「せ〜んぱい♡ 今日もいっぱいパンを焼いてきたよ!」
「比企谷君……私、小説の原稿を書いてきたのだけれど……見てくれますか?」
「ああぁ……あああ」
ぶっちゃけます。
あの二人も、完全にココアと青ブルマになってしまいました。
雪乃さんあらため青ブルマさんは、お兄ちゃんを膝枕しながら、柔らかい笑みを浮かべて優しくお兄ちゃんを包み込んでいます。
いろは先輩改めココア先輩も、パン作りを脅威的な早さで習得し、一切の裏をなくしたその朗らかすぎる性格でお兄ちゃんに接するようになりました。
お兄ちゃんは、はい、なんか……
「ああぁ」とか「ブヒィ」とかしか言わない廃人になってしまいました。
ニタニタしながら青ブルマさんとココア先輩を見ているお兄ちゃんは実際可愛いとかのゾーンをぶっちぎって気持ち悪いです。
そうです。
この三人は、もう完全に頭がおかしくなってしまいました。
お兄ちゃんにはひとたびエサを与えてしまったばかりに、廃人になってしまい
雪乃さんといろは先輩も、自我をキャラに奪われてしまうというまさにミイラ取りがミイラ。
まあ、元凶は小町なんですけど……だってまさかこんなことになるだなんて思わないじゃないですか……
「うふふ……比企谷君……いえ、マスター。どうぞマックスコーヒーですよ」
「せんぱ〜い! お姉ちゃんにやってほしいことはない? うぇるかむかも〜んだよ!」
「ああぁ……ああ、ブヒィ……ああ」
奉仕部部室に、地獄のような光景が広がっています。
小町には、もうどうしようもないのでしょうか。
この人たちはもう……元には戻らないのでしょうか。
「……小町ちゃん。私に任せて」
「あ、あなたはっ!」
途方に暮れていた私にかけられた声には、力強い決意が確かに感じられました。
* * *
「ゆ……あ、青山先生。ココアちゃん。お兄ちゃん。美味しいクッキーをもらってきたよ〜……どうぞ?」
「わああ! 小町ちゃんありがとう! みんなでたべよっか!」
「あらあら小町さん。ありがとうございますぅ。さあ、マスター? 一緒に食べましょうね?」
「ぁああああああああああ」
三人は、なんにも疑いもせず、
クッキーを口に運びました。
「あ、ああなあかやなまきのやるなねやなめかめぬとあぇなとけたかまはまねやかやさやけやかめかまかやかまけたかま!!!!!??? あ、頭がぁ!? 頭がぁ……!? わ、わたしはココア私はココア……や、やああああああああうぁあああああ!!!!!!! ……ハァハァ……ち、ちがう、わたしは、、わたしは、一色いろは!! そ、そうだ! 私は一色いろは!!」
「う、うえぷぇおぇおぇ……ハァハァハァハァハァハァ……あ、あたまがいたい……わたし、は、雪ノ下、雪乃……あああ!! ……今まで、いったい何を……うぅおぅ……あたまが割れそうだわ……」
「ボゲェぇぇぇぅえええええええええええええええええぇぁおぁぇえ……ハァハァ……お、おれは、いったい今まで何を……」
も、戻ってきた。
三人が帰ってきた……!
帰って……来てくれた!!!!!
「フッ……ざっと、こんなものだよ……」
私の後ろには、ポロポロ涙を流しながら強がってカッコつけたままのクッキーの製作者、結衣さんがいました。
結衣さん印の劇薬クッキーは、なんと三人を元に戻すことに成功したのです!!
そのあと、一週間くらい奉仕部メンバーは結衣さんから口聞いてもらえませんでした。