落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君 作:柳之助@バケつ1~4巻発売中
放課後、遠山キンジは一人で下駄箱へと向かっていた。ここしばらくは自分一人で帰宅することが多かった。一か月くらい前ならばアリアや蒼一たちと共に騒ぎながら寮まで帰っていたが最近、あるいはワトソンが転入してきてからその光景は随分と減ってしまった。
寂しいな、とは思う。
だからどうにしかしよう、とは思わないけど。
ともあれ一人で下駄箱を開けて靴を取り出そうとして、
「――」
何かが下駄箱に入っていた。薄い紙のようなものが外履きの上のバランスよく乗せられている。
手紙だった。
見るからに高価そうな淵に金色の模様が描かれていて、どこかの家紋らしきものが真紅の蝋で封をされている。手に取ればざらざらした手触りの、年代を感じさせるような材質だ。羊皮紙、というやつだろうかとキンジは見たことの無いものを適当に考える。探偵科の講義でもちゃんと取っていれば一目でわかったのだろうかもしれないが、そこら辺を自分はあまり勉強していない。頭を使うのと言えばチームリーダーの必修の軍略くらいだ。まぁ材質なんて大事ではない。
大事なのは中身だ。
封を開ける。真紅の蝋による封印はなんか意味ありげなので下手に手を出さずバタフライナイフをペーパーナイフ代わりにして使用し開封した。
読む。
筆記体の英語で書かれていて読めなかった。
が、ご丁寧に別の筆で和訳が書かれていたのでそっちを読んだ。
読んで、内容を飲み込んで、
「――意外と早かったっていうべきか」
差出人の思惑を把握する。頭を掻きながら、今現在の自分の装備を確認する。京都の時とはそう大差ないが、あの時はあれが最大限だった。手紙に記されている時刻を確認。その場所との移動時間やらを計算して、
「帰るか」
帰宅する。
●
「……?」
まず感じたのは体の不自由さだった。指先がかすかにしか動かない。必要以上の何時間もずっと眠り続けたあとの気だるさにも似ている感覚だった。自分の感覚も曖昧だ。頬に風を感じるということは屋外にいるのだろうか。何かに背もたれて腰かけているような姿勢になっている。おそらくは地面か床か屋上。涼し目のそれは夕方か夜という時間帯だろうか。視覚や聴覚、嗅覚がいまだに曖昧で体もほとんど動かない。あるのは僅かな触覚。そして味覚だ。
「……ぁ」
舌は動いた。動かし、感じるのは珈琲の残滓だ。つまり気を失う直前自分は珈琲かそれに類するものを口に含んだということだ。イギリスにいた時は豆から挽いたものしか飲んでいなかったが、東京に来てインスタントや缶コーヒーを飲むことも多くなってきた。というよりキンジや蒼一がやたら缶コーヒー愛好家なので自分やレキもそれにつられているようなものだ。正直美味しいとは思えないし、キンジたちにも一度本格的な珈琲を自分が選んだ店に連れて行って、その違いを分からせたのだがしかし二人とも未だに缶コーヒーを飲んでいる。まぁ今度コーヒーメーカーを買ってキンジだけでも自分の好みに合わせよう。蒼一はまぁいい。
そして口の残っていたのは自分好みの所謂本格派だ。それもかなり高品質な。
それはつまり学校終わりの帰宅中や寮の部屋から誰かに連れてこられたというわけではない。誰かと共に高級喫茶店にて珈琲を飲んでから自分を今のような状態にしたということだろう。
誰か――それは記憶を掘り起こせばすぐに思い浮かんだ。
「やぁ、アリア。起きたのかい?」
ようやく復活した視界と聴覚が捉えたのは自分の婚約者となっているワトソンの微笑と声だった。
●
予想した通りどこかの屋上だった。それもかなり高所。明らかに建設中の建造物の頂点で、周囲には青空が広がっていて同じくらいの建物はない。何処にいるのかをアリアは即座に悟っていた。
建設中のスカイツリーだ。アリアの記憶が確かならば今は第二展望台で四五〇メートルほど。ここまでくれば周囲に匹敵するような建物はない。
