東方純愛小話   作:覚め

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私とて命は惜しい物です。特に死に際
射命丸文です。


第163話

人里

 

「人間なんて物を新聞に写すだなんて、あんたも暇だね」

 

「あややや、そんなことは。暇な時間はネタを探してますから!」

 

「先日の別の新聞には、『射命丸文、仕事を忘れて人里散歩!』とか書かれてたけど?」

 

「んー…バレちゃいます?」

 

バレちゃいます?と言うことから、あの新聞は信憑性が高い、と言うことでいいのだろうか。対してこの新聞は、いつも小さいコーナーに今日の誰々、と言うものを載せている。人里の人口など多くない。だから、たまに妖怪の分もやっている。今日は風見幽香か…

 

「あのバーサーカーを良く撮れた物だね」

 

「いえ、それほどでもないですよ」

 

「その上、よく観察して粗まで探している」

 

「うぐっ」

 

「本人が知ったらどうなるのかね?射命丸文さん」

 

「ほ、本人を侮辱する気持ちはないので、許してもらえる、かなー…?」

 

「クズだな、もう」

 

「んな!?く、クズだなんて!失礼じゃありませんか!?少なくとも部下たちには尊敬されていて」

 

「先ほどの新聞には、ただの不良天狗だって部下に言われてるけど?」

 

「その新聞はストーカー新聞でもう良いんじゃないですか?」

 

奇遇だね。俺もそう思ってた。さて、こいつのことだからいつしか好きな奴が出来た時には新聞でそれを報告しそうだ。噂が事実になるかもしれん幻想郷では嘘も実現する。とは言ってほしくない物だな。頼む、神様。せめて健全な付き合いをさせてやってくれ。

 

「…しっかし、まだ朝だって言うのに。もう配達は終わりか?」

 

「終わりですよ。最後が貴方ですから」

 

「長話は嫌いだろ、帰れ」

 

「貴方の長話であれば夜まで聴けますよ」

 

「飯食って風呂入って寝ろ。それをやるにはまず帰れ」

 

「完全に拒否されてますね…私何かしました?」

 

「うん」

 

「うん!?あやや!?こ、これでも健全な関わり合いをして、あ、あれ…?」

 

「つーわけで帰れ」

 

「…な、なんでですか…ね?」

 

「答えはただ一つ。俺はぐーたらするからだ」

 

「そ、それなら私と話していた方がいいじゃないですか!そんな惰眠するよりも、ねぇ!」

 

「人の悪評広めるような奴と話してたらどんな噂流されるか分かったもんじゃない」

 

「そんな!?わ、わかりましたよ!家の前でずっとしゃがみ込んで泣き続けてやりますから!何を言われても退きませんからー!!」

 

「…迷惑烏が…」

 

と、試しに玄関まで行ってみたらグスグスと鼻を啜る音が聞こえる。微かではあるが、もしやこいつ、家の前で寝てるんじゃないだろうな?…迷惑な奴だ。裏から出て天狗共に押し付けるべき…か。天狗もこいつとは関わらないフリをしたいだろうし、無理だな。俺もこいつと関わりたくない。鳥の巣無いんだぞここ。

 

「…射命丸、玄関前っ…」

 

「開けてくれましたね。中に入っても良いってことですよね。それじゃあ失礼します」

 

「なっ…?」

 

「いやー、いつも玄関までしか入れませんが、やっぱり人の家は落ち着きませんね。」

 

「はークソカラスが」

 

「クソ?なんでクソなんですか?教えてください。」

 

「そのままだよクソが。それにしてもどんな手品使いやがった。風を切る音もせずに一瞬で立ち上がるなんて」

 

「あやや?そうでしたっけー?」

 

「こいつ…」

 

「あ、神経を逆撫でしてしまったらすみません。それはそうと、私たち、付き合いません?」

 

「付き合うわけが」

 

「なんでですか?」

 

「おわびっくりした…種族、性格共に不一致。理由なんてこれくらいで良いだろ」

 

「おや、ご存じないのですか?愛に種族は関係ないのですよ」

 

「性格の不一致」

 

「私ならどんな貴方にも対応して見せますよ。女子力だってありますし」

 

どんなスライムだ、この野郎。だめだ、やはり信用ならん。しかしそんな思いを知らずに今後の構想を話してくる射命丸文には心底うんざりする。付き合い始めて2年後に結婚するので、覚悟しておいてくださいねっ☆とか言われても知らねーとしか言えない。とりあえず今日は帰らせた。返事は明日な、帰れ帰れと言って帰した。まずいことになってないだろうな?

 

翌日

 

「ふわぁー…起きてからの行動はあくびに限る…」

 

「ですね!」

 

「うわ!?」

 

「うわってなんですか!もう恋人になるので慣れてくださいね」

 

「…返事してねえぞ」

 

「え?恥ずかしがって明日に引き伸ばしたんじゃないんですか?もう刷って配りまくりましたけど」

 

「はぁ!?お前、何して」

 

「とりあえず、もう取り返しつきませんから!」

 

「俺の返事は付き合わないだこのバカ!」

 

「…え?」

 

「何を勝手に解釈してんだ!…ぁ?」

 

「そんな、なんでですか?だって、スタイルだって良いですし、他の女よりは」

 

「お、おーい?」

 

「ま、まさか!他に女の人が、いたって言うんじゃ…」

 

「いるわけねえだろ!気持ち悪い!」

 

「そ、そうですよね!すみません」

 

「あのな、性格の不一致だって」

 

「でもそれは私が合わせるってことで決着じゃないですか」

 

…ダメだ、こりゃ。どう話しても地味に噛み合わない。永遠亭に連れて行くべきか?いや、そうしたら俺が妄言者になるのか。記憶障害になるのか。永遠亭にも届いてるらしいからな。さて、誰に訴えようか…やはり天狗だろうか。責任者に問い合わせるのが正しい、と言えば正しい…か。

 

「そ、そんな…なんでです?何が理由なんですか!?」

 

「射命丸、何をお前そんなに」

 

「この新聞の記事だけは事実にしたいんですよ!ね、ダメですか!?」

 

「ダメだって」グサッ

 

「…そう、ですか」

 

「ぉう…やったな…」

 

「こうすれば、少なくとも貴方を誰にも取られませんから」

 

「お前の…には…」

 

「そうでしょうね。分かってますよ。でも、事実上は私の物ですから」

 

 

 

 

 




射命丸文…実際の出来事ではなく、他人からの認識が事実だと思っている
主人公…本当のことを書いてる記事が欲しいので文の他に3個くらい契約してる
的な。
ちなみに他の人に取られるかもと危惧したのは新聞の契約数がきっかけです。
地雷踏め?
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