【デート・ア・ライブ】 デート・ア・ガンダム -武×士道×グラハム- 【機動戦士ガンダム00】 作:LN58
――――――第2の精霊〈ハーミット〉とのコンタクトに失敗して、
ザー、ザー、ザー
士道「………………」
士道「俺は………………」
グラハム『……少年、そろそろ夕食の準備をしないと十香が飢えてしまうぞ』
士道「なあ、グラハム? 俺はどこで間違えたんだ? 俺はベストを尽くしてきたつもりなのに、なんでこんな……」
グラハム『1つは、彼女に〈ラタトスク〉のやり方ときみの使命を十分に説明するのを後回しにしてきたのが反省点と言えよう』
グラハム『霊力を封印されたことで精霊〈プリンセス〉ではなく普通の女の子“夜刀神 十香”として扱うのには些か準備不足だったというわけだな』
士道「黙っているつもりはなかったんだ……」
士道「ただ こんなにも早く次の精霊と会うだなんて思ってなくて……」
グラハム『そして、もう1つ。あの時、きみと私は 十香とよしのんの言い争いに耳を傾ける余裕がなかったので 聞き逃していたのだが――――――、』
グラハム『先程〈フラクシナス〉の通信機越しに二人の言い争いの様子を拝聴させてもらったところ、』
グラハム『よしのんが精霊:四糸乃の本心を代弁していると仮定すると――――――、』
グラハム『どうやら〈ハーミット〉もまた 自分を受け容れてくれる誰かを求めていたように思える』
グラハム『つまり、きみと一緒の時間を過ごすことになった〈ハーミット〉は、』
グラハム『きみにデレる前の〈プリンセス〉と同じく 人間不信の状態の中で きみという“王子様”にようやくめぐりあえたというわけなのだ』
グラハム『ところが そこに、運命の女神のイタズラか、少し前まで同じように人間を信じられなかった夜刀神 十香が来てしまい、』
グラハム『互いの境遇が同じであることを理解する間もなく、言い争うことになってしまったわけだ』
グラハム『だが、もし天使を顕現させられるところまで十香の霊力が逆流していたのなら、あの場で〈プリンセス〉と〈ハーミット〉が相討っていたことだろう』
士道「どうして 十香が俺のところに――――――、ASTが厳重に監視していたのによく来れたもんだと思ってたけど、」
士道「結局、俺が十香に事情を説明しておかなかったのが原因だよな、全部…………」
グラハム『罪を認めるのなら、これから先はどうするつもりだね、少年?』
士道「わからない。わからないよ、もう俺には……」
士道「教えてくれよ、グラハム。俺の守護天使」
士道「グラハムが憧れていたサムライの道はどこへ行ったんだ? 俺が目指していた未来はどこにあるんだ?」
グラハム『………………』
グラハム『たしかなことが2つある』
グラハム『1つ、天気予報になかった雨が今も降り続いていること』
グラハム『もう1つ――――――』
――――――
十香「し、シドー? シドー、居るのか?」コンコン
十香「その、今日の夕餉はどうなるのだ? もしシドーが作らないなら『デマエ』というものを頼むように言われたのだが……」
十香「し、しかし、私には『デマエ』が何なのかがわからない。だから、シドーが居てくれないと今日の夕餉には…………」
十香「………………」
十香「シドー、さっきは悪かった……」
十香「シドーにだって事情があるはずなのに、私は一方的にお前のことを突き放してしまった……」
十香「怒っているよな?」
十香「でも、私は怖かった。空間震がどれほど恐ろしいものかを初めて聞かされて、」
十香「そんな中を駆け出していったシドーのことを思うと、居ても立っても居られなくなって――――――、」
十香「気づいたら、シドーがいたのだ」
十香「そうしたら、し、シドーが他の女とキスして、もうどうしようもなく悲しくて怖くて、それで わけがわからなくなって…………」
十香「自分でも何が何だかわからないのだ……」
――――――
士道「十香…………」
グラハム『――――――彼女が 憎からず きみのことを想い続けているということだ』
グラハム『きみしかいないのだぞ、少年。彼女にはな』
士道「………………」
士道「……わかってる。わかってるよ、グラハム」スクッ
――――――
十香「なあ、シドー……」
十香「私が悪かったから、部屋から出てきてくれないか?」
