東方純愛小話   作:覚め

140 / 201
僕がこれまでに被害者として吊し上げてきた人達
1位主人公
2位 多分 射命丸文
だと思います。
射命丸文です。


第140話

人里

 

「新聞と可愛い女の子は如何ですか〜?」

 

「何回目だお前。俺は八百屋だ、新聞はともかく人は売れん」

 

「そう取ってしまいますかね…」

 

「少なくとも。俺にはな…」

 

「には?」

 

「…なんもねえや」

 

「なんと」ズコッ

 

ズコッとか言って頭を思いっきり下げる奴なんか初めて見た。寺子屋に置いてあった漫画では滑ったような描写だった気がする。まあ、漫画の行動なんか再現しようとするだけ無駄だとは思うがな。そしてこの変な迫り方もなんかずっと続いてる気がする。

 

「お前さ、俺が寺子屋出てばっかの時にも同じようなこと言ってたよな」

 

「ええ!覚えていたんですね!?」

 

「いや、それさ。慧音先生にぶっ飛ばされなかったか?」

 

「何度か。痛い目を見たとしても、望みのものを手に入れるのは常識です!」

 

「それは妖怪だけだろうが…お」

 

「おや?何か見つけて…」

 

「あ、あの…」

 

「おお!久しぶりだな!どした?大根か?」

 

「ネギを…」

 

「良いぜ!ほらネギ!」

 

「…ギッ」

 

「そ、それでは」

 

「おやおや!この八百屋の常連客ですか!?」

 

「おま、それやめてやれよ。結構人見知りなんだぞ」

 

「おや?では貴方とは喋り合える関係…と言うわけですか?」

 

「いや、まあな」

 

まあな。俺とあいつは同級生って奴だし。あの時は寺子屋で一番勇敢だったのがこうなるなんてとは思うがな。女で勇敢だったのが人見知りだなんてな。そしてお前、なんか目が怖いぞ。どれくらい怖いかと言うと、獲物を前にしたカラスの威嚇並みに怖い。

 

「いやいや、人見知りでしたら良いのですよ」

 

「そうでしたか…それでは」

 

「いやー、最近来なかったからちょっと気になってたんだよな」

 

「そうですか。私もそろそろ他の場所に新聞を配るので!」

 

「おう、いってらー」

 

1週間後

 

「新聞と妖怪の山への切符は如何でしょう?」

 

「いらん。そんなもん押し付けんな」

 

「えー?そんな、断らなくても〜」

 

「要らん。俺は八百屋だぞ。この店が休んだ時に他の八百屋行くのって結構キツイんだぞ」

 

「…断らなくても良いじゃないですか。ねぇ」

 

「それに、妖怪の山に行けたとして、無事帰って来れるかどうか」

 

「来ませんか?」

 

「話は最後まで」

 

「行きましょうか」

 

「あのな」

 

「そうですか!それは良い!では、さっそく行きましょう!」

 

「だから」

 

「ふんっ」ドスッ

 

「おぐぉっ」

 

「…だから、なんです?行きましょうか」

 

「ぅえ…腹殴りやがって…」

 

「それでは行きましょう!お肉用意してるんですよ!」

 

なんでかなぁ。寺子屋出てからずっと絡まれて、ずっと拒否してるのに。なんでだろうか。一向に諦めない。それどころか、腹に拳を突っ込んできた。殺す気か?いや、殺す気か。どっちにしろ妖怪の山行きだ。誰か助けてくれ。

 

妖怪の山

 

「いやー、快く受け取ってくれて良かったですよ!ほんと!」

 

「お前な…クソが」

 

「どうしたんですか?厠に行きたいんですか?」

 

「違うよ…」

 

「そうでしたか!しかし、来てもらったのに何も出さないと言うわけには…」

 

「お前にそんな配慮があったとはな」

 

「そうだ、私の持ってるお肉を食べましょう!」

 

「妖怪のお前が食う肉なんて人間の肉だろど」

 

