僕を語る上に一番大切なのは『ドライ』という言葉だろう。その言葉をなくして僕を語るのはとても難しい事になる。
僕は何事に対しても思い入れをしたりする事はほとんどない。それはそれに夢中になってしまったらそれ以外が見れなくなってしまい理性的な判断が出来なくなってしまう。理性的な反応だけが考えた上で判断するのだから。感情的な判断などはその時の気持ちで決めてしまい後々、後悔をしてしまうというのはよくあることだからね。だから友人関係においても僕は一線を引いている。
845年にシガンシナ区が陥落して人類は巨人に対する警戒心が強まった。今までは自分たちは安全で巨人が壁の中に入って来るなんて微塵も考えていなかった人類が巨人について考えるようになった。自分たちはどうにか生き延びているだけに過ぎないのだと……壁があるから今まで生きてこられたのだと。
多くの者が大切な人間を失ったりしただろう。失ったものは巨人への恨みを胸に抱きながら生きていくことになったのであろう。
巨人に対する恨みを抱き、巨人を殺すためだけに生きてきた者もいたりするようだが僕はそういう人物とは無縁だ。
そしてそれから二年という月日が経ち104期訓練兵団に僕は入団した。巨人に対する恨みなどないが一度で良いから巨人を殺してみたい。そんな適当な理由で僕は入団を決意した。
同期の奴とは決して仲が良くもなければ悪くもないという中間をうまく保っている。誰かと親しくなることを僕は望んでいない。なのに同期の奴らの中には僕に近づこうとするものが少なからずいる。
その中でも特にひどいのが…クリスタだ。最初は気の使える普通の女子だと思っていたがある時を境に話しかけてくる事が他の同期と比べて多い。
僕は中間を求めているのであってそれ以上は求めていない。友達とも呼べず、知り合いよりは親しい。これが僕の望む理想形。なのにクリスタは頻繁に話しかけてくる……これは僕の理念に背く。
だから最近は無視をする事が多くなってしまった。端から見たら感じ悪いと思われるかもしれないけど仕方のない事。僕は親しい友など必要ないのだから。
そんな事を考えなながら僕は食堂で食事を口に運んでいた。訓練兵の食事などお世辞にも美味しいとは決して言えないが食べておかないと訓練の途中で倒れる可能性だってある。だから食事だけはいくら不味かったとしても食べ物を口に運ぶしかない。
「ねぇ…」
僕の目の前に腰を下ろしている金髪の少女は相手にされていない事を未だに分かっていないのか何度も何度も声を掛けてくる。他の同期は僕と一定の距離を取ってくれるから僕としては嬉しい。
「ねぇ、ヘルマン」
クリスタに好かれるようなことをした覚えは僕の覚えている限り何一つとしてないと考えている。
「ねぇってば!」
「何だ?クリスタ、そんなに呼ばなくても聞こえているよ。僕に何か用かな?」
「一緒に食事を食べていいか何度も聞いてるのにヘルマンは黙ったまま黙々と食べてるんだもん」
「あ、別に良いよ。それで一つ聞きたいことあるんだけど良いかな?」
「良いよ」
「いつも君と一緒にいる……ユミルは一緒にじゃないの?」
クリスタを毎日見ているわけではないけどクリスタの近くにはいつもユミルという女子が一緒にいるイメージが物凄くある。
「うん。今日は少し用があるから先に食事食べておいてと言われたんだ」
「そうなのか…………」
気になってたことは聞けたので僕は食事を片付けて今日の訓練をするところに向かう事にした。クリスタとこれ以上話しているのは僕が今までやってきた全ての事を否定することになってしまうために止める事にした。後ろからクリスタが何か言っているような気がするが気の性だろう。
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