ティアナ様は告らせたい~少女(一部女性含む)たちの恋愛頭脳戦~ 作:アルブレヒト・ミュンヒハウゼン
ギルド【美食殿】の四人はランドソル近郊のフローラ湖畔に来ていた。
その目的は、ギルド管理協会からのクエスト依頼、そして自分たちのギルド活動のためだ。
ノースリーブ姿の猫獣人、キャルがキレる。
「場所が違うだけで入りが同じ!!」
ぐい、と目を吊り上げる。
「ってことはまた魔物が報酬なんでしょ!?」
その叫びに、ドレス姿のヒューマン、ペコリーヌは首を横に振る。
「いいえ? 今回の依頼元はとある学院の研究機関です」
「研究機関ん~?」
目は元に戻り、今度は細められる。
研究機関がわざわざ魔物退治の依頼をしてくることに疑問を覚える。
「魔物退治、ではなくて捕獲依頼です。しかも、一部ですけど、報酬は前金でいただいてます」
意外な言葉に、キャルは目をむく。
「え、前金? ホントに珍しいわね?」
前金を出すくらいには切羽詰まっていたのか、あるいはメンツの問題か、などと邪推してしまう。
―聖テレサ女学院内某所。
「そいやパイセン。さっきのチワワばりのギャン吠え連中、何だったんすか?」
「生物工学の奴原のことかね。げに、チワワとは言い得て妙」
「まぁた無駄に喧嘩売りまくり子ちゃんでしたね。で、何が発端だったんです? 理系以外で」
「魔物が持つ仲間意識とその効果範囲について、少々意見の相違があってね」
「ふむふむ」
「ふむは一回」
「ちぇるちぇる」
「魔物はたいてい、徒党を組んで襲いかかってくる。しかも、種族が別であっても、特に疎通をせずとも連携が取れている。否。連携が取れているのか、はたまた取れているように観測できているのか、までは判明していない。これは何に由来するかについては諸説あるが、今回の奴原との俎上ではない。そも、連携とは何か、という部分から始めなくてはならない。我々が観測したものが須らく正しいと思い込めるのは観測者としての要件を満たしていないことの証左にほかならないことは君たちにおいても既に周知の事実だろう。そこで、ぼくは」
「あー……パイセンパイセン。結論先でおねしゃす」
「誇り高き文系のぼくに結論を先に論じる、などという情緒からかけ離れた行為を強要するのかね、クロエ君」
「え~、文系関係なくないです? 通称コミュ症あるある」
「黙っときチエル。
えっと……ちゃーくて。長い。マザーの娘時分語りくらい長い」
「しょうがない。端的に換言すると」
「生物工学の見地から、回復系技能を持つ魔物の生体機能を確認したいそうです」
……セイブツコウガクノケンチカラカイフクケイギノウヲモツマモノノセイタイキノーノカクニンときた。魔物以外の情報が一切入ってこない。さすが研究機関。そんな事知ってどうなるというのだ。
キャルの知的好奇心と理解、そして話題への興味を逸脱した。端的に換言すると、
「まぁいいわ」
それよりも依頼内容だ。捕獲となると、討伐よりも少々難易度が上がる。その確認をしておきたい。
「依頼書はあるの?」
ペコリーヌは腰に装着している小さな袋から丁寧に折りたたまれた紙片を取り出して、キャルに差し出してくる。
それを丁寧に広げると、そこに書かれた内容を眇める。
「ケイブスネイルが三匹、ねぇ……」
~ケイブスネイル~
分泌するヌルヌルが美容にいいとウワサの、カタツムリの魔物。
キャルは記憶を探りながら言葉を作る。
「岩みたいに固い殻と回復技能を持ってるでかいかたつむり、よね」
ペコリーヌは首肯する。
「前衛、体力の豊富な魔物と組まれると厄介ですが、今回は積極的な
端的かつ明瞭な判断だ。好戦的だとこうはいかな……思い出したくない。忘れろ。忘れさせて。お願いだから!!
