【デート・ア・ライブ】 デート・ア・ガンダム -武×士道×グラハム- 【機動戦士ガンダム00】 作:LN58
――――――東京の高級ホテル
十香「今日のトードーはいったい何をおごってくれるのかな~♪」
士道「すっかり藤堂先生が“自分にごちそうしてくれる優しいおじさん”みたいな扱いに……」
藤堂「いや、気にすることはないぞ、士道くん」
士道「俺は気にしますよ」
士道「こんな立派なパーティーに十香を連れて来て大丈夫なんですか?」
藤堂「大丈夫だ。今回のパーティーは将来有望な若者だけで集めた席だからな」
藤堂「我々は次代の若者同士が交流を深めていく様を見守るだけだ」
藤堂「たしか、士道くんは小学生の頃から英語検定1級のネイティブ顔負けのバイリンガルだったな?」
士道「まあ、最近はあまり使ってないので、怪しいところがあるかもしれませんけれど……」
藤堂「今日の注目は今は亡き“処女王”エリザベス女王で有名なテューダー朝の血筋とされる神童の兄妹だな」
士道「へえ、テューダー朝と言ったら後のパックス・ブリタニカの基礎となる――――――、日本で言えば江戸時代が成立した頃の話ですよね」
藤堂「ああ。とは言っても、当時の政争に敗れた血族が新大陸に流れ着いて、今頃になってDNA鑑定でその血筋が証明されたというメキシコ出身の忘れられた王族だがな」
士道「メキシコ――――――、それは随分と西進を果たしたものですね。ちょっと立ち止まってカリフォルニアに定着していたら もっと有名になれただろうに」
藤堂「そして、幼少期から日本に留学して育ち、心はメキシコ人でもイギリス人でもなく日本人に近いという日本通であるとも聞く」
藤堂「我々としては“現代のサムライ”であるきみと十香くんとの対談を心待ちにしているというわけだ」
士道「あまり期待しないでくださいね」
十香「シドー! ちゃんとドレスを身に纏えているか?」
士道「ああ。ちゃんとできているぞ」
士道「いいか、十香? 今日はテーブルマナーや礼儀作法を極めた同年代の人たちとの立食パーティーだから、みっともなくないようにな」
士道「俺の側から離れるなよ。話しかけられても言葉が通じないだろうからさ」
十香「うむ、わかったのだ、シドー! シドーの側から絶対に離れないぞ!」ベッタリ
士道「あまり近すぎても問題なんだけどなぁ……」
藤堂「では、今日は楽しんできてくれたまえ」フフッ
ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!
士道「へえ、これが 将来 世界を背負って立つ 未来のリーダーたちか……」
十香「シドー! シドー! これはいったい何という料理なのだ!」
士道「ああ こいつはフォアグラだな。世界三大珍味の1つで、それを多用した『牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ風』というフランス料理だな」
士道「日本じゃあまり食べられないものだから、味わって食べろよ」
十香「うむ! わかったのだ!」
十香「う~ん! このフォアグラというものは中々に珍味だな!」
士道「わかって食べているのか?」ハハッ
士道「ん」
枢木 スザク「おーい! そこにいるのは五河 士道くんだよね! 久しぶり!」
士道「あ、そういうきみは枢木 スザクじゃないか! 久しぶりだな!」
スザク「いや~、見ない間に落ち着いた感じになったみたいだね」
士道「そっちこそ、“僕”だなんて、ずいぶんと変わったもんじゃないか」
スザク「まあね。僕もきみのように我武者羅に自分の道を走り続けて、一人でアメリカ大陸縦断なんてしてみたからかもしれないな」
士道「そうなんだ。まあ、スザクは昔から外の世界に憧れていたんだし、自分らしい生き方を貫いているみたいで感心したよ」
スザク「結局、僕は藤堂先生の弟子にはなれなかったわけだけどね。先生には悪いことをしたな……」
士道「そんなことないさ」
士道「――――――『和魂洋才』って言うだろう?」
士道「藤堂先生の教えがアメリカ大陸縦断で役に立って、この場に来ることができたのなら、言うことはないはずだって」
士道「藤堂先生、ここに居るから、会いに行ったら?」
スザク「……機会があったらそうするよ」
士道「?」
士道「もしかして、スザクはあまり実家に帰ってきいないのか?」
スザク「実はそうなんだ――――――」
ルルーシュ「ここにいたのか、スザク。まったく、護衛なんだから、俺はともかくナナリーの側からあまり離れないでくれよ」
ナナリー「もしかしてスザクさんの日本のお友達ですか?」
