【デート・ア・ライブ】 デート・ア・ガンダム -武×士道×グラハム- 【機動戦士ガンダム00】 作:LN58
――――――開校記念日の翌日、
狂三「あら、士道さん。ごきげんよう」’
士道「おはよう、狂三」
狂三「少し驚きましたわ。てっきり士道さんは今日お休みなされると思ってましたので」’
士道「俺はこれでも毎朝の素振り1000回は欠かしたことがないからな。それから学校に行くのも生活の一部なんだよ」
狂三「そうでしたの。本当に士道さんは立派なお侍さんなんですのね」’
士道「それで 狂三、いろいろ考えてみて 俺は1つ決めたことがあるんだ」
狂三「はい。何ですの、士道さん」’
士道「俺はお前のことを幸せにする」
狂三「え!?」’ドキッ
狂三「ハッ」’
狂三「……おかしなことをおっしゃいますのね」’コホン
士道「そうだな。俺も 自分で言っていて おかしなことを言っていると思ってる」
士道「でも、お前の方から誘ってきたんだぞ。お前の方から俺をその気にさせたんだ」
士道「正直に言って、俺は“現代のサムライ”だからな?」
士道「あまり“サムライ”を舐めてかかると『お灸を据えられる』ってことをわからせてやらないとな」
狂三「……そうですの」’
――――――士道さん。あなたの言葉、本当か どうか確かめてさしあげますわ。
キンコンカンコーン!
士道「………………」
殿町「やあ、五河。今日の十香ちゃんの弁当は何にしたんだい――――――」
十香「シドー! 一緒に来てくれ!」パシッ
士道「十香?」グイッ
士道「どうしたんだ、十香? お前の方からこんなところに連れてくるだなんて」
十香「令音に教えてもらったのだ」
十香「――――――狂三と真那のこと」
士道「…………そうか。昨日は悪かった」
十香「そうではない。そうではないのだ、シドー」
士道「え」
十香「――――――狂三は変わらない、私と」
十香「私にはシドーがいてくれた」
十香「シドーが私を救ってくれた」
十香「最初にシドーが私をデェトに誘ってくれて、この世界の温かい部分を見せてくれたのだ」
十香「シドーがいなければ、私も狂三のようになっていたかもしれない……」
十香「私と狂三にちがいがあるとすれば、それは側に手を差し伸べてくれる者がいたかどうかだ」
士道「………………」
十香「シドー、やっぱり 私のような精霊は怖いか?」
士道「……ああ。怖いよ」
士道「でも、そんな存在と こうやって気持ちが通じ合えることに、俺は喜びを感じているんだ」
士道「ありがとう、十香」
士道「俺はお前と出会えてよかったと思ってる――――――」
士道「いや、ちがうな」
士道「俺はお前と最初に出会えてよかったと思ってる」
士道「お前がそういう子だったからこそ、俺は精霊との未来を信じてみたくなったんだ」
士道「その気持ちが”本物”である限り、俺も俺のやり方でこの戦争をやり遂げようと思う」
十香「そうか」
十香「シドーが元気になってくれたみたいで、私も元気が湧いてきたぞ!」
十香「さあ、昼餉にしよう! もうお腹ペコペコなのだ!」
士道「そうだな」ハハッ
士道「………………」
キンコンカンコーン!
士道「今日の授業はこれで終わりだけど、狂三のやつはいったいどこへ行ったんだ?」
――――――
令音「時崎 狂三の下校はまだ確認されていない」
令音「問題は、彼女がこちらの話を聞いてくれるかどうかだが……」
――――――
士道「令音さん、琴里はどこに行ったんだ?」
士道「まあ、いなくても何とかなるんでしょうけど」
グラハム『………………』
――――――
令音「……急用でね」
令音「今回のナビゲートは私が務めさせてもらうよ」
――――――
士道「なら、早速 狂三のところに行かないとな」
士道「準備はいいか、俺の守護天使?」
グラハム『ああ。こちらの準備は万端だが……』
士道「どうした?」
グラハム『少年、急いだ方がいいかもしれん』
士道「まさか――――――」
グラハム『ああ。時崎 狂三が霊装を展開した――――――』
グラハム『!』
グラハム『少年! 気をつけたまえ! 学校を覆うほどの巨大な何かが出てくるぞ!?』
士道「なんだって!?」
士道「ハッ」
生徒「」「」「」バタバタ
士道「みんな!? おい、大丈夫か!? いったい何が――――――」
――――――
令音「――――――『広域結界』」
令音「範囲内の人間を衰弱させる類のもののようだな」
――――――
グラハム『少年。急がねばな』
士道「ああ」
十香「し、シドー……」ヨロヨロ・・・
士道「十香! 大丈夫か!?」
十香「ああ。だが、どうにも、身体が重い……」
グラハム『少年。どうやら、きみが封印してきた精霊の霊力が強力な加護となっているようだな』
グラハム『その反面、きみに霊力を封印された十香はまさしく普通の人間と同じ状態だ。多少は耐性はあるようだが、これでは他と大差はあるまい』
グラハム『この状況で まともに動けるのは きみだけ というわけだな』
士道「そうかよ! これで二人っきりになれるってことかよ、狂三め!」
グラハム『屋上だな。〈ナイトメア〉時崎 狂三はそこできみを待ち構えているようだ』
士道「十香。ここで休んでいろ」
士道「大丈夫だ。俺がみんなを助ける。必ずだ」タッタッタッタッタ!
