東方純愛小話   作:覚め

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Twitterでアルコール依存症の人の漫画見て思いつきました。
永林先生です。
もう結果は見えたも同然ですよね。


第141話

 

1週間前の永遠亭

 

「…先生」

 

「何かしら?」

 

「お酒、頂けますか?」

 

「ダメよ。依存症だって言ったでしょう?」

 

「いや…もう帰る場所なんてないだろうから、飲んでも変わりませんよ」

 

「そんなこと言わないの。私が良しと言ったら帰れるのよ?」

 

「そりゃそうですけど」

 

「帰りたいでしょ?」

 

「帰る場所はもう誰かの席だと思いますよ」

 

「そんな居酒屋の席じゃないんだから」

 

ども、鈴仙です。えー、なんでしょうか。これ。師匠を呼びに来て、なんか師匠が話し込んでて、これは後にしたほうがいいかなー?って思って聞いてたら…他の患者さんにそんなことしてませんよね師匠。どうしたんですか師匠?

 

「鈴仙」

 

「うわっ…姫様、なんですか?」

 

「うわって酷くない?…今の永林って結構変よね。私の声にも鈴仙の声にも曖昧な返事をするのよ」

 

「曖昧どころか答えませんけど」

 

「それは知らないわ」

 

「でしょうね…」

 

「あら、居たんですか?」

 

「もう鈴仙ってば、永林が恋の病に犯されたとか言ってたのってこれなの〜?」

 

「うぇっ!?いや、姫様!?」

 

「私が恋をする暇なんてあるわけないでしょ…」

 

「し、師匠まで!?」

 

…ん?と言うことはする暇があれば恋をするのか?師匠にも恋愛感情があったんだ…摩訶不思議。それはそれとしてあの患者は確かアルコール依存の人じゃないっけ。師匠、そう言う人嫌いだと思ってたんだけどな〜

 

「さて…」

 

「お、先生。お酒?」

 

「点滴よ。お酒の飲み過ぎで体の水分が足りないから、足してるの」

 

「それじゃあ栄養補水液?とかを使えば」

 

「それを直接入れてるのよ」

 

「ほえ〜」

 

「貴方はどうせ渡されてもちょっとずつしか飲まなさそうだから直接入れてるの」

 

「信頼されてるなぁ」

 

「いい?信頼じゃなくて心配してるの。早く治してくれる?」

 

「…俺ここに来るの何回目だと思います?」

 

「カルテ通りだと今回ので23回目ね」

 

「23!?」

 

「全部アルコール依存症だぞ?分かってんの?」

 

「…こればっかりはもう拘束しなきゃ無理ね」

 

「2‥23…23回もアルコール依存症で…」

 

「アレは流石に私でも無理なのよ」

 

今の永遠亭

 

「…師匠」

 

「何かしら」

 

「最近機嫌がいいですね」

 

「そうかしら?」

 

「はい。4日前くらいはすんごい落ち込んでました」

 

「そうかしら…」

 

「鈴仙、貴女忘れたの?私と一緒にいる時は無条件で機嫌が良くな」

 

「姫様、行儀が悪いです」

 

「…良く…なる…」

 

「姫様…」

 

「いいや、最近のセンセイは機嫌がいいウサ」

 

「どうしたのよてゐ、急にセンセイなんて呼んで」

 

「あれ?センセイって言われるのが嬉しいとばっかり思ってたウサ」

 

「そんなわけないでしょ」

 

「それじゃああの患者が良いウサ?」

 

…てゐ、もうやめなさい。多分、そのうち感のいい兎鍋になるわよ。でも、それはおかしいのよね。だって、患者の退院が一昨日だったから、今機嫌が良いのは少し違う気がするし。そりゃ確かに落ち込んだように機嫌が悪くなった日は疑ったわよ。患者に惚れてるのかなって。

 

「そんなわけないわ。それに、そうだとしても彼、一昨日退院してるじゃない。こじつけにも等しいわ」

 

「鈴仙、ちょっとあの患者の声で言ってみて」

 

「ひ、姫様?」

 

「声色とかあるでしょ?」ヒソヒソ

 

「わかりましたけど…んんっ…『先生』」

 

「っ!?」ビクッグルッ

 

「驚いたと同時に振り向くなんて妙技ね」

 

「気のせいかしら…今の鈴仙?」

 

「あ、ええ、そうですけど師匠」

 

「そう…」

 

「ありゃあ少し怪しいウサ…」

 

「あんたは兎鍋にならないように気をつけるべきね」

 

「えっ?」

 

とは言ったものの、声色ですらすごく反応したのは事実。もしかして本当に…いや、でも師匠だぞ?そんな…いや…うーん…でもあの人みたいなタイプは嫌いだろうし…直接聞きたいけど聞く勇気がないな〜!!もう誰か代理で聞いてくれないかな!

