やはり俺がデビルハンターなのはまちがっている。   作:推し鋸

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アフォガード大好き!


第5話 バトル・コーヒー・バトル

「血ー刃!」

 

 放たれた血の刃が翼を切り落とす。さすがブラッドブレードこと血ー刃。千葉の赤い悪魔の名を冠するだけあるぜ。

 片翼を失ったコウモリはバランスを崩し勢いよく落下していく。……しまった。後のことを考えてなかった。このままでは俺も落ちちまう。眼下に古びたビルが迫ってくる。

 そうだ、と閃く。……まさかこんなところで新技を使うことになるとは。

 俺は刀をしまい、ダイヤルを回す。No3……。

 

「マッカン!」

 

 発動したのはマッカン、ことコーヒーの悪魔の力だ。

 公安に行ったときハルノさんに新しい悪魔の紹介をお願いしたのだ。どうやら公安は契約するために悪魔を何体も捕獲しているらしい。しかし強力な悪魔は俺の刀に封じてしまうと他の契約者が使えなくなってしまうため、貸出し不可だった。そこで見つけたのがコーヒーの悪魔だった。コーヒーの悪魔は強くないため自由に使っていいとのことだ。もちろんMAXコーヒーを愛するものとして使わない手はなかった。

 

「うおりゃ!」

 

 刀を抜くと鞘から勢いよく茶色い液体が噴き出す。いけハチマン! ハイドロポンプだ。俺は水圧を利用しウォータージェットの要領で落下の勢いを殺す。……こんなの単なる目くらましか陽動にしか使えないと思ってたが、思わぬところで役立ったな。やっぱり能力は使い方次第だぜ。

 ばちゃんとコーヒーの水たまりに軟着陸する。

 

「戻れ」

 

 後片付けも簡単だ。あら不思議たった一声で一滴残らず鞘に戻っていく。カチャンと刀で蓋をすればあっという間に掃除完了だ。

 辺りにはただコーヒーのいい香りだけが漂う。ああ落ち着く香り……。

 久しぶりに嗅いだ芳しい香りにうっとりとしていると、このビルで働いているのだろうかOLさんらしき人影が現れた。

 

「ひ、うっとり顔の悪魔がいる!」

 

 脱兎のごとく逃げられる。……いやどうせ避難を促さなきゃいけなかったからいいんだけどな。むしろ声をかける手間がなくなってお得まである。……そんなにやばい顔してる俺? 第一印象が悪魔ってどんだけ。

 

「ううう……」

 

 ガラリ、と瓦礫の中からコウモリが這い出てくる。あの高さから落ちたんだ。ノーダメージとはいかなかったみたいだな。

 よし、ここからはスピード勝負だ。ユキノもカマクラも丸呑みされてしまった。しかし、噛まれてないのなら一縷の望みがある。まだ助けられるかもしれない。消化されるまでの時間との戦いだ。

 

「ぐぐぐ……ぐおおおおおら!」

 

 コウモリは瓦礫の塊を投げてくる。

 俺は刀のダイヤルを回す。No2。

 

「マッスルマン」

 

 猛スピードで飛んできた瓦礫を、俺はなんなくキャッチしていた。

 発動したのは筋肉の悪魔の力だった。直接体に影響を与えてくれる。我ながら、すげえ力だぜ。スパーハチマンだ。いまなら元気玉だって出せそう。

 余裕しゃくしゃく、よいしょと瓦礫を降ろす。

 

「体にそぐわぬ怪力……! いったい何者だ……?」

「通りすがりのデビルハンターだ……お前の腹ん中身返してもらうぞ」

「……貴様ァ」

 

 コウモリの頭部が変形していく。ギザギザの歯だった口が筒状に伸びていく。

 

「ポパパパパパポ!!」

 

 ……なんかやばい雰囲気?

 

「波ア!!」

 

 放たれたのは空間を歪めるほどの衝撃波だった。

 避ける間もない。直撃する。

 

「……いてぇ」

 

 どれくらい吹き飛ばされただろうか。4tトラックにはねられたらこんな感じなんだろうなという衝撃。なんだよ今の反則だろ……。筋肉で全身を強化してなかったらバラバラになっていてもおかしくなかった。クソつええ。……たしかにコウモリって恐いもんな。ネットの画像で見た海外の人間くらいでかいやつ。あんなのみたらちびる自信あるわ。

 くそ。でも負けられねえんだよ……。

 俺は立ち上がり刀を構え、駆け出す。

 そういやまだ試してなかったな。悪魔の能力の二つ同時使用。

 筋肉の強化をしたまま、ダイアルを合わせ血ー刃を発動する。

 

「ぐふっ」

 

 口から血が溢れた。やばい大事な臓器をとられたかもしんない。

 でもかまわない。

 

「ちっ近寄るなアア!!」

 

 放たれたコウモリのパンチをかわし、その腕をホップステップの要領で登る。

 くらえや必殺……だめだなんも浮かばねえや。

 必殺ただの全力スイング。

 

