東方純愛小話   作:覚め

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風見幽香さんで行く、愛の道


第151話

ヒマワリ畑

 

「…ねぇ」

 

「何かしら?」

 

「俺、いつ帰れるの?」

 

「帰る?フフッ面白い冗談ね。良い?貴方は今危険なのよ。貴方自身それはわかってるでしょう?」

 

「まあ、皆急に俺を監禁しようとして来るしな」

 

「そんな状態で帰ってみなさい。恐らく悲鳴をあげる暇なく群がる奴らに四肢をもがれて終わりよ」

 

「…怖いな」

 

そもそも、風見幽香さんとこに世話になるのも元を辿れば皆が急に近寄ってきて、大好きだとか、愛してるとか、嘘くさいこと言ってきて、それを受け流してたら髪の毛掴まれて痛い目見たし。その点風見幽香さんは安心だ。実力があるし、興味は花にある。万が一にも俺が幽香さんに襲われることはないだろう。

 

「…なーんで、こうなったんだろう」

 

「そりゃ、魅力的すぎるからよ。醜かったら貴方を手に入れたいなんて思わないわよ」

 

「ああ、それ皆言ってた。魅力的すぎるからって。魅力じゃなかったらって聞いたらさ、『それは貴方ではないから、論点をずらすのはやめて』って言われたよ」

 

「まあ、当然ね。今の貴方が好きなんだもの」

 

…今の俺が好きって、結構感覚やべーと思うぞ。幽香さんとは花のことで意見が合致したけど、それだけで、他の繋がりはなかった。だから今こうして助けてくれてるだけありがたいと言うもの。博麗の巫女も、紅魔館も、亡霊も、賢者も、皆変わってしまったから、変わらない人と触れ合えるのは嬉しい。

 

「…はい、これ」

 

「ん、なんですかこれ」

 

「アネモネよ。似合うと思ったのだけれど、どう?」

 

「似合うって…俺あいつらに髪の毛引っ張られすぎて何処に入れれば…」

 

「大丈夫よ。首元にこう…」

 

「おお、こう来るか」

 

「胸ポケットがあればそこに入れたんだけど、ないのよね。離れたら直ぐに奴らが来るし…」

 

「…まあ、これでも良いかな。しっかし、紫色のアネモネってこんな感じなんですか。」

 

「ええ。綺麗でしょう?花言葉も、今回の騒動が終わったら調べてみなさい。」

 

「花言葉ですかぁ。調べてみましょうかね」

 

「…さて、あとはこれも渡しておこうかしら」

 

「ん?これは…」

 

「ぺんぺん草よ。それにも花言葉があるし、それを使った諺もあるから調べてみなさい」

 

「草なのに花言葉…変な草だな」

 

「それで、貴方はいつまで狙われるのかしらね?」

 

「…さあ?」

 

はっきり申し上げると、原因について心当たりがない。だから俺自身いつ終わるのかがわからない。恋情、と言うものを簡単に手放すのかがわからないから、それに応じて他もわからない。全く、何故こうなったのか。ただ、妖怪どもは強欲らしいので、絶対に諦めないだろう。

 

「相手が妖怪って言うことじゃそう簡単に諦めてくれないわね」

 

「まー、そうっすね」

 

「それにしても。警戒が全く無いのも不思議ね。私が化け狸だったらどうするのかしら?」

 

「ははは、その時はもう諦めますよ。やっぱダメだったんだなって」スッ

 

「そうね。それも…良いわね」

 

スキマ

 

「…やっぱりダメだったか」

 

「失礼ね。言っておくけど、風見幽香はわたしたちと同じよ。」

 

「それが本当だとしたら、そしたら」

 

「そしたら?」

 

「そうしたら、少なくともお前らよりは安心できるな。優しいし」

 

「これは…もうダメね。ほら、これ」

 

「これか?幽香さんから貰った、花だな」

 

「…随分とよく思われてるわね。まあ、返してあげるわ。その時、風見幽香を見てどう思うかは貴方次第だけどね」

 

「お、ありがと」

 

ヒマワリ畑

 