視線を戻すと、更にその下にも魔物の名前が記載されていることに気付く。
「それとアルトバードね。え、十羽?」
~アルトバード~
癒しの歌声が遠くまでよく届くトリ魔物界の有名歌手。
こちらも何度か対戦済みだ。
「あまり飛ぶのに適していない、ずんどうな体の鳥だったわね」
途中で回復されてしまうのは厄介とは言え、単体を倒すのに苦労はほとんどなかった。
だが、問題はある。
「遭遇頻度の低さと、他の魔物と行動を共にしていることね……」
アルトバードは警戒心が低く、他の肉食性魔物の餌になっているため、個体数が少ない。だというのに、天敵の魔物と行動を共にしているのだから訳がわからない。
倒してもいい魔物と捕獲目標の魔物が同時にいる場合は徒労に終わる事が多い。
単純な話で、魔物も生物なので群れの構成員がやられていけば逃げる個体が存在する。そして、それはたいてい前衛を張る個体ではなく、後衛の個体だ。今回の場合、警戒心はないが臆病なアルトバードはほぼ間違いなく逃走を図る。しかも、回復させるので前衛は戦意を保ったまま立ちはだかり、アルトバードは戦闘にビビって逃げる。
つまり、捕獲できずに戦闘を続けなければならないのだ。
それと、この【美食殿】のメンバーで魔物捕獲の依頼に挑戦する場合、先とは異なる理由で徒労が重なることが考えられる。
それはギルドマスターのペコリーヌが、「間違えて倒してしまいました。もったいないので食べましょう♪」と言い出すことだ。
実力の問題ではない。きちんと手加減ができるからこその心配だ。
捕獲は力加減が難しい。ある程度弱らせなければ拘束を解いてしまうし、かといって間違えれば倒してしまう。しかも、今回は防御に秀でた魔物なのでダメージコントロールがうまくいくとは限らない。
そのため、勢い余って、ということはあり得る。正直、それはしょうがない。
ただ、食が絡むと厄介なのだ。
依頼に対しては邪な思惑を挟まない。ここだけは確実に信用できる。ただ、食に関しては純粋な思惑を入れ込む。ここも確実に信用……したくないけど間違いない。
この段階で釘を指すべきか、悩む。
いくらペコリーヌが食に執着するとはいえ、魔物退治で報酬をもらう身だ。その程度はわきまえていると思いたい。思いたいが、前回のゼラチナのこともある。
ちらり、とペコリーヌを見るが、キャルの悩みとは無縁そうな笑みを浮かべている。
「……まぁ、いいか」
しばらく考え、倒そうとした時はなんとしても阻止する、という方針にする。もちろん、危険が生じた場合はその限りではない。後衛の魔法職として最大限できることをするのみだ。
こうして思考に閉じこもっていても依頼は達成できない。まずは動かなくては。
「ひとまず、探しましょ?」
ため息を一つ吐き出しながら、キャルが人差し指を立てる。その表情には笑みが浮かんでいる。
「依頼もだけど、ここで少なくない数の魔物を倒しておけば、それだけ王都や庶民が安全になる。そうでしょ?」
前向きな言葉に、ペコリーヌが破顔する。
「その通りです♪ さっすがキャルちゃん」
胸前で構えた拳をぐ、と握ってみせる。
「わたくし達も微力ながらお手伝いいたします」
「頑張る」
ペコリーヌがそのまま拳を上に振り上げる。
「えい、えい」
合わせるように、他の三人も声を揃える。
『おー』
「でございます」
かたつむりなんだから水場から少し離れたところにいるんじゃないか、というユウキの言葉を受け、四人で散策すること十分程度。
天気がよく、少しだけ暖かさを感じる陽気。時折吹き抜ける風が心地良いため、半分くらいピクニック気分になりかけた、その時。
「あ」
ユウキが短い声を上げ、向かって右側を指差す。
背の高い木々がないため、見通しがいい。緑の色が鮮やかな平地に、今回の標的のひとつ、ケイブスネイルがゆっくりと這い回っていた。
遠間から見てもかなり大きな個体だ。下手をすると、コッコロの背丈ほどはあるだろう。
「相変わらず、大きなかたつむりでございます」
その声に、震えに近いものが含まれている、と感じてしまうのはキャルの主観だろうか。
実際、キャルも少々恐い。より大きな存在に恐怖を覚える根源的な本能なのか、それとも単純に無駄な労力を嫌う性格ゆえのことかまでは判別できない。
だが、ペコリーヌはそんなことお構いなしに声を上げる。
「いつもの通り、ユウキくんは皆を強化してください」
「うん!!」
「わたしが引きつけますから、キャルちゃん」
「分かってるわ!!」
敵全体を攻撃する、通常の
ただし、今回は単体、そして普段よりも相当に弱化させなければならない。そのための追加となる詠唱を開始する。
「わたくしはペコリーヌさまの援護、そしてキャルさまの護衛に」
「お願いします!!」
「いくよ」
ユウキは長剣を抜き放つと、頭上に掲げる。すると、彼を含めた四人が光を放つ。彼に与えられた、全能力の強化だ。
