落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君   作:柳之助@バケつ1~4巻発売中

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第6拳 「友情だ!」

 

「蒼の一撃、終の番----」

 

 ここまでくれば小細工抜きだ。音速は遥かに超越した超疾走で駆け抜ける。

 かつてなく俺の強度を高めてくれる瑠璃神モードは常時音速を超え、全力で走る事で音を余裕で置き去りにしていた。

 当然、予備動作は無く、普通の人間ならばいきなり俺の姿がかき消えたようにしか見えなかっただろう。

 キンジが足を上げ、半歩分進んだ瞬間には俺はシャーロックの眼前へと辿りついていた。

 それだけの超疾走、それだけの音速超過。

 

「----!」

 

 にも関わらずシャーロックは反応した。

 懐に飛びこんだ俺と目が合いそして----周囲に大量のスキルが展開される。

 火、水、雷、風の刃、地面から放たれる槍、鼓膜を破壊しようとする超音波、視界を遮る閃光、押しつぶそうとする重力、体にまきつく鋼に糸、首を落とそうとする断頭の刃、心臓を貫こうとする白木の杭、四肢を砕こうとする圧力。

 それら一つ一つは確実に必殺であり、ただ気を纏っているだけなら俺でも致命傷は免れない。

 だが、

 

「おおおおおおおおぉぉッ!!」

 

 叫び、俺は触れた瞬間全てのスキルによる攻撃をかき消しながら、超疾走による加速を余すことなく振りかぶった右拳に乗せ叩き込んでいた。

 

 ----第一番 『乾坤一蒼』!

 

 先ほどキンジが撃った武偵弾、それすらを遥かに凌駕する威力であり、戦車だろうがなんだろうが粉砕できる威力を内包した一撃だ。

 単純な威力では蒼の一撃シリーズでもトップクラスなそれを、

 

「ふんっ……!」

 

「がッ……!」

 

 あろうことかシャーロックはカウンターを決めてきた!

 いや正確には相撃ちか。俺の拳はシャーロックの胸の中央に入り、シャーロックの拳も交叉法で俺の胸に入っている。拳と胸から骨が砕ける感触と内臓が破裂する感触を得て、口から噴水みたいな血を吐き出す。

 だが、そんなことでは止まらない。

 拳を叩き込み、骨と内臓を破砕した感触を得た瞬間には引き戻す。

 それと同時。拳を引きもどしながら逆の拳をぶち込んだ。

 

「……!」

 

 撃ち込んだ拳は薄皮一枚という所でシャーロックに捌かれた。だが、そんなことは気にせずに引き戻しながら、逆の拳を叩き込む。

 

「く……」

 

 それも捌かれた。

 構わず逆の拳を射出。

 

「く、おお……」

 

 薄皮一枚のみをかすって捌かれる。

 構わずに逆の拳を射出。

 

「く、おおおお……!」

 

 捌かれる、射出。捌かれ射出。僅かにヒット。構わずに射出。引き戻し、打ち出し、引き戻す。引き戻し、打ち出す。引き戻し、打ち出すーーーーー!

 

「おおおおおおおおおおーーーーーー!!」

 

 コンマゼロ秒以下の世界で形成された、拳の大瀑布。拳撃によって構成された弾幕。

 最早壁の如く!

 

 ----第二番 『拳蒼発破』!

 

「シッーーー!」

 

 だが、シャーロックも異常なまでも反応速度で捌き、回避する。避けれるものは避け、避けきれないものは両手の平を回転させ受け流すことで捌く。それでも限界があり、射出した拳が肌を掠め、血が吹き出て内出血をさせるがそれだけだ。

 オマケに僅かな繋ぎ目に受け流しの手の平で刺突を放ってくる。

 こっちも避けれるだけ避けたが、ある程度の傷は避けられない。

 永遠にすら感じさせられる攻防は本当は刹那だった。

 コンマゼロ秒の内に数百の拳と手刀を撃ちあいそして、

 

「おらぁッ!」

 

 両腕を胸の前にクロスさせながら右足を振りあげ、若干落とし気味に撃ちだす!

 轟! という風が巻きあがりながら、シャーロックへと突っ込む!

 

 ----第三番『勇蒼邁進』!