十香「し、シドー!」
狂三「ようこそ。お待ちしておりましたわ、士道さん」’フフフ・・・
士道「屋上の錠を壊してまで お前はここでいったい何をやっているんだ、狂三!?」
狂三「素敵でしょう?」’
――――――【時喰みの城】。
狂三「わたくしの影を踏んでいる方の時間を吸い上げる結界ですわ」’
士道「――――――『影』」
グラハム『――――――『時間』とな』
グラハム『なるほど。少年、これで最悪の精霊〈ナイトメア〉の天使の正体がはっきりとわかったかもしれん』
士道「そうか。お前の左眼が時計になっている理由は――――――」
狂三「そうですの。これはわたくしの時間ですの。『寿命』と言い換えてもかまいませんわ」’
狂三「わたくしの天使は、それは それは、素晴らしい力を持っているのですけど、」’
狂三「困ったことに、使う度に膨大な時間を喰らっていきますの」’
狂三「だから 時折、こうして外から補充しておりますのよ」’
狂三「みなさん、哀れで可愛いわたくしの餌……」’
狂三「ああ でも、士道さんだけは特別ですわ」’
狂三「だって――――――、」’ペロリ
狂三「わたくしはあなたと一つになるために、あなたを 直接 食べてさしあげるために、ここまで来たのですもの」’
士道「やっぱりか、狂三……」
狂三「そうですわよ、士道さん――――――」’
狂三「ハッ」’
狂三「もちろん、ナイフとフォークで上品にあなたを切り分けて食べるというわけではありませんわよ? そこは勘違いしないでくださる?」’アセアセ
士道「……は?」
グラハム『自分で言っていて、昨日の出来事を思い出してしまったようだな、時崎 狂三は……』
士道「ああ なるほど……」
グラハム『さて、少年。状況としては〈ナイトメア〉時崎 狂三が圧倒的に有利な立場にあるように思えるが――――――、』
グラハム『そうではない』
グラハム『時崎 狂三がこの状況で“自身の天使の正体”というカードを切ったということは、』
グラハム『――――――『自ら戦力差を明らかにすることでしか きみを動揺させることができない』と焦っている証拠だ』
グラハム『事実、時崎 狂三は昨日の時点で重大な判断ミスを犯している』
グラハム『時崎 狂三は『きみを食べる』と言いながら、きみが死ぬと見せかけた時には 大いに取り乱して きみの命を救った――――――』
グラハム『つまり、時崎 狂三の目的は ただ単なる殺人ではなく、複雑であったり困難であったりする過程を含んだものということだ』
グラハム『そして、この場で 天使の能力が『影』=『時間』=『寿命』であると自らリークした――――――』
グラハム『そこから導き出せる〈ナイトメア〉時崎 狂三の目的とは――――――、』
――――――精霊の霊力という強大な『影』を体内に封印した少年の『時間』を自らに取り込んで自身の天使の力を増強させることにある。
グラハム『少年。正直に言って、今の我々の戦力では精霊:時崎 狂三を撃退することは至難の業だ。尻尾を巻いて逃げ出すのが精一杯であろう』
グラハム『しかし、少年に向けられている悪意の矛先を逸らすことは十分に可能だ』
グラハム『それはすでに鳶一 折紙との対話の中で少しずつ実践してきていることだ』
士道「……なんで、今のタイミングなんだ?」
士道「学校にはASTの隊員がいるんだから、こんなところで騒ぎを起こせば、すぐに邪魔が入るんだぞ?」
士道「やるんだったら、昨日のデートの続きで二人きりのクライマックスを迎えた時が狙い目だったんじゃないのか?」
狂三「それは、あなたを食べる前に今朝方の発言を取り消していただきたくて」’
――――――『わたくしを幸せにする』だなんて世迷い言を。
グラハム『ほう……』
狂三「ねえ、士道さん? あまり動じていないフリをなさっておりますけど、内心 わたくしの目の前にいるだけで 本当は逃げ出したいほどではありません?」’
狂三「そんな理由でこんなことをするわたくしは恐ろしいでしょう? 憎いでしょう? 慈悲を掛けるべき相手ではないとは明白でしょう?」’
狂三「だから、あの言葉を撤回してくださいまし」’
狂三「そうしたのなら、この結界を解いてさしあげてもかまいませんわよ」’
士道「…………!」
狂三「さあさあ、おはやく。手遅れになってしまったら、元も子もありませんよ」’
士道「狂三は可愛いやつだな」ハハハッ
狂三「!?!?」’
狂三「この状況で何を言って――――――」’
士道「わかったわかった。狂三が可愛くてしかたがないから、お前の言うとおりにしてやるよ」
――――――撤回する。俺はお前を幸せにはしない。
士道「だから、結界を解いてくれ」
狂三「…………っ!」’
士道「どうした? お前の言うとおりにしたぞ。結界を解いてくれ」
狂三「……呆れますわね」’ギリッ
グラハム『残念だが、時崎 狂三。きみも相当に歪んでいるが、相手が悪かったな』
グラハム『そもそも、その手の脅しは少年には通じない』
グラハム『少年が目標としているサムライ:織田 信長は非常に強かな人物であり、』
グラハム『危なくなれば 我先にと部下を置いて逃げ出し、必要となれば 敵対者に下手に出て機嫌を窺うこともよくやっていた』
グラハム『きみ自身が『世迷い言』と言った口約束を本気で撤回されると思っていなかったところに、きみの中の人間味が垣間見えよう』
グラハム『更に言えば、織田 信長の家臣:森 長可“鬼武蔵”という武将の所業を知っていると、』
グラハム『来禅高校を覆うほどの【時喰みの城】という大量殺戮兵器を持っていながら、これまでの殺傷数がたった1万人程度なのも笑い種だな』
グラハム『ギネス記録にもなっている 世界で最も利用者が多い 新宿駅近辺で使えば、1万人どころか350万人の影を一挙に奪うことができるというのに』
グラハム『つまり、非情に振る舞っているつもりでも非情に徹しきれていない人間性が窺い知れるというわけだ』
士道「さて、次はどんな手で俺の心を奪うつもりなんだ、狂三?」
狂三「なら、こういたしますわ!」’スッ
士道「?」
士道「!」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
狂三「この音が何かおわかりになりますのよね」’
士道「!!」
グラハム『なんと!?』
――――――〈ナイトメア〉時崎 狂三は突発的災害とされている空間震を意図的に起こせるというのか!?