それを受け、最終確認を行う。
「前衛のあんたが正面から牽制と時間稼ぎ。コロ助とユウキがサポートしつつ、あたしの魔法でトドメ、ね」
非常に単純なフォーメーションだ。
殻に閉じこもることもあるため、物理攻撃よりは魔法を駆使した方が確実だ。ただ、今回は倒すわけではないことに留意しておかなくてはならない。それも付け加える。
「いい、ペコリーヌ。倒すんじゃないわよ? 今回あたしが使うのは振動の魔法なんだからね。脳とか、それに類する大きめの神経節を揺らせば一時的に動きを止められるはずだから、そこでふん縛るのよ?」
目に力を入れて、一番やらかしそうな相手に段取りと方針を確認しておく。
長剣を抜き放ったペコリーヌは、いつもの底抜けの笑顔を向ける。
「任せてください♪」
……キャルの脳裏に、一抹以上の不安がよぎる。
流石に、一匹目からやらかすことはないだろう、と思う。思いたい。頼む、信じさせてくれ。
「シンプルに行きます!!」
ユウキの強化を受けたペコリーヌは体を左前にして、抜き放った長剣の剣先を後ろに向ける。その姿勢のまま、地面と平行にしながら疾駆を開始する。
頭を突き出すようにして走るその姿は、前に行くことしか考えていないようなアンバランスさを見せるが、その分速い。重心が普段より前に移っているため、その一歩は大きく、力強い。それでも軽やかさを感じさせるのは思い切りの良さに由来しているのだろう。
一歩を左に踏み、次の一歩を右へと飛ばす。左足を前に大きく一歩を踏み込みつつ、動きを腰のひねりに乗せる。その動きを阻害しないように構えていた長剣を一気に頭上に掲げると、その動きに倍する勢いでケイブスネイルが背負った殻へと叩きつける。
だが、響いたのは破砕の音ではなく、硬いもの同士がぶつかりあった打撃音のみだ。
「っくぅ~~~」
ペコリーヌが声を震わせ、後ろへと下がりながら添えていた左手を離す。
固いものに固いものを叩きつけた時、双方共に傷が生じなければ衝撃は逃げることなく留まる。その衝撃は細かい振動となり、長剣を揺らしたのだ。
「何やってるのよ!?」
案の定だ。確実に殻を割りに行っている。
「大丈夫です。この程度では欠けません!!」
「剣の心配なんかしてないわよ!!」
ケイブスネイルの殻の方だ。え、あれ? 殻も欠ける、って言うっけ?
ペコリーヌが下がった分を埋めるべく、槍を構えたコッコロが突撃する。
「やああぁっ!!」
その勢いのまま、殻のない体の部分へと腰を入れた一撃を突きこむ。軟体動物独特のぐにょり、とぬめった感触に顔をしかめつつ、素早く槍を引く。
くるり、と穂先についたぬめりを飛ばすように外側に振り回しながら、小さく一歩下がる。
その動きの途中、槍の穂先で天を指す。
「光のご加護を」
精霊術によって呼び出した精霊を、治療のためにペコリーヌへとあてがう。
「大丈夫ですか、ペコリーヌさま?」
「ありがとうございます、コッコロちゃん」
柄から離していた左手をフラフラ、と振ってみせる。
「いやぁ、固いですねー。ちょっと侮ってました」
「やっぱり割りに行ってるじゃない!!」
釘を刺す。
「いい!! あくまで牽制よ!? ホントに割るんじゃないわよ!!」
「大丈夫です!!」
……返事はいいのだが、きっと分かっていない。
否。
キャルが気をつければいいのだ。放つのはただ音と振動が派手なだけの炸裂魔法。妙な力みや感情が入らなければ失敗することもない。大丈夫。心を落ち着かせ、平常心を心がける。
……ペコリーヌへのツッコミは一旦やめよう。確実に力むし感情的になるから。
ペコリーヌは長剣を掴み直して再び疾走を開始する。
先のコッコロの攻撃を受けてか、ケイブスネイルはもぞもぞ、とその体を殻へと引っ込め始める。いくら動きが遅いと言っても、自身の身を守る動きには無駄がないので素早い。
当のペコリーヌは疾走したそのままの勢いで軽く地面を蹴り、重力と自身の体重を乗せた長剣を最上段から振り下ろす。
「ズエリャアァ!!」
「……確かにそれも『王女』なんだけど」
「懐かしゅうございますね」
しまった、突っ込んでしまった。
ペコリーヌの
キャルが流された思考にセルフツッコミを入れるよりも先に、ペコリーヌは着地するや、前のめりになって地面を踏みしめ、
「はぁあっ!!」
背筋全てを使って刀身を押し込む。
殻に限らず、防具はほんの少しであっても傷がつくとその性能は一気に脆弱になる。そこに更なる力が加われば、小さな傷は更に広がり、大きな綻びとなる。
連続した鈍く低い音と同時、先程よりも大きな欠片が辺りに飛び散る。そして、ペコリーヌの身長よりも大きな殻全体が揺れる。殻に生じた異変への反応だろう。
思わず叫ぶと同時、
「だ・か・ら割るなってんでしょー!!!! ぶっころすわよ!!!!」
準備していた魔法を解き放ってしまった。
