ティアナ様は告らせたい~少女(一部女性含む)たちの恋愛頭脳戦~ 作:アルブレヒト・ミュンヒハウゼン
黒いイブニングドレス調の派手な衣装を身にまとった女性が、自身の身の丈ほどもある長剣を右手一本で振り下ろす。その動きは重さを感じさせないほどに滑らかだ。彼女の織りなすステップの軽さもあり、優雅さすら感じられる。
だが、長大な剣が生み出すその一撃は見た目とは異なり、必殺の意思と不言実行の実力が込められている。
相手が剣で受け止めれば、その剣をへし折りかねない。それどころか、そのまま体まで両断しそうな勢いだ。
女性の相手は、振り下ろされてきた大剣を正眼に構えていた長剣で右外へと払う。ただそれだけで、必殺の斬撃を凡庸な素振りへと転化させた。
だが、彼女もされるままにされていない。即座に下半身のひねりを入れた蹴りを放つ。ただ、斬撃に体を持っていかれているため、その威力は軽い。
その蹴りの意図は理解している。していても、体が自然と防御へと動いてしまう。
左の胴を狙った一撃に、長剣を地面と垂直にして、柄を握った左手で応対する。彼女のグリーブに柄を引っ掛けるように下から上へと動かし、勢いそのものを減衰させる。
その動きを見越していたかのように、彼女はあえて接触した足の甲を強く押し込んでくる。同時、軸足としていた左足は後ろへと地面を蹴り飛ばす。
足で押し込まれたことに対し、反射的に力を込めてしまう。
結果として、彼女は後ろに大きく飛び退ることとなる。攻撃ではなく、仕切り直しのために距離を取るための方策だったのだ。
相手も、勢いを殺した動きのまま二歩下がり、再び正眼に構える。何度も何度も繰り返し行われ、体に染み付いている動きなのだろう。隙のない自然体だ。
ただそこに立っているだけなのに、味方には不撓不屈の意思をにじませる安定感を、相対する敵には打ち倒せないと思わせる威圧感を与える。
一方的に攻撃を仕掛けている彼女は、先の攻撃をあっさりとかわされた事に対して、
「あっはははは……☆」
朗らかに笑い飛ばす。
その声、そして表情には曇りひとつない。攻撃があっさりと外されたことすら本当に楽しいと言わんばかりだ。
そのまま、離されてしまった距離を縮めるべく疾走を開始する。
女性とは思えないほど歩幅が大きい。イブニングドレスでなければ破損しかねないような無茶な駆動だ。
だというのに、動きは自身の長髪すら後ろに置いてけぼりにするように鋭く、そして素早い。それなりに高いヒールを履いているにも関わらず踏み出す一歩は重く、しっかりとしている。大地ではなく、木製の床であれば踏み抜いていたかもしれない。
もう一歩を踏み込むと、彼女の周囲の色彩が狂う。
否。
彼女の周囲に大小様々な四角形のフレームが生まれ、それらが光の透過を阻害しているのだ。それはまるで空間を操っているかのように見える。
即座に生まれ、そして消えていくフレームは、あるひとつの現象を生み出す前兆だ。
それは「絶対攻撃、絶対防御」を掲げる彼女、クリスティーナが必殺を冠する
「副団長!?」
「ちょ待てよ!!」
「クリスティーナ!!」
それを理解している他の団員たちが飛ばす非難の声々より早く、クリスティーナはぐん、と長身を折りたたむように腰をかがめる。長剣を地面に水平にして落ち着かせると、縮めた体を前へと思い切り飛ばす。
接敵の最中、手首の返しひとつで長剣を構え、間合いを詰める。
対する相手は正眼を解くと、構えていた長剣をくるり、と前後を逆にする。
「クリスちゃん……」
ゆっくりと相手の名をつぶやいた口調には焦りも何も含まれていない。むしろ疲れ、そして諦めがこれでもか、と含まれた声色だ。
そのテンションのまま、ためらいもなく大地に切っ先を突き刺す。
力ない動きに反して、切っ先はあっさりと大地に突き刺さる。浅いものの、柄に手を添えた構えからは、そう簡単には揺らがないという意思が読み取れる。
長剣を固定したその格好で、自身が磨きあげた
「"インフェルノ・シールド"」
静かな言葉と同時、大盾を模した膨大なエネルギーが空間に放出される。
放出されたエネルギーには目もくれず、相手が目前となるや、笑みと共に高揚しきった声を漏らす。
「見てくれ、団長!!」
そして、体を伸ばす動きに連動させ、一気に長剣を振り上げる。
「"ナンバーズ・アヴァロン"!!」
膨大なエネルギーの真正面に、クリスティーナが振るう大剣がぶつかろうとしている。
空間に展開された
だが、クリスティーナの振るう
侵略を防ぐ不屈の盾に対して、聖者をも切り裂く絶対の刃。
双方の意地にも等しい