――――――
神無月「ここまでどうなることかとハラハラして見ていましたが、」
神無月「イニシアチブを握れたと思ったところで、ここで空間震ですか!?」
神無月「このままでは――――――!?」
令音「いや、シンの守護天使の見立て通りだ」
令音「シン、狂三の【精神状態】が大いに変化している」
令音「まるできみを恐れているかのようだ――――――」
令音「――――――シン?」
令音「どうした、シン? きみの【精神状態】も今までで見たことがない異様なパターンになっているようだが……」
神無月「まさか、士道くん!?」
神無月「士道くん! 冷静になってください! まだ突破口はあるはずです!」
神無月「ですから――――――!」
――――――
士道「………………」
グラハム『少年!』
狂三「さあさあ、どうしますの? 今 空間震が起きたら気を失った生徒のみなさんはどうなりますでしょうね?」’キヒヒ!
士道「………………」
狂三「おやおや、士道さん? わたくしが空間震を起こせるだなんて さすがに想定外でしたわよね?」’
狂三「ですから、もう一度 ここで問いますわ、士道さん」’
狂三「こんなにも恐ろしい存在であるわたくしが幸せになる権利があるとお思いですの?」’
士道「狂三…………」
士道「狂三…………」ワナワナ
士道「狂三…………」ワナワナ!
狂三「……士道さん?」’
士道「狂三ぃいいいいいい!」ガバッ
狂三「し、しまった――――――」’ビクッ
士道「狂三!」ガシッ
狂三「は、はいですの!」’
士道「よくやった! お前は最高だ! “最高の精霊”だよ! 俺はお前に出会いたかった!」ギュッ
狂三「!!?!?!!!?!」’カアアアアア!
グラハム『少年?!』
――――――
神無月「士道くん!?」
令音「これは……、この【精神状態】は心からの『歓喜』――――――?」
神無月「いったいどういう――――――」
神無月「まだ気は抜けないですが、本当に士道くんには驚かされっぱなしですよ……」ハハッ
神無月「しかし、これはチャンスです! なし崩し的にこちらの要求を通すことができれば――――――!」グッ
――――――
狂三「し、士道さん……?」’アワワ・・・
狂三「こ、これは、い、いったい…………?」’ドクンドクン
士道「お前、自分の本当の価値に気づいていないだろう!」
士道「空間震を自分で起こせるってことは『空間震に空間震をぶつけて相殺することができる』ってことだろう?」
士道「それって凄いことなんだぞ!」
狂三「え」’
士道「今まで世界中の軍隊や科学者が空間震の抑止や再現を目指して失敗していく中でも、」
士道「無慈悲にも奪われていく生命や人々の営みを守ることができる最高の術がここにあるじゃないか!」
グラハム『たしかに、空間震は『空間の地震』である広域振動現象――――――』
グラハム『その名の通り、爆発する直前に“余震”が起こることから、空間震警報による事前の避難が可能となっている』
グラハム『一方で、空間全体にかかっている広域振動現象を打ち消し合う同程度の振動を加えることができれば、』
グラハム『理論的には空間震の相殺は可能――――――』
グラハム『しかし、理論的には可能であっても、『空間の地震』以前の『大地の地震』を打ち消す手段すら確立させていない人類には手が届かない解決方法だった』
グラハム『だが たしかに、その空間震の被害を抑えることが積極的にできると言うのであれば――――――!』
士道「たしかに、お前はもう人を殺し過ぎた。決して許されることじゃない」
士道「180度ひっくり返ったって“正義のヒーロー”になんかなれやしない」
士道「でも、今からでも遅くないんだ!」
――――――“正義のヒーロー”になる資格は失われても、“正義の味方”には今からでもなれる!
士道「俺と一緒に 世界中の空間震を止めて 世界に平和と安寧をもたらす“正義の味方”になろう!」
狂三「――――――“正義の味方”」’
士道「そうだ。お前が空間震に空間震をぶつけて相殺して、俺が空間震を誘引する精霊の霊力を封印する――――――」
士道「完璧だろう? そうした方が今の段階で俺を食べるよりも、もっともっと丸々と肥えて食べ甲斐があるはずだしさ」
狂三「わ、わたくしは…………」’
グラハム『さりげなく、自分が 今 喰われないように誘導していたな、少年よ……』
グラハム『だが、協力関係になるためには 互いにとってメリットがあることをはっきりさせた方が 互いに信用しやすい』
グラハム『それに、昨日の戦争〈デート〉で少年が口にしてきたことを思い出させるような言葉の積み重ね――――――』
グラハム『少年よ。その歳にして そこまでのことを淀みなく流れるように打ち立てていく様には、きみの成長を誰よりも側で見ていたと自負する私でも舌を巻くぞ』
――――――まさに、これぞ戦わずして勝つ!
