落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君   作:柳之助@バケつ1~4巻発売中

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第14拳「くふっ」

 機内を駆け抜ける。向かう先は峰だ。 その顔には勝ち誇るような笑みを浮かべていた。いや、実際に勝利を確信しているのだろう。 なにせ、この狭い機内では俺は本気を出せない。自身が編み出した奥義『蒼の一撃シリーズ』はこんな場所では使えない。発動の際にどれも強烈な震脚を必要とするからだ。さらに足場を必要としない『天蒼行空』もだめだ。あれは振りかぶった平手で、掴んだ風を対象にぶちまける奥義である。こんな密閉空間でつかったらどうなるかなんて考えたくもない。第一右手が使えない以上半分が使えないのだ。たがらそれ以外に頼らざるをえない。だから、峰も笑っている。『蒼の一撃』以外は決め手に欠けると認識しているのだろう。

 だから俺も笑った。峰の懐に飛び込んでいく。右の脇を通り抜けるように。そして、一回転。回りながら、体を傾ける。右足を振り上げ、軸足の左は床を蹴る。そして、その体勢でぶち込むのは右足だ。

 宙に浮きながら、右足を大太刀に見立てた飛び込み回転袈裟蹴り──!

 

「『快刀乱花』!」

 

 オリジナル必殺技、『快刀乱花』!  

 それに峰は何の反応も出来ずに左肩から右の脇腹へと直撃する!

 

「が、あああああああ!?」

 

 峰の身体がぶっ飛ぶ。

 だか、  

 

「……髪でガードされたか。直撃のはずだったんだけどなぁ」

 

 神崎を戦闘不能にした自律する髪。技名とかあるのだろうか。……無かったら付けてみたいなぁ。

 

「どういう、ことだ!」

 

 機内を転がっていった峰が起き上がり叫ぶ。信じられないものを見たように。

 

「そんな、そんな技は、『蒼の一撃』には無いはずだ!」

 

「ああ、無いよ。だってこれは『蒼の一撃』のなり損ないだからな」

 

「!」

 

 おいおい、驚きすぎだろ。

 

「色々考えたんだから、ボツ案あるに決まってるだろ? 失敗作必殺技、全4種。まぁ、あと3つは手技だから見せれないけどな」

 

「っ!」

 

 峰は顔を歪める。それでも、彼女の足は震えてるのだか。

 

「さて、キンジたちを待つまでもないな。理子・峰・リュパン・4世、殺人未遂やらその他諸々で逮捕させてもらうぜ」

 

 そう言って、一歩踏み出した瞬間だった。峰が、僅かに笑った。

 そして、

 

「なぁ----!?」

 

 床が大きく傾いた。突然のことにより、姿勢が崩れる。それでも、すぐに体勢を立て直す。たが、遅かった。

 

「くふっ」

 

 僅かな隙に峰は銃を構え、発砲していた。狙いは正確に俺の顔。

 当たれば死ぬ。だから、反射的に右手(・・)で弾いてしまった。普段なら問題無かっただろう。ただの拳銃の弾を弾くなんてのは朝飯前だ。がしかし、今はダメだ。なぜならば、先のバスジャックにより俺の右手は使えない。それでも、反射的に使ってしまった。死ぬことはなかったが、代わりに。

 

「あいたーーーー!」

 

 思いっきり叫んだ。というか叫ばずにはいられない。めちゃくちゃ痛ぇ……。

 

「くふっ、形成逆転ってヤツだな。どうする?」

 

 ぴーんち。峰はかなりいい笑顔で、銃とナイフをちらつかせる。輝いてるなぁ。どSだ。 

 

「……どうするか、か」

 

 脂汗が噴き出るのが分かる。こんな状況でなかったら痛みに悶絶しているだろう。

 ……しかたねぇ。

 

「俺も逃げるわ」

 

「くふっ?」

 

 じゃ、と手を上げて。後ろへと走りだした。峰を置き去りにして。有り体に言えば逃走だった。だって、ものすごく痛いからな?

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、くそ。傷口が開いてんなコレ」

 

 ひとまず峰が追ってこないことを確認して、廊下に座り込む。 脂汗は未だに止まらない。くそう。

 

「これじゃあ、帰ってレキのご褒美が無しに……!」

 

「やれやれ、相変わらずだな。蒼一」

 

「!?」

 

 振り返ったそこにはキンジと神崎がいた。

 だが、

 

「オイコラ、お前ら人が頑張ってる時になにしてたんだよ」

 

 様子が明らかにおかしかった。神崎は顔が真っ赤。ブツブツとなにかを言っている。そしてキンジはすでに『性々働々(ヒステリアス)』を発動していた。それもなんというか、今までに無いヒスり方だった。もう滲み出るオーラが違った。

 

「ふ、悪いがそれは俺とアリアだけの秘密だ。な、アリア?」

 

「ふ、ふぁい!?」

 

 ……もうキャラ崩壊してるぜ。

 

「さて、蒼一が頑張ってくれたんだ。俺たちも頑張らないとな。なに、大丈夫だよアリア、俺と君なら、ね」

 

 キンジよ、今のお前はウインク禁止だ。神崎が照れて使い物にならなくなるだろうが。

 

 

 

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