十香「私は、私は、私は…………」
十香「…………シドー」グスッ
ガチャ
十香「ハッ」
士道「泣くなよ、十香」ナデナデ
十香「シドー! シドー! シドー!」ギュッ
士道「悪かった、十香。お前のこと、こんなにも不安にさせて」
十香「いいんだ。シドーのことを信じられなかった私が愚かなだけだったから……」
十香「やはり、シドーと一緒にいる時が 一番 満たされているぞ」
士道「そうか……」
グラハム『さて、今日のところは失敗してしまったが、』
グラハム『乙女座の私には明日か明後日にまた動きがあるように感じている』
グラハム『少年、明日もまた局地的な雨が観測されるようなら、〈ハーミット〉を探しに出るぞ。傘を持ってな』
グラハム『その間、十香には〈ラタトスク〉から正式な説明を受けさせることにしよう』
――――――翌日
ザー、ザー、ザー
グラハム『少年、きみの手にはいったい何本の運命の赤い糸が結ばれているのだろうな?』
士道「さあな。でも、こんなすぐにまた会えたのはラッキーだ」
四糸乃「見つからない……」
士道「ああ。こっちにもないな……」
グラハム『しかし、パペット“よしのん”が無ければ、やはり 性格は〈ハーミット〉の名のごとく臆病と見える』
士道「それが普通だろう? 大の大人がこんな子供を寄ってたかってイジメてくるんだぞ? 十香みたいなのが例外なんだって!」
グラハム『そうだな。そうだったな、少年』
グラハム『特殊災害指定生命体“精霊”というからにはどれほど恐ろしい存在かと想像していたが、いざ目の前にしてみると その実態は――――――』
グラハム『…………外面はともかく、他の精霊も 内面こそ そうあればいいのだがな』
士道「しっかし、見つからないなぁ、よしのん……」
グラハム『たしかに。昨日 天使によって離脱する際には嵌めていたから、窓を割って降りた際にできた瓦礫のあたりに落ちているはずだが……』
グラハム『あるいは、ASTが精霊のサンプルとして回収した可能性も無きにしもあらずか――――――』
グラハム『あれ自体は自身の心情を代弁させるためのただの通信機に過ぎないから霊力で探り当てることはできないな……』
四糸乃「あ…………」グウウウウウ!
士道「四糸乃、腹が減ったのか?」
四糸乃「………………!」ブンブン!
四糸乃「あ」グウウウウウ!
四糸乃「………………」カアアア!
グラハム『少年。ここは休憩を進言しよう。きみも雨の中での捜索で身体が冷えていることだ』
グラハム『あとは、〈フラクシナス〉による捜索がうまくいくことを祈るとしよう』
士道「そうだな。捜索を再開するにしても、しっかりとした雨具で身を固めた方がいいから、ここは腹拵えも兼ねて 一度 出直した方が良さそうだな」
――――――
琴里「あら、忘れてない? せっかく 二人きりなんだし、ここで一気に好感度を稼ぐチャンスじゃない」
琴里「十香も令音のところだし、じっくりたっぷり話し込んで デレさせるのよ!」
――――――
士道「よし。この辺の店は臨時休業だし、人見知りも激しそうだし、味の好みもわからない――――――」
士道「なら、四糸乃。俺の家に来なよ」
四糸乃「え」
――――――自宅
ザー、ザー、ザー
グラハム『少年、今日の昼餉は何かな?』
士道「ああ。ここは親子丼でいこうと思う」
グラハム『ほう、それはなぜかね?』
士道「味の好みがわからないからさ。なら、子供には卵料理が一番だと思って」
士道「シンプルで素材の味を活かした 炊きたてご飯の上に乗せた鶏卵と鶏肉のふんわりコラボレーションなら、手っ取り早く作れるし、四糸乃の口にも合うかと思って」
士道「オムライスでも良かったけど、十香とちがって四糸乃って少食だと思うから 我が家のフライパンで作ると たぶん大きすぎる気がするんだ」
士道「だから、琴里が使う茶碗に合うやつってことで親子丼なのさ」
グラハム『なるほど、さすがは妹君の食事を毎日作り続けてきただけのことはある』
四糸乃「………………」
士道「ほい、お待ち遠様」コトッ
士道「熱いからフーフーして食えよ」スッ
四糸乃「あ…………」ギュッ
グラハム『躊躇いを見せる四糸乃に 食事を促すようにレンゲをしっかりと握らせた その手の動きは実に見事なものだな、少年』
士道「じゃあ、俺もいただきます!」
士道|フーフー! パクッ!