 

 『乾坤一蒼』のように加速が付けられていないが、それでも足の力は腕の三倍だ。本当はもっと体勢とか足場とか状況とかで変わるが、それでも脚力は腕力に勝る。

 開幕の一撃と同程度の威力でぶち込まれたそれは、

 

「ハッ……!」

 

 腰を落として踏ん張ったシャーロックの両手にがっちりと受け止められる。

 数センチほどシャーロックの踵が床にめり込み、そこから背後の床に亀裂が入ったが完全に止められた。

 そこからさらに、

 

「うおっ……!!」

 

 掴まれた脚を捻りあげられる。僅か一秒でも抵抗したら膝がねじ切られただろう勢いで、だ。

 だから俺は勢いには逆らわなかった。勢いにまかせ左足で地面を蹴り、空中で逆立ちの姿勢になる。

 天地が逆になった視界の中で体を思いきり捻る。螺旋運動で拘束を抜けだしながら横一文字の手刀を放つ。

 だがそれも避けられ空振りし、背中を向いた。

 好機とばかりにシャーロックが背中へとアッパー気味の拳を放ち、

 

「ぜぁっ……!」

 

 振り向きざまの手刀と激突する……!

 

 ----第四番 『蒼黒螺旋』!

 

 手刀と拳から血飛沫があがる。互いに引き戻しながら、俺は頭を上げながら、視界を通常道理に戻し。

 中空を蹴った。

 

「!」

 

 空弾きにより加速しながら回転して視界を戻し切り、足が地面に触れた瞬間に、

 

「おおッーーーー!」

 

 大地よ砕けろと言わんばかりに床へと大震脚!

 

 ----第五番 『支蒼滅裂』!

 

 震脚が物理的な衝撃波を生みだし、床を砕きながらシャーロックへと襲った。

 震脚により床そのもの破壊し、船体自体が数十センチ単位で沈んであろうそれに対し、

 

「----『失響音(ハウリングロスト)』」

 

 踵を高くならしシャーロックによってかき消された。それにより床の崩壊が止まり、

 

「---グウゥッ!?」

 

 頭の上から大質量の暴風がシャーロックを叩きつける。

 それは俺が振り下ろした張り手が引きつれた風。

 上半身のみの動きで、例え足場が崩壊しかけだとしても関係ないそれは、

 

 ----第六番『天蒼行空』!

 

 ここ最近の使用回数ではもっとも多いそれはシャーロックの両肩を砕き、

 

「ま、だ、まだぁーーーーっ!!」

 

 畳みかける!

 立ち上がりかけたシャーロック、その全身の関節。首、肩、肘、膝、腰、足首。

 全身の繋ぎ目となる部分に全て同時に貫手をぶち込む!

 全身から血を噴き出したシャーロックの動きが刹那止まる。

 コレはそういう技だから。鎖に縛られたような錯覚すら受けるそれは、

 

 ----第七番 『翠蒼縛鎖』!

 

 無論それで終わりではない。

 刹那動きを止めたシャーロック。

 その刹那、身体を回す。動きとしては単純だ。

 身体を回して、一度背中を向けるというリスクを冒してまで放つ回し蹴り!

 

 ----第八番 『豪快奔蒼』!

 

 集中線のみぞおちにぶち込み、まだ、止まらない!

 右の五指を揃え、固く、堅く、硬く、際限なく気を濃縮させる。全身の浸透率を薄める。

 鋭く、鋭く、鋭く----ただひたすらに鋭く研ぎ澄ませる!

 

 ----第九番『蒼刀開眼』!

 

 蒼の一撃シリーズの中で最も鋭く、静かで研ぎ澄まされた一撃!

 静謐さを極めた、ある意味瑠璃神モードに最もふさわしいソレはシャーロックの袈裟に断ち切る!

 

「……!!」

 

 噴水のごとき鮮血。

 そしてその血飛沫を振りはらうように、手のひらを前に向けてクロスす、指は軽く曲げる。

 そして全身をスライドさせながら、右足を踏み出し----両手を、否十爪を振り抜く!!

 

 ----第十番 『蒼風十雨』!

 

 網状となった爪撃がシャーロックを切り刻み、のけ反らせ、

 

「!?」

 

 その勢いのままシャーロックの右足が跳ねあがり、顎を蹴りあげた! 

