いやー、うん。
なんて言いますかね。
一年くらい前の自分が怖い
地底
「やっほ」
「あら、久しぶりね」
「久しぶりって言ったってそんな…だってねぇ」
「3年も間が空けば久しぶりよ」
「…そう?」
「ええ。時間感覚が悠長で妬ましいわ」
「他人の粗探し得意そうで何より」
さて、この嫉妬の女神様ことパルスィさんだが。勇儀さんと出会うたびにたまには会えよと言われる。言われる原因は分からないが、とにかく会っている。さっき言われたように3年空くこともある。一番長くて8年だったかな
「まったく、本当に妬ましいわ」
「そんな妬ましいことではないだろうに。飯食う?」
「そうね…お団子もらおうかしら」
「団子ね。団子…ほれ」ポンッ
「お団子…これおはぎじゃない?」
「同じだ」モグ
「おはぎとお団子を一緒にするだなんて、妬ましい。そんな感じに生きたいものね」
「お前生きてるのか?」
「馬鹿にしてるの?妬ましい」
「これ俺貶されてるのかな…貶されてるんだったら悲し」
「悲しいの?感情が豊かで妬ま」
「お前そこまで妬ましく思ったらかなり終わってるからな。頭撫でてやろうか?」
「ストレスで妬んでるって思ってるの?そんな考えができる頭が妬ましいわ」
「…やっぱダメだ、帰る」
「は?」
やっぱり俺は無理だ!こんな、こんな妬みの女王と会話するなんて、鬱陶しい上に妬ましいとか言われるのクッソ嫌な俺には無理だ!!畜生、何が会えよだ勇儀さん!無理だ、俺は帰る!とか思いつつ全力で走り、家に着いた。疲れた…
「ただいま…」
「あら、遅かったわね。妬ましい」
「なんでお前いるんだよ???」
「先に帰ったからね。そんなことも考えられないのかしら。ね」
「そうじゃなくて、なんでお前俺の家知ってんのかって」
「嫉妬の力よ。全く妬ましい」
「ついに何に嫉妬してんのか分からなくなってきたぞ。さては勇儀さんに聞いたか?」
「私があんな奴の力を借りるわけないでしょ」
「それもそうか」
「…ところで、ご飯食べないの?」
「いや、食うわけ」
「食べないの。そう。じゃあ」ガシッ
「ほへー、汁作ってたのか。尾行してきたわけじゃ」ビジァッ
「どうせ、私みたいな奴が作ったご飯なんて食べないんでしょうね。単純で妬ましい」
「変な誤解をするな…不法侵入者の作る飯なんか食うわけねえだろ」
「…あら、私の家はここよ?」
「は?」
「私をその気にさせたのは貴方だもの。妬ましいわ」
何言ってんだこの女。うん、何言ってんだこの女。さて、落ち着け。地底にもマナー、モラルはある。常識もある。俺はそのマナーとモラルと常識は心得てるはずだ。つまり、この状況は非常識で、マナーもクソもなくて、モラルなんてカケラも無さそうな、そんな感じの、アレなんだな。うん。
「あ、あのな。パルスィ。俺には訳が」
「それに、地底でも貴重な印鑑を机の上に置いておくなんて、用心のない。そんな用心のなさで生きてこれて、妬ましいわ」グッ
「ちょ、それ俺の印鑑」
「そう、貴方の印鑑。でももう要らないわ」
「何言ってんだお前…パルスィ、それはな、一応契約結ぶ時とかに使うんで、結構大事なんだよ。だから」
「大事なのよね。だから先に変えておいたのよ。特注品…私に作らせるなんて、妬ましいわね」
「…はぁ?特注品?お前、そんな貢ぐタイプの女だったか?」
「何言ってるの。水橋の印鑑を見つけて、貴方のために作って貰ったのよ。そんなこともわからないなんて、妬ましい」
「いや、だから本当に何言ってんだよ…」
「貴方の姓は今日から水橋。全く。妬ましいわね」
「ってことはそれって」
「良い?私たちは今日から夫婦。妬ましいわ」
「いや、でも俺さ。気になってる女は一応」
「…私と結婚できるのに、もう浮気するの?妬ましいわね」ゲシッ
「いだっ!」
「力でさえ、私より下なのに。何?何が不満なの?言ってみなさいよ」ガシッ
待てよ、なんで俺こうなってんだよ。くそが、どうなってんだよ。俺も妖怪だけど、痛覚はあるし、痛みは感じるし、体は脆いんだ。だから地底でずーっとレジ打ちやってんのに。ずっと逃げてきたんだぞ。今回も逃げなきゃどうなるか
「逃げないで。こんな状況でも逃げようだなんて、妬ましいわ」ゴギッ
「いづっ!」
「でしょうね。地底で一番脆いって言っても過言ではないくらい弱いもの」
「骨、骨が…っ」
「骨なんかよりも私の質問に答えなさい。まったく、私以外に意識を向けるだなんて妬ましい」
「妬ましいの限度超えてるだろうが、そう言うところだよ、何でもかんでも妬んでくるのが」
「それを直すのは無理ね。そうなるとその女をどうにかしなきゃダメねぇ…」
「は、待て、それは、ちょっと」
「嫌よねぇ。巻き込みで迷惑をかけるのは嫌よねぇ。それじゃあどうするべきかしら?」
「…わかった、俺はお前と夫婦だ。苗字も水橋だ、これで」
「私に妥協案を出させるなんて妬ましい。まぁ、私にとっては妥協案じゃないから良いのだけれど」
なんだよ、なんだよこいつ。クソが、力さえあれば良いって訳じゃないんだぞ。おい。妖怪だからって、そんな便利なものじゃないんだよ。次会った時勇儀さんに何か言ってやる。突っかかってやる。会わなきゃ良かったこんな奴。
「あ、そうね。これを忘れてたわね」ガチャンッ
「え?」
「足を拘束させなきゃ、逃げちゃうものね」
「お前、嘘だろ、仕事は」
「今日から無しね。それじゃあ、勇儀のところに挨拶行きましょうか」
水橋パルスィ…ツンデレのツンがでかいタイプ。
水橋さん…妬ましい。
勇儀さん…恋のキューピット(無自覚)
的な。
うん。すごい変な方向に行った気がする。でも僕こう言うの好き!!