長剣の軌跡が発光現象を生み、大盾、そしてその後ろにいる相手すらをも切り裂こうとする。
だが、
「なに?」
「うん!?」
両者の戸惑いを含む声、そして甲高く重苦しい金属音が鳴り響く中。
その対決は、盾側の勝利となった。
クリスティーナは長剣を振り抜いた状態で、大きく息を吐き出す。
「まったく……」
完全に失望を隠そうとしない言葉に対し、
「……危ないところだった」
盾の担い手は安堵の息と共に、平静な言葉を紡ぐ。
その言葉は、なぜかその場に転がっている黒鉄の
そして、自身の後ろ、同様に寝転がっている相手に声をかける。
「助かったよ、トモちゃん」
落ち着いた女性の声に、白を基調とした軽装の少女、トモは照れくさそうに笑う。
「いえ、ジュンさんが無事で良かった」
トモはヘッドスプリングの要領で素早く立ち上がると、未だ倒れたままのジュンに手を差し伸べる。
助け合いという組織内での協調が和やかな雰囲気を生み出す中、面白くないのは"絶対"であるはずの一撃を不本意な形で無下にされたクリスティーナだ。
「小娘、よくもやってくれたな」
浮かべているのは笑みだが、青筋が浮かんでいないのが不思議なくらい不機嫌な口調だ。
だが、トモも負けてはいない。
「ふざけるなクリスティーナ!! あなた、本気で
そう。
トモはクリスティーナの攻撃がジュンの大盾に届く寸前、ジュンの足元目掛けてスライディングを敢行したのだ。
いかにジュンが不屈の盾の如く振る舞っていようと、自身が予期しない行動を防ぐことはできない。
そして、いかにクリスティーナが絶対攻撃を標榜しようと、対象が意図していない動きにまで攻撃を追随させることはできない。
双方の特性、そして弱点を理解し、効果的に実行に移せるトモだから、最悪の展開を回避出来たのだ。
そんなトモに対し。
「おいおい。ワタシと団長は殺し合いをしているんだぞ? 危険は承知の上だろうが。理解できているか?
だから貴様は小娘なんだ。いいか、事務所の場所くらい覚えておけよ☆」
「うーん。大丈夫かと問われると自信はないけど、私は別にクリスちゃんと殺し合いをしているつもりはないから、大事には至らないと思うよ。ただ、先の一撃は肝が冷えたな。ヒスタミンを大量放出するところだった」
「そうかそうか☆ ワタシは嬉しいぞ団長。
ならもう一度だ、今度はきっちりかっきりばっちり決めてやろう☆ 次こそ"絶対"だ☆」
「いや、決まったら私が死ぬ」
「うん? おかしいではないか。
ワタシが『殺し合おう☆』と問うたら団長は『応』と答えたぞ?」
「いや、許可出したのは実戦形式の模擬戦、しかもデモンストレーションだから」
……そうだった。
双方、ある意味で天然だった。
自称常識派のトモは砂まみれになった服のあちこちを叩きながら、大きくため息をついた。
クリスティーナは怒りが込められた視線でジュンを眺めていたが、急に小さく右眉をあげる。
少しだけそのままでいたが、やがて先程の戦闘時と同じ笑みを浮かべる。
だが、
「興が削がれた。団長、今日はここまでだ」
表情の割にあっさり引くことを宣言する。しかも、
「また明日☆」
気まぐれでしか詰め所に来ない彼女が、明日も来ることをも宣言したのだ。そのまま豪快に長剣を肩に担ぐ。
その姿に、がしゃり、と鎧が擦れ合う音が同意を示す。
「そうだね。お疲れ様、クリスちゃん」
普段であれば、ここで「クリスちゃんと呼ぶのは友人だけだ」と返ってくるところだが、彼女は何も言わずに踵を返す。
そして、空いた左手を肩上まで上げ、ふらふら、と手首から先を振る。
「絵になるなぁ……」
鎧がくすり、と好意的な笑みをこぼす。
「いや注意しましょうよジュンさん」
あまりにも自然にサボるのを認めたため、思わず諫言してしまうが、
「トモちゃん。考えてもみてくれ。この後は予定通りに模擬戦をやるけど、私以外の誰にあいつの相手が務まる?」
至って正論で返される。
確かに、飽き性で享楽主義、ついでに戦闘狂のクリスティーナの相手は誰もしたがらない。トモも、腕には自信があるが流石に無理だ。何しろ強すぎる。
こちらの攻撃はほぼ当てられないにも関わらず、向こうからの攻撃はほぼ当たる。
「能力だか知らないけど、あの力がある限りは
訓練とは、ある程度実力が拮抗している集団が、各々の能力をある程度揃えて活動するために行う。
「こちらの言うことを聞いてくれるように誘導する。そして、こちらの意図を悟らせて思惑通りに動かす。
それがクリスちゃんの使い方……言い方が悪いな。クリスティーナ副団長との付き合い方だよ」