 

「がっ……!」

 

 跳ねあがった頭、それをシャーロックの手が鷲掴みにし、俺の顔面へと膝を叩き込んだ。

 鼻の骨が折れて、血が流れ出てるがそれだけでは終わらずに、曲がった背骨に肘が落ちてきた。

 

「く、うぅっ……!」

 

 背骨が折れたかと思うほどの衝撃。いや、確かに亀裂が入り砕けかけたが、気で無理矢理繋ぎとめる。

 だが勿論負担は大きい。常人ならばそれだけで再起不能だ。まったくひるまなかったといえば嘘になる。

 だからそれを払拭するように、

 

「がああああああーーーッッ!」

 

 獣のように目の前の腹に両腕をクロスさせながら突っ込んだ。

 恥も外聞もない、それ故に強力なタックル、それが、

 

 ----第十一番 『疾風蒼雷』! 

 

「ゴフッ……」

 

 肋骨を残らず粉砕させた感触。それにはなんの感慨も持たずに動く。体を跳ね起こしながら掴むのはシャーロックの首根っこを今度は俺が鷲掴みにして、

 

「お、おぉ……ッ!」

 

 砕けた床へと叩きつける!

 流れ的に投げ技とは言えないが、それでも蒼の一撃で唯一の投げ技であるそれは、

 

 ----第十二番 『蒼和雷同』!

 

 叩きつけたそれは頭がい骨を粉砕してもおかしくない衝撃だったが、それでも。

 

「が、は、っ……!」

 

 腰からつま先までが杭のように伸ばされた右脚が俺の脇腹に突き刺さっていた。血の塊を喉の奥から吐きだす。

 そのままその脚で蹴り飛ばされ、後退したところでシャーロックが跳ね起きる。

 

「……!」

 

 一体どこにこんな力が残っていたのか、驚くほどの速度と威力。刹那動きを止めた俺には迎撃出来ず----シャーロックと目が合う。

 

 ----ああ、なんだよその目。いつか見た目と同じだ。あの人と、同じ目。

 

 その目を見て、俺は全身から力を抜く。だが、それは諦めたわけではない。

 シャーロックの視線から拳の動きを先読みし、動きの流れに乗る。

 シャーロック・ホームズ、『探偵最強』の流れに乗り、合わせ、その上で----俺の、那須蒼一の、『拳士最強』の流れに乗せる!

 

「っああ!」

 

 ぶち込まれた拳は左の手の甲で受け流し、右の肘をシャーロックの脇腹に突き刺す!

 相手の流れに乗り、合わせ、自分の流れに乗せるそれは、

 

 ----第十三番 『明鏡止蒼』!

 

 脇腹に刺さった肘が内臓を破壊するし、シャーロックがまたもや血飛沫を吐き出した。

 

 これで十三発。

 全十三種類ある蒼の一撃。

 第一番 『乾坤一蒼』。

 第二番 『拳蒼発破』。

 第三番 『勇蒼邁進』。

 第四番 『螺旋蒼黒』。

 第五番 『支蒼滅裂』。

 第六番 『天蒼行空』。

 第七番 『翠蒼鎖縛』。

 第八番 『蒼刀開眼』。

 第九番 『豪快奔蒼』。

 第十番 『蒼風十雨』。

 第十一番 『疾風蒼雷』。

 第十二番 『蒼和雷同』。

 第十三番 『明鏡止蒼』。

 

 

 それら全てを同時に繰り出す強制混成接続技────!

 

 

 

「────『真・天下無蒼』────!」

 

 

 

 吸血鬼のブラドでさえ沈めた十三撃。これを受けて無事だった相手は前『拳士最強』である握拳裂のみであり、遙歌だって打倒できる自信がある。

 それらを受けて、シャーロックは、

 

「く、くくく!」

 

 笑って、いた。

 

「くくくく! くははははははーーーー! 素晴らしい、素晴らしいよ蒼一君! アイツと喧嘩してることを思い出すよ! ここまでの傷を受けたのは半年ぶりだッ! ああ、ああ……ここまで心躍る瞬間はない!」

 

 目を血走らせて、口元を歪め、血反吐を撒き散らせながら----笑っていた。

 

