好かれた男   作:主義

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僕が今日の訓練の集合場所に着くと早すぎたのか訓練兵の姿はほとんどなかった。今日は対人訓練ということで集合はグラウンドという事になっている。

確かに集合時間までまだ三十分近くあるからな。僕もクリスタが話しかけてくるような事がなければ時間潰しをするために食堂に入り浸っていただろうからね。

 

 

 

でも、どうしようかな………さすがに暇だけど…今から宿舎の方に戻るのは面倒だしな。

 

 

 

 

クリスタを別に僕は嫌いと言う事じゃない。友達程度の付き合いなら望むところなんだけど……友達は時々話したりする程度だと思っていたらクリスタは毎日のように話しかけてくる。僕としては時々話すぐらいで良い。

 

 

 

 

 

「あんたも早く来すぎたの?」

 

 

 

後ろを振り返るとそこにはクリスタと同じで金髪であるアニが立っていた。アニとは今まで話したことが無かった。

 

僕も自ら話すようなタイプじゃないけどアニも自ら話すようなタイプじゃないために話す事はなかった。訓練兵の同期の中で僕と同じように寡黙な人間が居てくれて嬉しかったのを覚えている。でも、そのアニが僕に話しかけて来るなんて信じられなくてすぐには返事が出来なかった。

 

 

 

 

「…………あ、ああ、そうなんだ」

 

 

 

「やっぱりね」

 

 

 

「それにしてもアニの方から僕に話しかけてくるなんて予想しなかったよ」

 

 

 

「確かにあんたと話すのは初めてかも」

 

 

 

「初めてだよ。改めてよろしくね、僕はヘルマン」

 

 

自己紹介の者をまだアニにはしてなかったと思い、一応しておく事にした。

 

 

 

「ああ、よろしく」

 

 

その後も適当に話しながら時間潰しをしていると他の訓練兵も少しずつグラウンドに集まり始めて集合時間には全員が集まっていた。

 

 

 

 

 

「今日の訓練は事前に伝えておいた通り、対人訓練を行う。二人組になり闘って『降参』と言わせたら勝ちだ。二人組に関しては途中で変えても構わん。それでは各自、訓練に移れ!」

 

キース教官が言い終わるとそれぞれが行動を始めた。

 

 

 

 

「さて…僕はどうしようかな」

 

 

僕は体術に関しては一般的な技術しかない……と言っても女子と組んで怪我をさせてしまったらそれはそれで問題だしな。まあ、ミカサやアニには勝てないだろうけどね。

 

 

 

 

「なあ、組む相手が居ないなら私と組まない?」

 

 

この声はさっき聞き覚えがある。まさかと思い、さっきと同じように後ろを振り返るとそこには予想していた人物と同一人物がそこには居た。

 

 

 

「…アニか…」

 

 

 

「嫌なら別に断ってくれて良い」

 

 

ここで断るような事をするのはアニに対して失礼に当たるかもしれない。少し怖いけどここで断るほどの勇気は僕にはない。大怪我をするかもしれないけど仕方ないか。

 

 

 

「良いよ、組もうか」

 

 

 

 

 

僕はアニと向かい合い、戦闘態勢に移る。戦闘態勢に入ったアニは今までのアニと違い少しでも気を緩めたら飲み込まれてしまうかもしれない。こんな感じの人と対峙するのは初めてだ。

 

 

 

「それでは始めようか」

 

 

僕が言い終わるのとほぼ同時にアニは僕との距離を詰めてきた。

 

おい、今までのアニの闘い方と全く違うじゃないか。アニから攻めて来るのなんて聞いた事ないよ。そんな事を脳内で考えている間にもアニは僕に右ストレートのパンチを見舞ってきた。

 

 

 

 

 

ギリギリのところでよけたけど後、もう少し遅れていたら確実にくらっていた。頬をかすめる音が聞こえるぐらいにギリギリだった。本当にアニは手加減は絶対にしてくれないな。まあ、今までアニと組んできた人を見たことはあるけど全員、負けてた。

 

 

 

「はぁ……これはさすがにやる気にならないとダメかも…」

 

 

 

 

 

そして最終的に僕は立っていて、アニは仰向けに倒れている。この光景に周りで訓練を行っている者は驚きを隠せないようだ。まあ、僕もアニに勝てるとは思っていなかった。

 

 

 

「ごめん…少し強く投げすぎたかもしれない…怪我をしちゃった?」

 

 

女性に怪我をさせたとなればマズイ。

 

 

 

「大丈夫、私の心配なんかしなくていい。私はお前と闘って負けただけなんだから」

 

 

仰向けになりながらアニはそう口にした。アニならもう少し悔しがると思っていたけど全然そんな素振りを見せなかった。

 

 

 

「でも、これは訓練だからね。アニに怪我があったら僕のせいだから」

 

 

 

「本当に大丈夫だから心配しなくていい」

 

 

 

「それじゃあ、はい」

 

 

僕は仰向けに倒れているアニに対して右手を差し出した。このままこの体勢のままじゃ背中が汚れちゃうしね。

 

アニは少し戸惑いながらも僕の手を取り立ち上がった。

 

 

 

 

「……ありがと」

 

 

僕が思っていたよりもアニが優しくて繊細な人間なのかもしれないと密かに僕は思ったりした。

 

 

 

 

 

 

 

次の話に登場して欲しいのは?

  • ミカサ
  • アニ
  • クリスタ(ヒストリア)
  • エレン
  • ジャン
  • ライナー
  • リヴァイ
  • ハンジ
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