落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君 作:柳之助@バケつ1~4巻発売中
駆け抜け様に犬人間ともに奥義をぶちあてる。掌底、貫手、膝蹴り、拳、張り手、手刀、踵落としを犬人間一人(一体?)ごとにぶちかました。犬人間どもは吹っ飛び砂鉄に帰って行き、その中から小さな虫が這い出てくる。
が、それには気にせずさらなる犬人間目掛けて拳を叩き込む。
「心を弾丸に ----『
背後から放たれたのは絶対命中の魔弾。百発百中、千発千中である絶対の弾丸。一発の銃声が響き、犬人間の額に穴を開ける。無論それも崩れて、砂鉄となっていく。
「レキっ、弾丸ないならそんな使うなよ!」
「分かってますよ」
言いつつ、近づいてきた犬人間へと銃剣を振るう。レキの異常により補正がかかり、必中をもって犬人間の喉元をかっ斬る。
さらには、
「伍法緋焔札ーー!」
放たれた白雪の札。それぞれが独自の軌跡を描き犬人間を燃やす。全体的に勢いがなくなくるが、
「だっー! どんだけいるんだよ、コイツら!」
軽く、二十近くはコイツらを倒しただろうか。それでも、一向に減る様子はない。先ほど神崎が一掃してからまた大量に出現したのだ。キンジと神崎は逃げ出した一体を追撃している。
「どうやら倒したみたいですが……水上バイクがエンストしたようですね。戻るのには時間がーーー」
言葉の途中でレキが突然窓の外へとライフルを構える。いや、突然ではない。ちゃんと、前触れがあった。
銃声のような音が響いた。もちろん銃声のよう音ではなく、銃声なのだが。それに対してレキば迅速に伏射姿勢をとる。そして、それは当然ながら余りにも無防備で。
だから。
レキの刀であり、従僕である俺は彼女を護らなければならないのだ。
「白雪! コイツら一カ所に集められるか!?」
答えは行動で示された。新たに放たれたの数枚のお札。それらは犬人間を取り囲むように飛翔し、犬人間の一歩手前で爆発する。それに怯えるように、未だに二十近く残っている犬人間は後退し、一カ所に固まることになった。
そして、
「蒼の一撃、第十番----」
両腕を前でクロスし、腰を深く落とす。背中を丸めて前傾姿勢に。体全体に蒼い光を纏って、
「----『疾風蒼雷』!!」
飛び出す! 全身余すこなく使った体当たり。『拳士最強』のクロスタックル。その勢いは暴走列車のようで。固まっていた犬人間どもにかち込んだ。一気に二十近く全員吹き飛ばされる。人身事故。その単語を連想させるような光景だった。
同時に、
「心を弾丸に----『
レキが魔弾を放つ。
「レキ!」
「…………アリアさんが撃たれました。それに、新手も」
「そんなっ……!」
白雪が口に手を当てて悲鳴を上げる。俺も思わず、舌打ちをして、
「追うぞ! 俺が先に行くからーー」
俺は気を使えば水の上くらいなら走れるから先に行こうとしたのだ。神崎がどれほどのダメージを受けたかはわからないが、すぐに行くことに損はないだろう。それに新手もいるというなら、俺と並ぶアタッカーである神崎がやられたの痛い。
だから、一刻も早くキンジたちの下に行こうとして。
しかし、それは叶わなかった。
なぜならば、
「----あれ? どこに行くんですか? 兄さん」
「----」
肩まで伸ばした濡れ色の髪。 陶磁の如き白い肌。俺と対になるような紅い瞳。日本人形のような少女。豪奢な十二単を二重に重ねた服装。
それは奇しくも、水上に遠山キンジが死んだはずの兄である遠山金一と出会っているのと同じ瞬間。
俺、那須蒼一は。まるで昨日振りであるかのように。七年振りに。生き別れとなってしまったたった一人の妹に。あっさりと。呆気なく。死んだはずの妹に。
那須遙歌に再開した。
「あ、久しぶりですね。兄さん」
にっこり、と彼女は笑った。