落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君   作:柳之助@バケつ1~4巻発売中

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エピローグ「私には見せてください」

「ふぅ……」

 

 俺は寮の屋上でため息を付いていた。テンションは当然、低い。

 

「どうしたんですか?」

 

「ん」

 

 声をかけてくれたのはレキだ。

 

「いや、なあ。……なんというかさ」

 

 キンジと神崎、白雪は部屋でくつろいでいる。だから言う。あの3人の前では言えない。

 

「俺……今回の事件で出番なくね?」

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

 

 無言で目をそらすな。いや、思いかえせば。神崎いじって。レキと同棲決めて。教務科(マスターズ)に侵入して。キンジと語って。アドシードの出場者選んで。レキとデートして。

 なんやかんやで。

 ……ほんと、なんやかんやで魔剣(デュランダル)事件終わってた。

 なんにもしてないよ。

 

「なんだかなぁ…………」

 

「いや、でも蒼一さん、ジャンヌに一発決めてたじゃないですか」

 

 ああ……アレね。確かにあれは威力低めで、速度重視の技なんだけど…………。

 

「あんま、効いてなかったんだよなぁ」

 

 いいけどさ。

 それに、

 

「レキは足止めちゃんとしてたよなぁ」

 

 へんなジャージとお面付けてたけど。銃剣装備で珍しく近接戦なんかして。

 

「それはたまたま蒼一さんの方に行かなかっただけじゃないですか」

 

「そうだな……たまたまでもレキのほうに行っちゃったんだよな」

 

「………………」

 

 ふ、ふふふふふふ。『拳士最強』がいい様だぜ。

 

「蒼一さん」

 

「……………ん?」

 

「ちゅう」

 

 キスされた。誰に? レキしかいないだろ。なんで?………なんで?

 

「蒼一さん」

 

「……おう」

 

「元気だせ、なんて、いいません」

 

 言わないんだ。

 

「悩んでも、落ち込んでも、一人で抱えないでくだい。キンジさんたちに見せたくても、私には見せてください」

 

 レキはほんの少しだけ寂しそうに、言う。

 

「約束しましたよね?」

 

 あの覚悟と理不尽にまみれたくそったれの2ヶ月間。その最後。俺は彼女を抱きかかえながら、レキは俺に抱かれながら。約束した。その中の一つ。

 

 つらいことを分け合おう。

 

「そう、だったな」

 

 レキを抱き寄せ、抱き締める。あの時(・・・)とは違う。ちゃんと体温を感じられる。 

 

「ありがとな、レキ」

 

「いえ」

 

 言葉数は少ない。でも、分かる。そこに込められたら思いは少なくない。いや、ありったけの思いが込められていた。しばらく、抱きしめあう。体温を感じあう。

 

 

 と、そうしたら剣戟の音と銃声が聞こえた。同時にアニメ声。神崎だろう。

 

「やれやれ」

 

 体を離す。同時に白雪の声も聞こえる。

 

「元気いいなあ」

 

「ですね」

 

 あんな事件の後だというのに。いや、後だからこそか。なにせ、魔剣捕まえた後にもキンジは白雪に甘いこと言ってたからな。……アイツそろそろ刺されるだろ。ていうか、刺されちまえ。

 

「雨降って地固まるということですかね」

 

「いやぁ、白雪とキンジの場合は違うだろ」

 

 なんていうのか。

 

「王子様がお姫様を解放してくれたってことだろなぁ」 

 

 

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