【デート・ア・ライブ】 デート・ア・ガンダム -武×士道×グラハム- 【機動戦士ガンダム00】 作:LN58
――――――精霊とデートしてデレさせろ!
十香「うまぁあああああああああああい!」
士道「不思議だ……」
グラハム『どうしたのかな、少年?』
士道「いや、『生まれて初めて女の子とデートをしている』ってだけでも ちょっと現実感がないってのに、」
士道「そのデート相手が精霊だってことがさ。それも、昨日の空間震で学校を倒壊させた精霊と」
士道「でも、こうして見ていると十香は本当に普通の女の子だよな」
士道「………………」
グラハム『鳶一 折紙のことかな?』
士道「まあ、そのこともあるんだけどさ……」
士道「昨日のことなんだよな、全部?」
士道「四月一○日――――――、」
士道「俺と十香が初めて出会ったその日から1週間 〈フラクシナス〉の司令だった琴里に訓練と称されてギャルゲー三昧で、」
士道「それから、5年ぶりにグラハムとまた会えて、実際に女の子をデレさせる訓練をやって…………」
士道「そしたら、鳶一となし崩し的につきあうってことになって…………」
士道「その直後に十香が現れて ぶっつけ本番になって、銃弾の雨が止むまでいっぱい話し込んで……」
士道「そして、その翌日に俺は学校を臨時休校に追いやった精霊:十香とデートしているわけなんだな……」
グラハム『今回のことで新たにわかったことがあるな』
士道「ああ。精霊は自分の意志でこの世界に来ているわけじゃないし、」
士道「この世界に留まり続けていれば空間震を起こさなくてすむし、そうならないこともある!」
士道「鳶一を通じて このことを伝えれば、きっとASTも対応を改めてくれるにちがいない!」
グラハム『だが、鳶一 折紙は精霊を憎んでいる。他のASTの隊員も同じような思いで決死の覚悟で精霊にこれまで戦いを挑んできたはずだ』
グラハム『一度できてしまった溝を埋めるのは大変な時間と労力がかかるぞ、少年』
士道「けど、十香は絶対に悪いやつじゃないんだよ!」
士道「だって、そうだろう?」
士道「ASTにだって襲われたから追い払っているだけで、十香は自分から人殺しをしたり街を破壊したりすることを楽しむようなやつじゃない!」
士道「だから、誰かがそのことを知って伝えなくちゃならないんだ」
士道「俺は
士道「きっと、
グラハム『しかし、少年。私は恩師や盟友のように学問に秀でているとは微塵も思ってはいないが、』
グラハム『現実として、十香を養うには食費だけでも年収を使いそうな勢いであることは明白だぞ、あれは』
士道「そ、それはそうなんだけど…………」
士道「そうなんだよなぁ……」
士道「さっき、殿町や〈フラクシナス〉のみんなのおかげで十香の食欲を満たしてあげられたけど、それを毎日続けることなんて絶対に無理だ」
グラハム『〈フラクシナス〉の面々もなかなかやるものだな』
士道「ああ。正直に言って 令音さん以外 まったく頼りにならない印象しかなかったけど、」
士道「今日はこうして十香のためだけに商店街を全て貸し切りにするまでのことをしてくれるだなんてな。驚いたよ」
士道「にしても、十香の食いっぷりは凄いな……」
グラハム『あれだけの超常を使いこなすエネルギー消費を考えれば、大食漢になるのも無理のないことだ』
グラハム『おそらく、精霊が存在する世界があるとして、精霊たちの故郷は地球上の比ではないエネルギー物質に満たされた世界なのだと私は考える』
グラハム『空間震はその精霊世界と地球を結んだことで溢れ出したエネルギー物質の奔流によるものではないか?』
士道「それって、大気汚染の激しい地球では3分間しか戦えない設定の光の巨人の故郷みたいだな――――――」
士道「じゃあ、十香たちが空間震と共に現れてはまた地球上からいなくなるのを繰り返すのは、精霊世界でエネルギー補給しているからなのか?」
士道「だったら、ASTが攻撃を仕掛けて精霊を消耗させるのは、結果として空間震が引き起こされるペースを速めることに繋がるから、尚更 間違っていることになる!」
グラハム『さあな、今のはただの私の想像に過ぎんよ』
グラハム『ただ、そう考えると、なぜエネルギー消耗が激しい地球に何度も現れようとするのかが最大の謎ではあるがな』
士道「昨日の十香の話だと『生まれた時から ただそこにいた』って話だったけど……」
