【デート・ア・ライブ】 デート・ア・ガンダム -武×士道×グラハム- 【機動戦士ガンダム00】 作:LN58
――――――自衛隊病院
折紙「また来てくれて ありがとう、士道」
折紙「それと、グラハム・エーカー」
士道「ああ。また こうして見舞いに来ることができてよかったよ」
士道「俺の前では元気そうに振る舞っているけど、すぐに退院できてないんだから、あまりはしゃぐなよ」
――――――
グラハム「しかし、普通なら軍法会議で極刑を言い渡されるところを、たった2ヶ月間の謹慎処分になったのは奇跡と言っていいぐらいだな」
――――――
士道「そうだぜ? 炎の精霊〈イフリート〉との戦争が終わった後、一番に心配していたのは折紙のことだったんだからな?」
士道「お互い様だろうけれど、命はもっと大切にしろよ」
士道「お前が生きていること、それ自体が亡くなったご両親の誇りみたいなものなんだからさ」
折紙「…………そう」
士道「まあ、これから2ヶ月間はゆっくり休めるからな」
士道「その間にも俺たちの戦争は続いていくけれども、ASTにだって頑張ってもらわないといけないんだからさ」
士道「そうだ。またデートをしよう。この前の続きを、さ」
士道「それとも、入院している間に ここで茶を点てた方がいいか? 俺としても そっちの方が性に合っている」
折紙「……うん。楽しみにしてる」
――――――
グラハム「今回の減刑処置は先日の最悪の精霊〈ナイトメア〉戦でASTの実働戦力をズタズタにされたこともあるが、」
グラハム「圧倒的な存在である特殊災害指定生命体“精霊”に敢然に立ち向かう闘志と才能を惜しんだ温情が多分にあったと見える」
グラハム「鳶一 折紙、きみはこんなにも部隊の人間から愛されているのだぞ」
――――――
士道「そうだぞ――――――って、おい! グラハムが見ている前で、またお前は!?」
折紙「問題ない。私たちの関係は公認。周囲に見せつけるべき」グイグイ
折紙「それとも、この前みたいに士道の方から――――――?」ドキドキ
士道「い、いつまでそのことを引きずるつもりだ!?」カアア!
折紙「大丈夫。士道になら」
折紙「前田 利家は 12歳の子と結婚して翌年に子供を生ませて 五大老の筆頭・加賀百万石・槍の又左だったのだから」
折紙「それと比べたら私たちの関係はずっと健全」
折紙「よって、合法。何の心配もない」
士道「なっ」
――――――
グラハム「してやられたな、少年」フハハハハ!
グラハム「いつかの時に使った切り返しを言われてしまうとはな」
グラハム「さて、どうする、少年?」
――――――
士道「いやいやいや! 今は戦国時代じゃないから法律的にも倫理的にも違法だっての!」
士道「しかも、ここ! 自衛隊病院! 公共の場でやったら犯罪だっての!」
折紙「問題ない。防音性は完璧。盗聴や盗撮の心配もない。完全なプライベート空間」
士道「ま、まさか!? この病室にも仕掛けが満載なのか!? あそこの色違いの床パネルとかそうなのか!?」
折紙「そう、全ては真実の愛のため」
士道「およそ、この状況には似つかわしくない言葉を言ってきたぞ!?」
折紙「さあ、士道――――――」ペタペタ
士道「や、やめろ! それ以上はさすがに怒るぞ! ど、どこを触っているんだ、折紙!?」
士道「ナースコールするぞ!?」
折紙「士道……」
士道「……なんで精霊と対話する以上のプレッシャーを感じているんだ、俺は!?」
士道「グラハム! 見てないで何とか言ってくれ! 風紀の乱れは秩序の乱れだぞ!?」
――――――
グラハム「では、鳶一 折紙」
――――――
折紙「……何?」
士道「そうだ、グラハム! 言ってやれ!」
――――――
グラハム「少年は属性萌えよりもシチュエーション萌えだ」
グラハム「それでいて、倫理的に抵抗のあるシチュエーションは大の嫌いときている」
グラハム「無理矢理は 一番 萎えるタイプだから、婚前交渉は 極力 控えたまえ」
――――――
士道「おい! 今、何て言った、グラハム!? 俺の守護天使!?」
折紙「わかった。たしかに、無理矢理はよくない」
士道「ええ……」