今回のように、ジュンとの戦闘という餌を用意してやれば訓練に参加する。
その圧倒的な力をあえて他の団員に見せることで、自分たちの役割を自覚、そして考えさせるわけだ。
主にジュンが危険にさらされるが、団員の能動的な思考や行動を促す訓練としては効果的だ。
トモは喉奥で唸る。
そこまでは考えていなかった。そして、クリスティーナがジュンの思惑にきちんと乗っていたことにも。どうやら、トモが思っている以上にお互いの性格を把握しあっているようだ。
(堅物っぽいジュンさんと、破天荒なクリスティーナが、かぁ……)
真逆の二人だというのに、と思ってしまうのは、自分こそ二人を理解できていないから、なのだろう。
鎧を打ち鳴らしながら、ジュンが叫ぶ。
「では各々ペアを組み、模擬戦に入れ。実戦形式だから、打ち身、切り傷程度は覚悟しておけ」
その言葉を受け、首周りを軽く動かす。先程ヘッドスプリングをしたので痛めていないかの確認だ。特に痛みもなければ動きにも問題はなさそうだ。
「……?」
ただ、どうにも奇妙だ。違和感はあるが、それが何に由来するかが分からない。
……残念ながら、トモは考えるより動く方が専門だ。そのため、ひっかかるところを気にすることはできても追求することには苦手を感じている。
それに、他の誰も気にしている様子がない。どうやら自分だけのようなので気の所為、と割り切った。
次の日。
「おっはようトモちゃん☆」
早朝だと言うのにクリスティーナが詰め所にいた。なぜか、店売りのホットドッグを手にしている。
昨日の宣言があったことから来ることは分かっていても、まさかトモより先に来ているとは完全に想定外だ。それに、ホットドッグを持っている意味も分からない。そのため、思わずトモは固まってしまった。
動かないトモに、クリスティーナはじりじりと目尻を上げてみせる。
「おい小娘。挨拶は全ての基本だぞ?」
至極真っ当なことを言われ、言葉に詰まる。
確かにその通りだ。礼儀を重んじる道場の娘が、夜のお仕事みたいな格好をしている人間から常識を説かれるとは。
反省、そして教示の礼も含め、丁寧に頭を下げる。
「お、おはようございます……」
「あっはははは……☆ 殊勝だな。素直な子供は大好きだぞ☆」
そう言うと、にやり、と音がしそうな笑みを浮かべる。
長剣こそ持っていないものの、相変わらず朝にはそぐわない派手な衣装に身を包んでいる彼女は、やはりいつも通りにでかい態度で椅子に座っている。安っぽいホットドッグをかじる姿も様になっている。
経費削減によって、誰が座っても文句を言うその椅子は貴族である彼女を迎えるにはそぐわない。
だが、ふんぞり返って座っていると不思議と絵になる。ぎしぎし、とわざと音を立てる様子も妙に楽しそうだ。そこそこいい年のくせに、落ち着きがない。
ただ、問題なのは座り方だ。イブニングドレスに似ているため、足横のスリットは深い。普通にしていても太ももの半ばまでが見えるというのに、今は足を組んでいるために白い太ももの大部分が露わになっている。
騒乱大好きの人でなしだというのに傷一つないそれを見れば、例えクリスティーナの性格を知っている者であっても劣情を誘われるのは間違いないだろう。
だが、トモは女性だ。まだ色恋にほとんど興味がないので明言はできないが
ただ、誰彼構わずに肌を見せるのは教育上よろしくない。自分よりも幼いマツリもいるのだ。先程の意趣返しではないが、諫言するくらいはいいだろう。
「クリスティーナ、足。少しは恥じ」
全てを言い終える前に、クリスティーナがかぶせてくる。
「さん、をつけろよへそ出し娘。ちょーーーっとだけ年上のワタシに説教とは百万年早い。
……確かに、色気のない小娘には少々刺激が強いか?」
氷のような冷たい微笑みを浮かべながら、足を大きくぐるり、と足を回して組み直す。わざと見せたんじゃないかというくらい露骨な組み換えだ。
もちろん見えた。イメージ通りだった……ではなく、朝からどっと疲れた。もう帰りたい。
狭い詰め所に、脂の匂いが漂う。ここで軽食を摘む団員もいるため、文句はない。ただ、何かしらで文句を言いたい気分になっているため、じろり、とにらみつける。
「ああ、これか。最近の露店もやるものだ。手頃な値段でなかなかしっかりとした味わいだ。
チーズの風味がいいのと、香辛料をケチっていないから、安物の肉を使っていてもきちんと味が出る。たまにはこういうのも悪くないな☆」
「それ、最近噂になっているところだろう? 王宮前の大広場にある露店の」
「そうなのか☆ 匂いに誘われて並んでいるのかと思っていたが、なかなか美味い……おっと、やらんぞ?」