そして既に日が沈んだ空の中でワトソンはこちらに背を向けていた。自分のような制服姿ではない。明らかに完全武装と呼べそうな黒のコート。関節部や胸の辺りにプロテクターが仕込まれているの明らかであり、ゆったりとした服の中には暗器の類が多く隠されているのだろう。
「……わと、そ」
「あぁ、まだ喋るのも大変だろう。ちょっとした事情があって一服盛らせてもらったのだが、とりあえず僕の話を聞いてほしい。……いいね?」
いいねもなにも今のアリアは動けない。呂律も碌に回らず肉体も思い通りに動けない以上は黙っているしかないのだ。
「Good。では完結に言おう。――決闘を申し込んだ遠山が逃げ出した」
「――」
その言葉の意味をアリアは一瞬理解できなかった。一瞬では無理だったので未だ回転の遅い頭脳で繰り返し、
結局理解できない。
「神崎・H・アリアとエル・ワトソンは婚約者、これは決まったことだ。それを僕は譲るつもりはない。決定事項であり確定事項。覆されることは在りえない――だがまぁ、ここ半年近く君と共にいた遠山の気持ちも解らないでもない」
「――っ!」
遠山キンジ。
その名にアリアの鼓動が一際高く鳴り響いた。けれどそれを知ってか知らずかワトソンは言葉を進めて、
「リュパン、ジャンヌ・ダルク、ブラト、パトラ、そしてシャーロック。それらの犯罪者を他人の協力有りきとはいえ君と遠山たちは捕え追い詰めてきた。京都でもあの曹操に一撃いれただけでも十分に評価に値するだろうし、実際SDAランクには五〇位圏内に食い込みかけている。その年で考えれば驚異的だろう。故に、僕は彼に決闘を申し込んだ」
「……」
決闘。それは血気盛んな武偵高ないでも滅多に行われることの無い、けれどキンジ、蒼一、レキ、白雪はつい先日京都で行ったこと。そして自分やワトソンのような貴族たちにとっては恐ろしく重い概念だ。
「勿論君を掛けて、だよ。僕と遠山が尋常な勝負を行い、勝ったほうが君を手に入れる。解りやすぎるほどに明快だろう? そして僕はここの第一展望台でこうして完全武装して待ち構えていたのだが――待てども待てども、彼は来なかった」
「――」
「一時間過ぎても来なかった。既に日没、一度寮に帰宅して準備を整えるくらいの時間はあっただろうが、それでも来なかった。あぁ、アリア。解るかい? この事実が、何の真実を意味するのかを」
溜めることなくワトソンは言い放った。
「――
「――」
「つまりアレはその程度の男だったというわけだ。彼の覇王もアレの一体どこに覇道の兆しを見出したのか理解できないね。あの程度でこれから先を生きていくなど不可能であり、さらには騎士王の剣を手にしているなど言語道断だ。あれが長である師団の先などたかが知れている。だが、安心してくれアリア、僕と共にいる限り君を守り続けると誓おう」
何時の間にかこちらを向き、小柄な腕を広げて彼は笑顔を浮かべながら甘い言葉を――彼を蔑ろにする言葉を――放ってくる。それはアリアの耳に侵入し、消化されることなく脳髄を蹂躙して流れ出て、そしてまた頭の中に入ってくる。動機も汗も震えも止まらず、ようやく動いた腕で体を抱きしめる。
「っ、はぁ……っ、はぁ……!」
いつの間にか全力疾走を何時間も続けたかのような疲労感。息は荒く、ただワトソンの言葉だけが脳内を犯してくる。
「さぁ、アリア――共に行こう」
そして――ようやくアリアは告げられた言葉を理解し、認識し、咀嚼し、飲み込んだ。
●
「――ふざけんな」
その言葉を吐きだしたと同時にアリアを襲っていた吐き気も汗も震えも息切れも。何もかもが消え去って、身体の全ての状態をアジャストした。
「……なに?」
ワトソンから洩れたのは小さく、けれど確かに驚愕が滲んだ声だった。アリアが自分の言葉を拒絶したのも、立ち上がったのも。彼からすれば在りえないことだったのだから。それにも関わらず彼女は幽鬼のように力なく、しかし確かに立ち上がっていた。束縛をしていたわけではない。縄も手錠も何もつけずに寝かしておいたが、なにも戒めを与えていなかったわけではないのだ。