折紙「士道。今日は来てくれて本当に嬉しかった」
折紙「あんなことをした後でも、士道は変わらずに 今もこうして私とつきあってくれていることが何よりも嬉しい……」
士道「え、ああ…………」
士道「まあ、学校だけの付き合いだったら こうはいかなかっただろうな……」
士道「全ては四月一○日――――――、」
士道「あの日、十香と折紙に空間震が起きた場所で出会ったことが始まりだったからな」
折紙「………………」
士道「なあ、イジワルな質問をしていいか、折紙?」
折紙「何?」
士道「学校だけの付き合いで 互いの秘密を知らずにいられたら、俺たちの関係は今よりもっと進展していたと思うか?」
折紙「士道……」
士道「少なくとも、こうして見舞いに来ることはなかったはずだ。自衛隊病院だし」
折紙「……たしかに」
士道「なら、わかりあえた方がずっと気分がいいよな?」
士道「そうだろう?」
士道「だから、俺たちはまた会うことができたんだ」
折紙「………………」
士道「きっかけはたしかに偶然だったのかもしれない」
士道「だからこそ、対話が必要なんだぞ、折紙」
――――――
グラハム「説得はいかなる時でも欠かさないか、少年よ」
グラハム「その一方で、ASTの力も必要だと認めているからこそ、少年は戦うことを全否定することはない」
グラハム「目的は同じであるはずなのに、すれ違ってしまっている対話の道と殲滅の道を1つの変革の道へと至らせるために――――――」
グラハム「あえて言わせてもらうのなら、健康と病気の間で連続的に変化している状態“未病”に準えて――――――、」
グラハム「これもまた、戦いを防ぐための戦い“未戦”だな。常在戦場とはまさにこのことであるな」
――――――少年の戦いは 形を変えながら いついかなる時でも これからも続いていくのだから。
――――――
――――――空中戦艦〈フラクシナス〉
神無月「さて、人間を精霊にする精霊〈ファントム〉ですか……」
琴里「士道とグラハムの証言やらも加味すると、わかっている範囲では これぐらいね」
士道「やっぱり、十香も四糸乃も元は人間なんだよな?」
令音「それはまだわからない」
令音「人間だった頃の記憶があるのなら、その裏付けをとることもできるだろうが、今の二人はすでに“十香”と“四糸乃”だからね」
琴里「親許に帰せるのなら帰すべきなんでしょうけどね……」
琴里「その点、私は本当に恵まれているわよね……」
神無月「司令……」
令音「………………」
士道「何を言っているんだよ、琴里?」
琴里「え」
士道「琴里の悪いクセだぞ、それ?」
士道「なんで自分で自分を僻んでいるんだよ?」
士道「不平等の世の中で公正さを求める琴里の良心があったからこそ、十香も四糸乃も元気でやっていられるんだぞ?」
士道「たとえば、税金の基本理念も格差是正の平等だからな」
士道「自分の経験や能力を社会の公正のために使おうとしているんだから、至らなさは克服していくにしても、悪く言われることなんて何もないんだぞ」
士道「お前が最初にいたからこそ、救われたものがあるんだからさ」
琴里「士道……」
神無月「そうです、司令! この神無月 恭平、五河司令と出会えたことで、ようやく天命を悟ることができたのですから!」
神無月「私だけじゃなく、〈フラクシナス〉クルーの全員、五河司令と出会えたことで救われているのですから!」
令音「私もさ、琴里」
琴里「みんな……」
琴里「ありがとう。少し らしくなかったわね」
神無月「それはしかたありませんよ、司令。調子を取り戻すのに時間がかかるのも無理ありませんから」
士道「そうだぞ。無理するなよ」
琴里「善処するわ」
琴里「ねえ、士道?」
士道「?」
琴里「私の霊力を封印する時に言ったこと――――――、ホント?」
士道「もちろん、本当さ」
士道「大好きだぞ、琴里」
琴里「――――――!」カアア!
琴里「……そ、それって、やっぱり“家族”として?」
士道「ああ」
琴里「…………そう。そうよね。それが“五河 士道”なんだから」
士道「それじゃ、琴里」
――――――またデートしようぜ。
琴里「ふぇ!?」ドキッ!