「……いらないよ。だってそれ」
―ランドソル某所。
「キャルさま、こちらでございます。近頃ランドソルで話題になっているホットドッグのお店」
「へぇ? コロ助って、こういう露店売りの食べ物ってあまり興味ないかと思ってたけど」
「おっしゃる通り、わたくしは理解が乏しいのですが、実は主さまからご教示いただいたのです。なんでも、【
ソーセージは初出展とのことですが、良いお肉と香辛料を使って味を整えたのでおすすめ、とのことです」
「あそこのチーズ、美味しいのよね~。てことは、ソーセージにも期待できるわね」
「今回、ペコリーヌさまは所用があるとのことで不参加なのが残念ですが」
「いいのよ♪ アイツがいると魔物料理になるし、たまにはあんたと二人で食べるのも楽しそうだわ」
「キャルさま……それをいつも皆様の前で出せればよろしいのに」
「うっさい!!」
「次の方~って、コロコロでねぇべか。久しぶりでねぇか。注文は何にする?」
「ご無沙汰しております、マヒルさま。
はい、特製チーズ入りホットドッグをふたつ、お願いいたします」
彼女は知らない。
特製ソーセージの原料が、ペコリーヌの狩ってきたグリフォンの肩肉であることを。
あまりの旨さにぺろりと二本食べ終わった後。
納品のために合流したペコリーヌから告げられた一言が、更なる惨状を引き起こす……。
(ナレーション:青山 穣)
「ほう。グリフォンを見る目が変わりそうだ☆
……そういえば」
声が飛んできたのでやむを得ずそちらを向くと、指についた脂を舌で舐め取っていた。
貴族様がはしたない、と思うが、当の笑みを浮かべたままのクリスティーナは気にしていないようで、そのまま続ける。
「団長の鎧にヒビが入っていたことに気付いたか?」
何気なく言われた割にただ事ならぬ内容だ。
思わず目を見開く。
もちろん気付いていない。というか、あのジュンの鎧にヒビが入るなど信じられない。どんな攻撃を食らったらそんなことに……とまで考え、
「あ」
後ろから不意打ちでスライディング食らわせて地面に転がした。
……確かに、地面に叩きつけた割にはいい音がした。
その時か、と血の気が引く。同時、その後に感じていた違和感に思い当たる。
音だ。
フルプレートアーマーはどんな動きをしてもぶつからないようになっている。
当たり前だが、動く度に金属音がしていては静粛性は皆無だし、何より音が反響しまくって装着者の気が滅入る。それに、同程度の強度の金属同士がぶつかりあえば、金属疲労が蓄積され、破損の原因にもなる。
ジュンも歩く時、そして頷く時以外で音は出さない。本来、頷く時も出ないはずなのだが、どうやらリアクションを大きくしているようだ。
だが、スライディングの後、動く度に鎧同士が擦れ合う、あるいはぶつかり合う音がしていた。
原因を作った手前、謝罪をしなくては、と頭を抱えるが、
「気にするな。トモちゃんの所為というよりは日頃からの蓄積だろう。スライディング食らって転がった程度でヒビなど入らん。
そんな体たらくでは何も守れんからな」
背もたれにふんぞり返り、手首から先をふらふら、と振る。いやあなたのものじゃないだろうが。無責任な事を言うな。
その格好のまま、クリスティーナが続ける。
「三ヶ月だ」
「三か……、え?」
意味がわからず、聞き返す。
すると、クリスティーナはこれまでトモが見たことのない表情を浮かべ、口を開く。
「例の鎧の話だ。流石に非番の日までは知らないが、出の時は飽きもせず三ヶ月、あの鎧を着続けている。毎日のように手入れしているから、と言って変えないんだよ。
確かに、磨いていればきれいに保つことはできるだろうな。だが、問題は汚れではなく蓄積された金属疲労だ。
団長は鎧磨きはマメなくせに、取り扱いはがさつなところがあってな。通りを歩く時は相手が避けるのが当然になっているし、団長本人も気配を読んでいるようだから、あまり周りを見ないんだよ。加えて、兜のスリットが狭くて視界も悪い。
だからちょっと狭いところを通るとガッチャンガッチャンぶつける。それで強度が落ちるんだが、団長にはその理解がない」
くっく、と笑みを含む。
だが、トモにしてみれば、クリスティーナの提供してきた話題が意外だった。
彼女が饒舌なのは知っている。あまり面白くない話題を振ってくることも多く、正直、顔を歪めることなんて多々ある。そんな傍若無人が服を着ているような彼女が、他人のことについてここまでしっかりと見ているとは思っていなかった。
しかも、その相手がジュンときた。
