憲兵団に行くには成績上位十人には入る必要がある。それは訓練兵であれば誰もが知っている事であり、ほとんどの者が憲兵団に入るために上位十人を目指している。そのため競争が激しい。
僕はそんな争いに興味がないし、参加しようとも思わない。僕にとって憲兵団だろうと駐屯兵団だろうと調査兵団であろうと変わりはない。どこにいようと巨人の危険が零になる事はない。確かに調査兵団ほどの危険は二つの兵団にはないかもしれないけど危険はある。
今日は珍しく訓練が休みの日で暇を持て余していた。こういう時は一日ずっと寝ていられる良い機会だからいつもなら寝ているんだけど今日はそうもいかなかった。何故なら眠くならなかった。
外で遊ぶ気にはならないし、暇を潰せるような道具も何も持っていないからな。どうしようかなと考えながら適当に宿舎をぐるぐると回っているとアルミンと会った。
「ヘルマンも今日、何も予定ないの?」
「うん。いつもならずっと寝てるんだけど今日は何か眠くならないから起きているんだけどやりたい事がないから宿舎を徘徊しているんだよ」
でも、アルミンはエレンやミカサとずっと一緒にいるイメージがあるんだけどな。クリスタもユミルと一緒というイメージがあるようにアルミンにもそういう印象があった。
「そうなのか……じゃあ、僕に少し付き合ってくれない?」
アルミンが僕に何だろう………あんまり関わりがないから話さないんだよね。でも、まあそれはほとんど全員に言えることか。
ここで断っても良いんだけど……何も用がないのに断るのはさすがに悪いと思い僕は肯定的な返事をする事にした。
「良いよ。暇していたところだしね」
「ありがとう!」
「それにしても何に付き合えばいいんだ?」
「…只、ヘルマンとはあまり話したことがないと思って話してみたいと思って誘ったんだ。迷惑だった?」
自分が予想していたよりも……何か普通のことだった。
「いや、驚きはしたけど………アルミンが僕に興味を持っているとは思ってなかった」
僕はあまり人とコミュニケーションを取ろうとしないから未だに一度も話したことがないような同期もいたりする。だけどアルミンとは何度か一対一ではないけど話したことが会ったりする。アニとは違い、大人しいけど人と積極的ではないにせよ話している。それにエレンやミカサとは幼い頃から一緒に過ごしてきたようでとても仲が良いらしい。
「初めて会った時から興味深い人だとは思っていたけどヘルマンってあんまり人と関わりを持ちたがらないし、話しかけられるのが嫌なのかなぁと思って声を掛けられずにいたんだ。今日も誘ってみようと勇気を振り絞って言ったけど……断れるかもしれないと思ってかなり不安だったんだよ。だから、ヘルマンが「良いよ」と言ってくれた時はとても嬉しかったんだ!」
満面の笑みをしながらアルミンは僕の方を見ながら言った。あんな笑顔で言われては……断らなくて良かった。アルミンなりに色々と考えてくれていたんだね。
まあ、確かに僕は人と話すのがあまり好きじゃないし、友達という関係を望んでいない。だからこそ、仏頂面をしていることも自分で分かっていないだけで多くあったのだろう。それでも、アルミンは勇気を出して声を掛けてくれた。最初の印象はエレンの後に付いているだけで勇気とは無縁の人だと思ったりしたけど、どうやらそれは間違い。やる時にはやる人だったということか。
「…僕と話しても何もないと思うけど……こんな機会でも無ければアルミンと話す機会なんてなかったからね。それでどこで話すの?ここで立ち話をするわけにもいかないしね」
「確かにそうだね。どうしようかな……僕の部屋はエレンたちが使っているだろうからな」
エレンたちと何かをしている最中に抜け出してきたのだろうか。それに今、エレンたちと遊んでいるなら僕とのことはまた次の機会でも僕は良いんだけど。
「エレンたちと何かしているならそれが終わったらで良いよ。それに僕との話ならまた次の機会でも出来るしね」
「いや、ダメ!」
「え…?」
「……いや……今にしよう。ヘルマンが言う次の機会がいつ来るか分からないから」
「まあ………そうだな。それじゃあ、どこで話そうか?」
「言いずらいずらいんだけどヘルマンの部屋はダメかな?」
僕の部屋か……僕たちは共同の部屋だけど多分、全員が出払っていると思うから大丈夫と言えば大丈夫だと思う。
「…大丈夫じゃないかな……」
長い立ち話を終えて僕とアルミンは僕の部屋に来た。
「ここがヘルマンの部屋なんだ…」
「うん。アルミンのところの部屋とあまり変わらないでしょ。全ての部屋が同じようなデザインになっているからどこの部屋に居ても変わらないんだよね」
本当に殺風景でベッドが数個とテーブルが一つあるだけ。無駄な物が一つもない。
「そう言われれば確かにそうだね。僕たちの部屋とほとんど変わりないかも」
「アルミンとこんな感じで二人きりで話すのは初めてになるね。他の同期ともあまり二人きりで話したことはないしね」
普段なら『話そうよ』とか言われても断ってしまうから話さないだけだけど。
「…そうなの!?意外だな」
「意外?」
「うん。ヘルマンは皆から愛されているから二人きりで話すとかの経験は多いと思っていたけど…違ったんだ」
僕が皆から愛されている……?アルミンは一体なんでそんな考えに至ったのだろうか。嫌われていると思っていないけど好かれていると思ったことは無い。それに僕に好かれるような一面はない。自分が言っているのだから確かだ。
「…一応、言っておくけど僕は皆から好かれていないよ」
「まさか自覚なしなの。この感じだと何も分かって無さそうだ」
「どうしたの?」
近くにいる僕にも聞こえない声でアルミンは何か言っている。
「いや、何でもないよ。僕が今回、ヘルマンを誘ったのは話したかったからだよ。さっきも言ったけどヘルマンには最初から興味があったんだけど話しかける機会がなくて」
「良いよ。それで何を話そうか」
「そうだね……それじゃ訓練兵を卒業したらヘルマンはどこへ所属したいと思ってるの?」
「……僕はどこでも良いと思っているよ。憲兵団だろうが駐屯兵団だろうが調査兵団であろうがね。どこに行っても自分のやれることをやるだけだから」
「ヘルマンは凄いよ。そう思えるのはヘルマンぐらいだよ」
「そうかな。僕としては普通の事なんだけどな。アルミンはどうなんだ?」
「僕は調査兵団になると思う…」
死亡率がもっとも高いのは調査兵団であり生き残るのはもっとも難しい。巨人と闘っているわけだから死亡率が高いのは仕方のない事。だけどその死亡率は目にしても調査兵団に行きたいと思えることは一言で言うならば『勇気』があるものだ。
「アルミンこそ凄いよ。調査兵団と言うのは訓練兵の中で一番志願率が少ない。そこに行こうと思っているアルミンを僕は心から尊敬するよ」
誰もがアルミンのように勇気を持てる人間ではないのだから。自分の命を捨てる覚悟がないものに何かを成し遂げる事は出来ない。
「………そんなんじゃないよ」
「アルミンが自分の事をどう思っているか分からないけど僕は君の事を心から尊敬する。それは君がどんな事を言ったとしても変わらないよ」
「……ありがとう。ヘルマンにそう言われるとなんか『勇気』が出てくるよ」
その後も僕はアルミンと話をして気が付いた時には日が暮れていた。
次の話に登場して欲しいのは?
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ミカサ
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アニ
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クリスタ(ヒストリア)
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エレン
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ジャン
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ライナー
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リヴァイ
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ハンジ