「食べましょうね」

 

「人肉は食わ」

 

「食べてください。それでは、持って来ますから」

 

「怖いな…」

 

「怖い?何がです?何が怖いんですか?」

 

「お前、さっき目が」

 

「私の目が怖いんですか?あはは、嫌だなー、そんなこと言われたら傷付いちゃいますよ」

 

「…と言うのは嘘だ、怖くはねえよ」

 

「そうですか。それは良かった」

 

…こっわ!!何!?俺何した!?落ち着け、落ち着くんだ俺!…確か、名前が文だったな。そう。そうだ。さっき、目がジッと俺を見つめていたのは、あれだ。きっと、問い詰めるには相手をジッと見るのが効果的とかそう言うのを知ってただけだ。決して、ほら、なんか、変な意味はないはずだ。多分、多分。

 

「さて、これが私の持ってるお肉です!」ドサッ

 

「…んー、すまん…」

 

「どうしました?」

 

「それって…」

 

「お肉ですよ。状態は酷いですけど」

 

「いや、違う。その、その肉ってさ」

 

「え?やだな。人だと思ってるんですか?永遠亭の培養肉って言うアレですよ」

 

「そうか。そうなのか。それじゃあ、その顔って」

 

「…顔?顔なんてありませんよ?お肉を作るのに、顔が出来上がる訳ないじゃないですか」

 

「それもそうだけど」

 

「もしかして、相当疲れてる状態なのに連れて来ちゃいました?寝ます?」

 

「いや、それは良いんだけどさ。その肉って」

 

「だから」

 

「っ」ビクッ

 

「顔なんてないって言ってるじゃないですか。わかります?」

 

「あ、は…そうだよな」

 

「仮に顔だとして、これが人だとしてもですよ。その人は自ら外に出て死んだってことになるんですよ?」

 

「それも、そうだよな」

 

「さ、焼き肉にしていただきましょうか」

 

「いただきます…」

 

…言えん。とても言える気がしない。どうして。どうして、お前が肉だと言い張ってるバラバラの肉に、あいつが入ってるんだ。ようやくあの日久しぶりに会えたって言うのに。勇敢だったのは子供の時だけで、なんでバラバラになってんだよ…

 

「な、なあ」

 

「なんです?」

 

「い、1週間前久しぶりに会ったあいつさ」

 

「あ?あー、あの人ですね」

 

「実はさ、あの日から行方がわからないって、親御さんが大心配してるんだよ」

 

「そうなんですか?」

 

「俺さ、久しぶりに会った同級生だからさ、気になってよ。お前の新聞に出したりして…ってことはできないか?」

 

「いくら貴方の頼みでも…ですねぇ」

 

「そうだよな、すまん」

 

「それに」

 

「?なんか知ってるのか?」

 

「もう無駄ですよ。どうせ」

 

「だ、よな…まあ、でもさ。ずっとあいつのことが好きでさ」

 

「はぁ…」

 

「それで、何も言えずにこのまま…なんてさ」

 

「無駄だって言ってるんですけど?」

 

「え?」

 

「仮に生きてても気にする必要はありませんよ。貴方はこのまま帰れませんし、貴方の意中の人とも会えませんし」

 

「え、それってどう言う」

 

「ずっとこのまま。私にとってとても喜ばしいことなんですよ」

 

「そ、そんな」

 

「何しても無駄なんですよ。力の差を思い知らせてずっと暮らすのは私としても嫌なんですよ」

 

「…そうか…」

 

 

 

 




射命丸文…好きな人と同じ秘密を持つことって言うのは良いことなんですよ。その秘密の大きさは知りませんが
主人公…何?え、何?八百屋ぞ?俺、八百屋ぞ??
あいつ(途中で出て来た女の人)…私は今、永遠亭にいます。なんだかよくわからない実験で、私が増えるそうです。
的な。
天狗だし、人攫いはしますよ。
食うのかは知りませんけど。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。