 

翌日

 

「師匠…?」

 

「…あら、どうしたの?」

 

「3日前の患者さんについてなんですけど」

 

「ん?ああ、あの人ね。どうしたの?」

 

「昨日、薬を売りに行った時にあの人の家に行ったんですよ」

 

「それまたどうしてかしら?」

 

「そりゃ、お酒を飲んでるか飲んでないかを確認するためですよ」

 

「そう。それでどうだった?」

 

「あ…そもそも帰ってなかったんですよ」

 

「でしょうね。禁断症状がまだ出てるんですもの」

 

「え?」

 

「ちょっと早めに出してあげたのよ。お酒が欲しそうだったから」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「でも…」グチュッ

 

「でも?」

 

「あの人は禁断症状でそこら辺を転がり回って私の足にしがみついて言ったのよ。お酒をくれって」

 

「はぁ…」

 

「笑っちゃったわ。お酒をくれって暴れるのを自分で抑えながら言う患者なんてそんなに居ないもの」

 

「それで、その患者は…」

 

「打ち込んであげたわ」グチュッグチュッ

 

「もしかして…アルコールですか?」

 

「そうね。まあ、ショック死しちゃったけど」グヂョッ

 

「あの…」

 

「ん?」

 

「今師匠が触ってるそれ、なんですか?死体ですか?」

 

「…これ?」

 

私と話してる間師匠が触ってるもの。師匠は元々話を聞きながら治療をしたり本を読んだりしてるけど、その環境音は結構小さいものだったし、気にならない程度の音だったのに。今やってることはすごいグチョグチョ言って気味が悪い。

 

「これね…彼よ」

 

「っぇ」

 

「私は忠告したのよ。今あるアルコールを入れたら死ぬわよって」

 

「ぇ…」

 

「でもね、それを聞いても『早くくれ』って騒がしかったのよ。ほんと、私には理解できないわ」

 

「ちょ、師匠…」

 

「でもね。私は今理解出来ちゃったのよ。彼は死んでも欲しかったのがお酒だったってだけのことだったのよ」

 

「そー、なん…ですか」

 

「私ね。彼が欲しかったの」

 

「え?」

 

「彼が死んでも欲しかったのよ。笑えるわ。こんな患者を欲しがるなんて。どうかしてるもの。気づいたのがもう少し早ければ彼に居場所を作ってあげれたのかもしれない。なのに、彼を出るよう急かして、外の現実に向かわせて」

 

「師匠、待ってください。なんでそんな」

 

「自ら死なすようなことして。私は気付いたのよ。彼がどうしようもなく好きだって。彼を手に入れるならなんだって構わないのよ。どうしても目を離せなかったのに気が付かなくて、ずっと」

 

「なんで泣いてるんですか師匠」

 

「だから作ることにしたの」

 

「師匠、落ち着いてください。人間を作るって言ったって生殖機能は」

 

「鈴仙、私は彼が欲しいの。彼との子供なんか微塵の価値もないのよ」

 

「し、師匠?」

 

「ようやくいい感じになったのよ。彼を作るために必要なものが全部揃ったから、作り始めたの。流石は私の頭脳ね。1日で出来たわ」

 

そう言って師匠が抱えながら連れてきたのは…患者にそっくりなだけの人。どう言うこと?これはてゐや姫様は知ってる?それに、出来たのならなんで患者の死体を?わからない。なんで、一体どうして?

 

「鈴仙…私はね。これじゃ足りないのよ」

 

「どう言う意味ですか?」

 

「生きてないの。いいえ、仮に生きてても彼ではないでしょうね」

 

「そんな、そんなことって」

 

「完璧な彼を作るのよ。悪いけど永遠亭は今日から少しの間休みね。薬売りは続けて構わないわ」

 

「師匠、それじゃ私たちは」

 

「関係ないわ。私にはもう彼以外いらないもの」

 

 

 




永林…失敗は成功の元!元の体から彼を作って彼自身を手に入れるのよ!
患者…アルコール依存症
鈴仙…後に独学で病院を開く
的な。
長くなっちゃったね。でもね。こう言う、依存体質の人に依存しちゃう話好きよ。
ただ僕は依存体質の人を自分に依存させようとしてるのも好きなのよ。
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