掛け声に気を取られてしまったのと、ツッコミを自粛していたことが災いした。ついでにかなり強い感情が生じた。
これらの効果により、ただ音と振動が派手なだけの炸裂魔法のはずが、人に当たれば間違いなく重傷レベルの威力がこもった爆裂魔法へと転化してしまった。無意識とは恐ろしい。
魔法の気配を察したのか、背後からの攻撃だというのにペコリーヌはあっさりと避けてみせる。
「あっ!?」
思わず声が漏れたのは……避けたことへの賞賛だ。決して撃ち漏らしたことへの失望ではない。まさか仲間を撃つ、なんて、ねぇ……。
キャルの放った不可視の力はペコリーヌが開けた穴周辺に着弾した。そして、腹の奥に来る重低音が響く。それと同時、小規模の衝撃波がばらまかれる。
「きゃん」
突如の爆破にコッコロの悲鳴が響く。長槍を抱き、肩を縮めていることから、相当に恐怖しているようだ。
「大丈夫、コロ助?」
「び、びっくりいたしました……」
「ごめん、ちょっと……」
怒りによって力が入った、とは言いにくい。何しろ重傷レベルの攻撃だ。怒りで人が殺せたら、という古よりの願望を体現できそうフフーン、と開き直れたらどんなにいいことか。
「いえ、キャルさまのお怒りもごもっともです。
ペコリーヌさまがご無事で何よりなのですが、あのお方が全力を出せばいかにケイブスネイルの殻とて破壊できてしまいます。
いつも通り食欲が勝ったのでございましょう。なので、今回ばかりはわたくしも少々おこ、でございます」
「コロ助……」
理解を示してくれるのはありがたいのだが、そこまで読まれていると思うと複雑だ。ペコリーヌにしても、攻撃が来ることを見越して避けていたフシがある。
……そんなに単純なのだろうか。
薄く白煙を立たせるケイブスネイルの殻で、最も目立つのはペコリーヌの斬撃の跡だ。
音と爆破の規模にしては破壊が小規模で済んだのは、魔法の大半は衝撃となってケイブスネイルの内部に浸透したためだ。加えて、その爆破が生み出した熱は斬撃跡から内部に入り、その身を焼き焦がし、生命活動を停止させたのだ。
その証拠に、殻内から腹足がでろり、と擬音が似合う動きで出てくる。
「う……ぐっろ……」
「……少々、生々しいですね」
少女二人から素直な感想が漏れる。
実際、あまり見た目のいい最期ではない。かたつむりという生物自身も、決して女性ウケするような造形でないことも感想を辛辣なものにする一因だ。
だが、個人の感想は様々だ。
「うーん、おいしそう♪」
この点に関してだけは一生分かり会えないな、とキャルは率直に思う。
というより、それどころではない。
「……やっちった」
口をまっすぐに閉じる。阻止しなければならないというのに、トドメを刺してしまうとは。やってしまったことはしょうがない、というのは簡単なのだが、キャルが気付いたのはもう一つある。むしろそちらがメインだ。
「……魔法が効きすぎるかもしれない」
「どういうことでしょうか?」
コッコロの問いかけに、どう説明するかを考えながら口を開く。
「さっきのって、怪我させちゃうくらいの魔力が込められた攻撃なんだけど、言い換えれば殺傷に至るほどの威力はないのよ」
正直に言うと、不意の怒りをこめた程度の出力では人を殺せない。無意識のうちに力をセーブしているのだ。
魔法は感情にとって威力が変動するものの、限界が存在している。無意識のうちに手加減する、というと分かりやすいだろうか。
それは意外に俗っぽく、仲間と認識した相手に振るう時に機能する、一種の安全装置のようなものだ。
仲間であるペコリーヌへのツッコミが不用意な一撃になってしまったため、派手な見た目と効果に対して威力は低めになった。だというのに、ケイブスネイルには致命傷となってしまった。
「なるほど……もしかして、殻で衝撃が増幅されているのでしょうか? さきほどのペコリーヌさまの攻撃のように、衝撃や熱の逃げ場所がないのでずっと残ってしまい、結果として死に至らしめるほどに」
コッコロの考察に、キャルは小さくうなずく。
「あたしもそう思う。
……ペコリーヌやコロ助の攻撃は徹らない。あたしの魔法は牽制どころか致命になる」
無傷で捕獲、という条件があるため、打つ手がない。
「どうしました、キャルちゃん。あ、食べ方ですか? それは既に」
「違うわよアホリーヌ!! どうやって無傷で捕まえようかって考えてるのよ!! 武器は駄目、魔法は駄目、ときたら」
「塩を使いましょう♪」
「なにもできな……は?」
ペコリーヌの割り込みに、思わず疑問符が漏れる。え、
「おっきいと言ってもかたつむりですから、塩をかければ縮こまります。それで動きを封じて、縄で縛りましょう」
言われた内容を反芻する。そして、かくん、と顎が落ちた実感を得る。
「……そうね。
なんでそんなシンプルな対策が思い浮かばなかったのかしら……ってあんたねぇ!! 分かってんなら最初からやりなさいよー!!」