神無月「おお!」
士道「霊力封印を施した精霊のアフターケアも必要だけど、家族サービスもしっかりとやらないといけないからな」
士道「お前の気分と好みに合わせてデートしてやるぞ」
士道「――――――“おにーちゃん”か、“兄貴”か、“五河 士道”か? 楽しみにしていろよ」
琴里「……まったく、そういうこと」フフッ
琴里「うん。楽しみにしてるわ、おにーちゃん!」
令音「シン、琴里」フフッ
――――――
グラハム「少年。仮想世界の準備は整ったぞ」
――――――
士道「おお そうか」
士道「じゃあ、行ってくる」
琴里「ええ。いってらっしゃい」
琴里「令音、あとはよろしく」
令音「ああ。まかせてくれ」
神無月「司令もおつかれさまでした」
琴里「ええ」
――――――“現代のサムライ”五河 士道には色事だけにかまけている暇はないんだから。
――――――仮想世界:MISSION-2306
グラハム「少年、よくぞ参られた」
士道「おお! 本当にグラハムだ! グラハム・エーカーだ!」
士道「――――――って、あれ?」スカー
グラハム「少年。仮想世界であっても 私は外見だけで実体を持たないサイバーゴーストでしかないが、」
グラハム「こうして隣に立って歩くことはできるぞ」
士道「ああ。それでいいさ」
士道「俺たちは一心同体の“もう一人の自分”なんだからさ」
グラハム「事前に説明があったとおり、この仮想世界を〈フラクシナス〉の電脳に構築したのには理由がある」
グラハム「1つは、未知の精霊との戦争〈デート〉に備えたシミュレーターの構築ということだ」
グラハム「我々の計画〈デート・ア・ライブ〉は、攻略対象に認定された順に、第1の精霊〈プリンセス〉、第2の精霊〈ハーミット〉までは順調であったが、」
グラハム「第3の精霊〈ナイトメア〉や第4の精霊〈イフリート〉のような極めて攻略難易度が高い精霊と準備不足で対応することになってしてしまった反省を踏まえて、」
グラハム「世界各地の精鋭たちからの意見も取り入れた架空の精霊との戦争〈デート〉をやってもらうことになる」
士道「たしかに。『訓練は本番のつもりで、本番は訓練通りにやる』ものだから、訓練内容が充実していないと対応しきれないことが多くなるはずだ」
士道「――――――『星の数だけ女の子がいるにしても星のように遠い存在だっている』だろうからな」
グラハム「少なくとも、我々が攻略すべき精霊はみな我々ホモ・サピエンスと同じ身体構造だと想定しているから、」
グラハム「ファンタジーに出てくるような亜人や人外は出てこないことになっている」
グラハム「もっとも、少年がそういった趣向の精霊との戦争〈デート〉をしたいのなら、受け付けてくれることだろう」
グラハム「もう1つ、ここでは時間の流れが現実世界の60分の1になるように調整が施されている」
士道「つまり、『仮想世界で過ごす1時間:60分が現実世界の1分:60秒になる』ってことだよな」
グラハム「そして、この仮想世界にはASTは存在せず、異形である精霊との戦争〈デート〉を咎める者はいない――――――」
士道「だから、霊力封印した後のアフターケアで元精霊のみんなとデートをする時に積極的に利用されるものなんだろう?」
士道「俺、これでも“現代のサムライ”として毎日の学業も武術も芸能も疎かにできないからさ」
士道「それに、精霊が増えてくると現実世界での日程調整が困難になってくるしなぁ………………全方位交際なんて二度としたくない」
グラハム「そのとおりだ、少年」
グラハム「特に、外見から推測される年齢差が問題となる場合や現実世界では実現不可能なシチュエーションを利用する場合も想定している」
グラハム「あるいは、ハードコアなシチュエーションにも対応しているぞ」
士道「……あまり想像したくないな。そういう趣味の精霊と戦争〈デート〉するってのも」
グラハム「では、そういうわけだ、少年」
グラハム「今回は仮想世界を利用した最初のデートということで造り込みが不十分なところがあるかもしれないが、」
グラハム「これで、我々の〈デート・ア・ライブ〉において 最大の懸念事項であった時間の問題を ある程度 解消できたはずだ」
グラハム「では、健闘を祈る」
グラハム「この仮想世界でも、きみが喚べば いつでも私はきみの側に行くことができるが、そうするとサイバーゴーストのガワが破損してしまうからな」