スザク「ああ すまない、ルルーシュ、ナナリー」
スザク「紹介するよ」
スザク「ルルーシュ・ランペルージ、その妹のナナリー・ランペルージだよ」
士道「はじめまして、俺は五河 士道です。スザクとは同じ道場の門下生でした」
ルルーシュ「ああ スザクからは 度々 きみのことを聞かされていたよ」
ルルーシュ「というより、あの“奇跡の藤堂”の一番弟子である“現代のサムライ”として かなりの有名人だよ、きみは」
ナナリー「スザクさんと同じくらい強い御人だと聞いています」
スザク「どうなんだろうね、今は?」
士道「さあ? 俺としてはアメリカ大陸縦断なんてしているらしいスザクとは戦いたくはないけれど」
スザク「僕も。藤堂先生が一目置いて真っ当に“現代のサムライ”と呼ばれるようになったきみとだけは本気で戦いたくはないよ」
士道「まあ、お互いに守るべきもののために全力を尽くせれば、それでいいじゃないか」
スザク「そうだね。それが一番だよ」
士道「というか、そういうことだったのか。――――――実家に帰っていないのは」
スザク「うん。そういうことだったのさ」
士道「一足先に仕えるべき相手を見つけられてよかったな」
スザク「まあ、退屈はしないよ。メキシコでのドンパチに身を投じているとね」
十香「うん? シドー、誰だ、こいつらは?」
士道「あ、こら! 人様に向かってそういう物言いはやめろって! 日本人もたくさんいるんだから!」
スザク「へえ、意外だな。士道くんにもそういう人ができたんだ」
士道「ああ ちがうんだ。これは成り行きでホームステイしている子なんです」
士道「自己紹介だ。自己紹介なさい、十香」
十香「うむ。わかったのだ」
十香「私の名前は夜刀神 十香だ」
十香「以上!」ドヤッ
ルルーシュ「………………」
ナナリー「………………」
スザク「元気いっぱいだね」ハハッ
士道「すみません。俺の教育が足りないばかりに……」
ルルーシュ「いや、別に責めてはいないぞ、士道」
ルルーシュ「ナナリーもどう思う?」
ナナリー「はい。とても素敵な方だと思いますわ」
ナナリー「今まで会ったことがないくらいに十香さんが純粋な方だということがすぐにわかりました」
ナナリー「それに――――――」パシッ
士道「え」ドキッ
ナナリー「やっぱり」
ナナリー「士道さんも思ったとおりの優しい方ですね」
士道「へ」
ルルーシュ「驚いたか? ここだけの秘密、ナナリーは脚が不自由で目も見えないがサイコメトリーが使えるんだぞ」ボソッ
士道「は」
ルルーシュ「そちらも色々と大変なものを背負っているようだが、さすがはスザクが生まれた国を代表する“現代のサムライ”なだけのことはある」
ルルーシュ「そして、俺の第2の故郷から生まれた未来の英雄――――――」
士道「いや、俺はそんな――――――」
ルルーシュ「綺麗事で世界は変えられないから、俺はどんな汚い手を使ってでも、ナナリーが願う“他人に優しくなれる世界”を築き上げてみせる」ボソッ
士道「!!!?」ゾクッ
ルルーシュ「実は、お前に会いたくて また日本に来たんだ」
ルルーシュ「平和の国:日本で かつての戦国時代を生きた“サムライ”に本気でなりきろうとしている人間にな」
ルルーシュ「そして、やはり そうだった」
ルルーシュ「ナナリーが認める優しい人間だからこそ、誰よりも冷酷で非情になることができることは 今 確信に変わった」フフフ・・・
士道「…………!」
十香「どうしたのだ、シドー?」
ナナリー「お兄様?」
スザク「………………」
ルルーシュ「あ、いや、すまない。ついスザクと同じ感覚で思わず話し込んでしまったようだ」
ルルーシュ「それじゃあな」
ルルーシュ「五河 士道、将来が楽しみだよ」
士道「ああ、お互いにな……」
士道「………………」
士道「“武士道”とは…………」
――――――パーティーが終わって、
十香「シドー! シドー! 見てくれ見てくれ! 早速 ナナリーからメールが届いたのだ!」
士道「そいつは良かったな、十香……」ハハッ
十香「……シドー? 今日はどうしたというのだ?」
士道「あ、いや、世界にはいろんな人がいるんだって思い知らされてさ……」
士道「俺と同じように藤堂先生の下で修行していた同門のスザクは世界を舞台に活躍しているみたいだったし……」
十香「シドー?」
士道「俺は世界を空間震の脅威から救うために戦争をやっている……」
士道「でも、現実には世界は現在でもあっちこっちで戦争だらけだ」
士道「それで世界を救っているだなんて調子に乗って……、スケールが小さい話だよな……」