――――――
令音「空間震が本格化する前に収まったようだね……」
令音「『広域結界』の方も同時に解除されたみたいだ……」
神無月「ええ。そのようです……」ホッ
神無月「――――――『〈デート・ア・ライブ〉始まって以来の最大の危機を乗り切った』と言ったところでしょう?」
神無月「しかし、『“最悪の精霊”を味方に引き入れる』という大胆な発想とずば抜けた度胸には、もう言葉が出ません」
神無月「司令、私が想像していた以上に士道くんは大きく成長していましたよ……」
令音「そして、先程の“正義の味方”というフレーズがクリティカルだったらしく、」
令音「精霊:時崎 狂三の【好感度】が一気に上昇した。すでにこれはオちる一歩手前だ」
神無月「難しいところですね」
神無月「我々としても空間震の抑止が目的である以上、その手段である精霊の霊力封印を行うべきか、考えるところです」
神無月「なにしろ、相手は最悪の精霊〈ナイトメア〉――――――、」
神無月「すでに1万人以上の人命を奪ってきたという罪科がある以上は簡単には信用できないでしょう」
令音「それに、ここまで騒ぎを大きくしてしまった以上、時崎 狂三はここにはもう居られないはずだ。もちろん、最初からそのつもりだったのだろうけど」
令音「となれば、精霊である彼女から有用な情報を聞き出す時間はそうないだろうね」
――――――
狂三「士道さん……、わたくし、本当に…………」’
士道「狂三。言わなくたっていい」ギュッ
士道「お前、最初に訊いたよな?」
狂三『士道さんはわたくしの正体を知っても、一人の人間として、愛してくれますの?』’
士道「俺は『努力する』って言っただろう?」
狂三「!」’
狂三「はい、士道さん……」’
狂三「………………っ」’ヒッグ
狂三「ああ 士道さん! 士道さん! 士道さん!」’ポタポタ・・・
士道「狂三、狂三……!」ギュッ
グラハム『なんと、本当に少年は悪意の矛先を180度くらい変えてしまったな……』
グラハム『もはや語るまい――――――』
グラハム『ハッ』
グラハム『いや、少年はすでに言っていたな――――――』
~~~
~~~~~~
~~~~~~~~~~~~
グラハム『しかし、いつ見ても空間震とは恐るべきものだな』
グラハム『十香一人でも同等の被害を出すことは可能だが、空間震に説得はできないからな』
士道「どこかに空間震を操って空間震を消してくれる正義の精霊がいてくれたらいいのに……」
グラハム『そうだな……』
~~~~~~~~~~~~
~~~~~~
~~~
グラハム『――――――最初から考え続けていたことだったのだな、これは』
グラハム『いやはや、見事! 天晴! いよ、天下一!』
グラハム『少年、きみの働きに心からの最大級の称賛を贈ろう――――――』
グラハム『――――――と、言いたいところだがッ!』
グラハム『この段階では1点もやることはできないッ!』
グラハム『少年! ここからが本番だぞッ! 死ぬ気でかかるぞ!』
グラハム『だが、あえて言わせてもらおう!』
グラハム『死ぬなよ!』
士道「ああ!」グイッ
狂三「え」’
士道「――――――!」クルッ ――――――不意に狂三と位置を入れ替わり、
――――――【グラハム・スペシャル】!
グチャ!
士道「ぐあああ!」カハッ ――――――狂三を抱きしめる背中を鋭く拳が突き刺さる!
狂三「し、士道さん!?」’
狂三「――――――っ!」’
士道「うおわああああああああああああああああああああああああああ!」ダッダッダッダ!
――――――まったく、この頃の“わたくし”は若すぎたかもしれませんね。
狂三(真)「――――――“正義の味方”なんてものにまだ憧れを抱き続けていた年頃ですもの」
狂三(真)「しかし、さすがは士道さんですわね。正直に言って、ここまでやるだなんて思っていませんでしたわ」
狂三(真)「あるいは、“わたくし”があまりにもおしゃべりだったかもしれませんわね」
狂三(真)「どちらにしろ、あなたは“わたくし”の『影』に警戒しておりましたわ」
狂三(真)「そうじゃなければ、〈わたくし〉が“わたくし”を殺すのに対応できるはずがないですもの」
狂三(真)「さて、“わたくし”を抱えて この狭い屋上でどこまで足掻くのか、見物ですわよ、士道さん?」
狂三(真)「でも、まだるっこしいのはこれで終わりにしましょう」ジャキ!
狂三(真)「ね、士道さん?」キヒヒ!
真那「――――――!」スパーン!
狂三(真)「………………!」ボトッ ――――――右手が斬り落とされた!
真那「また危ねえところでしたね、兄様」
グラハム『少年! きみのもう一人の妹君が!』
士道「助かった! すまないが、今回だけは俺が逃げる時間を稼いでくれ!」
真那「ええ! 最初からそのつもりですよ、兄様! 実の妹の活躍を目に焼き付けやがれですよ!」ジャキ!
狂三(真)「いつもながら、さすがですわね。わたくしの霊装をこうも簡単に斬り裂くだなんて」キヒヒ! ――――――しかし、平然としている!
狂三(真)「 で も ぉ ? 」
――――――〈わたくし〉だけは殺させてさしあげるわけにはまいりませんわねぇ!
狂三「士道さん! 来ますわよ、わたくしの天使が!」’
士道「なに――――――」
士道「あ、あちちちちちち……!」ジュウウウウウウウ!
グラハム『振り向かず行け、少年! 私が見届ける!』
グラハム『やはり、あそこに立っているのが本物の“時崎 狂三”だ! 霊力がその分身体とは桁違いだ!』
――――――おいでなさい! 〈
狂三(真)「――――――【
グラハム『――――――巨大な時計盤。あれが時崎 狂三の天使か』
グラハム『そして、昨日 少年を回復させるために撃ったものだな、あれは。やはり、自分に向けて撃つか』
真那「大した回復能力です」
グラハム『いや、ちがう! 〈ナイトメア〉時崎 狂三の天使の本質は『影』=『時間』だ! それが意味するところは――――――』
狂三(真)「ちがいますわよ! 時間を戻しただけですの!」キヒヒ!
狂三(真)「さあさあ! 始めましょう!」
真那「上等です! また いつものように殺してやります!」ジャキ!
狂三(真)「まぁだ わかりませんの?」キヒヒ!
――――――あなたにわたくしを殺し切ることが絶対にできませんわ!
