エピソード・オブ・スカーレット   作:坂水木

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今日は三話投稿しています。1/3。

URAファイナルズ開始から決勝まで。


13. エピソード・オブ・スカーレット

「スカーレット」

「なに?」

「目標は達成したね」

「ええ。自分で言うのもなんだけれど、有馬記念二連覇に三冠ってなかなかすごいんじゃないかしら。一応ティアラも二冠でしょ?よくやったと――」

「それはそれとして」

「……なに?」

 

 鼻高々に話していたところを遮られたのか嫌だったのか、すぐさま不機嫌になる。スカーレットは顔でも尻尾でも耳でも声でも機嫌がわかってしまう。なんとも言えずに苦笑いがこぼれた。

 

「URAファイナルズが始まるわけだけど」

「ええ、そうね。始まるわね」

「どう?行けそう?」

「ふふん、余裕よ。任せなさい!」

 

 自信満々なのがいつも通り過ぎて、慢心しているのかどうかさえわからない。ただ不思議と、スカーレットの強気な笑顔を見ていると安心してくる。たぶん、大丈夫だろう。スカーレットだし。これまでの努力は裏切らないさ。

 

 そんなこんなで。

 URAファイナルズが始まり、さらっと予選を突破し、準決勝が始まった。予選に対し他のウマ娘のレベルも上がっている。誰もが予選を一着で突破してきた猛者だ。

 曇り空の東京レース場。

 出遅れは――ある!ダイワスカーレットが出遅れた。しかしそこは集中力でセーブ。位置取りはどうだろう。八、九位程度で安定している。

 怖いのは先頭のセイウンスカイ。あとタイキシャトルにトウカイテイオーといったところか。いつも思うんだけど、セイウンスカイの先頭が怖すぎる。スカーレット頑張れ。

 さあ第四コーナーだ。まだスカーレットは六位。伸びて伸びて伸びて!セイウンスカイにグラスワンダーにタイキシャトルにダイワスカーレットが並んで――――。

 

「うおおおおおおおおおお!!!!」

 

 勝利!末脚で差し切ったぁ!!ああもうだめかと思ったっ。焦ったぁ!はーやっぱりダイワスカーレットすごいよ。ちょっとすごすぎるくらいすごい。勢いで叫んじゃった。ハナ差はぎりぎりだって。本当、最後の末脚がすごかった。

 ともあれと、予選準決勝とこれで勝利だ。あとは決勝のみ。

 ウイニングライブはないので、さくっと戻ってきたスカーレットと話をする。

 

「ふぅぅ、あっぶなかったぁ。なんとか勝てたわね」

「ほんっと危なかった。すっごいハラハラしたよ。ちょっと心臓爆発するからと思うくらいやばかった」

「ふふ、でもちゃんと勝ったわよ」

「うん。勝ったね。おめでとう、これであとは決勝だけだ」

「ええ、決勝だけね」

 

 ぐいっと手を握り込むスカーレットは、きっと決勝のことを考えているのだろう。準決勝であれだけの強豪揃いだった。決勝はそれ以上だろうと。 

 

「最後まで、見てるから!」

 

 僕の言葉に顔を上げ、ふふんと笑う。彼女らしい、いつもの笑みだ。

 

「ええ。任せなさい!!」

 

 胸を張るダイワスカーレットの未来を、僕はひたすらに信じ見守る。泣いても笑ってもこれが最後だから。最後の最後まで走り抜けてほしい。

 

 

 URAファイナルズ決勝。

 ついに幕が切って落とされた。最強のウマ娘を決める戦いが始まる。

 ナリタブライアンが一番人気、二番人気はアグネスタキオンと実況の声が聞こえる。初手出遅れはなし。位置取りは五位から九位の間といったところか。スカーレットが上手く前を抜いて抜け出してくれればいいけど。

 ナリタブライアンも怖いけれど、先頭のミホノブルボンも怖いな。

 コーナー過ぎて……んん?おや?う、頭が――――。

 

 

「はっ!?あ、朝?そ、そうだ。今日はURAファイナルズの決勝だった。急いでいかないと」

 

 何かすごい悲しい夢を見ていたような気がする。夢でよかった。うん、本当に夢で良かった。

 

 よし、レースが始まるぞ。

 さて出遅れはなし。位置取りも悪くないね。外枠で六番手にぃぃ!?掛かり!??何気にこれまで一度も掛かったことなかったよね?やっぱりスカーレット緊張してる?してるか。そりゃするよね。

 第四コーナー来たぞ。

 直線だ。内から来るか、外から来るか。スカーレットは外からだ!!!速い速い!そのまま抜けて走り抜いてぇええええ!!!!!!よっしゃああああああああ!!!優勝だ!!!!

 二着は…え?ウオッカ?ん?出てたの?そっか。出てたのか。なんか変な驚きだよ、これ。三着はビワハヤヒデね。ウオッカに驚きすぎて何も言えないわ。

 ウイニングライブは――――。

 

『うまぴょい伝説』

 

 うまぴょい伝説という曲は他の曲とずいぶん雰囲気が違う。雰囲気というか、曲調が違う。完全にアイドルが歌う、しかもはっちゃけて歌う曲だと思う。

 それをダイワスカーレットが歌うのは、まあ特に言うことはない。可愛い可愛い可愛いの一言だからね。意外にもこの曲にウオッカが似合っているのはいいとして、ただなんとも、ウオッカがスカーレットと並んで、というのが皮肉というか。あれだけ"また、いつかな"というようなやり取りをして……いや、これ以上は野暮というものだろう。

 

「うまぴょい!うまぴょい!」

 

 僕もスカーレットのファンなので、普通に合いの手を入れる。

 

「僕のスカーレットが!!」

 

 いやーうまぴょい伝説、良い曲ですね!!

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