東方純愛小話   作:覚め

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都市郊外って幻想郷で言ったら人里郊外になるのかな?
藍様です


第130話

 

人里

 

「いやー、すごい。すごいなこのカラクリっぽい奴」

 

「それほどでも」

 

「どうやってこの人形が糸なしで動いてんのか知りてーわー」

 

「そう見える内は無理ですね」

 

「…やっぱ魔法かなんかかー?」

 

「ご自由に…さて、そろそろ終わろうかしらね」

 

とかいうこのお方は幻想郷では割と珍しいと言われている妖怪?魔法使い?である。アリスさんだ。この俺が幻想郷に来て早々助けてと声を上げたら来た人だ。感謝感謝。ただ、それ以上に感謝する相手がいる。なんかよくわからないうちに俺とたまに一緒にいるこの藍って人?だ。

 

「じゃーなー」

 

「じゃ、また」

 

「…藍さんいつまで着いてくるの?」

 

「?別にお前には関係ないだろう?」

 

「そうくるか…」

 

「それに、人里で衣食住を得ているのは私のおかげだぞ?」

 

「そろそろ自立しねーとなー」

 

「無理だな。外の世界で衣食住が当たり前になっているお前にはそんなことをする根性はなかろう」

 

「…よくご存知で」

 

「さて、今日は何が良い?」

 

「何がですか?」

 

「夕飯だ」

 

「じゃあ狐の尻尾で」

 

「よしわかった」

 

「え、良いの?」

 

「お前の片手もらう代わりに尻尾をくれてやる」

 

「…やっぱやめとく」

 

「それが賢明な判断だ」

 

「はー…ほんっと俺って変なやつに絡まれるよなぁ…」

 

「大変そうだな」

 

「大変そうだなって…そのせいで人里に居づらいんですからもー」

 

さて、ここで問題だ。さりげなく藍さんが夕飯を作る流れになっているが、俺はそれを一度も許可したことがない。今まで、ずーっと、気がついたらそこに居り、気がついたら飯が出され、気がついたら家賃と水道料金が払われている、いわゆるヒモになっていた。権力も強いらしいから、逆らったら二度と生きていけないねぇ。

 

「そんなに嫌なら拒んでもいいんだがな?」

 

「拒んだら何するかわからないですもん」

 

「どんな手を使ってでも元に戻すぞ」

 

「こわいこわい」

 

「…今すぐ元に戻してやってもいいんだがな?」

 

「えっちょっと待って?どういうこと?」

 

「なに、意味のない独り言だ。夕飯はカレーだな」

 

「え、元の生活ってさ、今の状態じゃない?」

 

「さあ、どうだろうな?」

 

「ちょ、はぐらかすなよ。気になるんだけど?」

 

「ま…今日の女はもうお前には近づかないと思うがな」

 

「は?アリスさんが、どうしたんだ?」

 

「かなり独り言に対して反応するな…」

 

「いや、ねぇ?あの、どうして??」

 

「全く…さて、さっさと家に帰るぞ」

 

「なあ、なんでそんなやらかし顔?ちょ、俺をどうするつもりだ!?」

 

「?愛する以外に選択肢があるのか?」

 

「あるだろ!?」

 

藍さんに好意を持たれるのはいい。ただ、限度があるはずだ。愛に引力があったらきっと藍さんの愛はブラックホールだろう。引き摺り込まれる以外になにもできないぞ。そんな愛を相手にどうして俺が無事でいられるかって?…気まぐれじゃね?