真那「その喉から消し飛ばしてやります!」
狂三(真)「――――――【
真那「また自分に向けて――――――」
真那「ハッ」
真那「くっ」
狂三(真)「――――――【
狂三(真)「はい、おしまいですわよ、真那さん?」バキューン! バキューン! バキューン!
真那「そ、そんな…………」ガクッ
狂三(真)「さて、士道さん。待っていてくださいまし、今 行きますわよ」キヒヒ!
真那「兄様……、逃げて…………」ウウウ・・・
グラハム『ま、真那……!』
グラハム『くっ、時間を操る天使がこうも強力とは――――――』
グラハム『しかし それ以上に、対象を選べる上に おそらく12種類もあのようなものがあるとは 汎用性が高すぎるぞ、
ダッダッダッダ!
グラハム『少年、真那がやられた! すぐに追ってくるぞ!』
士道「嘘だろう!? まだ1分も経ってない――――――、秒殺じゃないか!?」
狂三「当然ですわ。〈わたくし〉が本気を出せば、どんな精霊だって敵いっこありませんもの……」’
狂三「それに、士道さん。助けてもらったことには本当に感謝しておりますが、」’
狂三「“わたくし”という存在も〈わたくし〉からの『時間』の供給がなくなれば、幾許もない命ですわ……」’
士道「そんな!?」
狂三「ですから、“わたくし”を置いて逃げてくださいまし」’
狂三「“わたくし”は士道さんとデートをした『わたくし』でも、初めてお会いして学校を案内してもらった『わたくし』でもなく、』’
狂三『その記憶を引き継いだ 誰でもない“わたくし”ですわ」’
狂三「“わたくし”が死んだところで、〈わたくし〉の中の『時間』に戻るだけですから、」’
狂三「どうか、“わたくし”のことは忘れて、今は士道さんが生き残ることに全力を――――――」’
士道「いや、ある! お前は“お前”だ! 他の誰でもない“お前”なんだ!」
狂三「え」’
士道「お前は俺と一緒に“正義の味方”をやるんだろう? そうすると決めたはずだ!」
士道「それだけで、お前は俺にとっての俺だけの“最高の精霊”だよ! ようやく出会えたんだ! 離れ離れになんかなりたくない!」
士道「絶対にお前を延命させる方法を見つけ出してやる!」ググッ
狂三「し、士道さん……」’
グラハム『少年』
グラハム『!!!?』
士道「なっ」
狂三「あ……」’
時崎 狂三の分身体「楽しいでしょう?」「遊びましょう」「おまちしてましたわ」キヒヒ!
士道「わ、わかってはいたけど、こんなに――――――」ゾクッ
グラハム『学校の中は〈ナイトメア〉だらけだな…………』
狂三「あれは【
グラハム『道理で最高クラスの“
士道「こんなの、いったいどうしろっていうんだよ!?」
狂三「大本である〈わたくし〉を殺すしかありませんわ」’
狂三「けれど、いつでも『影』と入れ替わってますから、そこをどうにかしない限りは……」’
士道「けど、『影』は1つなんだろう?」
狂三「え、ええ。天使を使えるのは〈わたくし〉だけではありますけど……」’
士道「その情報だけでも十分だ」
士道「あとは、攻勢に転じることができれば――――――」
グラハム『!!』
グラハム『少年!? まさか、あの禁じ手を使う気ではあるまいな!?』
士道「……そうなるかもしれないな。あいつの弱点はこれでわかったことだしな」
士道「けど、今は俺よりも狂三だ! 俺がいなくなっても 狂三が世界を救う“正義の味方”になってくれれば それでいい!」
狂三「士道さん……」’
グラハム『だが、少年! それは最期の最期まで抵抗した時の話!』
士道「ああ! とにかく、今は逃げるんだ! 今回ばかりはASTに助けてもらおう!」
――――――俺はここだ! 折紙!
狂三「!」
折紙「はあああああああああ!」スパーン!
分身体「」「」「」「」ボトボトッ
狂三「折紙さん……?」’
折紙「あなたのことは気に入らない」ジロッ
折紙「けど、あなたが士道と共にあるというのなら、私は最優先目標の排除を優先するだけ」
士道「折紙、応援は呼べたか?」
折紙「ええ。でも、すぐに駆けつけることはできない」
折紙「だから、一刻も早く 士道は学校の外へ脱出して」
折紙「こいつらは明らかに足止めが役割の捨て駒。弱すぎる。こんなところで時間を取られている暇はない」スパーン!
士道「ああ!」
狂三「………………」’
ダッダッダッダ!
分身体「遊びましょう」「楽しいですわ」「待ってましたわ」キヒヒ!
折紙「ええい!」スパーン!
狂三「お呼びでないですわよ、わたくしたち」’バキューン! バキューン!
分身体「」「」「」ボトボトッ
折紙「きりがない……」
狂三「状況がそうさせているとは言え、わたくしたちを撃ち殺していくのは、あまりいい気分ではありませんわね……」’
士道「まったくだ。『時間』を無駄遣いしすぎだとは思わないか?」
士道「お前からも言ってやってくれないか?」
狂三「たぶん、無理ですわね、現在の〈わたくし〉には……」’
狂三「士道さん、かつて“わたくし”にも あなたのように“正義の味方”であるように導こうとした精霊がおりましたわ」’
士道「え」
狂三「彼女は わたくしとは正反対の光の精霊――――――」’
狂三「そして、何度も対峙しあった好敵手であり、“正義の味方”の使命を思い出させた恩人でもあり、最高の盟友でもあった――――――」’
狂三「彼女がいたからこそ、“わたくし”はまだ“正義の味方”を捨てずにいられた……」’
狂三「けれど、彼女は全ての元凶である〈始原の精霊〉に戦いを挑んで敗けた――――――」’
狂三「だから、現在の〈わたくし〉は“正義の味方”でなくなってしまったのですわ」’
グラハム『――――――全ての元凶〈始原の精霊〉』
士道「そうだったのか……」
狂三「士道さん、もし本当に“時崎 狂三”を幸せにするというのでしたなら、その絶望から救ってくださいまし」’
狂三「〈わたくし〉はその絶望に囚われたまま。過去に囚われたままなのですわ」’
狂三「時間を操る天使を持つ精霊がもっとも時間に囚われているのですわ」’
狂三「日に日に遠ざかっていく過去という幻影を追うために 今を生きる人々の『時間』を奪うことに必死になっておりますの」’
士道「……俺にそこまでのことができるのか?」
狂三「できますわ、士道さんになら」’
狂三「士道さんは 昨日のあんな状況であってさえ 言い切りましたわ」’
士道『もし説明できないなら、食べることだけが幸福じゃないってことを、俺がこれからのデートで狂三に教えてやる』
狂三「そして、“わたくし”は“正義の味方”としての使命を 今一度 思い出すことができましたの」’
狂三「だからこそ、残り幾ばくもない“わたくし”を士道さんが創り上げる未来に捧げますわ」’
狂三「――――――わたくしたちの屍の山を築き上げたとしても!」’ジャキ!