士道「うん! 我ながら良い出来だ!」
四糸乃「あ…………」
四糸乃|フーフー
四糸乃|ハムッ
四糸乃「!!」
四糸乃「――――――!」ユサユサッ
四糸乃「――――――!」トントン!
四糸乃「――――――!」b! ――――――サムズアップ!
士道「そっか、口に合って何よりだ」
グラハム『美味しさのあまりに小躍りをしてサムズアップしたな』
士道「ああ。鶏肉を少なめにしながらも旨味が行き渡るように 研究に研究を重ねた最新作だからな」
士道「さあ、遠慮なく食べろよ。卵の下の米も最高だからさ」
四糸乃「――――――!」コクコク!
士道「そっか。よしのんは四糸乃の友達で、四糸乃の理想で、四糸乃のヒーローなのか」
四糸乃「憧れの自分です」
四糸乃「私みたいに弱くなくて、私みたいにウジウジしない、強くてカッコいい――――――」
士道「わかるな、そういうの。俺もサムライを目指しているからさ」
グラハム『ああ。私も〈ガンダム〉の圧倒的な性能に心を奪われたものだ』
士道「でも、俺は四糸乃のことを弱いやつだとは思ってないよ」
士道「むしろ、尊敬しているよ。本当に強い子なんだって驚いているぐらいだよ」
四糸乃「ふぇ?!」カアア!
士道「もしかして、そんなことを言われたのは初めてか?」
四糸乃「は、はい……」ドキドキ
士道「すごいよ、四糸乃は」
士道「戦うべき時ではない時に戦わない勇気と忍耐は本当に見習うべきものだと思ってる」
士道「だから、1つ教えてくれないかな?」
士道「どうして四糸乃はメカメカ団に襲われても何もしないんだ? 本当だったら、こてんぱんにやっつけることができるのはわかってるんだろう?」
四糸乃「私は痛いのが嫌いです……」
四糸乃「怖いのも嫌いです……」
四糸乃「きっと、あの人たちも痛いのや怖いのは嫌だと思います。だから」
士道「………………」
グラハム『………………』
四糸乃「でも、私は弱くて怖がりだから、一人だとダメです……」
四糸乃「痛くて 怖くて どうしようもなくなると、頭の中がグチャグチャになって、きっと、みんなにひどいことをしちゃいます……」
四糸乃「だから、よしのんは私のヒーローなんです」
四糸乃「よしのんは私が怖くなっても『大丈夫』って言ってくれます……」
四糸乃「そしたら、本当に大丈夫になるんです……」
四糸乃「だから……、だから…………」グスン
士道「大丈夫だよ」ナデナデ
四糸乃「あ」
四糸乃「あの…………」アセアセ
士道「俺だって、痛くて 怖くて どうしようもない時に 独りだとダメダメなんだ」
士道「でも、『大丈夫』って言ってくれる誰かが側にいて支えてくれる――――――、」
士道「独りじゃなくなった時から俺は少しずつ本当に強くなっていけたんだ」
グラハム『…………そうだな』
士道「だから、四糸乃は間違ってない。間違ってないんだ。間違ってなんかいない」
士道「すごいやつだよ、四糸乃は。俺なんかよりもよっぽどしっかりしてるよ」
四糸乃「士道さん…………」
士道「でもさ、四糸乃」
士道「もしも四糸乃が傷ついて挫けそうになった時は 俺が側に行って『大丈夫』って支えてあげてもいいよな?」
士道「そうすれば、よしのんの支えだけじゃなくて、俺の支えもあるから、今より もっと強くなれるよな?」
四糸乃「士道さん……」
士道「よしのんは必ず見つけ出す。だから、今は俺が『大丈夫』って言ってあげるから、もうしばらくの辛抱だ。四糸乃は強い子なんだから」
四糸乃「ありがとうございます……」フフッ
士道「だから――――――」ジワッ
四糸乃「?」
士道「だから、俺がもしダメそうな時は『大丈夫』って言ってくれるかな?」ポタポタ・・・
グラハム『少年……』
四糸乃「………………」
士道「ハッ」
士道「いや、すまない。俺、何を言って――――――」