「さすがは『拳士最強』だッ! さすがはあの馬鹿の後継者だッ! さすがは瑠璃の護り手だッ! もっとだよ、頼むよッ! なんだかんだ言って、安楽椅子で頭回すよりも、殴り合いの方が好きでね、こういうことこそが、生きていると実感するよ!」

 

 この刹那の攻防の中でも年をとり、中年から初老になりつつも、目を輝かして笑っていた。まるで子供みたいに。

 そしてその目は、見たことがあるのだ。

 

「だから……なんで、お前らはっ……!」 

 

 あの人も、遙歌も、そしてアンタも同じだ。

 

「こんなことして、なにが楽しい……!」

 

 殴ったりしたら痛いだろう。蹴ったりしたら痛いだろう。

 殺意ぶつけ合うのが気持ちいいのか?

 殺気飛ばし合うのが楽しいのか?

 傷つけて、傷つけられて、血流しあって諸共ぶっ倒れるのが最高のストーリーか?

 

「違うだろ……!」

 

 そんなの楽しくなんかねぇ。全然面白くねぇだろ。

 ああ、そりゃあ、俺だって殴り合いは嫌いじゃない。磨き上げた武勇を競い合うのは好きさ。

 喧嘩は男の華だよな。夕日の中で殴り合って、やるなお前、お前もな、っていう展開は好きだよ。

 けど、お前らのはそうじゃあねぇだろ。

 わかるんだよ。皆同じだ。

 殺してくれって。終わらせてくれって。

 勝手に断崖に走りだしやがってふざけんな!

 

「なんでだよ……! なんで、死にたがるんだよ! 勝手に、死のうとするんじゃねぇよ! 殺せとかそんなふざけたことやらせるなよ!」

 

 そんなこと俺は望んでない!

 

「俺はただ……皆と家に帰って、馬鹿やって、日常過ごしてたいだけなんだよ……!」

 

 それなのに。

 それなのにアンタらは……!

 死にたがりやがって。巻き込むなよ。

 やたら長生きしてたんだか知らないし、それまで辛かったのかもしれないけど。

 でも、

 

 

 

「----死んだら……悲しいだろ、苦しいだろ……! 泣きなく、なるじゃねぇかぁ!」

 

 

 

 

 

 叫びと共に、腰を捻り、拳を腰だめに構える。

 それは蒼の一撃の最後の一つ。番外であり、最強たる一撃。

 その構えにシャーロックは目を見開く。

 ああ、お前は知っているよなコレを。  

 でも、シャーロックは小さな笑みを浮かべ、

 

「だがね、蒼一君」

 

 叫ぶ俺に対し、微笑み、

 

「僕たちはすでに前世界の残滓なんだよ。老兵は消え去るのみだ。だからこそ、次の世代に引き継がねばならないのだよ。新しい世は新しい世の若者たちで創りあげてくれ」

 

 そんな、今の俺には到底理解できないことを言って、

 

「ぬおおおおぉぉ……!」 

 

 叫び、かつてない鋭さを帯びた拳をぶち込んできた。

 そう、この奥義に対しての対処法はそれが最も正しい。一度出せば必勝が約束されているからこそ、出す前に潰すのが最も効果的だ。 事実半年前、あの人に出した時にはその一瞬を突かれて、胸に十字の傷を受けた。

 そうあの時はだ。

 確かにこれは、拳を一度腰だめに構えるため、ほんの一瞬だが明確な隙ができる。

 それはこの極限域の戦闘においてはそれは致命的だ。

 

 そう----俺が一人だったのなら。

 

 けど、そうじゃない。

 

「俺は一人じゃない……! そんな時代は、終わったんだよ……! ----なぁそうだろう? 兄弟」

 

「----ああ、一人になんかさせるかよ、兄弟」

 

「! キンジくん……!?」

 

 一瞬の隙の中、俺とシャーロックの合間に割り込んできたのは----遠山キンジだ。

 サバイバルナイフを振りかぶる俺の親友だ。

 キンジの『緋裂緋道(スカーレット・アリア)』は言わばなりたてだ。

 だから、強度としては未知だし、検証する時間は今はない。だからこそ俺が先に出たのだ。

 少なくとも速度面ではさほど強化されてないようだ。これだけの攻防を経て追いついたのがその証だ。

 確かに遅かった。だが、しかし。

 絶妙のタイミングで来てくれた。唯一、俺の明確な隙に、コイツは来てくれた。

 さすがは主人公体質。大事な所では外さない。

 