士道「捧げるな。一緒に創るんだ。そう決めたはずだ」
狂三「はいですの」’ニッコリ
折紙「………………」
分身体「――――――!」 ――――――【一の弾】による加速状態!
折紙「!!!!」
折紙「速――――――」ゾクッ
士道G「集中せんか!」ガシッ
分身体「きゃっ」ドン!
狂三「さすがは士道さんですわね。【一の弾】を使った『わたくし』すらも手玉に取っておられますの」’バキューン!
分身体「」
折紙「あ、ありがとう、士道……。助けるつもりが助けられた……」
士道G「礼は危機を脱してから、たっぷり受け取るとしよう」
士道G「しかし、ついに分身体にすら天使を使い始めたか……」
狂三「これは長くは保たないかもしれませんわね、士道さん……」’
狂三(真)「そうですわよ、士道さん! 鬼ごっこはここまで! もう逃しませんわよ!」キヒヒ!
分身体「遊びましょう」「楽しいですわ」「待ってましたわ」キヒヒ!
折紙「こ、これは――――――!」
士道G「―――――― 一瞬で囲まれた、か」
狂三「おまけに、【一の弾】で加速状態の『わたくし』が士道さんを瞬時に捕らえようと何人も控えておりますわ」’
分身体「遊びましょう」「楽しいですわ」「待ってましたわ」キヒヒ!
士道「…………ここまでなのか」ガクッ
折紙「…………士道」
狂三「いえ、士道さんはよくやってくださいました」’
狂三「なら、最期の時は士道さんと一緒にいさせてくださいまし」’
折紙「時崎 狂三、抜け駆けは許さない」
折紙「私も最期の時は士道と一緒」
士道「お前たち……」
士道「くそっ……」ポタポタ・・・
士道「何も果たせないまま、何も救えないまま、俺は何をやっているんだ……」ポタポタ・・・
グラハム『すまない、少年……』
狂三(真)「おやおや、ようやく士道さんもあきらめてくださいましたか。少しかわいそうに思えてきましたわね」
狂三(真)「ですが、ここまで士道さんに何度も驚かされてきましたからには、最後の最後まで気を抜かないようにしませんとね」
狂三(真)「さあ、わたくしたち。裏切り者の“わたくし”やここまで一緒に頑張った折紙さん共々、士道さんを美味しくいただきましょう」
分身体「士道さん!」「おいでなさい!」「待ってましたわ!」ドドン!
士道「くっ」
グラハム『!』
狂三(真)「!!」
――――――シドーには 指一本 触れさせんぞ、貴様ら!
十香「はああああああああああああああああああ!」ババーーン! ――――――全方位バリアー!
分身体「ううっ!」「痛いですわ!」「きゃああ!」ドタドタッ
狂三(真)「わたくしたち!?」
狂三(真)「くっ」ギリッ
十香「シドーは私が守る!」
士道「十香!?」
折紙「夜刀神 十香!? その姿は――――――」
狂三「――――――限定霊装」’
グラハム『少年。どうやら、霊力封印が一定の水準まで低下したことで、本来の精霊の力を 一部 取り戻した姿がアレのようだ』
士道「それって、『【精神状態】がかなりヤバいところまでいっている』ってことだろう? 喜んで良いのやら、悪いのやら」
士道「けど!」
士道「助かったぞ、十香!」
十香「うむ! これで今日の夕餉はおかわり自由だな!」ニッコリ
士道「考えておく」ハハッ
士道「どうだ、折紙? 精霊を味方にできれば、これほど心強いものはないだろう?」
折紙「…………今は戦いに集中するべき」ジャキ
士道「ああ」
狂三(真)「まったくもって、本当にしぶといですわね、士道さんも」ギリッ
狂三(真)「けれど、限定霊装の精霊が一人加わったところで、多勢に無勢! いずれは数の暴力に飲まれるのが関の山ですわ!」キヒヒ!
十香「狂三!」
――――――まったく、こっちのことをいつまでも無視して、少しは痛い目を見やがれですよ!
真那「隙だらけですよ、〈ナイトメア〉時崎 狂三?」クイクイッ!
分身体「」「」「」ドタドタッ ――――――操作レーザーで一網打尽!
狂三(真)「なっ」
士道「真那!」
真那「遅くなりました、兄様!」
真那「“義姉様”も、ここまで兄様の護衛、ありがとうございました!」
折紙「無事で何より」フフッ
十香「よし、なら 反撃開始と行こう!」ジャキ!