グラハム『西暦24世紀にELSが地球に襲来した時のように、今の西暦21世紀の地球には精霊を引き寄せる何かが蠢き始めているのやもしれないな』
士道「…………!」
グラハム『いや、西暦21世紀末にイオリア・シュヘンベルグが“来るべき対話”に備えていたように、』
グラハム『精霊の発生には30年前の最初の空間震『ユーラシア大空災』――――――、』
グラハム『そして、その更に前の予兆となる何かが起きた頃に真の原因があるはずだ』
士道「………………」
グラハム『だが、今となっては確かめようのない真実ではあるな』
士道「なんか、俺なんかのようなちっぽけな人間1人がどうにかできるような話じゃなかったんだなぁ……」
グラハム『少年。それでも、私たちは歴史の大海へと漕ぎ出したのだぞ。今更 船から降りるなどできはしない』
士道「わかってるって。ちょっと落ち着きたかっただけ」
士道「俺も含めて未だかつて人類が体験し得なかった日々を俺が中心になって頑張っていかなくちゃって」
十香「シドー……」
士道「十香?」
十香「……楽しくないか?」
十香「何かさっきから私ばかり喜んでいて、シドーは機嫌が悪くなっているような気がして……」
士道「そんなことない」
士道「ただ、『俺より先に十香に会った人たちともっと素敵な出会いがあったらよかったな』って思ってたんだ……」
士道「俺からすれば、十香は普通の女の子だよ。ちょっと建物を簡単に壊せる力があるだけで」
グラハム『そう思えるようになったのは、訓練内容のギャルゲーの影響かな、それは?』
士道「まあ、たしかにギャルゲーはありえないようなシチェーションの恋愛も考えさせてくれる意味では“恋愛の教科書”だったぞ、殿町」
グラハム『1週間、私ときみの二人羽織りで 訓練として宛てがわれた 様々なジャンルのギャルゲーを進めてはいったが、』
グラハム『主人公の考えとまったく合わない展開には 思わず絶叫するほどには のめり込んでいたからな、きみも、私も』
十香「やっぱり、シドーは他とはちがうな」フフッ
士道「え、何がだ? 『他とはちがう』って?」
十香「何というのだろう? たしかに私は 今 人間たちにこんなにも囲まれているのだが、」
十香「シドーの側にいる時とは感じるものがまったくちがうのだ」
十香「だからなのか、その、なぜだかわからないが――――――、」
十香「シドーが来てくれるまでの間、シドーが側にいてくれなかった時はずっと、私の中で何かが満たされないような感じがして切なかったのだぞ」
十香「でも、今はこうしてシドーの側にいると 私の中の何かが満たされるような感じがして、すっごく気持ちがいい」
士道「……十香」
グラハム『少年、わかるだろう。彼女が感じているものの正体が』
士道「十香、やっぱり 寂しかったんだな」ナデナデ
士道「俺もそうだったから わかるよ」ナデナデ
十香「はぅ…………」
十香「やはり シドーに触れられている時が 一番 私の中の何かが満たされる感じがして、いい!」
士道「そうか。その気持ちを大事にするんだぞ、十香」
士道「人間はその気持ちを生まれた時から知っているからこそ、誰かと一緒に手を取り合って生きて、街や国を築いていったんだから」
士道「そういう意味では、やっぱり 十香も人間だ。何もちがわない。ただの人間だ」
士道「ましてや、外宇宙からの地球外生命体でもないんだ。同じヒトの姿をした仲間なんだから」
グラハム『…………そうだな』
――――――ゲームセンター
ザー、ザー、ザー
士道「いやぁ、今日一日は快晴のはずだったのに、なんで雨なんて降ってくるんだ……」
士道「大丈夫か、十香? 身体を冷やしていないか?」
十香「大丈夫だ、シドー! ずっとシドーの手を握っていたら身体中がずっとポカポカしていてな! 寒気なんて感じないぞ!」
士道「そうか」
士道「……精霊って風邪を引くのかな?」
グラハム『そのようなことを考えることは現状ではナンセンスだな』
グラハム『きみは今、精霊である彼女を一人の女の子として扱っているのだから』
士道「それもそうだな」
グラハム『しかし、先程〈プリンセス〉と似たような気配を近くに感じたような気がしたが――――――』
十香「それよりも、シドー! 何だ、ここは!? メカメカ団の秘密基地ではあるまいな!?」
士道「ちがうちがう。安心しろ。少しうるさいかもしれないけど、お前のことを攻撃するものなんてないから」
十香「お、あれは――――――!」ダダダダダ!