「どりゃああ!」

 

 振るった刃はコウモリの全身を切り裂いた。

 

 

 命は平等に重いという言葉がある。しかし平等に同じ重さだということは、それは平等に軽いと言い換えることもできるのではないだろうか。

 なんてことを考えながら俺はカマクラの入った籠を抱き締めているユキノのことを抱き抱えていた。抱き締めの連鎖。マトリョーシカハグと名付けよう。

 ユキノは気を失っているだけで大事なさそうだった。よかった。顔が溶けていたりしたらトラウマ確定だったぜ。

 しかし、こいつちゃんと飯を食ってるのか心配になるくらい軽いな。命の重さは平等でも当然体重は違うもんだ。

 しばらくしてユキノが目を開いた。

 至近距離で目が合う。

 視線が地面に散らばるコウモリの死体に移り、再び俺の顔に戻る。

 

「どうしてワタシを助けたの……? あなたを殺そうとしたのに……」

 

 俺はなんて答えようか悩む。

 

「ある人が言っていた……」

 

 結局口をついて出たのはどこかで聞いたようなセリフだった。

 

「能力がるやつは困っているやつを救う義務があるらしい」

 

 ノブレス・オブリージュ。もしくは奉仕の精神だ。

 

「それに……そうでなくても、お前は俺のバディだ」

 

 言ってから羞恥心がわく。かっこつけすぎたか。

 

「馬鹿みたいな理由ね……」

 

 それから長い沈黙がおりる。しばらくしてからユキノが口を開いた。

 

「騙してごめんなさい」

 

 一瞬聞き間違いかと思うほど素直な謝罪だった。

 なんだろうこの感動は。反抗期の長かった娘が立派に育ち結婚披露宴で感謝の手紙を読んでくれたみたいな。とにかくユキノの思わぬ一言は俺の胸に温かく染み渡った。

 まったく、俺のバディがこんなに素直なわけがない。

 

「別にかまわねえよ。……ほら、起きれるか?」

 

 俺は手を差し伸べた。

 ところで、その手が吹き飛んだ。

 

「あ?」

 

 視覚が状況を認識して、遅れて痛みが襲ってくる。

 

「……くそっ」

 

 嘘だろ。どこからわいたのか。目の前には新手の悪魔がいた。

 ちょうど俺の手首から先を口に入れるところだった。

 なんとなく女型。フルフルみてえで気持ち悪い。

 

「……動けるか」

 

 小声でユキノに声をかける。

 

「指もうごかせないわ……。カマクラを連れて逃げて……!」

 

 俺は片腕で刀を抜こうとする。しかし、刀は抜けなかった。内臓を失いすぎたのか!?

 

「やァ~っと見つけたのにィ~……アンタでしょオコウモリちゃん殺したのォ~。私の男だったのに!」

 

 悪魔同士にそんな関係性があったとは驚きだ。

 

「あら……よく見るとカワイイ顔……ちょっと目つきは悪いけど」

 

 うるせえ余計なお世話だ。

 

「好みの顔してるから逃がしてあげる!」

 

 そいつはありがたい……。つーかこいつの好みということは、俺はコウモリと同じカテゴリってことか?

 

「後ろの奴らは……?」

「殺す」

 

 即答だった。

 俺は鞘に入ったままの刀を構える。

 もちろん俺だけ逃げるわけにはいかない。

 

「じゃ死にな」

 

 勝負は一瞬だった。

 所詮強い武器を持っていきってただけのただの素人だったってことか……。

 悪魔の舌が俺のどてっぱらを貫いている。もう痛みも感じない。ただ体が冷たくなっていくのだけ感じる。

 ……ごめんみんな。どうやらここでおしまいらしい。

 くそっ……。

 ぼやけていく視界の端に人影を見つける。

 あれは……雪ノ下? 今際に見る幻覚ってやつか……?

 いや、違うあれは……ハルノさん?

 

「パン」

 

 ハルノさんが手を叩く。

 同時に悪魔が巨大な動物の手にぺしゃんこに潰された。

 これは熊、いやパンダの手か?

 くそ、眠い。だめだ頭が回らない。意識が朦朧としてくる。

 いったいどこまでが現実でどこからが夢かもわからない。

 俺はとうとう抗えず深い眠りに落ちていった。




どんなに軽い嘘でも一度つかれると信頼を失ってしまいます。
何の話かというと胸パッドの話です。
パワーちゃんのせいでチェンソーマンの世界のバスト描写には信ぴょう性がありません。
作中で脱いだキャラ(パワー、レゼ、クアンシ、師匠)が着衣時よりバストダウンしてるのを鑑みるに、もしかしたら作中のキャラは皆盛っているのかもしれません。
マキマさんが毎朝いそいそとパッドをつめていると考えるとそれはそれで最高ですが。

ようやく次回あたりにパワノ下のデレが見れそうです。
そして作中最胸のデビルハンターも出せそう。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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