東方純愛小話   作:覚め

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やっぱり不老不死はね。自分食わせてなんぼですから。
妹紅先生です。おにぎりじゃないからね?


第132話

竹林

 

「いやぁ、助かります…」

 

「何、どうってことない」

 

「いや…どーもいつの間にか来てたみたいで…ここってどこですかね…?」

 

「お前外来人か。こりゃまた大変なことだな…」

 

「えっ?外来人?」

 

なんか知らん言葉が出てきたけど、外国人的なアレか?もしかしてだけど、俺、やばい集落とかにきた?行ったら食い殺される系の集落に来ちゃった?やばい、それは何とかしないとやばい。どうする、どうすれば帰れる!?

 

「…まあ、その、何だ。ゆっくりしていけ。人里で外来人が暮らすのはほとんど無理だって言えるからな」

 

「えっ、帰る方法とかって」

 

「ないことはない!だがまぁ、それも気まぐれみたいなもんだからな」

 

「…まじかぁ…」

 

「そうがっかりするな。ほれ、焼き鳥食うか?」

 

「何故に焼き鳥…」

 

「私がパパッと用意できる肉だからだな」

 

「そ、そーなんですか…え、焼き鳥がいつもあるってこと?」

 

「いや、違う。まあとにかく、生きたいんなら私の仕事手伝ってもらうぞ」

 

「…その仕事ってなんです?」

 

「たけのこ集め」

 

「この広そうな竹林で」

 

「私だって一応道は覚えてる。付き添いで手伝って貰えば良いだけだ」

 

「そうですか…」

 

…と、いうのがもう何年前の話だろう。いや、うん。急に過去を振り返るのは自分らしくない。が、喜んで筍を集めていた自分もらしくない。それは問題ではないのだが、まあ、何といいますかね。恩人だから何も言えないけど…焼き鳥が初めて出てきた日から、ずっと焼き鳥が出続けている。

 

「また今日も焼き鳥ですか」

 

「ん?やっぱ栄養とかも考えたほうがいいか?」

 

「まあ野菜とかも食ってるんで大丈夫だとは思いますけど…」

 

「じゃあ良いな」

 

「焼き鳥以外ないんですか」

 

「ウサギの肉くらいしか」

 

「すいませんやっぱ良いです」

 

「だろ」

 

「妹紅さん鬼畜って言われませんかね」

 

「失礼な。私だって少しはモテる」

 

「本性を見抜けない哀れな男たちよ…」

 

「子供にな」

 

「子供!!」

 

翌日

 

「たけのこ取るのにも慣れてきたな…」

 

「お前が落とし穴に引っ掛からなくなったのも慣れてきたからか?」

 

「慣れるというより配置を覚えたのが正しいかっ」バシャッ

 

「まぁ、そんなのに引っ掛かるような奴じゃこの竹林は危険地域なんだよな」

 

「そー…ですね」

 

「あ、もしかして引っ掛かった?」

 

「いいえ、特に」

 

「…引っ掛かったろ。そろそろてゐの煮込み丼も食いたいかな」

 

「ウサギですか?」

 

「勿論ウサギだ」

 

…妹紅さん、辞退させて頂く。さて、そんなこんなで無事風邪を患った僕だが、妹紅さんが大袈裟に騒ぎ立てるモンなので永遠亭に行ってきた。というより、医者見習い?の人に「風邪ですね、寝てくだい」って言われただけなんだけど。

 

「全く心配性ですね」

 

「し、仕方ないだろ?仕事仲間一人減ると野菜無くなるんだぞ?」

 

「そうなんですか…とりあえず安静にする前に、トイレへぇっ」ダンッ

 

「安静にして、な?」

 

「いや、その前にトイレに行かないと…」

 

「それは私に任せてな。ほら、寝ろ。寝なかったら置き土産の睡眠薬飲ませるぞ」

 

「あーはいはいはい。わかりましたよ。寝ますから」

 

「んー…」

 

「…?寝るからずっとそこにいるのやめてくれません?」

 

「ん〜っ」ズキュゥゥゥン

 

「!?」

 

「ま、これが一番良いわな」

 

「んぐっ‥な、何で口移し???」

 

「良いだろ。気分だ気分」

 

「ビビりますよ…」

 

「人里に薬でも買いに行くから待ってろよ」

 

「順序が逆あと僕ぁ思うんですよれ」

 

「…お前もう呂律が回ってないぞ?」

 

「ぇ?」

 

翌日

 

「…あーっ…眠い…」

 

「お、起きたか」

 

「起きましたよ。さて、今日は…」

 