遠山キンジの決闘に介入されては困るのだから常人ならば仮死状態になってもおかしくないほどの麻酔と象でも一週間は動けなくなるほどの筋弛緩剤。それ以外にも諸々の薬剤を精製してアリアには打ち込んでいた。正直言えば今日中に起きること自体驚きなのだ。学校が終わってすぐ、婚約関係について喫茶店におびき出し、薬を盛って、けれど全然聞かなかったから追加し続けたらこれやばいんじゃね? とか焦ったから起きてくれてよかったのだが。
それはともかく――
「何故、立ち上がる。いいや、立ち上がって君はどうするつもりだい?」
「アンタをぶちのめすわ」
即答だった。一切の躊躇もなく、それが当然であるかのように、それが必然であるのかのように。アリアはワトソンへと宣戦布告を放っていた。FEWも師団も眷属もなにもかもどうでいいと言わんばかりに。神崎・H・アリアはエル・ワトソン個人へと。かつて四代前の曽祖父達が戦友であったことすら関係ないと。
真っ直ぐにアリアはその緋色の激情をワトソンへと向けていた。
「……理解できないな。どうして君が僕と戦う?」
「一つ。まず一服盛ってこんなところに連れてきたのが気に喰わない。二つ、単に
大体、
「キンジが私を見捨てた? あの馬鹿が? どうせまたなんか仕掛けたんでしょう?
そう、かつて彼はそう言ってくれた。何もないと、誰もいないと思っていた自分に。
落ちこぼれと言われて。
出来損ないと言われて。
要らないって、必要ないって。
そう言われてきた自分に彼は、俺がいるとそう言ってくれた。彼女も痛みも苦しみ怒りも嘆きも全部受け止めて。共にあることを望んでくれた。
だから、
「私とキンジが共にあるなんていう不条理をアンタが強いるっていうなら私はそれをぶっ壊すわ」
それは緋色の守護者のように。あるいは瑠璃色の主従のように。
誰よりも大切な、愛する人と生きることを願う渇望。
熱く――、
激しく――、
燃え上がる――炎のような愛。
殻金がたった二枚しかない今、それはある意味自殺行為に等しい。この状態での心結びは、つまりそれだけ緋々神に近づいてしまうということ。本来ならばなるべく戦闘行為も避けろと玉藻に言われてきたが、
「そんなふざけたもんに私は屈しない……!」
アリア自身の魂で溢れる緋色を統括する。その上で生じるのは当然ながらアリアの魂の煌めき。髪が、瞳が、全身が。暗い夜の世界の中を緋色に照らしていく。体内に残留していた自分に害する薬物は既に消え去り肉体面は十全だ。手元に武器は存在していないが、
そしてそれを見てワトソンは、
「Good。君はやはり素晴らしい。その輝きを僕は心から賞賛しよう。けれど……同じくらい君は危ういんだ。大人になってくれアリア。君が遠山とあることは絶対に君を不幸にするのだから」
「私の幸せは私が決める。アンタに言われる筋合いはない」
取り付く島もない。けれど当然だ。もとよりこうなることも想定していたからこそ――ただし、戦う相手はアリアではなかったが――完全装備だ。自身の異能も武装も肉体も十全であり、武器一つないアリアに遅れをとることなど在りえない。
「いいだろう、アリア。君は所詮夢見る乙女だ。現実というものを教えてあげよう」
「馬鹿じゃないの。女は夢見させてくれる男に惚れるのよ」
そして両者は激突を開始した。
●
瞬発はワトソンが先だった。
緋色を纏い、しかし徒手空拳のアリアの速度を完全に上回っていたのだ。床部を軍靴の形にめり込ませながら突進。けれどそれは無駄が削ぎ落とされた無拍子の動き。疾走し、彼が己の直前まで至ってようやくアリアはワトソンを捉えていた。
「!」
那須蒼一をして評価をするワトソンの無拍子機動。彼のように武術を極めていなければ初見での対処は不可能に近く、バリツが一流であるアリアでも対応はできなかった。真正面、ではない。一度姿を現すのをフェイントとして右に跳んだ。そこから突き出されたのは彼の左肘。そして、
「
肘先から生じた鈍い色のブレード。カードナイフのように短い曲刃が左肘に、それだけではなく右肘、両膝、軍靴の踵と合わせて六枚。目に見えるだけの脅威でもそれだけの数がある。
