早朝。ウマ娘がまだ寝ている中、1人黙々と走り続けている博樹の姿があった。朝靄がかかる桜並木をただ黙々と走り続ける。青色のジャージに黄色のランニングシューズを履いていた。
「ハァ、ハァ…4月でも少し…肌寒いな…」
いくら春先だからといっても博樹は動いていないと気が済まない質であった。高校から続けていた、早朝ランニングも既に5年となった。
そんな中博樹の後ろから1人のウマ娘がついて来た。栗毛に髪には彼女の特徴と言うべきアホ毛が一本映えている。そのウマ娘は博樹を抜き去って行こうしたが、止まりだしあろうことかこちらに戻って来た。
「見かけない顔ですね。トレセン学園内の人物データベースを照合中。該当者なし。不審人物と判断」
「ちょっと!待ってくれ!僕は昨日来た新人トレーナーだよ!」
「今年の新人トレーナーリストを照合中…照合完了。向井博樹。新人トレーナーですね」
「ふう~良かった」
「初めまして、ミホノブルボンと申します。マスター」
「マスター?僕は君のトレーナーになった覚えはないけど…」
「いえ、これは私自身が決めたことです」
「まぁいいや。とりあえずよろしく」
そう言って、ミホノブルボンと握手をした瞬間、昨日と同じ2人の間に電気が流れた。
「うわ!」ビリ!
「!」
「ごめんなさい!大丈夫ですか?」
「…」
「ミホノブルボンさん?」
「エネルギー充填100%。トレーニングを再開します!」
そう言って、ブルボンは嵐のような速さで過ぎ去っていった。
(軽い。先ほどの疲労が0になりました。これならいい走りが出来そうです)
訳が分からなくなった博樹はとりあえず部屋に戻ってシャワーを浴びるのであった。
シャワーを浴びて校門前に行くと、緑色の服に可愛い帽子を被っている人を発見した。どうやら博樹の到着を待っていたようだ。
その人は博樹が来ると近くまで駆け寄って来た。
「初めまして、理事長秘書の駿川 たづな (はやかわ たづな)と言います」
「…向井博樹と言います」
「ここトレセン学園では、ウマ娘たちとトレーナーさんが二人三脚で体や心を鍛えて、G1レース制覇や三冠馬ウマ娘を目指す方もいます。是非彼女たちと絆を深めて育ててくださいね」
「…よろしくお願いします」
「さて、ここまで質問等ございましたら遠慮なく言ってくださいね」
「では、一つだけ…何でいるの、たづな姉?」
「なんでって…理事長秘書をしているから?」
「いやいや…それはわかるよ。それよりもどうして、ここに居るのって話し!」
「そりゃあ、ここで働いているからよ。博樹もどうしてここにいるのよ」
「わかるだろう。新人トレーナーとしてこのトレセン学園に来たんだよ」
そう、実はこの2人小さい頃から遊んでいる、いわゆる幼馴染なのだ。しかもたづなは博樹がこのトレセン学園に入学することを知った上で、茶番をしていた。
「まさか、博樹がここに来るとは驚きよね~おばさん達元気にしている?」
「元気だし、実家でバリバリ働いているよ」
「そっか。なら安心したわ。それよりも朝ご飯はどうしたの?」
「え?まだだけど…」
「なら、一緒に食べない?色々施設の案内もしていないといけないし」
「そうだね。お願い出来る?」
「まかせなさい!」
そう言って、胸を叩くのであった。
そして、たづなの案内の元カフェテリアに向かって行った。そこには、昨日会ったルドルフやマルゼンスキー更に今朝出会ったミホノブルボンの姿があった。
その他にも色々なウマ娘たちがいた。そんな時、博樹に抱きついて来た1人ウマ娘がいた。
「おっは~ヒロ君!」ダキ!
