東方純愛小話   作:覚め

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摩多羅隠岐奈さん。
この人ってずっと椅子に座ってる記憶しかないんだけど、足が動かないのかな?(動く)


第162話

後戸の国

 

「気は変わったか?」

 

「馬鹿にしてるのか?それとも本気でなって欲しいのか?」

 

「それは…」

 

全くこの賢者は。俺が何をしたっていうんだ。第一に、俺は何もしていない。むしろお前みたいなタイプは俺を嫌うとずっと思っていたのに。まぁむしろやばい奴らから逃げることは出来たとも言える。そこは感謝しているんだがなぁ。

 

「それは、あれだ。本気で私の部下になって欲しいんだ」

 

「嘘っぱちが」

 

「嘘ではない。お前は私に対して馬鹿だ、とか言うがな。これでも賢者だぞ?」

 

「知ってる。最も、俺は八雲紫のせ」

 

「なんで八雲紫が出るんだ?おかしくはないか?私とお前が一対一で話しているんだぞ。お前と入れ替わりになる二童子のことを言うならまだ分かるが、何故八雲紫が出る」

 

「…あいつが初めて会った賢者だからな。アレが基準だ」

 

「なんだ。そんなことか。驚いたぞ、いきなりあいつの名前が出るからな、まさか取られたかと思ったんだ」

 

「お前の物でもないのに取られるって、そりゃどう言う事だよ」

 

「あ、いや、そう…なんだがなぁ…」

 

「何ガッカリしてんだ。人を牢屋に閉じ込めてさ」

 

牢屋の中って結構きついんだぞ。トイレを見られるのはきつい。風呂もだが。何故かこいつは急用が入らない限りは牢屋の近くでジッと見てくるのだ。俺が風呂に入りたいと言ったら入れさせてもらえるんだが、何故かついてくる。見てくる。なんだ、こいつ。

 

「隠岐奈。そう見られてるとトイレも何もしづらいのだが」

 

「だから?」

 

「…」

 

「私がその気になれば気に入った奴を無理やり部下にする事だって出来るんだ。あまり我儘を言わないでおいた方がいいと思うけど」

 

「あーわかりましたよ!全く。はー、退くも進むも地獄だな」

 

「ちょっと待て、それどう言う意味だ?」

 

 翌日

 

「摩多羅」

 

「ん、なんだ?」

 

「昨日言ってた二童子だが、あいつらは基本的に何をやってるんだ?」

 

「…待て、なんで私を苗字で呼んだ?」

 

「気分だ」

 

「…気分か。こっちに来てくれたらその質問に答えるよ」

 

「俺から歩み寄れる限界にいるんだがにぁ?」

 

「君の気分で振り回されるのも良いと思ってね。無理矢理部下にしたくないからさ、どう?部下に」

 

「ぃぁぇい」

 

「?…顎を掴んでいたら喋れないか?」

 

「当たり前だろお前」

 

なんだ、俺はなんでこいつと駄弁ってるんだ。クソッ、なんかおかしくなってきたぞ。なんか頭がおかしくなってきた。摩多羅隠岐奈め、もうやる気一杯じゃないか。誰かを呼んでみたいが、生憎ここは摩多羅隠岐奈の支配下であるらしい。声なんぞ届くわけもない。無論、声なんか出したら何かされるんだろう。

 

「全く、嫌なもんだねぇ」

 

「なんで貴方は私の部下にならないのか気になるわ」

 

「牢屋に入れるような奴だからだよ。多分部下になるって言ったらずっと側に居るのが仕事になるだろ」

 

「ん、そうだぞ?」

 

「…」

 

 さらに翌日

 

「隠岐奈、一つ聞くぞ」

 

「何?」

 

「その、変な道具はなんだ?」

 

「これ?んーと…まあ、使われたら分かるわよ」

 

「百聞は一見にしかずってか。ざけんなお前」

 

「…そう」

 

「ところで、俺はいつになったら出れるんだ?」

 

「出さないわよ。前から言ってるじゃない」

 

「いや、でもよ。幻想郷にいるやべー奴が死んだ後とか」

 

「死んでも出さないわよ。この道具は焼きごてって言って、まあ簡単に言うと焼印を入れる物なの」

 

「…は?」

 

「貴方が私の部下になった時用に作ってたんだけど、部下にならないから、仕方ないよね」

 

「待て、おい、開けんな。ちょ、入ってくんなお前!」

 

「なんで?入らないと焼印を付けれないじゃない」

 

焼印なんてモンつけたらどこも歩けねえよ!とにかく、アレが冷えるまで逃げ回るしかないか?あ、いや無理だな。あいつ牢屋の鍵閉めやがったし。ここはもうタックルに賭けるか?そのまま焼きごてを奪い取って武器として構えるか!そうだそれで行こう!やはり俺は頭が冴えているぜ!

 

「隠岐奈、待とうか。な、俺もそれやられたら散歩とか、デートとか出来ないからさ!」

 

「デート?部下と上司なのに?おかしいことを。でも、貴方がそう言うならそんな関係も悪くないわね」

 

「だ、だろ?だから、な。せめて焼印は」

 

「でも、どう言う関係なら尚更だよね。ほら、グッと行くからさ。大人しくして」

 

「この分からずやめっ!」ドンッ

 

「っ…貴方自身から私の所へ来てくれるなんて、良いことよ。そんなに想われて嬉しかったのかしら?」クスクス

 

「な、隠岐奈。じゃあさ、俺がお前に焼印を」

 

「私が信用ならないのかしら?でも、そうね。そうじゃないと心配になるのは分かるわ。分かった。私もやる」

 

「んな」

 

「じゃあ、やろうね」ジュッ

 

こうして、俺の背中には摩多羅隠岐奈の名前が刻まれましたとさ。めでたくない、めでたくない。隠岐奈に焼印を入れる際に、隠岐奈が遊園地を前にした子供のように、いかにも「早くやって」と言う感じに背中を向けてきて、少し目眩がしたのは秘密だな。うん。秘密だ。俺自身も夢だったと思いたいのだがなぁ。

 

 その翌日 人里

 

「痛っ…」

 

「まだ痛むのか?やっぱり弱いな♪」

 

「隠岐奈、牢屋から出してくれたのは有り難いが、なんでここに来たんだ?」

 

「なんでか?当たり前だろう。私の物になったお前が誰かに取られる心配がなくなったからだ。もし奪い合いになっても私なら絶対に勝てるからな」

 

「左様にございますか」

 

「それと、良い感じに目立てるからね」

 

「そっちが本音だな」

 

 

 

 




摩多羅隠岐奈…支配したいほど大好き!!取られるの大嫌い!!
主人公…賢者って変なやつばっかだな
的な。
感じだと思うんですよね。うん。多分。多分ね。
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