当初はいがみ合う、とまではいかなくとも、虫が合わない様子だった。それが、あくまでクリスティーナの自己申告であるものの、解消されただけでなく、一定の理解をしていたとは。
(あいや、解消はされていないか。勝手にクリスティーナがジュンさんの観察をしているだけで)
それでも、クリスティーナが他人に興味を持っており、しかもそこそこ深い理解をしていることに驚いたのだ。
「そういえば☆
トモちゃんはワタシがこんな朝早くから来ていることに疑問を持っていたようだな?」
話題を逸らされたと即座に気付く。表情からすると、らしくない話をしてことに後悔しているようではなく、単純にそれ以上話す気がないようだ。
それに図星だ。トモから振らずにそちらの話題に移ったのなら楽でいい。
否定はせず、静かに頷く。ただ、なんとなく想像はついている。
「ジュンさんの、鎧だろう?」
これまでの話題から、興味関心を向けているのはこれしかない。
「御名答だ☆
ただ、トモちゃんとワタシの興味は少々異なる」
「どういう」
「あっはははは……☆」
……トモの発言にかぶせてくるくせに、肝心なことは答えないときた。
否。
答えないのではなく、答えられなくなったのだ。
「おはよう、クリスちゃん、それにトモちゃん」
話題にしていたジュン本人が、詰め所に来た。
トモは急ぎ振り返り、挨拶を返す。
「おはようござい……ます?」
入り口を向いていたクリスティーナは、トモほどの動揺は生じさせなかったものの、
「おはよう団長☆ それとクリスちゃんではない。クリスティーナだ」
精彩を欠いた返答にならざるを得なかった。
そこには、見慣れない全身鎧が鎮座していたためだ。
見慣れない鎧は、まるで旧知の間柄かのような朗らかさで二人に話しかけてくる。
「トモちゃんは毎朝いるけれど、クリスちゃんは初めてじゃないか?」
「……ええ」
「……ああ」
内部から響く声はジュンのものだ。それは間違いない。
「これを機に、きちんと毎朝団議に出てくれると嬉しい」
「……考えておく」
動きの癖も、ジュンのものだ。見て覚えている。
「ああ、トモちゃんは悪いね。団議は王宮内で行うから参加は無理なんだ」
「……お構いなく」
そして、王宮に入れて、いついかなる時も全身鎧を着込んだ【
トモの脳裏に、クリスティーナと先程交わした鎧に関する会話が思い出される。
その話題から、十分予想はできていた。とはいえ、色違いの同系を何領か所有していることは知っていたので、そちらを着込んでくると思い込んでいた。
だが、ジュンはそんな安易な想像をしたトモの、予想の斜め上をあっさりと突破してのけたのだ。
(やっぱりジュンさん、あなたはすごい)
多少、普段とは異なる思考からの発露であることは気にしないことにする。
ジュン? と思しき鎧はしばらく所在なげに佇んでいたが、
「……済まない、ちょっとやることがあるから先に行っているよ」
そう言うと、ジュンはあっさりと詰め所から出ていく。
その場に漂う、なんとも奇妙な空気を残して。
ジュンが去り、きっかり三呼吸後。
「……クリスティーナ、さん」
思わず敬称をつけて呼びかけてしまう。年長者に判断を仰ぐのだから当然だ。決して問題を丸投げするためではない。
「皆まで言うな☆
よもやよもや、あの団長がおしゃれ……」
言葉を途中で途切れさせると、人差し指を唇に添える。
「いや待て、あれは……おしゃれなのか? あれをおしゃれと捉えていいのか? それともツッコミ待ちなのか?」
分からないから丸投……聞いているのに、なぜ再び振るのか。
「私に聞かないでくれ……。
というか、あと半歩でもろ出し、みたいなあなたにおしゃれを語ってほしくないけど」
「あっはははは……☆
面白いことを言うな小娘。ワタシのお気に入りの衣装に対して、もろ出し寸前だと? そんなの『中の人』に言ってやってやれ。言ったら殺すがな☆」
思わず息が漏れる。
「はぁ。おちおち歌も歌えない。
生地は私の給金じゃ手が出せないような一級品なんだよなぁ。それで、なんでそんな仕立てに?」
「引っかかる言い方ばかりだな☆
全ては動きやすさだ。そして胸部は腕の可動域を気にした結果だ。ワタシの胸囲に合わせると伸縮性で問題が生じる。かといって可動域に合わせるとぶかぶかで可愛げがない。
別に隠さねばならないような貧相な体ではないのでな☆ 使えるものは何でも使う。
……決して男受けを狙ったわけではない。焦ってはいないぞ。まだ焦る時間帯ではないからな☆」
「語るに落ちたな」
「よし殺す☆」
~~ 殺し合っています。しばらくお待ち下さい ~~