十香「シドー、私にはシドーがどうしてそこまで悩んでいるのかはわからない……」
十香「でも、私にこの世界の素晴らしさを教えてくれたのはシドーだ。“この場所”がシドーが命懸けで守ろうとしていた世界なのだろう?」
士道「十香……」
十香「シドー、憶えているか?」
十香「この前の四糸乃の霊力封印の時、私が言い付けを破って最初の封印の機会を潰してしまったのを反省して、今度はちゃんと家で待つことにしていたのだが、」
十香「私の時と同じように また命懸けで精霊を助けに行くのだと知らされて、ずっと気が気でならなかったのだ」
十香「あの時は まるで この世界にあって この世界にいないような感覚がして 本当に嫌だった」
十香「きっと、そんな気持ちになっているんじゃないのか、今のシドーは?」
士道「……そうかもな」ハハッ
士道「最初から前提が間違っていたわけだな。延々と答えの出ないことに悩むわけだ……」
士道「ありがとう。俺もまだまだ未熟だったよ」
士道「情けないな。助けるつもりが、また助けられたな……」
十香「そんなことはないぞ、シドー」
十香「私はシドーに恩返しがしたいのだ」
十香「けれども、まだまだこの世界について知らないことが多すぎて、」
十香「いったい何をしてあげたらシドーが喜んでくれるのか、それがわからないで ずっと悶々としていたのだ」
十香「シドーは優しいから、私に心配をかけまいと 何も言わないでいることがたくさんあると思う」
十香「ただ、これだけははっきりと伝えたい」
十香「私はシドーにはもう
士道「あ」
士道「…………十香」
グラハム『――――――“泣き落とし”の効果は覿面であったな』
グラハム『そして、きみの優しさが精霊の心に鏡のように写ったと見える』
士道「……グラハム。俺の守護天使」
グラハム『妹君と同伴の〈ラタトスク〉の本部会議から帰ってきたところだ。もちろん、意識をそちらに傾けていただけで きみの側にずっと私はいたが、』
グラハム『どうだったかね、将来 世界を背負って立つことになる未来のリーダーたちとの交流会は?』
士道「――――――“サムライ”としての覚悟を問われたよ」
グラハム『だろうな。400年以上前のものを現代に本気で蘇らせようとしてきたきみには世界中の誰もが興味津々であったことだろう』
士道「そして、俺の覚悟が世界に悪い影響を与えることもあるってことを実感した」
グラハム『道理で気分が落ち込んでいたわけだな』
グラハム『だが、忘れたわけではあるまい?』
グラハム『少年、きみが救いたいと願ったものは世界よりもたった一人の女の子の孤独であったはずだ』
士道「あ……」
グラハム『きみはまだ若い。そして、まだまだいろんなところからいろんなものを学んでいろんな影響を受ける多感な時でもあるのだ』
グラハム『未来人の幽霊である私が言うのも変だが――――――、』
グラハム『いろんなことを学べなくなった先人たちは、いろんな影響を受けなくなったのを活かして、いろんなことで悩める若人の道を正していけるのだ』
グラハム『少年よ。大志を抱け』
グラハム『決して褒められたものではない生き方をしてきた私ではあるが、そんな私のことを少年が誰よりも信頼して心を許しているように、』
グラハム『少年がこれまでの人生で得てきた喜びも悲しみも、その次の世代を担う若者を導く道標となる時が来よう』
グラハム『故に、恐れることはない。勇み猛る心を持って突き進んでいくがいい』
グラハム『その志は今日会った将来有望な若者たちの心にも必ずあったはずだ』
グラハム『命を惜しむな、名を惜しめ。武士道とは死ぬことと見つけたり』
士道「ああ。そうだな」
士道「十香、ありがとう」
士道「お前はいつも俺が大切にしていたものを忘れずに持っていてくれているな」
士道「おかげで、俺はお前を助けようと思った時のことを昨日のことのように思い出せる」
士道「俺は俺の戦争をし続けることができる」
十香「よくはわからないが、シドーが元気になってくれたようで、何よりだ」
十香「だったら、シドー、はい」グイッ ――――――頭をこちらに向ける。
士道「え」
グラハム『少年』
士道「あ、そっか」
士道「ありがとう、十香」ナデナデ
十香「うむ! やっぱり、これだな!」
十香「シドーの手は温かいな」
グラハム『――――――“至高の原点”』
グラハム『そう呼ぶに相応しい 記念すべき 少年にとっての“第1の精霊”であるな』
――――――つまり、少年と少女は運命の赤い糸で結ばれた運命の相手。そう感じてしまうのは自分が乙女座であったからなのだろう。