グラハム「できる限り、通信はその左腕の通信端末でやってくれたまえ」
グラハム「つまり、ここでの戦争〈デート〉は真の意味で少年だけで即時対応していかなければならないのだ」
士道「わかってるって、グラハム。俺の守護天使」
――――――予測不可能な事態に対応してみせるさ。口ではなくて、態度でな。
よしのん「わーい! 四糸乃が仮想世界での士道くんの初めてのデート相手なんだって!」
四糸乃「よ、よろしくおねがいします……」
士道「まあ、『ハリボテみたいな世界で』だけれど、俺なんかで良ければ よろしく」
四糸乃「はい……」
四糸乃「あの……、グラハムさんもご一緒にどうですか?」
士道「お」
グラハム「いいのかね? たしかに、少年と私は現実世界では一心同体ではあるが、『きみを助ける』という意思を貫いたのは少年の方だぞ?」
よしのん「もう! 固いことなしだってば、グラハム氏!」
よしのん「四糸乃はこれからたくさんの人に『大丈夫』って言ってあげるつもりなんだからさ」
グラハム「なるほど、それは感心だな」
グラハム「少年。きみの見立てたとおりだったな」
グラハム「この子は間違いなく強い子だ」
士道「ああ。四糸乃がいてくれたからこそ、俺は琴里を助けることができたんだ」
士道「天使の相性が良かったのは事実だけど、琴里を助けるために勇気を振り絞って力を使ってくれたことが、この上なく誇らしい」
四糸乃「あ、ありがとうございます……」
よしのん「ほらほら、頑張った甲斐があったっしょ? 士道くんもグラハム氏も四糸乃の魅力にメロメロ! もっと四糸乃を褒めてあげて!」
士道「よしよし。今日はいっぱいご褒美をあげるからな」
四糸乃「は、はい…………」
士道「でも、ごめんな」
士道「毎日 時間が無いし、四糸乃は人見知りする方だから、一番最初に仮想世界でのデート相手に選んでさ」
四糸乃「いいんです、士道さん」
四糸乃「士道さんが 毎日 朝からお稽古をして、日中は学校で勉強をして、夜は琴里さんと一緒に私たち精霊のために頑張っているのを知っていますから」
士道「………………」
よしのん「士道くん、どうしたの?」
士道「なあ、四糸乃。琴里が精霊になった件もあって、お前が人間だった時の情報を集めて回っているんだけれど、」
士道「もし四糸乃が人間だった事実が判明したとして、四糸乃はこれからどう過ごしたい?」
四糸乃「え…………」
士道「いきなり言われてもわからなかったか。すまん」
士道「具体的には、『家族の許に帰る』とか、『このまま〈ラタトスク〉の庇護下で育つ』とかあるんだけどさ……」
士道「もっと近い将来の話をすると、四糸乃には琴里と一緒の学校に通ってもらいたいんだ。まあ、早くても来年ぐらいの話だけどさ」
士道「でも、俺が招いたからとはいえ、この世界では『働かざる者食うべからず』だから、生きるために必要な金になる才能を磨いていかなくちゃならない」
士道「俺がずっと養ってもいいけど、もし俺がいなくなったとしても一人で生きていけるように、いろいろと学んでおいて欲しいんだ」
士道「ここまではわかるか?」
四糸乃「はい」
士道「だから、今回は試しに琴里が通っている学校を再現した場所を見て回ろうか」
四糸乃「はい!」
グラハム「そういうことなら、二人共」パチン!
グラハム「これが琴里が通っている学校の制服だ」
士道「久々だな、中学の制服なんて……」
四糸乃「わあ……」
よしのん「ほらほら、士道くん! 四糸乃、かわいいっしょ?」
士道「ああ。よく似合ってるぞ、四糸乃」
四糸乃「ありがとうございます……」
グラハム「では、交通安全を意識して登校するとしよう」
グラハム「みな、私の
よしのん「はーい!」
四糸乃「はい」
士道「え、この仮想世界だと 交通事故が起こるのか?」
グラハム「当然だ。できる限りのリアリティを追求しなければ、訓練にならんぞ」
士道「――――――適度な緊張感を保ち続けるのも戦いのうちか」ヤレヤレ
士道「ん」
四糸乃「あ、あの…………」モジモジ
よしのん「もう! 士道くんったら、焦らしてるの? ほらほら?」
士道「あ、ああ……」
士道「こうか?」パシッ
四糸乃「は、はい……」ホッ
士道「じゃあ、行こう、みんなで」
――――――そうだ。いつか〈デート・ア・ライブ〉が終わりを迎えた時に この風景が現実のものにする第一歩だ。
――――――それから、
キンコンカンコーン!