「ひ!ま、マルゼンスキーさん!?」
「こら、マルゼン、ポニーちゃんが…ってあれ?男の人?」
「そうよ。フジ。彼は昨日トレセン学園に来たトレーナーで、向井博樹くん。長いからヒロ君って呼んでるの♪」
そう言って、マルゼンスキーは博樹から抱きついて離れなかった。そんな博樹はある疑問が浮かんできた。
「あれ?オグリキャップは?」
「あら?そう言えばいないわね」
その疑問にマルゼンスキーが「フジ」と言っていたウマ娘が答えるのであった。青鹿毛だが黒っぽく、前髪の一部にメッシュが入っているウマ娘だった。
「オグリなら多分部屋にいると思うわ」
「そうだな。あの子はここで、食べるのを嫌っているからな」
「あの貴女は?」
「ああ、失礼。私はフジキセキ。栗東寮寮長をしている。以後お見知りおきを…」
「新人トレーナーの向井博樹と言います。よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそよろしくね♪」
そう言って、握手をして来たので一瞬ためらったが“多分大丈夫だろう”と思い手を握ったのだ。
しかし…
「こちらこそよろしくお願いします。痛い!」バチ
「うわ!」
「ごめんなさい…大丈夫でしたか?」
「大丈夫ですよ。静電気って慣れっこですから」
「でも…」
「それに、何だか昨日から出ていた疲れが無くなった気がするんで大丈夫ですよ」
「でしょ~私も昨日彼と握手してから調子がチョベリグなのよ!」
そう言って、2人とも博樹の両サイドに座っていた。たづなは正面に座る形になった。
「ねぇねぇ昨日の様に、私に触ってくれない!元気になりたいのよ!」
「ええ!それは…」
対面のたづなに目を向ける。笑顔でいるが、後ろからの圧が凄い(下手な事をヤッたら分かっているよな…)と言わんばかりに、睨んでいる
それを読み取って最善の策を練るのであった。
「えっと…とりあえず食べましょうか。冷めるとマズイですし」
「そうね。なら、あとでお願いね♪」
そう言って、なんとか逃れた。しかし、たづなからの視線は変わらなかった。そして、フジキセキとマルゼンスキーと喋りながら朝食を終えるのであった。
朝食を終えるとトレーナー室に案内された。そこには、各ウマ娘達のトレーナーが居た。ベテランから新人までそれぞれ居たが、一番目を引いたのは前期ライセンス試験のトップ合格者である「桐生院 葵」が居た。彼女は「トレーナー白書」なるものを読んでいた。
そんな彼女を邪魔してはいけないと思い博樹は、少し離れたところで先輩トレーナー達から受け継いだノートを読んでいた。
「さて、メジロマックイーンさんとミホノブルボンさんかな。マックイーンさんは…」
メジロマックイーン
バ場適性 芝A ダートE
距離適性 短距離G マイルF 中距離A 長距離A
脚質適性 逃げB 先行A 差しD 追込F
「やっぱり、天皇賞を狙ってくるくらいだから、長距離は必須だね。次にブルボンさんか」
ミホノブルボン
バ場適性 芝A ダートG
距離適性 短距離C マイルB 中距離A 長距離B
脚質適性 逃げA 先行E 差しG 追込G
「この子は逃げ専門かな。けど、鍛え方によれば中・長距離の逃げが出来るか…けど、僕の担当ウマ娘は彼女達になるかわからないもんね」
そう結論を出すと博樹は、持って来たカバンから一冊の本を取り出した。タイトルは「物理学から見るウマ娘の陸
上理論」というものだ。
これを見て、将来担当するウマ娘に教えて行こうと考えていた。そして、トレーナー室にたづなと小柄で頭にネコを載せた人が入って来た。
「諸君ッ!!ようこそトレセン学園へ!私は、理事長の秋川である!まずは、歓迎ッ!!」
「皆さんこんにちは。理事長秘書の駿川たづなと申します。以後お見知りおきを」
パチパチパチパチ。
「うむ!感謝ッ!!では、早速だが、諸君らには担当ウマ娘を見つけて3年後の新年に行われるURAファイナルズに向けて、日々の「育成」でウマ娘達を強くするのだ!!」
ざわざわ…ざわざわ
周りのトレーナー達が困惑している中、秋川理事長はさらに続けた。
「このURAファイナルズでは、『全ての距離』、『全てのコース』を走ることが出来るのだ!更に!ファンに選ばれたレース「宝塚記念」にも参加出来る!夢の三冠馬も夢ではないぞ!」