「え? だってキャルちゃんが魔法使うぞー、って気合入れてましたから、これは横槍入れちゃ駄目かな、って」
……そんな空気を読まないで欲しい。
ちなみに、三十分程度で完了した。
搬出はギルド管理協会からの馬車で行う手はずだそうだ。というかそこまで説明しておいてほしい。
「問題はアルトバード、なんだけど……」
ケイブスネイルに塩を撒いてふん縛っている最中、他の魔物は見かけたりやり過ごしたりしたものの、その間一羽も見かけなかったのだ。
加えて、キャルにはもう一つの懸念が現在進行している。
「……ユウキは?」
きょろきょろ、と辺りを見回すものの見当たらない。先の強化以降、いつにも増して静かだと思っていたが、まさかこんな見晴らしのいい場所で迷子とは。
苛立ちよりも焦りが先行する。
「ユウキー!!」
すると、
「キャルちゃ~ん」
やや間延びしたユウキの声が届いてくるものの、その姿は見えない。普段から声を張ることがないため、遠くからだと距離感が分かりにくい。
「ユウキ? どこなの!!」
「ここ~」
だから分かるか。いやそう来るだろうというのは分かっていたけど、せめて手を上げるなりして動きを見せろ。
そう思っていると、右側、小高い丘の上で濃紺のマントがひらひら、と揺れるのが見える。丘の向こう側にいたために姿そのものが見えなかったのだ。
迷子ではなく、何もなかったようでほっとする。ただ、どことなく歩き方が奇妙だ。普段であれば、背筋を伸ばして真っ直ぐ歩いているのに、今は体を左右に動かして歩いている。時折、小さく肩を持ち上げるように動かしている様は、何か物を持ち直しているかのようだ。
キャルと同様、ユウキを見ていたペコリーヌは笑顔を見せる。
「うまく行ったみたいですね♪」
「どういうこと?」
キャルの問いかけに、ペコリーヌはでかい胸を張る。
「ユウキくんにはアルトバード捕獲をお願いしていたんです」
ということは、持ち直しているのは捕獲したアルトバード、なのだろうか。
だが、うまく行った、という意味が分からない。
なぜ、ユウキであればうまく行く、みたいな言い方なのだろうか。加えて、コッコロが何も反応を示していないということは、ユウキの単独行は既に共有されていたのだろう。
キャルだけのけ者にされたように感じ、少しだけ苛立つ。
それが外に出る前に、
「ユウキくんの人畜無害さを活用して、警戒心の低いアルトバードを捕まえてもらっていたんです」
ペコリーヌが更に胸を張る。それだけで揺れる。うるさい。態度がうるさい。あとお前じゃない。頑張ったのはユウキだ。まだどれだけ捕獲したか知らんけど。
「たくさん捕まえた」
いつもながらの端的なユウキの言葉だったが、彼が抱えている
「一、二、三、四……五羽!? すごいじゃない!! あんたもやればできるのね」
素直に驚く。アルトバードの警戒心のなさより、鳥にすら警戒されないユウキとは一体。
「さすが主さまでございます。日々の鍛錬の成果が出てらっしゃいますね」
コッコロの賞賛に、ユウキは笑顔で答える。
ペコリーヌも、五羽という成果には驚きを見せている。
「わお♪ さっすがです♪ やばいですね☆
……チュウしますね?」
評価はしているのだろうが、それは看過できない。というか距離感どこいった。
『するな』
「でございます」
当然遺憾を表明する。
その後、不足分の捕獲に走り回ったユウキとペコリーヌのうち、ユウキは再び五羽を確保。これで依頼は達成だ。
だが、四羽を捕らえたペコリーヌの姿を見たキャルが再び絶叫する。
「あ、あんた、そのスカート……」
否。絶句する。
豪奢なフリル付きの白いスカートには、大小不揃いの赤いドット柄が描かれていた。もちろん、さっきまでそんなものはなかった。再び集まる前についたものだ。
そして、彼女はその原因となるものを両手にぶら下げている。四羽のアルトバードなのだが、それらには……頭がなかった。
「血抜きは済んでます♪」
「そうじゃなーい!!」
「ペコリーヌさま、衣服に付着した血を落とすのは難儀でございますよ」
「そうじゃなーい!!(一行ぶり二度目)」
微妙に生々しい姿を目の当たりにし、思わず声が揺れる。
「な、何考えてるのよあんたは!!」
微妙に涙目になっているキャルに対し、ペコリーヌは困り顔を向ける。
「何って……みんなでご飯を食べるためですよ? それ以外に何かありますか?」
「言い切られてもぉ!?」
「みんなでご飯」
ユウキがうきうきとした口調で追従する。
なんだかんだでユウキには弱いだけでなく、食に対してペコリーヌとは異なる意味で思い入れのあるキャルは、
「うっ……」
言い返すことも拒むこともできず、言葉に詰まる。
諸々を知っているペコリーヌ、そしてコッコロの二人は、
「『みんなでご飯』☆」
「『みんなでご飯』でございます」
「またも知ってる流れ!!