士道「あ、おい、十香?」
士道「ああ、あれは――――――」
――――――きなこパン!
十香「なぜ取れぬ! この根性なしめ!」
十香「おい、シドー! お前もなんとか言ってやってくれ!」
士道「だから、言っただろう? 『それは難易度が高い』って。何も考えずにやってもとれないぞ」
十香「では、どうすればいい!?」
士道「こっちなら、多分 簡単に――――――」
グラハム『少年。ここは私が力を貸そう』
士道「え、何だよ?」
グラハム『ここは彼女の望みを果たさせた方が機嫌を悪くすることはない』
グラハム『それに、私は幽霊だ。先程まで中からクレーンの動きやら何やらを直に観察してタイミングを測ることに成功した』
グラハム『彼女の望みを叶えてやるといい。特に、彼女は今日一番に口にした“きなこパン”に深い感動を覚えた』
グラハム『今日の思い出の象徴として“きなこパンのクッション”を是が非でも手に入れておけば、人間に対する悪感情を抑止する楔を刺すことになるだろう』
グラハム『私もどれだけ〈ガンダム〉が現れようと、私の心を射止めたのは 美しき光と共に眼前に降り立った“あの少年”の〈ガンダム〉だった』
グラハム『今日一日のデートとこれからのデートに対する印象を完璧なまでに甘美なときめきで胸の内を埋め尽くすためには、』
グラハム『ここは彼女のワガママに全力で応えてあげるというのが男の甲斐性というものだ』
士道「わかったよ、十香」
士道「よし、そんなに欲しいのなら俺も十香のワガママに付き合ってやるよ!」
士道「行くぞ。俺がこっちのボタンを押すから、十香は俺の合図でそっちのボタンを放すんだ」
十香「わかった」
士道「なあ、俺には見えないけど、幽霊って便利なもんなんだな」
グラハム『そうでもないさ。こちらはどこからでも見ることはできるが、それでいて触れることができないもどかしさも抱えているからな』
グラハム『さて、少年。ここはタイミング勝負。ならば、久々にアレをやろうではないか』
士道「よし、アレだな!」
士道「やるぞ、十香! この真剣勝負はタイミングが命! 今から俺は神経を極限まで研ぎ澄ますからな!」
――――――【グラハム・スペシャル】!
十香「…………!」
グラハム『説明しよう。【グラハム・スペシャル】とは少年と私による必殺技であり、』
グラハム『簡単に言えば、少年の身体能力を私の認識と意思力によって極限まで発揮させる奥義である』
グラハム『言わば、『周りの動きが止まって見える』と よく言われる“ゾーン状態”を任意で引き出すようなものであり、』
グラハム『この場合だと、クレーンの動きから きなこパンのクッションを獲得するまでのタイミングを 精密機械のように測ることができるようになるのだ』
グラハム『他にも、使い道はいろいろとあるのだが、やり過ぎると激しい頭痛や筋肉痛などに苦しめられるので、ここ一番の大勝負でしか使わないように心掛けている』
グラハム『これこそがまさに少年と私だからこそ為せる一心同体による究極奥義というわけなのだ!』
ストン!
