そうですね。十六夜咲夜さんでいきましょう。
紅魔館
「お前の船をろんろろーん」
「何よその歌?」
「うおびっくりした!」
おまっいつからいた!?…いつから居た!?クソッ鼻歌聞かれてた。少し恥ずかしい…最近、気が付いたらメイド長が近くにいる。俺は執事なのでメイド長と呼ぶべきかは迷うが、まあそういうもんだろう。毎日びっくりしては振り返る。何やってんだか…
「あのね…メイド長はいつも何やってるんですか?俺の背後取ること以外やってないんですか?」
「正解ね。でも仕事はちゃんとしてるわよ。お嬢様達には作り置きでご飯用意してるし。」
「作り置きじゃあまずいんじゃないかなぁ。」
「冷めても美味しいもの作ってるけど…?」
「そういう意味じゃないんだなぁ。」
「じゃあどういう意味よ。」
「賢明なメイド長のことですので、恐らくは自分で意味を見つけられるかと。」
「馬鹿にしているの?早く教えなさい。」
「私は過程を大事にしておりまして」
「良い?過程じゃない。結果よ。結果を教えろって言ってんのよ。」
「待ってくださいよメイド長。」
そう言ってなんとか離してもらった。なんだか俺にナイフ突き立てた時すごい嬉しそうな顔っていうか顔に『良いことした』って書いてあるレベルで出てた。まあ、外の世界出身のメイド長からしたらこれが普通…なのか?この館自体が外のものだって言ってたし…ね。
「それじゃ、これから美鈴起こしてくるから。」
「い、行ってらっしゃいませ…」
「…あんた大変ね。」
「二度目はってうわお嬢様!?」
「何よ?『うわっ』だなんて失礼じゃない?」
「失礼しました…なに分、ここ最近は十六夜咲夜に驚かされてばかりでしたから…」
「まあ、でしょうね。私もかなりやらかしたって思ってるもの。」
「は?」
「そうね。人里に戻ることをお勧めするわよ。それかどこか別の遠い場所で働かせてもらうことね。」
「ことねって…一体どこで?」
「永遠亭とか」
「もしかして馬鹿にしてます?お前なんか永遠亭で実験台にされて仕舞えば良いと」
「そんなこと言ってないわよ。ただ、貴方。近いうちに必ずここから距離を取りなさい。とにかく咲夜からは。本当よ?」
「はいはい。」
「お嬢様、どうかしました?」
「うひゃっ!?…確かにこれは驚く…」
「でしょう!?でしょう!?」
「…はぁ…?」
さて、お嬢様に転職を勧められてしまったわけだが。全くそうしたら俺はどこで暮らせば良いというのだ。博麗神社か?あそこは最低限の衣食住に加えて宴会があるから却下。そうなると…永遠亭?いやきつい。あそこで働いてる鈴仙って人を一度見かけたけど、あれは酷かった。もう見たくないね。
「どうすっかなー。まあ荷物の整理は人間としてやっとかなきゃいけないもんだしな。しゃーない。そういう気分で」
「あら、引っ越しでもするの?」
「…ここ、俺の部屋ですよ?」
「そうね。マスターキーあるから入ってきたわ。それで、引っ越すの?」
「あー?んー、それが、お嬢様に『お前の天職はここではない』とかビシィッと言われちゃって。」
「そうなの?でも安心なさい。貴方の天職は間違いなくここよ。悩みを聞いてくれるタメ口で良い上司がいるから良いでしょう?」
「そういうもんかね…」
「そうよ。少なくとも嘘を吐くよりはマシでしょう?」
「まあ、そうだな。嘘を吐くよりも事実を言った方が気が楽だしな。」
「ええ。そうなの。だから教えてくれるかしら?」
「何をだ?」
「今日、お嬢様と会って話してた内容。知ってるのよ。でも貴方から言うチャンスをあげてるだけ。さあ、早く。」
「…こりゃだめだ、お手上げー。」
そうして、俺の嘘は見破られた。俺を問い詰めてる時の十六夜咲夜さんはすごいこちらを睨みつけて、俺の肩に手を置いてすごい圧力を物理的にかけてきた。非力とは思えん力で押されて肩外れるところだったんだ、まあマシだろ。肩まだ痛いけど外れるよりはマシだな。
「ありがと、話してくれて。」
「ま、まあ、どうも。」
「待ちなさい。」
「誰だ!?」
「咲夜。私がそれくらい見抜けないとでも思ってたのかしら?」
「?何をおっしゃいますか。私が何を?」
「俺を置いていくな、ん?あ、ん!?」ジャラッ
「紅魔館の中に恋愛禁止と禁止行為を付け加えておくべきだったかしら?」
「これを私がやった、そう言いたいのですか?」
「証拠はパチェが持っている。」
「…っええい、逃げろっ」ピョンッ
「なっ!」
「よし!」
「ここ4階だった!!死んだ!!」
「オーライ、オーライ。よっと。」ガシッ
「うおっ…美鈴さん。お久しぶりです。」
「まあ、早く逃げた方がいいですよ。なんせ咲夜さんはいくらお嬢様でも出来て足止めくらいですから。」
「うっそ!!」
人里
「間に合ったぁ…!」ゼェハァ
「おう、久しぶりだな。」
「衣食住が揃った仕事場ってあります?」
「仕事熱心なのは良いことだ。永遠亭行き。」
「ん!?」
永遠亭
らっしゃっせー。あれから数ヶ月が経った。俺自身が希望を言って、人里に出るのはやめさせてもらうことにした。鈴仙さんは思ったより酷くなかった。紅魔館の奴らに会いたくない。それが一番の思い出はあるが、それ以上にもうやだこれ以上なんかに関わりたくない。
「…ねぇ、何か臭わない?」
「ん?…この匂い…血じゃ?」
「そうですかね…ちょっと見てきます。」
「あっちょっと?」
「こんくらいならバレないバレない…」ガチャッ
「…」
「お、咲夜、さん…」
「フフッ…私がここまでくるのにどれほど苦戦したことか。お嬢様が一番厄介でしたが、もう大丈夫です。私と貴方の仲を壊す人は誰一人として存在しません。さあ、喜んで。」
「喜べ…ませんなおい。やめろ、おい、待て、待てって。」シュンッ
「全く、そんなにせっかちで…あら、どこか行ったのかしら?」
語彙力の引き出しが2800個くらい欲しい。