士道「殿町、進捗はどうだ?」
殿町「ああ 五河。これがまた本当に大変さ」
殿町「まだ二人しか攻略できていない。これはもはや ギャルゲーというより、戦略シミュレーションのような感じがして、“攻略”がまったくちがう意味に聞こえてくるぞ」
殿町「しかし、五河とついにギャルゲーと語り合う日が来ようとは!」
――――――この【愛して マイ・フェア・レディ】は“現代のサムライ”のお眼鏡にかなった神ゲーだ!
士道「まあ、“主人公がヒロインを真実の愛に目覚めさせないと世界が滅ぶ”超高難易度のギャルゲーとしてかなり評判だったからさ……」
士道「よくもまあ、これだけの難物だらけのヒロインを実装できたもんだと感心するばかりだよ……」
士道「特に、ギャルゲーなのに話しかけるだけで【好感度】がゴキブリ以下に下落していくガチ百合の子とか、どう攻略すればいいのか、まるで見当がつかない……」
士道「しかも、攻略しないと他のヒロインで使えるフラグが立たないから、全クリアのためには絶対に乗り越えないといけない壁なんだよなぁ……」
殿町「同じ会社のゲーム中のアンケートに『攻略したくないヒロイン像』『歯ごたえのあるヒロイン像』なんてあったから書いたことがあったが、」
殿町「まさか、それが【愛して マイ・フェア・レディ】の伏線になっていたとは、この殿町 宏人の目をもってしても見抜けなかった…………」
士道「これ、無事に ヒロイン一人 攻略し終わっても、そのままゲームを続行できるけど、」
士道「今度は攻略したヒロインの【ご機嫌】を管理しながら、新しいヒロインをデレさせないといけないから、攻略難易度が更に跳ね上がると来た」
士道「こんなんで限られた期日までにハーレム構築なんて無理だろう。なんて無茶苦茶な実績だ」
殿町「それでいて憎いところは、超高難易度を謳っているだけに、攻略できれば 同じ会社のゲームで使える特典と引き換えられるコードが手に入ることなのさ」
殿町「だから 俺も最初は、俺がやっている【恋して マイ・リトル・シード】の課金アイテムを大人買いできるクリア報酬に惹かれてやり始めたんだが、」
殿町「謳い文句に偽りなしの超高難易度の衝撃と絶望感が逆にやりこみゲーマーの意欲を掻き立てた!」
士道「まあ、頑張れよ。今度 うまい攻略方法を教えてくれよな」
殿町「まかせたまえ!」
十香「シドー! 早く行くぞ!」タッタッタッタッタ!
士道「ああ 待てよ。廊下は走るな」スタスタスタ・・・
殿町「………………」
殿町「五河、十香ちゃんが来てから お前もずいぶん変わっていっているな」フフッ
――――――高台
士道「どうしたんだよ? 〈フラクシナス〉があるから すぐに帰れるにしても、こんなところまで来て?」
十香「シドー」
十香「本当に今までありがとう」
士道「どうしたんだよ、あらたまって? 礼を言うのなら こっちの方だ」
士道「狂三の時もそうだったけど――――――、」
士道「琴里が暴走した時、お前と四糸乃が来てくれなかったら、琴里も 折紙も 今頃 どうなっていたかわからない……」
十香「私はシドーの想いに応えただけだ。きっと、四糸乃も同じだろう」
十香「シドー、お願いだ」
士道「……何だ?」
十香「これからも精霊が現れたら救ってやって欲しい。私や四糸乃や琴里と同じように」
士道「もちろんだ」
士道「最初にここでお前とキスをしたように、俺が精霊とデートしてデレさせるからな」
十香「だが、キスはするな」
士道「え」
十香「な、なぜだかわからぬが、シドーが誰かとキスをするのを見るのが嫌な感じがするのだが……」
士道「ああ それしか方法がないにしても、当然といえば当然の反応だよなぁ……」
士道「なあ、十香? お前の願いである『精霊を救う』ためには、どうしても『キスをする』必要があるみたいなんだ」
士道「こればかりは見逃してくれ! 代わりにできることがあるなら何でもする! ――――――常識の範囲内で!」
十香「だったら 今、私とキスをしてくれ!」
士道「え」
十香「シドー、ダメか……」
士道「わかったよ」