ぜいぜい、と肩で息をするトモに、眉すら動かしていないクリスティーナが口を開く。
「ともあれ、どういう心境かな☆
いつもは、ライオンが着飾るか? と言わんばかりの質実剛健さだというのに」
その先を言わないことから、クリスティーナ自身も疑問を持っているようだ。
服装はともかく、感性はトモと同じのようだ。安心した。
だから、率直に聞く。
「……触れてもいいのかな?」
聞いておいてなんだが、トモの想像の中では話題にしてほしいのではないか、との結論が出ている。
ジュンは先程、クリスティーナに初めて云々と言っていたが、実のところジュン自身も詰め所に来ることなどほぼ無い。第一、ジュンは常に定位置なので詰め所に用事はない。
トモの動向を知っているのは、挨拶を交わした後、詰め所に向かう姿を見られているからだ。
それなのにわざわざ来るということは、明らかにトモか他の誰かがいることを期待していたとしか思えない。
それに、新しい装いを誰かに見せたいという欲求は誰にだってあるだろう。それはジュンであっても同じはずだ。普段から無骨な格好なのだから、その思いはより強いかもしれない。
トモの問いかけに、クリスティーナは慎重な様子を崩さない。再び人差し指を唇に添え、つぶやく。
「ふむ。いや、我々は触れないでおこう。
団長がずっと鎧姿であることに関連してくることやもしれん。家のことについて、他人にとやかく言われるのはトモちゃんとて業腹だろう?」
そうなのだ。これだから貴族は面倒くさい。あ、ジュンさんは別ですよ?
「まぁ……確かに。
あなたからまともな意見が出てくるとは。年の功は伊達じゃない、と言っておこうか」
「あっはははは……☆
よし殺す☆」
~~ 殺し合っています。しばらくお待ち下さい ~~
ぜいぜい、と肩で息をするトモに、眉すら動かしていないクリスティーナが口を開く。
「さて。触らぬ神になんとやら……ではなく、ワタシには勅命が下される予定だ☆」
そんな簡単に勅命が下るわけがないが、突っ込む気力がない。
「いいか、トモちゃん。団長の鎧には触れるな。それが世界の選択だ☆」
「……器の、小さ、い、世界だ……」
「その通り☆ この世界の器は小さい。そこに住まう我々も小さい、というわけだ。
……
「ぐ……」
全くもって正論だ。
普段から破天荒なクリスティーナがここまで露骨に正論をぶつけてくる以上は、本当に繊細かつ慎重で危険な問題なのだろう。
ここはおとなしく聞き入れた方が懸命だろう。とはいえ、ただ一言の社交辞令でも伝えれば済むのではないか、と単純に考えてしまう。
「単純な思考と迂闊な一言は紙一重だぞ☆」
トモはがくり、と肩を落とす。
「気を落とすな。トモちゃんの気持ちは伝わっているさ。今回はともかく、他のことで団長の役に立てばいい」
極めて珍しいことに、トモを気遣う言葉を残して、クリスティーナは詰め所から立ち去った。
王宮の正門前。
団議を終え、定位置に立ったジュンは、胸奥に溜まった空気と言葉を漏らす。ついでに肩も落とす。
「……誰も声をかけてくれない」
悲しいかな、王宮内の団議に参加できるのは王侯貴族の子弟ばかりのため、皆クリスティーナと同様の結論に至ったのだ。
「話しかけてもらうきっかけくらいになれば、と思ったんだけど……」
加えて、ジュンの待ちの姿勢もよろしくない。
イメージの大幅な変更を認知してもらうには積極的な説明や主張が必須だ。
変化が大きければ大きいほど、近くにいる者たちにしてみれば普段との差が大きく感じられ、その分戸惑いも大きい。その差を埋めるには、本人の尽力が少なからず必要となる。
逆に、本人が何もしなければ何も聞かないでほしい、という無言の主張になる。女性の髪の長さなど最たる例だ。誰だって不用意に触れて爆死はしたくない。
つまり現状、ジュンからは無言の主張をされている、と皆が感じ取り、その通りになっているだけだ。
だが、ジュンにはその理解がなかった。
「いや、もしかして気付いてくれない、とか?」
自分で言っておきながら、即座に否定する。
反応はあるのだ。皆、ジュンの姿を見て一瞬固まり、その後の会話が片言になったり、端的になったり。
ただ、それ以上発展しない。
「うぅん、この姿だからと、あまり団員とコミュニケーションを取ってこなかったツケだな」
その通り。
異端を最初から異端のままで受け入れる環境はなくもない。ただ、極めて少ない。自分が異端であると理解しているなら、自身の異端を取り去る、あるいは自分から普通の方への歩み寄る努力や、あえて思い切り振り切ってしまうなどの実力行使をすべきなのだ。
―聖テレサ女学院内某所。
