Fate/Genuine fake   作:喫茶院

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地方都市の霜ノ坂に住む学生、三好大希は退屈していた。
そのためネットサーフィンで見つけたオカルト好きが集まるチャットで話し込んでいたところ、「サーヴァント」という存在を知ってしまう。
ちょうど自分を合わせた7人のチャットメンバーで、サーヴァントをそれぞれ召喚してみようとする。
このとき彼らは、自分達がどれほどの過ちを犯そうとしているのかを知らなかった…




#集まれオカルト好き

魔術師。

魔術回路を持ち、かつ魔術を行使することが可能な人間を指す。

 

魔術。

古くから魔術師により使われてきた不可思議な所業。

 

聖杯。

あらゆる願いを叶える万能の願望機。

 

この三つはどちらも神秘性を付与するため、厳重に存在の秘匿がされている

 

はずなのだが…

 

❇︎❇︎❇︎

 

この世界は、限りなく退屈に近い。

 

これは僕、引きこもり学生の三好大希のもっぱらの持論であり行動指針だ。

退屈だからこそ、僕は進んでこの憂さ晴らしができるオモチャを探す。

今僕に自室でカチャカチャキーボードを叩かれているパソコンは、僕の大切なオモチャだ。

 

『やっぱりさ、蝉菜マンションに本当に幽霊っていんのかな?』

『いるって!あの事件は本物だし!』

 

#オカルト好き集まれ。このパソコン内に存在する空間もまた、確かに僕のオモチャである。

集まってきた僕を含む七人の暇人は、毎日毎日飽くことなく面が変わることもなく、どこから仕入れてきたか分からないオカルト話をお互いに吐きあっていたのであった。

蝉菜マンションの赤ずきん、今の話題はここから遠く離れた地方都市の冬木の噂話だ。

距離に反してこの話は結構界隈の中では有名どころで、実際に起きた事故をベースにして作られているらしいからリアルだの何だの。

結局噂話が起こって何年か経っても、それは僕らの中の熱い話題の一つだった。

しかし僕もこいつらも、平日の真昼からこんな話をするなんて随分な暇人だ。

お互いそんなことは気づいていて、こんなコミュニケーションを取っているのだろう。

それを考えると、いささか虚しくなる。

 

『蝉菜マンションの近くに住んでる人おらんの?w』

 

「いや、行かせる気だろ…」

 

『いや、行かせる気だろw』

 

何年も暇人やってると、自然と考えたことをキーボードで打ち込んでしまう癖ができている。

実際には少しだけ脚色を加えているわけだが、会話が潤滑に進まるのだから悪くはないだろう。

 

『私霜ノ坂だから行けな〜い』

『マジ?俺も霜ノ坂』

『上に同じく』

『ひょっとしてさ、ここの全員霜ノ坂住みだったりする?』

 

否定の言葉は帰ってこない。

いつもの顔ぶれがみんな揃っているので、つまりは本当に全員霜ノ坂の住人らしい。

嘘をついている可能性は大いにあるが、そんなものネットの常だ。

いちいち気にするだけ疲れるというものだし、それを気にするより今この偶然にも面白い状況を楽しんだ方が明らかにいい。

 

『オフ会開く〜?w』

『開いちゃう〜?w』

 

ここにいる奴らもまた、同じことを考えているに違いない。

何度も述べるように我ら暇人、楽しさを見出したいという点は多分全員霜ノ坂住みというほかにも共通しているだろう。

 

『あ、そういえば思い出した』

『何を?』

『これもね、冬木のところの噂なんだけど』

 

『サーヴァントって知ってる?』

 

知らない。

『サーヴァント』たる英単語も、それにまつわる噂話も僕にはさっぱりだ。

サーヴァントと急いで検索してみるも、出てきたのは英単語のみで噂話の方は一つも出てはこなかった。

サーヴァント、下僕、召使い、etc...

おそらくメイドのような、主人に使役される存在のことを指すと見た。

 

『サーヴァントって呼ばれる超人が、過去に冬木で暴れまわったことがあるらしいんだよ』

『マジ?そんなことがあるんならもっと有名になってもいいと思うけど』

 

至極もっともな意見だと思う。

僕はそれでも興味をそそられ、パソコンの画面にぐっと顔を近づける。

 

『銃とか乱射したり、そのサーヴァント自身が巨大な怪物になったり、突如物凄い閃光が出たりとかしたらしい』

『SFじゃんw』

 

順当な意見だと思う。

ここはオカルト好きの交流の場だ。

SF作家のアイデア交流会では決してない。

しかし、どうしても興味をそそられるのもまた事実。

奴らも根底は僕と同じようで、サーヴァントについて語り始めた奴が情報を更新するまで、誰もチャットに書き込むことはなかった。

 

『でね、そのサーヴァントはマスターって呼ばれる『サーヴァントを呼び出した人間』に従うんだと』

『マスターやばw銃乱射しろとか命令するんだw』

『そのマスターはサーヴァントに本当に何でも命令できるんか?』

 