その一言でトレーナー達の目の色が変わった。是非自分のウマ娘を三冠馬に、G1制覇など持っていたが、博樹は「ウマ娘達が楽しくそして、伸び伸び走れるようなトレーナーになる」を持っていたので、三冠馬やG1制覇は夢のまた夢だった。
「では諸君ッ!!来週に行われる選抜レースに向けて、目星のウマ娘達と交流してくるのだ!!」
「お話しは以上になります。それで本日は解散となります。皆さまお疲れさまでした」
そう言って、秋川理事長とたづなは去って行った。そして、スカウトの時間が訪れるのであった。
先ず、学園内にあるターフで練習している娘達を見るため向かって行った。その時後ろから大きな声で走って来るウマ娘達を見た。
「うわわ~退いてください~!」
「へ?(ドーン!)痛い!」
「あわあわ大丈夫ですか!」
「ちょっと待ってよ!スぺちゃん!」
「ハァハァ…スぺちゃん、ティオー早いわよ…」
そこには、3人のウマ娘達がいた。1人は黒鹿毛で前髪にメッシュが入っており、右耳に紫色のリボンをつけ、頭には三つ編み状の白い飾りを巻いて後ろを紫色の紐でくくっている。
もう1人は鹿毛でポニーテール。右耳に青いリボンをつけ、ポニーテールの根元には桃色のリボンをつけている。前髪の一部にメッシュが入っており、メッシュの入り方はシンボリルドルフを真似ていた。
最後の大人しそうなウマ娘は明るめの栗毛で、緑色の耳カバーとカチューシャなどをつけていた。
「痛てて…大丈夫ですよ」
「そうですか…なら、いいんですけど」
「ねぇねぇそれよりも、君が新しいトレーナー?」
「まぁそんな感じだよ。自己紹介がまだったね。僕は向井博樹と言います」
「はい、スペシャルウィークです!皆さんからは“スぺちゃん”って言われてます!」
「トウカイテイオーとはボクの事だよ!」
「…サイレススズカです。よろしくお願いします…」
「こちらこそよろしくお願いします。それよりも、皆さん急いでいましたが大丈夫ですか?」
「あーそうでした!ごめんなさい!また今度お話ししますね!」
「早くしないと、カイチョーの走りが見れなくなるよ!」
「…すみません。失礼しますね…」
そう言って、3人はターフに向かって行くのであった。それに続いて博樹もターフに向かうのであった。
既にターフでは各ウマ娘達が準備をしていた。その時博樹は先ほどあった3人について調べるのであった。
「さて、まだ始まらないようだしさっきの3人について調べてみようかな。先ずはスペシャルウィークさん…」
スペシャルウィーク
バ場適性 芝A ダートG
距離適性 短距離F マイルC 中距離A 長距離A
脚質適性 逃げG 先行A 差しA 追込C
「こんな感じなんだ。やはり後方からの差しにした方がレース展開とかいいんだろうな。次にトウカイテイオーさんか…」
トウカイテイオー
バ場適性 芝A ダートG
距離適性 短距離F マイルE 中距離A 長距離B
脚質適性 逃げD 先行A 差しC 追込E
「どことなくルドルフに似ているかな?さて、最後にサイレンススズカさんか…」
サイレンススズカ
バ場適性 芝A ダートG
距離適性 短距離D マイルA 中距離A 長距離E
脚質適性 逃げA 先行C 差しE 追込G
「逃げ専門なら、マイルや短い距離を走らせた方がいいかもしれないね。おっとそろそろレースが始まるみたいだ」
そう言って、一旦トレーナーノートから目を離してレースに集中するのであった。
レース後、すぐさま各ウマ娘にトレーナー達が向かって行った。そんな中博樹も向かおうした時にまたしても声をかけられた。
「あの~向井トレーナーですよね」
「そうですけど…貴女は?」
「私は桐生院 葵と申します。先ほどトレーナー室で真剣に勉強されていたので、気になって声をかけてみたんです」
「そうですか。桐生院トレーナー担当ウマ娘は決まっているんですか?」
「ええ、この娘です」
そう言って、目の前に現れた子は全身白い勝負服に、どことなくボーっとしているウマ娘であった。
「ミーク、挨拶をしましよう」
「……はい」
「向井トレーナー。この娘はハッピー・ミークと言います。ミークご挨拶を」
「……はい。どうも……ハッピー・ミークと言います……よろしくお願いします」
「はい。向井博樹と言います」
「……」
「……」
互いに黙ってしまった。それを見かねた桐生院トレーナーは博樹にスカウトに行かないのかと聞いてみた。
「そう言えば向井トレーナーはスカウトに行かないんですか?」