「へぷし」
「キーッタナ!! ちょっとー、ユニ先輩ー。チエルにユニ汁飛ばさないでください~」
「へそ出して寝るなってゆーたっしょ、パイセン。
あーあーあーあー、鼻からユニ汁が」
「失敬な。ぼくは健康優良児だぞ。風邪など引いたことはない。寝冷えなど以ての外だ。
……ユニ汁拭いて」
「自分でやれ。キレそ」
「……これはあれだな、テレ女のやべーやつであるぼくを噂する」
「はー、そすね。つか『公式』のネタすれすれはやめてくんね?」
「はっ!? ちぇる女のちぇるいやつ」
「やめろっつの」
……ここまでぶっちぎれ、とは言わないが、努力もゴリ押しフルスイングも全て放棄するというなら、孤高の団長という名のぼっちを突き詰める他ない。
だが、今のジュンにそんな正論は不要だ。
何しろ、
「ちょっと……悲しい、かな」
不屈の盾は、既に砕けていた。
そんな気持ちのまま、王宮の正門で仁王立ちになる。何度も何度も繰り返し行われ、体に染み付いている動きなのだろう。隙のない自然体だ。
ジュンの任務は王宮の防衛だ。
全身鎧を着たまま日がな一日中突っ立っているため、置物だと思われている。そして置物に声をかける者はいるはずもない。
普段であれば寂しく思うが、今日はありがたかった。
「……」
無言で、ただ前を見据える。
時折吹き抜ける風はやや冷たいが、ジュンの心より冷え切ってはいない。
そもそも。
ジュンは無口だ。というより、相互理解のためのコミュニケーションが不得手なのだ。
あろうことか、【
ランドソルでは庶民でも読み書き四則演算をこなせる。巷には庶民でも手に取れる書籍が溢れ、貨幣経済が根付いている。となれば、統治する側の貴族は当然のようにそれ以上の知識を求められる。
それに、【
そのため、各々の戦術理解度が高く、全体を捉える視野も広がっている。
だから、ジュンが命令下手であっても皆がきちんと真意を理解し、動けている。
問題なのは、その事実に気付いてしまっているジュンだ。
気付いてしまったからこそ、逆に彼女からコミュニケーションの活用機会を奪ってしまった。何しろ、自分がいなくても機能しているのだ。マメだががさつな性格が災いし、わざわざ苦手を克服しよう、とまでは思わなくなってしまった。その結果、今更入る余地がない、と思いこんでしまったのだ。
メンタルが弱っている時に限って、悪い方向に考えるのは人の常だ。
「やっぱり、これが良くなかった」
自分の胸元に手を寄せる。
その手は鎧で覆われているため、当然形や感触、大きさまでは分からない。
だが、工房でさんざん見ていた。そのため、形はすぐに思い出せる。その形の通りに手を動かし、そして握り込む。金属の擦れ合う、甲高い音が響く。
かなりの大きさになるため、全てを握れたわけではない。
だが、一部だけでもしっかりと握り込めれば、力任せに周りごと引き剥がせる。
そうすれば、こんな惨めな思いから抜け出せる。
覚悟を決めたその時。
正門前の広間に、人影が現れた。
(人影が現れた、とは少々変だな。
滅多に人が来ないから、そんな考え方になる。正確に表現すると、人が来た、だな)
その人物には見覚えがある。
否。
ジュンにとってはよく見知った相手だ。
「こんにちは、ジュンさん」
ユウキはにこやかに挨拶をしてくる。
……不思議というか、奇妙な少年だ。
出会いは偶然だった。迷子となった彼が、ふらりと正門前の広間に現れたのだ。まるで、今日この時のように。
(確か、陛下に人相書きを見せられた数日後。その所為で、彼は奇妙な顔をしたんだった)
初対面にもかかわらず、はじめまして、ではなく名前で呼んでしまった。
その後も、彼の要件を聞かずにこちらの話ばかりをしていた。正直、今思うとちょっとアレな感じだが今は不屈の盾じゃないんで勘弁して。
にもかかわらず、ユウキは我慢強く聞いただけでなく、それ以降もジュンを訪れるようになってくれた。
ジュン同様、あまり言葉の多くないユウキとは何か共感のようなものを覚え、徐々に出会うことが楽しいと思えた。
彼のことを考え、拒絶したこともある。それでも彼はジュンを見捨てず、助けてくれさえした。
それどころか、
(素顔どころか水着姿まで披露してしまった)
……あれは海岸というその場の空気に流されただけだ。つまり事故。
当時は舞い上がってしまって様々なことを口走った。それはもう色々と。
今思い出すとキュン死しそうなくらい甘い時間だった。
だが、
(今は、彼にだけは会いたくなかった)
思わず鎧から手を離し、その代わりに自分の体を抱きしめる。再び金属同士の擦れ合う音が響く。