士道「待て、十香。お前はこのままでいい」
十香「どういうことだ、シドー?」
士道「十香が全体防御、真那が全体攻撃、折紙が近距離迎撃、狂三が遠距離迎撃を分担して現状を維持すれば、ASTの到着まで余裕で対処できる」
士道「だから、十香がここで踏ん張ってくれれば 俺が助かるし、みんなが助かる」
十香「おお! そうか! シドーがそう言うのなら、私が全力でみんなを守るぞ!」
士道「よし、いい子だ!」
士道「折紙も真那もそれでいいだろう? これが現状における最善の策だ!」
折紙「…………士道がそう言うなら 私はそれに従う」
真那「まさか、兄様の隣人さんが精霊だっただなんて驚きでしたけど、」
真那「私の使命は最悪の精霊〈ナイトメア〉をどうにかすることですから、何の問題もねえですよ、兄様!」
士道「ありがとう、二人共」
グラハム『〈ナイトメア〉の攻撃では限定霊装の〈プリンセス〉の防御障壁を破ることができない上に、』
グラハム『数に物を言わせて突撃させても 規格外のCR-ユニットに身を包む崇宮 真那に尽く迎撃されるだろう』
グラハム『そして、撃ち漏らした個体や接近を許した個体には狂三と折紙が対応する――――――』
グラハム『これで持久戦の態勢が整ったな』
グラハム『よもや、時間を操る精霊相手に時間で勝利しようとはな』
グラハム『だが それよりも、本来ならば敵対する者同士で連携をとらせることが いかに困難なことか――――――』
グラハム『これこそが将器というものなのであろうな、少年!』
狂三「さて、さすがにこれ以上は退いた方が賢明ではなくって、〈わたくし〉? 『時間』を 相当 無駄遣いしましたわね」’フフッ
狂三(真)「……“わたくし”の分際でよくも!」
狂三「“わたくし”から言わせてもらえば『〈
狂三「本当に目指していたものを打ち捨てて、それとは正反対の悍ましいものに成り果てて、それで『全てを“なかったこと”にする』ですって?」’
狂三「片腹痛いですわね! それが“かつて正義を目指した者”に残された欠片ばかりの意地と贖罪ならば、今すぐ その命を天に帰すべきですわ!」’
狂三「自分まで外道に堕ちて いったい未来に何が残ると言うのですか!」’
狂三「――――――答えなさい、〈わたくし〉! いや、“時崎 狂三”!」’
狂三(真)「………………っ!」
士道「……狂三」
折紙「……精霊に正義なんてあるはずがない」ギリッ
真那「……まあ、真那としては最悪の精霊〈ナイトメア〉を倒せれば何でもいいんですけどね」
十香「あ、シドー! メカメカ団が――――――!」
士道「ああ。あれは味方だ。暴れるなよ、十香」
折紙「これで峠を越したか……」フゥ
グラハム『ここまで長かったな。しかし、時間にしてみると、まだ夕焼け空に染まる前の青空の下の出来事であったか』
真那「最悪の精霊〈ナイトメア〉、お前の手の内は全て知ることができました」
真那「これからはそれを踏まえて全力で殺しにかかるので、また よろしくお願いしやがれです」
狂三(真)「……そうですわね。どうやらここまでみたいですわね」スッ
狂三「ハッ」’
狂三「真那さん! 今すぐに〈わたくし〉を撃ってくださいまし!」’
真那「え」
狂三「急いで!」’
グラハム『――――――まさか!? そうか、我々の布陣を崩す方法が!』
狂三(真)「――――――なぁんて、言うとでも思いましたの!?」
狂三(真)「――――――【一の弾】!」バキューン!
真那「この!」
狂三(真)「――――――」ヒュン!
真那「ちぃ」
折紙「――――――逃げた?」
士道「ちがう、折紙! やられた! 逆手に取られた!」
士道「狙いは応援にきたASTの方だ!」
折紙「なっ」
狂三(真)「ばあー」シュッ
AST「!?!!」「た、隊長!?」「こ、この――――――」
狂三(真)「――――――【七の弾】!」バキューン! バキューン!
AST「」「」「」
狂三(真)「はい。みなさん、おしまいですわよ」バキューン! バキューン! バキューン!
AST「」「」「」ドサドサッ ――――――応援にきたAST全滅!
狂三(真)「おやおや? 真那さんと折紙さんがよっぽど頑丈だったのか、他の方ももう少し頑張ってくださらないと 張り合いがありませんわよ?」
狂三(真)「さて、これで『士道さんたちの頑張りも徒労に終わった』というわけですわよね?」キヒヒ!
折紙「そんな…………」
真那「やはり、まともに相手ができるのは私だけだったみたいですね……」
狂三「……やってくれましたわね、〈わたくし〉!」’ギリリ・・・
十香「ど、どうするのだ、シドー!? メカメカ団が来るまで耐えるのだったのだろう? このままでは勝機はないぞ!?」
士道「く、くそっ! こっちには最低限の戦力しかないってのに!?」
グラハム『増援が逆に片付けられてしまっては、この布陣に意味はない!』
グラハム『我々にはもう後がないぞ、少年!?』
グラハム『…………最悪の精霊〈ナイトメア〉!』
――――――武力でもってしても、対話でもってしても、その脅威を取り除くことができないというのか!?
狂三(真)「よく頑張ったと褒めてさしあげますが、とうとう 終わりの時が来ましたわね、士道さん?」
十香「ううぅう!」 BIND!
真那「うあっ!」 BIND!
折紙「…………っ!」 BIND!
士道「十香! 真那! 折紙!」ベシベシ! ――――――時崎 狂三の分身体の攻勢を ただ一人 捌き切るものの 敵中孤立!
狂三「こ、ここまでのようですわね……」’ BIND!