ついには鵜呑みにして、質問をし出す奴まで現れた。

鵜呑みにしてないとしたら、語る奴がいつ設定の齟齬でボロを出すのかを見てやろうとでもしているのだろう。

僕も気になる。

 

『限度はあるっぽい。どうしても聞いてほしい命令は令呪っていう、マスターの体に浮き出た三画の紋章を使って言うこときかせるらしい』

『サーヴァントが美人な女だったらいーのになw』

『サイテーw』

『俺もサーヴァント欲しいわー』

 

どうせ虚構の存在だと知って、言ってみる。

そんな便利なものが存在しているなら、僕の世界はもっと豊かで楽しいものに決まっている。

こいつの語り口からしてサーヴァントはおそらく使い魔のようなものと思わせたいのだろう。

SFとファンタジーの融合はかなり書きづらいからやめたほうがいいと、小説なんか書いたこともない僕が変に偏る知識を披露してやろうとしていた矢先だ。

 

『サーヴァント、呼べるよ?』

 

「…はぁ?」

 

素っ頓狂なことを言われたのは。

 

『マジ?』

『マジ。というか皆霜ノ坂にいるじゃん、オフ会代わりにそれぞれ呼んでみない?』

『いいんすかw』

 

そんな都合よくいくものか!

いや待てよ僕、さてはこいつ、出会い厨の類か?

いやそれとも、ここで妙に練り込まれた嘘っぱちの方法を教えて、現地で会った時にプギャーwww騙されてやんのwwwとでも言うつもりか…

僕はそんなアホみたいな騙され方はしない。

逆にどうにかして返り討ちにし、こっちが笑ってやるんだ。

 

『じゃちゃんとサーヴァント呼べたらオフ会しようぜwその時はファミレスにでも集まってサーヴァント見せ合おうw』

『おけ〜』

『そんじゃあ手順説明するよ、メモとれ〜?』

 

❇︎❇︎❇︎

 

あの後サーヴァント召喚の儀式に必要なものを買いだすために、ゲームを買って余った金を使った。

僕がこんなことをするのは騙されているからではない。

スマホで儀式を撮影して、後は合成でサーヴァントはどうにかする。

FFに仲のいいコスプレイヤーがいたから、そこは手伝ってもらうとしよう。

引きこもり歴が長い故、無駄なことばかりできるようになる僕だ。

そこで出来た映像をチャットに流して、取り返しがつかなくなった相手の顔を想像してやろう。

足取り軽く、僕は自室の床にブルーシートを引き、教わった召喚陣を描く。

これに血が必要なのは悪趣味だ。

ブルーシートからはみ出ないように、慎重にしなければならなくなってしまう。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

しかし随分と厨二病臭い詠唱だ。

僕はこういうのは嫌いではない。

言われた通りに丁寧に取ったメモと起動したスマホを左手に、輸血パックを右手に召喚陣を描いた。

…いよいよ召喚。

虚構だとわかってはいるのだが、血液で描かれた召喚陣と用意した『触媒』を目にすると、ロマンで満ち足りてつい興奮する。

サーヴァントはあいつによれば、過去の英雄にカテゴライズされるもの。

つまり僕は今、昔に存在したとても凄い存在を、自分の使い魔にしようとしている。

やってみるなら実物を用意したかったが、仕方ない。

せっかく描いた召喚陣をダメにしないように、つま先歩きで触媒の絵画のコピーを中心に置く。

 

「告げる――」

 

手元に置いておきたい凄い存在…

 

「――告げる。

汝の身は我が下に、我が運命は汝の剣に。

聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応えよ――」

 

男なら、最強というロマンに胸を焦がすべきだ。

 

「――誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者――」

 

そこに描かれている人物こそ、僕が呼ぼうとしている存在。

 

「――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――」

 

僕は、アーサー王を呼ぶ!

 

瞬間、体の硬直。

血液という血液が一斉に煮え立ったかのような体の熱さ。

しかしこの熱がある場所は血管ではない。

まるで自分の中に通っているもう一つの管があって、それが熱を帯びているような。

少なくとも、僕が今までに感じたことのない感覚であり、不快感、体が出す警鐘であることは確かだった。

持ってかれる…!

なぜそう感じたのか分からない。

ただ、今ではもうまっすぐ立てなく片膝をつくくらい、力がどこかへ行ってしまっている。

これは、まさか…

 

本当に、サーヴァントが召喚されようとしているのか?

 

突如自室が閃光に包まれた。

召喚陣が光を放っている。

僕は両膝では済まず、召喚陣に向かって倒れこむ...!

 

「問おうか。」

 

倒れ込んだのは、膝の中。

自室の中にいる人間は僕だけだった。

突如現れ僕を膝で受け止めた誰かは、そのまま何でもないような顔をして僕の顔を覗き込み、問うた。

 

「君が、私のマスターかい。」

 

誰か、その誰かとは

 

サーヴァントであることには、間違いはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




不定期更新です。
タイトルにfakeとありますが、決してfakeの世界線ではありません。
本物の偽物とGoogle翻訳にかけてみたところああなってですね…
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