そんなことをしても、隠せる場所など一部だ。全てを隠すことなど叶わない。
だが、それでもいい。
全てを見られないなら、それでいい。
もし、全てを見られ、ユウキに奇妙な目をされてしまったら。
もし、全てを見られ、ユウキに形式的な相槌を打たれたら。
もし、全てを見られ、ユウキに否定されてしまったら。
次々と後ろ向きな思いがどっと湧き出し、あふれかえる。
仲間たちの視線や気のない返事には、そこまで感じることはなかった。
だが、ユウキにだけは言われたくない。明確に嫌だ、と切実に思う。
ユウキの視線や気のない返事をされてしまったらと思うだけで、ずきずき、と胸奥が痛む。
痛みには強いはずなのに、この痛みには耐えられそうにもない。
どうか。
せめて、何も言わずにいてほしい。
自分と同様、言葉少なにいてほしい。
普段通り、朗らかに笑ったままでいてほしい。
だが。
当然のように、記憶喪失で一般的な常識に疎いユウキは保身や後先など考えることなく、あっさりと指摘する。
「ジュンさんの今日の鎧、花が咲いてるみたいでかわいい」
そう。
先日の模擬戦で鎧を破損してしまったジュンは、実家が抱えている工房に修繕を依頼した。気に入っている鎧だったため、なるべく早く直して欲しいと要望を出したところ、工房は新たに研究している魔導工学による自己修復機能を試みた。
その結果、ひび割れは施術後数時間で完全にふさがった。喜び勇んで持って帰ってきたものの、修復の終了フラグが設定されていなかったため、過剰修復されてしまった。魔法が使えれば終了の設定はできるものの、ジュンは魔法を使えない。そのため、生き物のようにグネグネ、と動き回る鎧に恐怖を覚えつつ、込められた魔力が尽きるまで待つしかなかった。
その結果、上体の一部と肩周りが大きく広がり、花弁が咲いたような姿になってしまった。そこで諦めればよかったのだが、普段とは異なる様相にほんの少しだけ好奇心が勝った。
(普段と異なる鎧を着ていき、皆の反応を見てみたい。そして、もっとコミュニケーションを取りたい)
……見事に空回りしたのは前述の通りだ。
だが、ユウキのその一言で、今日ジュンが得てしまった悪感情が全て吹き飛んだ。
思わず、言葉が漏れる。
「ありがとう少年。君はいつも、私の欲しい
じんわりと。
胸の痛みが薄れ、その代わりに暖かいものがゆっくりと、染み込むように広がっていく。同時、顔のこわばりがゆるゆると溶けていくのを自覚する。きっと、ユウキには見せられない顔をしていることだろう。今日ほど、兜をかぶっていてよかったと思ったことはない。
気分すら緩み、ふと、思いつきを口にする。
「お酒が、飲みたいな」
ユウキは少しだけ変な顔をする。
否。
何かを訴えるかのような表情だ。
そこで、ユウキの知り合いに酒癖が悪い、というか危ない女性がいることを思い出した。
彼が危険な人物ではないことを証明するために付け回した……のはトモだ。流石に鎧姿の自分では隠密性が皆無だ。つまりは無罪。
恐らく、彼はそのことを思い出したのだろう。
くす、と口の中だけで笑う。心配してくれることに、再び胸が暖かく感じる。
「あまり強くはないから進んで飲もうとは思わないんだけど、今日はそういう気分なんだ」
ユウキは、
「ふぅん?」
生返事を返す。その様子もおかしくて、つい、
「少年は……そうか、まだ飲める年齢じゃなかったね。残念だ」
そう言ってしまうくらい、気分が高揚していた。
「今日のお酒の味は、きっと忘れられないだろうな」
登場人物
ジュン
ヒロイン。ヒューマン。鎧。でも水着はかなり攻めている。なんかエロい。鎧姿が。
家訓により年中鎧姿。本人は鎧関係なく結構くよくよしている。そこがかわいい。
ユウキにしょっちゅう弱音吐いているし、素顔どころか水着姿も見られてしまったし、もうお嫁にもらってもらうしかないな、と考えている。
クリスティーナ
ヒロイン。ヒューマン。ド派手。お気に入りの服はかなりのセンス[要出典]。意外に常識人で尽くす系。かわいい。
とある理由からユウキに結婚を迫っている。ホラ、いないと読めない物語なのでね?(保有マウント)
他の連中とは異なり、不本意だし急な話でユウキに悪いとは思っているが、まぁ悪い奴ではないしな、と考えている。
トモ
ヒロイン? ヒューマン。へそ出しスパッツ。趣味:魔法少女。ある意味年齢相応……でもないか。痛いな。
年上をいじる癖がある割にスルースキルがない激情家。ちょいちょい上から物を言う。ダメじゃん。
ユウキはいじっていると面白いので、ずっとからかい続けたいと思っている。