士道「あ」
四糸乃「士道さんは大丈夫です」ナデナデ
士道「四糸乃……」
四糸乃「……迷惑でしたか?」
士道「そんなことない……」
士道「ありがとう、四糸乃……」
四糸乃「どういたしまして……」
――――――
神無月「極まったぁ! 士道くんの“泣き落とし”が炸裂ッ! これには〈ハーミット〉も堪らず【好感度】がググーンとアップだ!」
琴里「よくもまあ、狙ったようにやれるものね……」
琴里「おにーちゃん……、本当にごめん…………」ボソッ
琴里「あとは よしのんを取り戻しさえすれば、そのまま キスをして一件落着ってところまで一気に来たわね」
令音「パペットの位置も特定することができたところだ。今日中に〈ハーミット〉の霊力を封印することができるはずだ」
琴里「そういうことなら、令音。あなたは士道がよしのんを回収しに行っている間、四糸乃の面倒を見てあげて。人見知りが激しい子だから早い方がいいわ」
令音「そうだね。下手に動き回られてASTに捕捉されることがないようにしたいね」
琴里「先日の失敗を払拭するレベルの進展よ。このまま一気に勝負を着けたいところね」
神無月「しかし、ああいうのを『母性本能をくすぐる』と言うんでしょうかね?」
神無月「まさか、幼い外見の〈ハーミット〉に あそこまでの行動を取らせるとは、士道くんの魅力は底が知れないですね」
琴里「そうね。私も今回の流れは意外に思ったわ」
琴里「でも、わからなくはないわ」
琴里「士道には精霊の気持ちがわかるから」
琴里「そういう意味でも、士道は精霊とデートしてデレさせる〈デート・ア・ライブ〉には最適な人選だったのよね」
――――――
士道「やっぱり、そうだ」
士道「俺が『精霊を助けたい』と思った この気持ちはどこから来ていたのか――――――」
士道「やっぱり、武士道なんだな」
――――――死のうは一定、しのび草には何をしよぞ、一定語りおこすよの。
グラハム『織田 信長だな』
士道「ああ。俺が“現代のサムライ”を目指す上で手本となったサムライさ」
グラハム『私もきみと一緒に史実のサムライというものを研究してきたものだが、いろいろな形のサムライの在り方があることを知った』
グラハム『かつての私が目指してきたのは武芸の道――――――、少年が目指すのは革新の道――――――』
士道「そうだとも。俺は“現代のサムライ”として時代に変革をもたらす風雲児になるんだ」
士道「でも、それはこれまでの価値観を破壊するものであっても、ヒトにとって本当に大事なものを守るためにあるんだ」
士道「特殊災害指定生命体“精霊”をデートしてデレさせる――――――、」
士道「それが俺が成す人類平和のための戦いだ!」
グラハム『精霊の純粋さにまた心が洗われたようだな、少年』
士道「助けようとして、助けられた――――――」
士道「まだまだだな」
グラハム『前人未到の道を征くのだから、一人の力ではどうにもならない時だってあるさ』
グラハム『だが、やがては宇宙にまで聳え立つ軌道エレベーターを人類が叡智と協調で築き上げる時代がやってくるのだ』
グラハム『不可能と思われたことは いつかは形を変えて 実現する時が必ずやって来る』
グラハム『そう、武力で拒絶することよりも、対話でわかりあうことを人類全体が選ぶ日も必ずな』
士道「だから、俺は全身全霊でこの道を征くよ」
士道「四糸乃、よしのんを迎えに行ってくるから、令音さんと一緒に待っているんだぞ」
士道「そしたら、霊力を封印して みんなで一緒に暮らそう」
士道「これから十香以外にも友達がいっぱいできるし、賑やかで楽しい毎日になるはずさ」
士道「四糸乃はもっと強くなれる。俺ももっともっと強くなれる」
士道「だから、四糸乃も俺以外の誰かの力になってあげてくれ」