でもまぁ……うん。いいわよ?」
「……ちょろい」
「何か言った?」
二人が何らかの曲を奏で始める。
「ちゃららっちゃちゃちゃちゃー♪」
「ちゃららっちゃちゃちゃちゃー、でございます♪」
少々外れた音程ではあるが、なんとなく昼前なんだなぁ、というのは伝わってくる。何の曲かは思い出せないが。
その曲をバックグラウンドに、キャルは諦めたようにつぶやく。
「いやもうそれいいから、ちゃっちゃと始めましょうよ」
「まず、それぞれの下ごしらえをしてしまいましょう」
作業台代わりの岩の前に陣取ったペコリーヌは首なしアルトバードを手にする。
「こちらが今回使用するアルトバードですが、煮え湯につけて毛を毟ります。その後、内臓を抜きます。この作業を壺抜きと呼びます」
足を持って湯がく真似を終えると、そっとまな板代わりの板の上に乗せる。
すると、コッコロが横から、
「毛を毟り、壺抜きの終えたものはこちらにございます」
声とともに二羽を置く。
「疲れた」
「主さま、お疲れさまでした。おかげで綺麗なお肉になりました」
「……なんか、うまく出来ないかしらね?
要は、全方向からゆるく引っ張ればいいのよね。で、毟った羽を……」
「キャルちゃん、また食べたいのかな? いつもは」
コッコロはユウキのマントの裾を引っ張る。
「主さま、その話は今なさらぬよう」
「? うん」
続いて、ペコリーヌは腰後ろの長剣を抜く。そして、岩の隣にまで転がし……運んできた殻の一部が壊れているケイブスネイルの前に立つ。
刃を寝かせ、腰後ろに回すと、肩幅以上に足を開く。そして、体を大きく後ろへとひねる。下半身は前を向いているのに、体の半分以上が後ろにいるキャルに見えるほどだ。
一度しっかりと動きを止めると、一気に息を吐き出す。たったそれだけなのに、ペコリーヌの体が大きく膨らんだように感じる。
そして、再び息を吸い込みながら、
「"殻を開けな!
ペコリーヌはらしくない少々汚い言葉遣いで、聞いたことがあるようなないような、そんなセリフを放つ。
「……は?」
キャルが発した疑問の音に答えることなく、ペコリーヌはひねっていた体を正す動きに合わせて、大剣を横薙ぎに放つ。
「"新春乾坤天晴剣"!!」
大剣は振り抜かれ、その軌跡がケイブスネイルの殻に一本の線として刻まれる。
砕くのも難しかったというのに、宣言通りの範囲攻撃によってあっさりと両断したのだ。
だが、半オクターブ高い声でキャルが叫ぶ。
「違うでしょ!? いや間違ってないけど何もかも違う!!」
「コッコロちゃ~ん、クッキングストップ♪」
「あんたいくつよ!? たぶん半分くらい置いてけぼりよ!?」
「半分とは大概ですね♪」
「だいたいあんた、範囲攻撃ってなら"プリンセススプラッシュ"あるじゃない? 水着のときの」
「あー、その頃まだやってなくて持ってな……あれパラソルじゃないとできないんです。やばいですね☆」
既に疲れ果てたキャルを尻目に、ペコリーヌはにこやかに告げる。
「今回は二品作ります。
『ケイブスネイルのバター焼き』と、『アルトバードのロースト』、そして『アルトバードのソテー フローラ湖畔風』です♪」
「三品じゃない!!」
復活したキャルの激昂に、コッコロが小さな体を更に縮こまらせる。
「すみません、わたくしがうまく壺抜きができず、解体してしまいまして」
「あ、いや、そういうことじゃなくって……」
言葉の通り、そういう意味ではなかった。ペコリーヌへの非難の意見だったのに、なぜか年下の子を叱責することになってしまい、微妙にいたたまれなくなる。
キャルには堪えても、ペコリーヌには堪えるどころか通用すらしていない。
「その結果、ソテーができるんです♪」
「あ、うん。でも、そういうことでもないのよね……」
不用意な言葉で、再び年下の子を悲しませたくない。
だが、コッコロも大概だった。先の声色や内容などどこ吹く風、新たな言葉を作る。
「まずは『ケイブスネイルのバター焼き』四人分の分量でございます」
ケイブスネイル(殻付き)…200kg
無塩バター …10kg
にんにく(大) …5個
パセリ …500g
塩 …20g
「既に単位がおかしい!! 何よキロって!!」
以前と異なり魔法も頼まれなかったし、ペコリーヌの荷物が少ないために油断していた。今回は他の材料を加えても20キロ。前衛の
ただ、ペコリーヌには違う意味に聞こえたようだ。
「すみません、捕獲のために塩をたくさん使ってしまいましたので、ちょっと物足りないかも知れません……」
何を言われたか、分からなかった。
「あバランス!? バランスの話したの!? 違ぁーう!! あたしがしたのは全体の量の話ー!!」
瞬時に理解するが、一切理解できない。
「キャルさま、殻付きでの重さですので見た目ほどではございませんよ」
そんな言葉が欲しいわけではない。常識に照らして考えてほしい。
「いやいや、そういう話じゃなくって!! 第一こんな量食べられ」
コッコロの隣にいる人物を見る。
「……るわね」
常識そのものが歪んだ存在がそこにいた。
「じゅるる……」
「せめて人間としての尊厳は残しておきなさいよ」