 振りかぶったサバイバルナイフが、キンジの肩の桜文様から緋色の輝きを受け共鳴するように鳴動し、輝きを増す。

 

「それはっ……! そのナイフ、まさか……!」

 

 その光を見てシャーロックが驚愕し、目を見開く。

 

「イロカネ合金だと……!? カナ……いや、金一君はここまで……!」

 

 ああ、そうだよ。わかったか。俺は一人じゃないんだよ。

 金一や神崎やキンジや、遙歌や、レキがいてくれるんだよ。

 

「っおおおおお!!」

 

 キンジが咆え、緋色のナイフを振う!

 

「くっ……!」

 

 同時にシャーロックが、キンジへとありったけにスキルをぶちまけた。

 火、水、雷、風の刃、地面から放たれる槍、鼓膜を破壊しようとする超音波、視界を遮る閃光、押しつぶそうとする重力、体にまきつく鋼に糸、首を落とそうとする断頭の刃、心臓を貫こうとする白木の杭、四肢を砕こうとする圧力。

 それら全てがナイフを振りかけるキンジへと襲い、

 

 

「負、け、る、か、ぁーーーーッ!!」

 

 

 自らを鼓舞し----全てのスキルを引きちぎりながら、振うナイフを加速させた! 

 それは俺の瑠璃神モードのように無効化したわけではない。 

 消されるわけでもなく、キンジの肌に触れ、確かにそのスキルの効果を発揮させた。 

 だが、触れた瞬間に、接触部分が緋色に輝き----光が飲み込み、凌駕する!

 そして、邪魔するものがなくなり、

 

「----『緋桜ァーー」

 

 振う刃より緋色に照らさせる円錐水蒸気《ウェイバー・コフィン》が咲き誇る。

 カナの言葉《スタイル》によって見たアレの上位互換であろう技。

 音速超過、瑠璃神モードの最高速度にすら匹敵するであろう奥義。

 

「--乱舞ィ』ーーーーーッッ!!」

 

 

 『緋桜乱舞(ひざくらみだれまい)』。

 

 大気を割砕する大音量!

 緋色に乱れ舞う桜吹雪!

 

 ぶち込まれたそれは俺へとぶち込まれたシャーロックの拳と激突する!

 

「ぐ……!」

 

「くぅ……!」

 

 キンジの『緋桜乱舞』とシャーロックの拳。激突し、弾かれ合う。

 そして緋色の桜が乱れ舞う中----

 

 

 

「蒼の一撃、第零番----」

 

 

 

 瑠璃色の光が輝きを増す。

 これは絶対に避けられない。回避という選択肢を選ばせない。

 ただ、拳撃という理を突きつめた一撃。この至近距離で放たれる無拍子ならぬ零拍子。

 必要攻撃時間零秒。無我の境地にて振われる明鏡止水の一撃。

 常人ならば目視することさえできないし、たとえその目に写したのならば見惚れさえするであろう究極の拳撃。

 極みの一。

 攻撃した瞬間には終わっているという奥義。

 俺が生み出し蒼の一撃シリーズの中で----唯一これは俺のオリジナルではなく。

 

 俺の師の、父の奥義で----

 

 

 

 

 

 

「----『天上天下・蒼』----!」

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

 その至高の一撃に、シャーロックは為すすべもなく。

 体をくの字に折りながら、衝撃が背をぶち抜いて背後の床を砕き、

 

「く、くく、ははは……」

 

 ボロボロになりながら、最早体に力は入らず、やっとという仕草でなんとか立っていて。

 

「……これは、負けたよ……。二人とも。どうも、イロカネ関係は僕には鬼門らしい……」

 

 この期におよんで、そんなことを言ってきた。

 正直俺たちもぶっ倒れそうだが、意地でなんとか立って、

 

「……違えって。そんなんじゃ、ないんだよ」

 

「ああ、そう、だな……」

 

 ボロボロながらも、誇らしげに言ってやる。

 俺たちが勝ったのは、そんなもんじゃなくて、

 

「愛と」

 

「正義と」

 

 見せつけるように、拳をぶつけ合い、ハイタッチしながら----、

 

 

 

 

「----友情だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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