十香「やった!」
士道「完璧だったぞ、十香!」
十香「うん! うん! ありがとう、士道!」
士道「ほら、景品のきなこパンだぞ」
十香「おお! まさしく きなこパンだ!」
士道「本当に好きになったんだな、きなこパン」
士道「作り方も簡単だし、俺の家でも作ることはできるからな。家に来た時にはごちそうするよ」
十香「なに、それは本当か!?」
士道「ああ」
十香「………………」
士道「……十香?」
十香「いや、こんなにハラハラドキドキして楽しいと思える時間はこれまでなかったかもしれない」
十香「シドーと出会えて、この世界にはこんなにも楽しいものがあるだなんてことを、初めて知ることができた」
十香「だから…………」
グラハム『ほう』
士道「十香? どうしたんだ?」
十香「いや、何でもない」
十香「さあ、もっともっとデェトをしよう!」
士道「ああ」
十香「シドー、シドー! あれは何だ?」
士道「お、ガンシューティングか。なら、ここは本職にご登場願おうかな?」
グラハム『いいのかね? 部外者の私がきみたち2人の仲に割り込んできても?』
士道「俺とグラハムは一心同体。俺はちがう道を歩むグラハム・エーカーだ。何も問題なんてないさ」
士道「それに、こういう時ぐらいじゃないと慣らし運転ができないだろう?」
グラハム『そういうことなら、久々にきみの身体を使わせてもらうとしよう』
士道G「さて、十香。次はこのゲームできみのエスコートを務めさせてもらおう」
十香「……シドー? 何か雰囲気が変わっていないか?」
士道G「今の私は五河 士道。それ以上でもそれ以下でもない」
士道G「それよりも、十香。今はきみの好奇心を満たすことに全力を尽くすわけだが、こういった得物を手にしたことはあるかね?」
十香「いや、初めてだ」
士道G「なら、この武器の構え方をこうだ。そして、人差し指を銃爪に掛けて引くことで弾が発射される構造となっている」
士道G「あとは、画面に表示されているポインターを怪物の急所に向けて何度も銃爪を引けばいい」
士道G「簡単な話だろう?」
十香「う、うん…………」
士道G「初心者のきみは両手でしっかりと握り込んで撃つことをおすすめする」
士道G「弾が切れたら壊れない程度に銃を振れ。そうすればリロードして、また撃つことができるようになる」
十香「わ、わかった……」
十香「何かこのシドーはやりづらい感じがするな……」
士道G「それでは、クレジットを投入して作戦行動を始めるとしよう、天使〈ガンダム〉!」
十香「――――――が、『ガンダム』?」
十香「……私にはまだまだ知らないことがいっぱいあるのだなぁ、シドーよ」フーム
――――――高台
十香「シドー、今日は楽しかったな」
士道「ああ。俺もだよ、十香」
士道「俺もあまりデートの経験がないから十香のことを満足させられるか自信がなかったけど、その様子なら満足してもらえたみたいだな」
十香「――――――『ドリームパーク』に入れなかったのが少々残念ではあったが」
士道「そのことは忘れろ。いいね」
十香「う、うむ。シドーがそういうのなら忘れることにしよう」
グラハム『少年、遠慮することはなかったのではないか? きみも年頃の男子ならば同じ年頃の乙女の柔肌には興味津々のはずではないのか?』
士道「そんなことできるか! 訓練内容にもなかったし、そんなことをして何も知らない十香を傷物にしたら 他の精霊とのデートの時にも響くだろうが!」
グラハム『安心するがいい。きみが彼女と事に及ぶことになれば、簡単な手解きをした後、その時は潔く眠りに就くつもりだったからな』
士道「だから、そういうつもりはないってば、俺だけの守護天使」
士道「そもそも、俺はずっと守護天使が側にいてくれないと嫌だぞ」
グラハム『ほほう。そうか、少年』フッ
十香「いいものだな、デェトは」
士道「そうだな……」
十香「今日出会った人間はみな優しかったな……」
士道「ああ。お前を殺そうとする人間なんてどこにもいなかっただろう?」
十香「世界がこんなにも優しいだなんて、こんなに楽しいだなんて、こんなに綺麗だなんて、思いもしなかった」
士道「ああ。世界はこんなにも簡単に繋がっていくものなんだぞ、十香」
十香「だから、メカメカ団が私を狙う気持ちもわかった」
士道「!!」
グラハム『ふむ』
十香「私はこの世界に現れる度にこんな美しいものを壊していた……」
士道「十香……」
十香「シドー、やはり私はいない方がいいな……」
士道「!!」ギリッ