キャルの常識を置き去りに、話は進む。
「『アルトバードのソテー フローラ湖畔風』四人分の分量です☆」
アルトバード(解体済み)…800g(一羽)
無塩バター …20g
塩 …少々
胡椒 …少々
「あんたのソテーは期待できるわ。前食べさせてくれた魚のソテーは店のと遜色なくおいしかったから。
……素材がアレだけど」
「変わらないと思いますよ? むしろこっちの方が美味しいと思います」
根拠が分からない。〆たてだとやや固さが目立つと思うのだが。
「いやいや、コッコロちゃんの心がこもってます。
「ドヤ顔やめて」
どこにドヤる要素があったのだろうか。
「それと、『アルトバードのロースト』四人分の分量でございます」
アルトバード(壺抜き済み)…3kg(三羽)
野草 …120g
「野草ぉ!?」
わざわざ反応してしまうのは連中の思惑通りだと理解している。それでも今回は反応しなくてはならない。
流石にその辺の葉っぱを使うのは勘弁してほしい。というか、誰が何したか分からないのだから即座に放棄してほしい。
だが、当然のように伝わらない。
ペコリーヌは頂部に小さな粒が縦に連なっている、細い葉を持つ野草を手に取る。軽く揺らしながら、にこやかな表情を見せる。
「さっき食べてみましたけど、ローズマリーっぽい匂いと爽やかな味わいでしたから使えます」
「食べたぁ!?」
手遅れだった。
もう片方も、野草を手にしていた。そちらだけでもなんとか阻止
「ふむ。ペコリーヌさまのおっしゃる通り、清涼感がいいですね」
……間に合わなかった。言葉の通り、口を小さく動かしている。
もうダメだ。解毒の魔法は……しまった、それはヒーラーの領分だ。
「大丈夫ですよ、キャルさま。きちんと洗いましたので」
「……」
少しだけ目が細くなった自覚を持ちながらコッコロを見る。
微妙に歪んだ自覚を持つキャルに対し、その顔は穏やかな無表情だ。そこから真実かどうかを見極めることはできない。
「それに、この野草を食べるわけではございません。加えて、火を通しますのでご安心ください」
相変わらず表情からは読み取れないが、そこまで言うのであれば信じられなくもない。ただ、たまにド天然なので怖……天然の要素が入らない分野だった。つまりガチ。ダメだった。
「……分かったわ。それなら、あたしが洗ってくる」
譲歩……妥協……いやいや念の為、ひいてはキャル自身のためだ。
キャルはその場にある野草に手を伸ばす。
「あ、いえ、キャルさま、洗ったものは既にこちらに」
疑っているつもりはないのだ。そう、自分でやれば多少心配がなくなるというか。
「えっと、コロ助を疑っている訳じゃなくって」
あ、言っちゃった。せめて、ペコリーヌには知られないように
「洗ったのはわたしですよ」
「こいつが関わってるのが嫌なのよ!!」
あ、言っちゃった。
しょうがない、というよりはちょっとほとぼりを冷まそう。
むんず、と野草を掴み、宣言する。
「行ってくりゅ!!」
……動揺が口に出てしまった。
「キャルちゃん、ありがとうございます」
洗った野草をペコリーヌに渡す。
「ではこれを、アルトバードのお腹に詰め込みます」
「野草40g、でございます。それと」
コッコロはアルトバードの肋骨一本を差し出す。
「コロ助? それ何に使うの?」
答えたのはペコリーヌだ。
「お腹を縫うんです」
緩い弧を描く骨を手にすると、背骨とつながっていた方、小さなコブのように膨らんだ部分に細く割いた木の皮を結わえる。そして、野草を詰め込んだアルトバードの内臓のない腹へ、細く尖った方を突き刺す。あとは裁縫の要領で、空いた穴を塞いで野草がこぼれないように閉じていく、というわけだ。
「で、これを大きな葉っぱにくるんで」
コッコロから渡された葉にくるむ。少々ピンクの肌が見えるが、それはご愛嬌というものだろう。
「次はケイブスネイルです。さっき切った上の方をフライパン代わりに使います」
ごとり、と無造作に置かれた殻は、
「意外にきれいな三角錐になってるのね」
素直な感想だ。
「生物は進化の過程で機能美を備えますから」
「ふぅん」
キャルには審美眼はない。名のある美術品を見ても、漠然とすげー、くらいしか感想がない。
だが、ペコリーヌはそんな軽々しい意見だけでは許されないのだろう。恐らく、相当鍛えられているに違いない。
「美味しいものは美しいんですよ。そして、美しいものは美味しい。
これが世界の真理ですよキャルちゃん!! やばいですね☆」
……あ、これ審美眼じゃなくて欲望で見極めてやがるな。でもって、その見極めに間違いがなさそうだ。厄介な。
「内臓は外して、身は一口大に切ります」
手際よく、巨大な軟体物を切り分けていくが、あまり見ていて気持ちのいいものではない。
「……うーん」
初見ではないのでまだ我慢ができるものの、どこで見たのかが思い出せない。
「ねぇ……それって、どっかで食べたわよね?」
手元から目を離さず、ペコリーヌが答える。
「【ニュージェネレーションズ】のみんなとですね」
思い出した。そして即座に忘れることにする。話題、何か転換できる話題を……ッ!!