「……!」
迫る刃にアリアは色金で強化された身体能力任せに全力で回避した。理屈でもなんでもなく直観でその行動を選んだのだ。跳びすぎるとスカイツリーから落ちかねないから回避中に軌道を修正しつつ、屋上の淵限界まで跳ねていた。
「Good。君の直観は素晴らしい。先に言っておく。僕のスキル――君たち風に合わせるならば『
「知らないわよ」
「痛みを感じない。疲れもない。回復し続ける――そういうことだ」
「私の知ってる馬鹿は痛みを感じながら、疲れながら、傷つきながら前に出るわ」
「僕は馬鹿じゃない」
最もだった。駆ける。最高速としては超強化されているアリアの方が上だ。だが、行動に無駄がないのは圧倒的にワトソンだ。無論アリアもバリツは収めているが超強化された能力と普段との自分とのズレがある。ワトソンも薬物によって肉体を強化しているが同時に感覚も底上げしているのだ。マシンガンの一斉射撃を潜り抜けられる彼からすればいくら強化されたアリアでも見切ることは容易い。
その上で、
「っ毒……!」
「安心してほしい。常人ならば一ミリグラムで体内に取り入れれば即死だが今の君ならば問題ないだろう。過剰に打ち込んでも、動けなくなったらすぐに解毒剤で中和して、動けない完璧な配分にしてあげよう」
超高速で振るわれる全身武装。六枚刃の一枚一枚が毒に濡れている。先ほど体内にあった有害物質は根こそぎ
つまり今の自分では下手に接敵するわけにはいかない。銃も小太刀も昏睡中にワトソンに奪われ、それに
「……遅いわねぇ、後でキリコにバージョンアップ頼まなきゃ」
どっちにしろ今のアリアではワトソンに風穴を開けられない。毒刃の回避と唯一完全に上回っている破壊力任せでワトソンの動きを制限しているだけしか今はできない。
しかし風穴執行は決定している。
この身の程知らずをキンジに土下座させる。いや、それよりも先にワトソンの罠かなにかでいまだに姿を現さない奴隷を助けに行くべきだろうか。何が起きているかは知らないが、何かが起きている。
だったら彼と共に在ることを望む自分だったら彼の下に行くべきだろう。
なんとなく、彼もまた同じようなことを考えているのだろうという根拠のない、しかしくすぐったくも暖かい感情が胸に生まれ、
「……!」
緋色は強さを増していく。
●
眼前、ワトソンは緋色の咲き誇りを見た。
強い。
掛け値なしに彼は彼女のことをそう判断した。自分よりもさらに小柄に秘められた膂力は脅威という他ない。遠山キンジの『
武器を奪って正解だったとワトソンは思う。
彼自身本当にアリアを傷つけようという想いはない。薬を盛ったのも、キンジと引き離そうとしたのも全てはアリアを想ってのことだ。現状師団の方が圧倒的不利であり、どれだけ彼が計算しても眷属の勝利は揺らがない。
だったらそんなところに彼女を置いておけない。
エル・ワトソンはジョン・ワトソンの末裔なのだ。かの名探偵と共に在り続けた彼の系譜は自分に受け継がれており、彼もまたアリアを得難い人物だと認識している。
なにより没落しかけたホームズ家やワトソン家を救うには彼女の存在は必要不可欠だ。だからこそ自分たちの三代前の継承者たちは婚姻関係を築き上げた。
ならば貴族として――先人たちの意思に報いなければならない。
それがエル・ワトソンの在り方だ。どれだけ卑怯な手を重ねようとも、これから先、共にあるであろうアリアが高潔であればいいのだ。自分は影のような役割でいい。
だから。
「愛だの恋だの、下らないことを言っている時間は終わりだよ」
貴族の務めを果たしに、ワトソンは行った。
●
ワトソンの新たな動きにアリアは速度を速めざるを得ない。
コートの懐から銃を抜いたのだ。SIG、確か装弾数は十六。耐久性が特徴で米軍の正式装備候補にも入ったはずの銃。いくら今のアリアでも当たれば負傷は避けられない。
それが全弾同時に躊躇うことなく発砲された。
「っーー!」
四発は肉体機動で避けた。七発は
