け犬の子」と蔑まれていたフーマ。
宏高「でもタイガ達の周りにはいるじゃない?ウルトラマンの兄弟がさ」
タイタス『確かに。私が尊敬するウルトラマンジョーニアスには、妹のアミア様がおられる!』
タイガ『でもやっぱり有名なのはレオとアストラの2人だよな。故郷の獅子座L77星がマグマ星人に滅ぼされて、生き別れながらも無事に再会できたのは、互いを信じ合ってる兄弟の強い絆を感じさせるぜ!』
熱く語るタイガ。
彼方と遥、2人の姉妹愛はそれを思い起こさせるほどに深いものだと感じていたのだろう。
タイガ『それに最近で言えば、ニュージェネレーションの先輩、ロッソとブルの2人だっているし』
フーマ『グリージョも忘れんなよ』
ウルトラマン達のトークに耳を傾けながら、宏高は膝の上で寝ている彼方の方に目をやる。
心地良く眠る彼方の表情は、どこか無邪気で子供っぽく見えた。
愛「ちぃーっす!」
「「「お疲れ様で〜す!」」」
歩夢「…宏くん…?」
宏高「お……お疲れ様…歩夢………」
愛「おっ、今日はひろが膝枕してるんだ〜!良かったねカナちゃん!」
宏高「良かったって、何が?」
エマ「彼方ちゃん、宏高くんの膝の上がなんだか気持ち良さそうって、前から言ってたんだよ?」
宏高「そう…なんだ……」
そう言われて、宏高は無意識に彼方の頭を撫でていた。
それから、宏高の膝の上は彼方のお気に入りお昼寝スポットになった。
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