「うっ」ドンッ

 

「何処に行っていたの?って聞く気はないわよ。どーせ、あのスキマ妖怪なんでしょう?」

 

「正解です。今は返してあげるって言ってました」

 

そう言うと、幽香さんは次はないかしらとか言って、料理を作るために台所へと行った。俺は、今は誰も好きではない。初恋の人もいたが、そいつはもう結婚している。そいつを捨てたらもう好きな人は元も含めていない。俺を狙う輩は皆顔が整っている。ただ、強硬手段に出ただけでマイナスだ。

 

「…さあ、ご飯よ。食べなさい」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「それにしても、貴方は良くあの中に入って気が狂わないわね。あんな奴と一緒で」

 

「当然、狂いますよ。怖かったですよ。あそこでどうこうされたら、もう強制ですし」

 

「それと、最近は花のことにはあまり興味がなくなったのかしら?」

 

「え?」

 

「最近、貴方から花に関する話を聞いたことがないもの。今の状況になる前から兆候はあったの?」

 

「…宴会で俺が無言で帰ろうとすると、必ず一人が止めて、誘う時は断らせないようにしてることくらいしか」

 

「完全にそれね」

 

「それが気になって、最近花は手入れしかしてませんね」

 

「それで良いのよ。貴方が植物から遠ざかってしまったら、そんなこと許せないもの」

 

「一人でも多く仲間が欲しいんですか?」

 

「フフ…まあ、そう言ったところね。貴方は、どうなの?」

 

さて、どう考えるのがベストか。八雲紫が言っていた通りの、あちら側の妖怪なのか、俺を守ってくれる妖怪なのか。そして、このどうなのとは一体、私のことはどう見てるの?と言う意味か。それともただ植物について聞いているのか。

 

「答えられんな。少し、眠い」

 

「…そう。まあ良いわ。また明日ね」

 

「…いや、良いや。俺はまだ起きてる」

 

「そう。じゃあ質問は良いかしら?」

 

「どうぞ」

 

「貴方は、この生活で安心できてるかしら?」

 

「安心?そうだな、出来てる…と言えば出来てる。幽香さんはあちら側とは違うしな」

 

「そう。ありがとう。嬉しいわ。」

 

「まあ、隙間妖怪が言うにはあちら側らしいけど」

 

「…あいつらと同類じゃないわよ。私はちゃんと貴方に安心できる居場所を作ってあげてるんだもの」

 

「そうですね。まあ、安心はできます」

 

「だから、そうね。愛してる、と言えば良いのかしら?」

 

「え?」

 

ここで、俺の考えていた、知ってる風見幽香が消え去った。

 

「貴方が、大好き。これは少し違う気がするのよ。貴方のことを愛してる。これがしっくり来るの。守りたい。弱者である貴方を、あいつらから守って見せて、安心させたい。庇護欲、かしら?」

 

「庇護欲…って、幽香さん?」

 

「貴方を愛してる。庇護したい。それとは別に、一緒にいたい。一緒にいて、ずっと守ってあげたい。そう思うのよ」

 

「ちょっと、その刃物はなんですか?」

 

「こうするのよ。」ザクッ

 

「えっ…幽香さん、自分の腕に刺すのは」

 

「どうせ、私は貴方に告白しても振られる」

 

「ちょっとー?聞いてます〜?」

 

「じゃあ無理矢理にでも血を結べば良い」

 

「幽香さん、互いの血を互いに入れたからって、家族になるわけじゃないですよ」

 

「わかってるわよ。でも、それは人と人の場合。妖怪の血を入れたら、貴方も妖怪に近くなる」

 

「妖怪になる?」

 

「そうすれば、私が、今までよりも長く守ってあげれる。素晴らしいじゃない?」

 

 

 




風見幽香…花にお守り着けて守るタイプの妖怪。あちら側。
主人公…風見幽香さんなら、良いかなとか思ってる。甘ったれんな。
アネモネ…紫色で貴方を信じて待つ。
ぺんぺん草…貴方に全てを捧げます。
的な。
ちなみに花言葉に関連するお話はこれで3回目です。
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