 

自宅

 

「たっだいまー!」

 

「さて。夕飯を作る前に挨拶をしたい人がいるから少し良いか?」

 

「…良いぞ?」

 

「そうか、すまないな」パチンッ

 

八雲邸

 

「!?」

 

「紫様」

 

「えっ…藍、どうしたの?急に男なんか連れてきて…」

 

「紫様、私の婿です」

 

「婿ォ!?」

 

「相手驚いてるわよ?」

 

「大丈夫です。必ず堕とします」

 

「いや、藍、そういう問題ではないのよ?」

 

「…獲れる時に獲らねば…女が廃るというもので…!!」

 

「藍さん?ねぇ、感謝はしてるけどさ、あの、そういう関係には…」

 

「相手だって少し拒絶してるけど!?と、とりあえずその男はちょっと回収するわよ!?」パチンッ

 

「は?」

 

「えっ?」

 

場面が変わった。藍さんの隣から、紫?さんの手元へ。少し良い匂いがしたが、藍さんと一緒の匂いだと気がつくと少し気が失せた。ところで、これって良い状況なのだろうか?否、絶対悪い状況。どうすんの、これ?

 

「早く返しに行くわよ。外の世界の住民だからって幻想郷では生きていけないなんて」

 

「紫様、返してください」

 

「…ちょ、これって戻った方が」

 

「戻ってずっとおんぶに抱っこ…そんな生活で良いの?」

 

「いや、良いかどうかって聞かれるとちょっと…」

 

「迷うならやめておきなさい。藍、元の家に戻すのよ」

 

「嫌です。私の花婿ですよ?あと少しで楽をさせてあげられるというのに、何故苦労させるのです?」

 

「…か、変わってんなぁ〜?」

 

「とりあえず返すから…あなたの家は?」

 

「え?え、えーと…人里ごぅ」ガチッ

 

「!?」

 

「紫様…返してください。私の花婿なんです。私の隣に居させるのが一番じゃありませんか?」

 

「ダメよ」

 

「紫様、嫉妬はみっともないですよ」

 

「嫉妬はなんか知らんけど、とりあえず離してくれ、痛い」

 

「あ、ごめんなさ」

 

「そこだ!」ガシッ

 

「ぁっ!?」

 

「藍!」

 

「でかしたぞ!さすがは私の花婿だ!私と触れたいがために自ら離れようとするとは!」

 

「ら、藍さん…なんか怖いですよ…?」

 

「怖い?ああ、すまない。さっき取られたと思ってピリピリしたから、それかもしれんな」

 

「藍、貴女が人一人に執着したら橙はどうするの!?」

 

「紫様に上げます」

 

「な、なんですって!?」

 

「私は私の愛する人が手に入ればそれで良いのです。橙は紫様の後継者とかにして紫様が育ててください」

 

な、なんだかよくわからねーが、育児放棄の話をしているのか!?ただ、育児放棄という認識すらなさそうな言い方だぞ藍さん!どうにかして逃げねーと!多分お仕置きの名目でなんかされる!絶対なんかされる!逃げなきゃ!

 

「んっ!ぐっ!」

 

「おーっと、暴れるんじゃないぞ。全く…」

 

「くそッ、日々の鍛錬を憎む!」

 

「そうだな、逃げられたら困るからトレーニングを禁止にすれば良いんだな」

 

「藍…話が通じないレベルだったなんて…」

 

「ら、藍さん…俺が急に居なくなったらどうする?」

 

「そんなことさせるわけがなかろう?まあ仮にできたのなら…命の補償はできるぞ」

 

「命の補償って…」

 

「足がなくなるかもしれないな」

 

あ、だめですこの人、紫さん、助けてください。俺こんな人の花婿とか妖怪の山に敵意丸出しで予告状を出して正面突破するくらい嫌なんですけど??ちょ、ため息吐くな!

 

「紫様を見るな。私を見ろ。聞き分けのない花婿だな」

 

「や、やめて?」

 

「一回目は許すぞ。2回目は…ダメだな。もう我慢できなくなるかもしれん」

 

「助けてー!」

 

 

 

 

 

 




主人公=お世話になったと思ったら、お世話されっぱなしだった…!
藍=お世話?いいえ、意中の人を堕とすテクニックです。
紫=こいつらやべーよ…
おかしいな、もうちょっと深めの愛ができるはずだったのに、浅かったかな。
第一話のアリスさんが私の中で最強すぎる。
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