代わりに
「!?」
気づけば膝をついていた。固く握りしめていた拳も、力を入れていた全身も。どこからともなく力が抜けていく。アリアが諦めたわけではない。だったらこれは、
「ワトソン……!」
「弾頭に毒を仕込んである。一発毎で象一頭分と実に解りやすい麻酔と筋弛緩剤がブレンドされているのだけど……よく意識を保っていられる」
意識は保っている。けれど、動くのが難しかった。束縛を振り払う手があるがそれを使うと次がない。ワトソンへの風穴の為には相応の精神力が必要で、体内への薬物除去をすればそれが使えない。必要なものもまだ来ていない。ソレが来れば風穴の時間でまとめて束縛も消せるというのに。
「……っぅ」
まずっ、と言ったつもりだったが言葉になっていなかった。
「Good。よく粘った。君は強い。多分、僕よりもね、けれど勝つのは僕だ大人しく僕と共に来てくれ」
言葉と共にワトソンはアリアの下へと近づいていく。油断しているわけではない。銃から手を離していないし、警戒も緩めていない。アリアがまたもや色金の力を使えば問答無用で、先ほどの言葉通り、一度致死量の毒を打ち込んでから解毒するのだろう。それはワトソン的にもアリア的にもやめてほしい。
「……っ」
「さぁ、アリア。頷くだけでいい。そうすれば、ボクはもう君に危害を加えることをしないよ」
甘い笑顔。王子様のようなそれは数多の女子生徒を魅了したものだ。それがアリアへと向けられて、
「……ぉ」
聞こえなかった。
だから耳を澄まして、もう一度聞く。今度は聞こえた。
「――風穴地獄に落ちろ」
「――残念だよアリア」
言葉と共にアリアの首を掴み持ち上げる。接触した手のひらから直接毒を流し込むために。
――そしてそれは来た。
●
「!?」
まず飛来してきたのは
「な……!?」
思わずアリアを離して――次が来る。
「これは――」
もう片方の腕。両の膝下。腰部用らしきハードポイント。鋭角的なデザインの髪飾り。それぞれがそれぞれ最初の腕と同じように自立飛行を行ってこの天空の樹へと飛来していた。
終着点は、
「遅いわよ」
当然アリアだ。
先ほどと同じように膝から崩れ落ちかける少女に各部機械鎧が周囲を浮遊し、
「PAD『緋翔天滅』――合一」
言葉通りになった。腕部が、脚部が、腰部が。それぞれ緋黒の装甲が纏わりついた。髪飾りは元々アリアが付けていた円柱型のそれと合体。かつては非常用の弾丸ホルダーだったが、今ではPAD合一用の脳波スキャン装置だ。
合一は一瞬で完了となった。
現れたのは制服の上から両前腕部、両膝下、腰、そして頭部に機械の鎧を纏った姿のアリア。
そして確変は終らなかった。
最初よりも激しく、爆発せんばかりに緋色の奔流があふれ出る。中心点は言うまでもなくアリアであり、一瞬無差別に流れ出したが、すぐにそれらはアリアの背後に形を得た。
千の刃で編まれた双翼だ。
それも左右が五百に及ぶ剣弾で構成される刃翼。一本一本がアリアの所有する小太刀と同じ大きさであるために翼は大きい。十分に主を包めるほどであろう。溢れる緋色は翼となり、全身からむやみやたらに散らすことはない。それでもその二尾の髪と瞳は夜の闇の中でも煌々と輝いている。そしてその輝きはPADに伝播し、緋色のラインを刻んでいた。
「『緋翔天滅』――モード
翼の羽ばたきと共に彼女は厳かに告げた。生み出された風と踵のブースターに腰の姿勢制御装置で今アリアは僅かながらも完全に浮遊していた。
神々しいとすら言えるアリアの姿にワトソンは絶句するほかない。けれど彼女は構わずに、その両手に緋色の光で構成された小太刀を生み出し、
「さぁスーパー☆風穴タイムよ」
アリアのヒロイン力(
中々詰め込み過ぎたかも。
原作京都編でちょっとあったけど放置されていたからやってみた(
PADのイメージは俺ツインテのライザーチェイン、腕腰足髪飾り+制服。全身やるかは謎(
さてキンジはなにをしているのだろうかー(
推薦感想お願いします。
推薦書いてやるぜとか言ってくれる人はいないですかねぇー