士道「おいで、十香」
十香「シドー……」
士道「俺がお前を守るよ」
十香「私もシドーと生きるこの世界を守ってみせる」
士道「――――――」
十香「――――――」
士道「…………フゥ」
十香「……キスしちゃったな」
士道「あ、ああ……」ドクンドクン
十香「シドー?」
士道「何ていうか、精霊とキスする時はいつも命懸けの場面だったから肝が据わっているんだけど、」ドクンドクン
士道「こうやって平和な時にキスすると頭の中が爆発しそうになるな……」ドクンドクン
士道「でも、嫌いじゃない。むしろ、癖になりそうで怖いぐらいだ」ドクンドクン
十香「そうか。シドーもだったのか」
十香「私も。シドーとキスをすると、一瞬わけがわからなくなった後で言いようのない感覚に包まれていて、悪い気がまったくしないのだ」
十香「だから、もっと、していいか?」
士道「ダーメ。お願いは一度きりだ」
士道「そうじゃないと、十香の願いである『俺が他の精霊を救うこと』が叶えられないからな」
十香「そうか。残念ではあるが、こうやって またシドーとふれあえて 私の中が満たされたから 今日のところはこれで満足してやる。うん」
十香「では、シドー。家に帰ろう。そして、夕餉にするとしよう」
士道「ああ」
士道「十香、今日は変わった肉が手に入ったんだ」
十香「おお! それは何なのだ?」
士道「――――――“牡丹”と“桜”だな」
十香「…………花の名前?」
士道「ま、帰ってからのお楽しみってことだ」
十香「ああ 待ちきれないぞ! 早くするのだ、シドー!」
士道「おいおい、待てよ、十香!」
タッタッタッタッタ・・・
士道「……ああ。必ず十香の願いを叶えてみせるからな」
士道「だから、覚悟して待っていろよ」
士道「まだ見ぬ精霊たち!」
士道「そして――――――」
「まだまだ足りませんわね……」
「それに この前は 散々な目に遭いましたし……」
「――――――“正義の味方”、か」
「本当に本当に最後まで甘い人でしたわよね、あの方は……」
「けれど、甘いモノが好きなのは女の性とでも言うのでしょうか?」
「〈わたくし〉、本気で“わたくし”自身に嫉妬しましてよ?」
――――――ねえ、もし今も生き続けていたとしたら、わたくしは今度こそ『光』と共に在る『影』になれたと思います?
グラハム『こうして、四月一○日から始まった少年と私の激動の日々〈デート・ア・ライブ〉の第一幕が終わりを迎えた』
グラハム『どうであっただろうか、ここまで付き合ってくれた読者の諸君?』
グラハム『少年が目指すは“サムライ”の道と“武士道”の理想――――――、』
グラハム『そして、現代からすれば時代錯誤な在り方を織田 信長の革新性に学んで現在の時代に対応したものに落とし込んでいくことに邁進する日々から一転、』
グラハム『現実はかくも険しいものであり、対話を訴えながら結局は武力でもって変革を促すしかなかった矛盾――――――』
グラハム『諸君らは『戦争〈デート〉をなくすために武力を行使する』という 存在自体が矛盾した この物語を“傑作”だと嘲笑うかね?』
グラハム『だが、世界がそう単純なものでないように、』
グラハム『世界の一部である我々一人一人もまた理想と現実の間で揺れ動く矛盾した存在なのだ』
グラハム『たとえば、鳶一 折紙――――――、』
グラハム『彼女もまた 私と同じように 公人の義務の面と個人の復讐の面を使い分けて ひたすら精霊との戦いを求めた』
グラハム『だが、自身の拠り所となる大切な存在が精霊との戦争に介入してきたことにより、変革を余儀なくされるのであった』
グラハム『それは、愛する人の家族が自分が憎む精霊であった場合――――――』
グラハム『あるいは、仇だと思いこんでいた相手がまったくちがっていたと気づいた場合――――――』
グラハム『もしくは、無関係の人間を自分のミスで死なせてしまった場合――――――』
グラハム『彼女は精霊を憎んだがゆえに力を求めた。そして、見事 手に入れた』
グラハム『しかし、今度はその力で誰かの大切な人を理不尽に傷つける側になっていたことに気づき始める』