「あーー!忘れていた!」
ターフを見ていると既にウマ娘の姿はなく、誰もいなかった。仕方ないので、トレーナー室に戻るのであった。その姿を見て桐生院は何だか申し訳ないと思っていた。
放課後。結局誰もスカウトする事が出来ず、自室に戻ろうとした瞬間、館内放送が鳴り響いた。
『向井トレーナー。向井トレーナー。至急生徒会室までお越しください。繰り返します…』
「何だろう?とりあえず呼び出されたし、行ってみるか」
そう言って、博樹は生徒会室に向かうのであった。そして、生徒会室に入るとそこには5人のウマ娘達(シンボリルドルフ、マルゼンスキー、オグリキャップ、メジロマックイーン、ミホノブルボン)が揃っていた。
「失礼します」
「向井トレーナー。急に呼び出してすまないな」
「いえいえ、ちょうど自室に戻ろうとしていた時ですから、大丈夫ですよ」
「ならよかった。時に向井トレーナー、担当ウマ娘が決まっていないと聞きたが本当かい?」
「ええ、お恥ずかしながら…」
「うむ。なら、ちょうどよかった」
「ちょうどいい?」
「実は、ここ居る
「え…ええ!」
それは、青天の霹靂だった。ここに居る5人は名立たる名馬である。その5人が博樹をトレーナーとして欲しいと言ってきたのだ。
それよりも、一番驚いたのは
「君もそれでいいのかい?ルドルフ?」
「ああ、君なら必ずやURAファイナルズで優勝に導いてくれるだろう」
「そ・れ・に♪お姉さん君の事気に入ったしね」
「ま、マルゼンスキーさん!」
「初めて君と会った時から、凄く安心するんだ。そう、笠松に居た時の様な感覚だ。だから、君に全てを任せたいんだ」
「お、オグリキャップさん…」
「わたくしの目標を言った時に貴方は褒めてくださいましたわ。それに、貴方の目標である『ウマ娘達が楽しくそして、伸び伸び走れるようなトレーナーになる』その目標を叶えるのにはうってつけのメンバーではありませんか?」
「マックイーンさん…」
「今朝のトレーニングで確信いたしました。私のマスターにふさわしいのは彼しかいないと。それに、マスターとの勝率は100%です」
「み、ミホノブルボンさん!?」
「それと、私の名前はブルボンで結構です。マスター」
「り、了解です…」
「それなら私の事も、“マルゼンスキーさん”って何だか堅苦しいから呼び捨てでもいいわよ」
「む!それなら私も呼び捨てにしてくれ。若しくはオグリでもいいぞ」
「じゃあ…マルゼン、オグリ?」
「ああ///」
「ええ!何だかドキドキするわね」
「話しはまとまったな。それでは、改めて、シンボリルドルフだ。よろしく頼むトレーナー君」
「マルゼンスキーよ!よろしくねヒロ君♪」
「オグリキャップだ。よろしく頼む」
「メジロマックイーンですわ。メジロ家の誇りをかけて、よろしくお願い致しますねトレーナーさん」
「ミホノブルボンです。マスター」
「よ、よろしくお願いします」
こうして、博樹は5人のウマ娘のトレーナーとなったのであった。
△▼△▼△▼△▼
ここは、トレセン学園職員室。たづなはここで理事長秘書としての業務を行っていた。そんな時彼女の脳裏にある光景が浮かんできた。
「ハッ!何処かでラブコメの波動を感じる…ってそんな訳ないか」
「はぁ~早く博樹も私の事に気が付いてくれないかな…」
そこには、小さい頃に2人で取った写真が写真立てに入っていた。この頃からたづなは博樹に気になっていた。
今後この2人がどうなって行くのは神のみぞ知る…
そして、ここにもう1人。博樹の事を想っているウマ娘が居た。
「うふふ///早くお世話したいですね~」
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次のメイクデビューは?
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メジロマックイーン
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マルゼンスキー
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ミホノブルボン
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スーパークリーク