士道「そんなことない! だって、今日は空間震が起きてない! 何も壊してないだろう!」
十香「……ダメだ。また現れる時に同じようになるとは限らない」
十香「帰って眠りに就けば、私の意思ではどうにでもできなくなる!」
士道「だったら、帰らなきゃいい!」
十香「え」
士道「試したのか、一度でも? 『こっちにずっといる』ってこと」
十香「でも、あれだぞ? 私は知らないことが多すぎるぞ?」
士道「そんなの、誰だって最初はそんなもんだ!」
士道「わからないからって拒絶されることの痛みを俺は知っている!」
十香「寝床や食べ物も必要になる――――――、予想外の事態が起こるかもしれん――――――」
士道「言ったはずだ!」
士道「一緒に話そう! 一緒に遊ぼう! 一緒に食べよう!」
士道「たとえ世界の全てがお前に背を向けても俺だけは絶対にお前のために家のドアを開けておくから!」
士道「絶対にお前を独りになんかさせない!」
十香「!!」
十香「……本当に私は生きていてもいいのか? この世界に居てもいいのか?」
士道「……これだけ言ってもまだわからないのか?」
グラハム『少年、いよいよ1週間のギャルゲー三昧の特訓の成果を披露する時がきた』
グラハム『気づいているだろうが、こういった問答の最終的な解答はギャルゲーにおいてはほぼ決まっている』
グラハム『ならば、もう一度 少年の胸の内を曝け出すといい』
十香「そんなことを言ってくれるのは、きっと シドーだけだぞ」
十香「メカメカ団や他の人間だって、こんな危険な存在が近くにいたら嫌がるに決まっている――――――」
士道「ああもう! 理屈なんかどうだっていい!」
士道「世界のことなんて 俺はどうだっていいんだ!」ガシッ
十香「え」
士道「俺はただお前のあんな寂しそうな表情をもう見たくないだけだ!」
士道「一人の人間の孤独を救えないで『何が世界を救う』だ!」
十香「シドー、なんで……」
士道「なら、もう一度 この場を借りて 言わせてもらう!」
――――――俺は五河 士道! きみの存在に心奪われた男だ!
十香「!!!!」
士道「俺の手を握れ。今はそれだけでいい」
十香「シドー……」パシッ
士道「十香……」ギュッ
グラハム『見事だ、少年――――――』
士道「さあ、俺の家に来てくれ。部屋なんて余っているんだし、俺の小遣いもやれば お前の好きなものは 少しは――――――」
グラハム『――――――少年ッ!』
士道「――――――!」
――――――【グラハム・スペシャル】!
バキューーーーーーーーーン!
十香「きゃっ」
十香「い、いったい何をする、シドー――――――」
十香「ハッ」
士道「ア、アア・・・、アアア・・・・・・・・・」ジワァアアア・・・ ――――――胸の辺りの風穴から血が止めどなく零れ落ちる!
士道「無事か、十香? よかったぁ……」ゼエゼエ
折紙「ア・・・、アア・・・・・・・・・」ガタガタ・・・ ――――――少女は自分がした行いに恐れ慄き、狙撃銃を落として立ち尽くしてしまう。
グラハム『少年!』
士道「何だろうな? 身体が灼けるように熱くて、頭の中が真っ白になりそうだ……」フラフラ・・・
士道「ダメだろう、俺? 早く逃げないと……、十香を連れて…………」フラフラ・・・
十香「シドー! シドー! シドー!」
士道「ああ 悪いな、十香……。俺の血なんかでお前をたくさん汚しちゃった……」ゴホゴホ・・・
十香「そんなことはいい!」
十香「それよりも、シドー! お前の方がもっと大変なことに――――――」
士道「なあ、十香。たのむ、人間のことを憎まないでやってくれ……」ゴホゴホ・・・
士道「お前への殺意、それだけが人間の全てじゃないことをお前は今日のデートで知ったはずだ……」ゴホゴホ・・・
士道「だから、もしまたメカメカ団に襲われたとしても、その時はできるだけ戦わないように身を隠してくれ……」ゴホゴホ・・・
士道「そうすれば、お前に向けられる殺意を 直接 見なくてすむ……。人間の悪いところを これ以上 見なくてすむ……」ゼエゼエ
士道「メカメカ団だって必死なんだ。大切な人を守るために……」ゼエゼエ
士道「ただ 間が悪かっただけで…………」カハッ
十香「シドー! シドー! シドー!」
十香「どうしよう! シドーの血が止まらない! こんなにも眩ゆい光を放つシドーの血が溢れ落ちてしまう! ダメだ! ダメだ、そんなこと!」
十香「ああ シドー……」
グラハム『少年! 少年! 少年ぇええええええん!』
士道「ああ…………」バタッ
――――――ごめんな。琴里。グラハム。十香。