グラハム『それでは自分の両親を殺した精霊とまったく同じ――――――』
グラハム『たとえば、夜刀神 十香――――――、』
グラハム『彼女には何もなかった。ただ孤独であった。そして、訳も知らないままにこの世界に現れ続けては銃弾を浴びせられ続けた』
グラハム『彼女には最初から力があった。何者に屈することがない揺るぎなき力が』
グラハム『しかし、その力は彼女を永遠の孤独から救うことはなかった』
グラハム『自分が存在する意味もわからないまま、剣を握りしめて降りかかる火の粉は払い退けて、空間震で削り取られた世界だけを見続けてきた』
グラハム『だからこそ、そこには怒りも悲しみもないあきらめに満ちた表情しかなかった。世界はこんなにも虚しいものでしかないのだと』
グラハム『少年が精霊を救いたいという決心をさせたあの表情はまさしく“独り”だからこそ為せるものであった』
グラハム『彼女は少年と出会って初めてこの世界に満ちた喜びや楽しみを識り、』
グラハム『そして、愛したからこそ初めて憎んだ』
グラハム『降りかかる火の粉を払うための武器は初めて憎悪によって敵を討ち滅ぼす兵器へと姿を変えた』
グラハム『これまで通り この世界のことを識らなければ、これほどまでに憎悪に駆られることはなかったというのに――――――』
――――――つまり、少年と出会ったことで人間性を失っていったのが“鳶一 折紙”であり、逆に人間性を獲得していっているのが“夜刀神 十香”である。
グラハム『少年もそこまで万能というわけではないさ』
グラハム『無論、“未来人の幽霊”などという私の存在も大いに矛盾しているし、』
グラハム『織田 信長によろしく、基本的には自分の命すら計算に入れるリアリストでありながら、少年は損得勘定を抜きにして誰かのために命を懸ける激情家なのだ』
グラハム『傍から見れば一貫性などなく支離滅裂にして意味不明の矛盾の塊――――――、』
グラハム『そんな少年:五河 士道と私:グラハム・エーカーの時空を越えた物語【デート・ア・ガンダム】は続いていく』
グラハム『だが、一旦はここで幕を下ろすとしよう』
グラハム『あえて言わせてもらおう、読者の諸君!』
グラハム『次もまた きみたち一人一人の【デート・ア・ライブ】を語らう日々が必ずやってくると! 私はその時を楽しみに待っているぞ!』
グラハム『では、また会おう! 読者の諸君!』
グラハム『次に会う時は季節は夏真っ盛りとなっていよう!』
グラハム『さらばだ!』
――――――某所
「第4の精霊〈イフリート〉の霊力封印が行われてから、だいぶ落ち着いてきたみたいだね」
「――――――『今年の四月一○日から始動した〈デート・ア・ライブ〉も一先ずはここで一段落した』と言えるのかな?」
「その間に、次なる精霊の出現に備えて、秘密結社〈ラタトスク〉では これまでの活動データを元に強力なバックアップ体制の構築を図るわけだ」
「もちろん、僕も〈ラタトスク〉のメンバーとして できる限りのことはしてあげるつもりだよ」
「彼らはそれだけ僕の計画に貢献してくれたのだから、これぐらいはね」
「五河 士道――――――、」
「五河 琴里――――――、」
「そして、グラハム・エーカー」
「きみたちの5年間は僕にとっても非常に有意義な5年間となってくれたよ」
「おかげで、計画は 元々の発案者が生まれる以前の 21世紀のはじめに全て成し遂げられるはずさ」
「あとは、愚かなウェストコットの動向に注意しつつ、〈デート・ア・ライブ〉とやらの成り行きを見守ることにしよう」
会話を拒絶する行為を受け止める術はあるのか?
突きつけられた刃に、少年は時代の変革を感じる。
次回【デート・ア・ライブ】 デート・ア・ガンダム -武×士道×ライザーソード- 【機動戦士ガンダム00】
されど、その手を強く握り返す者がいるのならば、勇者は剣を手に再び立ち上がる――――――。
――――――少年!
――――――否、五河 士道!
――――――きみの消えない勇気の炎が世界を照らすぞ!