だが。
包丁を離したペコリーヌが、手を顔横にまで上げ、甘く握りこぶしを作る。
そして、
「『アイドルキャルちゃん、華麗に登場にゃ☆』」
手首を少しだけ曲げてみせる。それはまるで、擬人化した猫のように見えなくもない。
更に、その隣で作業補助をしていたコッコロも、
「『きゃるきゃる~ん☆』でございます」
言いながら、同様のポーズを取る。
キレた。
「やめろーーーーーーっ!!!!
殺すぞっ、殺すぞほんとにっ!?
今回はなんだ!! 何か諸々過去をほじくり返さないとダメな回なのか!?」
ネタが薄いだけですすみません。
「あの時とは少し変えましょう。この後の予定もありませんし」
ペコリーヌの言葉に、
「にんにく五個のうちのひとつでございます」
コッコロがにんにくの乗った皿を渡す。既に鱗茎はほぐされて皮も剥かれている。
ペコリーヌはその一欠をまな板代わりの板に乗せると、
「これを」
包丁の腹の部分で潰す。
「こうして」
潰したにんにくを細かく刻む。
「こうです!!」
次の一欠に取り掛かる。
「段取り悪っ!!」
「他の四個は既はみじん切りにしてあります」
「段取り良っ!!」
ローストとバター焼きは火の中に放置していてもできるが、ソテーは別だ。
「それこそ火加減が重要ですからね」
ペコリーヌはそう言うと、フライパンを熱し始める。
「まず、アルトバードの切り身に塩と胡椒で下味をつけます」
「筋などを取り除いたアルトバード800gでございます」
塩と胡椒を高めの位置から振りかけ、軽く手でもみこむ。
「焼く直前に味付けをすると、余計な水分が出なくて済みます」
「塩と胡椒、少々でございます。
フライパンには無塩バター、20gを溶かしてあります」
「仕事が早いですねコッコロちゃん、ありがとうございます」
フライパンの取っ手を持ち、ゆるく前後左右に傾け続けて溶かしバターをフライパン全面に広げていく。
「ここからは時間との勝負です。皮目から焼いていきます」
宣言と同時、じゅう、と甲高い音が立つ。
「ずいぶんと強火でございますね。バターを使っていると焦げやすいのでお気をつけくださいませ」
「お気遣い感謝です♪」
だが、入れた鳥の肉には手を触れない。
「あんた、さっきコロ助が言ってたこと聞いてた?」
「鳥に限らず、火に入れた直後のお肉は落ち着いていないので、触らずに焼き固めるんです。もちろん、そのまま放置していれば焦げ付いちゃいますけど、このくらいの短時間でつく焦げなら美味しく見せるアクセントになっちゃいますよ?」
アクセントの意味が誤用されている気がするが、指摘せずに流す。
「でも、これじゃ中は生焼けよね?」
確か、鳥は食中毒の危険があり、生食は厳禁だと聞いたことがある。
「はい。なので、この後蒸し焼きにします。ちょうど葉っぱもありますし、蓋代わりに使って中まで火を通します」
「ちょっと面倒ね」
キャルは率直な感想を告げる。それは手間のこともあるが、一番はペコリーヌの苦労に対してだ。
何しろ、下ごしらえから調理まで、少なくとも数時間を使っている。なのに、食べ終わるまではせいぜい40分かそこらだ。
割りに合わない、と思ってしまう。
だが、ペコリーヌはてきぱきと手を動かしながらいつも通りの、満面の笑みを浮かべて答える。
「面倒でも、大変でも、苦労してでも。
美味しいものを作るのに妥協はできません。
それに、できたものをみんなで食べれば、もーっと美味しくなって、もーっといっぱい食べたくなっちゃいます。
たった数時間で、みんなを笑顔にできちゃうんですよ?」
手首一つで鳥をひっくり返して、続ける。
「そんな苦労ならわたし、いくらでも頑張っちゃいますよ♪」
登場人物
ユニちゃんズ
「しっ!! 一回唱えたら百匹蘇るつったろ!!」
「ヒィ!! そうでしたごめんちぇる!!」
「塩撒いとこ。今回同様塩対応。やかましいわ」
「……ぼくの提唱したギルド名、ケイブスネイルと同等?」
『ズエリャアァ』って言う方の王女
ヒューマン。放浪の王女。ドングリ食う系の声質。
大戦により父王が身罷ったため、自身が復興の御旗となり、戦力集結のため各地を放浪する。
ピックアップ10連二回で完凸したくらい強運のゲームだったけど、第三部開始当初でスマホ買い替えの際引き継ぎに失敗。以降封印。
本当の『天楼覇断剣』の所有者
ヒューマン。名前がふたつある。極悪人を名乗るなんちゃって悪人。幼い。
正月バージョンは正直使いあぐねている。なんで
ノーマルの方はランク14じゃ話にならないのでスフィアを使うか検討中。