「朝からハツだ。美味いぞ」

 

「…朝から肉っすか…」

 

「ダメだったか?なら変えるが…」

 

「いや、良いんですよ」

 

「そうか…」

 

さて、妹紅さんの家でハツが出たのは初だ。ハツだけに…って違う。幻想郷のハツはこんなにもでかいのか。鳥自体がでかいのか。どっちか知らんが、かなりでかいハツだった。何というか、この鶏、人くらいデカそうだ。そんなハツを妹紅さんはもう食べたのか、機嫌がいい。機嫌とは裏腹に顔色は悪い。

 

「このハツ大きいですね」

 

「特異変異って奴だろ。まー詳しくはわからんが…」

 

「そうでしたか。さて、お味は…ん?」

 

「ど、どうした?」

 

「なんか、こう…不味い…?」

 

「いや、不味くはないと思うんだが…」

 

「俺の知ってるハツじゃないと思うんですけど」

 

「デカいと味まで変わるのか?でも私の時はそんなに…」

 

「そうですか…風邪の影響ですかねー?」

 

「風邪強すぎんだろ…」

 

「あと妹紅さん顔色悪くないですかね?」

 

「ああ、今朝慧音にも言われたよ」

 

「今朝?」

 

「今13時だぞ」

 

「えっ?」

 

「はー…今日は二人で一緒に寝てるかぁ」

 

「そうしますかね。では、また明日」

 

「いや、昼寝って意味だぞ?あとお前は歯磨きしろ」

 

「クソッ…」

 

全て正論であるために何も言い返せない。クソ、俺が何をしたっていうんだ。いや、まぁ、単純明快なんだけど。まさか寝過ごすとは思わなかった。ただ、妹紅さんの顔色が悪かったのは何でだろうか。もしかして薬買う途中で怪我した?…いや、ないな。あの怪我の治る速さで顔色が悪くなるわけがない。じゃあ何なんだろうかね?

 

その夜

 

「…起きたか…妹紅さんはもう起きてるし…」

 

台所<ジャキッ…ゴンッ…

 

「妹紅さんが料理でもしてんのか…?鶏肉でも切ってんのかね…襖の間から覗いちゃおっと」

 

「…」ブツブツ…

 

「な、なんか聞こえるぞ…」

 

「あの人…に私の…♪」ブツブツ…

 

「な、何言ってんだ…?それに、何を切ってるんだ?」

 

おかしい。どう見ても鶏肉ではない。鳥を捌いているのではない。時代によって違うものなのだろうかと考えていた俺の思考回路を潰してきた。自分だ。自分を捌いてる。自分の腹から物を出して…待てよ。もしかして…いつも食ってた肉って…んな、まさか。妹紅さんなりの夜食だろう。少々マニアックだけど

 

「…おい」

 

「?」

 

「お前、起きてるならそう言えよ」ジロッ

 

「!?」

 

「全く…何でこういうのを見るんだか」ズシーッ(開く音)

 

「え?」

 

「昼間のハツって、なんだかんだ言って美味しかったよな」

 

「え、は、はい…」

 

「そうか。私の心臓、美味かったか…♪」

 

「えっ…心臓?」

 

「おう。私の心臓。美味かったんだよな?」

 

「てことはじゃあ今妹紅さんって」

 

「大変だったんだぞ。自分の手を取るのはきついし、骨ごと取ったら再生に時間がかかるし。心臓はちょっと大胆すぎたかなー?」

 

「な、なんで…」

 

「理由?勿論、外来人のお前が、私のやり方に文句をあまり言わずに付き合ってくれて、対等な人として認識してくれたからさ。要するに好きってことなんだよ」

 

「ぇっ」

 

何、え、妹紅さん怖いよ。口に出そうにも出せない。少しでも近づいてみろ。妹紅さんと触れ合う。そうなった時、僕は何が出来るだろうか?まぁ、何もできないだろう。できたらそれはもう大金星だ。無事元の世界へ帰れたくらい大金星だよ。

 

「なあ、こんなこと言ったら嫌われることは分かってるけどさ」ギュッ

 

「ぇ?」

 

「私からあまり離れないでくれよ?死んでも、骨になっても私のそばに置き続けるからな?」

 

「そ、そうなん、ですね…」

 

「嘘じゃないからな。覚えてろよ?」

 

 

 

 

 




妹紅…私のことを対等な人間として見てくれた!やった!段々と好きになっていく!!よーし私(の一部)を食べさせておこう!
主人公…命の恩人の肉を食べた?え?ん?え???
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