士道「狂三まで!?」
グラハム『ここまで抵抗してみせたものの、無尽蔵に湧く分身体の物量の暴力!』
グラハム『これでは、まるでELS――――――』
狂三(真)「さてさて、士道さん。わたくしも手荒な真似はしたくないのですが、」
狂三(真)「もう二度とわたくしを誑かさないよう、絶望を刻み込んでさしあげないといけませんわねぇ!」
狂三(真)「さあ、裏切り者の“わたくし”を連れてきなさい」
狂三「くっ……」’
士道「狂三!」
狂三「士道さん……」’
狂三「わたくしは士道さんのことを知ってから、ずっと焦がれていましたわ」’
狂三「だから、こうして最後まで一緒にいられて、すごく幸せでしたわ」’ニッコリ
士道「!」
士道「ダメだ! あきらめるな! お前は俺と一緒に世界を救うんだろう!?」
士道「――――――“正義の味方”なら最期まであきらめるなあああ!」
狂三(真)「まだ そんなことを……」
狂三(真)「まあ、これが現実というものですわよ、士道さん?」スッ
士道「あ」
狂三「――――――」’
グチャ!
狂三「あ、ああ…………」’ガクッ
士道「狂三ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
狂三(真)「これで少しは大人になれましたね、士道さん?」キヒヒ!
ガシッ
狂三(真)「!!?!」
狂三「……“わたくし”を殺しても、ただ〈わたくし〉の中に帰るだけ!」’グググ!
士道「狂三!?」
グラハム『!!』
狂三(真)「ど、どうして!? すでに胸を貫いたというのに、どうして――――――」
狂三「だから、これは”死”ではありませんの! 士道さん、紗和さん、それから――――――と一緒に築き上げたかった明日のため!」’
狂三「さあ、わたくしたち! “正義の味方”になれなかった過去も! 後悔も! 全て! 士道さんに託しますわよ!」’
分身体「!!!!」「!!?!」「?!!?」オロオロ
狂三(真)「わ、わたくしたち!? 何をしていますの!? 早くこの“わたくし”を何とかなさい!」
狂三「今ですわ、士道さん!」’
――――――わたくしに
士道「!!!!」
士道「狂三ぃいいいいいい!」ダッダッダッダ!
士道「グラハム!」
グラハム『ああ!』
――――――【グラハム・スペシャル】!
狂三(真)「この土壇場で何をするつもりかはわかりませんが!」
狂三(真)「わたくしたち!」
十香「シドー!」ドン!
真那「兄様の邪魔はさせない!」バッ!
折紙「連携が乱れた! 反撃の好機は今!」ドスッ!
狂三(真)「なっ」
狂三(真)「あ」ガシッ
士道「――――――」
狂三(真)「士道さ――――――」
狂三(真)「!?!!!!」ズキュウウウウウウウウウウン!
狂三「」’スゥーーーー
分身体「」「」「」スゥーーーー
折紙「……分身体が消えた」
真那「……これが兄様の戦争なんですね」
十香「何とか今回も成し遂げたみたいだな、シドー?」
士道「狂三……」
狂三「士道さん……」’
士道「!!?!」
士道「く、狂三……」
狂三(真)「あらあら、どうなさいましたの、“わたくし”? 愛しの士道さんと想いを遂げられて本望でしたわよね?」キヒヒ!
狂三「ゴホゴホ・・・」’
士道「こ、この……」
グラハム『やはり、途中から入れ替わっていたか! 霊力が途中から急激に弱まったと思っていたら!』
狂三(真)「まったく、先程の士道さんは盛りのついた犬のようでしたわね」
狂三(真)「女の子と見たら 誰彼かまわず 唇を奪おうだなんて、紳士のすることじゃありませんわよ」
狂三(真)「そして、残念でしたわね、“わたくし”? 最後の最後に一か八かの大勝負に出たわけですけど、結果はものの見事に空振りですわ」
狂三「アア・・・・・・」’ゴホゴホ・・・
士道「狂三!」
狂三「シドウサン・・・・・・」’ニコッ
狂三「」’ガクッ
士道「狂三ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」ポタポタ・・・
士道「うわあああああああああああああああああああああああ!」ポタポタ・・・
狂三(真)「そういうわけですから、これで長らく上演されてました悲劇の舞台も幕を閉じますわ」パチン!
分身体「また遊びましょう」「何度でも」「楽しいですわ」キヒヒ!
十香「そ、そんな……」
真那「に、兄様……」
折紙「ま、またしても…………」
狂三(真)「ここまでみなさんお揃いで頑張りぬいたご褒美に 特別に士道さんと一緒に あなたたちも食べて差し上げますわ!」ペロリ
分身体「――――――!」グググ!
折紙「ア、アア・・・・・・」 BIND!
折紙「」ガクッ
真那「まだ、私は――――――」
真那「!?!!」フラッ
真那「こ、こんな時に…………」ヨロヨロッ
真那「ニイサマ・・・・・・」
真那「」バタン
十香「お、おい!」
十香「し、シドー! シドー! これからどうすればいいのだ!? 答えてくれ、シドー! シドー!」
グラハム『みんな……』
グラハム『なぜだ! なぜなのだ! なぜこんなにも悲劇は繰り返されようとしているのだ!』
グラハム『私はそれをただ見ているしかできないと言うのか!?』
グラハム『私はいったい何のために 恥を忍んで 再び少年と共にあろうとしてきたのだ!?』
グラハム『少年の輝かしい未来への水先案内人は、このグラハム・エーカーが引き受けたはず!』
グラハム『ならば、グラハム・エーカーよ! 座して死を待つよりは、出でて活路を見出さんか!』
グラハム『これほどまでに私を信じて戦ってきた少年“五河 士道”と少年を信じて戦ってきた戦友に報いるために!』
グラハム『そして、
グラハム『――――――『死者が生者の世界に干渉してはならない』?』
グラハム『そうだ! そんな道理、今こそ、私の無理でこじ開ける!』
――――――〈グラハムガンダム〉! グラハム・エーカー! 世界の歪みを破壊する!