東方純愛小話   作:覚め

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藍しゃま。
狐だし、化かして騙すでしょ。多分。


第170話

人里

 

「あら、藍さん。お久しぶりで」

 

「んふふ、久しぶり?酷くないか?」

 

「…じゃ、聞いて良い?」

 

「なんだ?私の知ってる限りで答えるぞ」

 

「俺、あの家から抜け出してきたはずなんだけど。なんでお前ここにいるの?」

 

「フ、フハ…ン…そうだな。お前からしたら1番の疑問だろう。簡単に言ってしまうとだな。お前の服全てに式を付けて居場所わかるようにしてるからな。マヨヒガだろうが外の世界だろうがすぐに分かるさ」

 

「あー、そう…」

 

まあ、本人がそう言うんだったらそうなんだろうな。こいつは俺に何を求めているんだろうか。愛という感じではなく、なんだか表そうとしたら考える前よりも分からなくなる。最初は迎えにきたとか言っていたが…お迎えを受けるような人徳は持っていないはずだ。

 

「藍さん、俺は」

 

「分かっているさ。構って欲しかったのだろう?最近は少し仕事が忙しくくて話し相手にすらなれなかったもんな。ほら、帰ろう」

 

「ちげーよ。労ってやろうと思ってんだ。まさか買う前に来ちゃうかね…」

 

「何!?お前が私に!?どれだ、どれ!」

 

「出来るだけ髪の色に似てる奴を選ぼうと」

 

「これか!?」

 

「…それ、だけど」

 

「ありがとう!さ、家に帰って早速着けよう!」

 

「はいはい」

 

 八雲邸

 

「藍〜、あの飾り物どこ行った〜?」

 

「ん?いや、何。いざ着けようとすると恥ずかしくて、な」

 

お前が言うか。店先であんなに喜んで、俺が嫌だ嫌だと言っても無理やり連れてくるお前が。恥どころか配慮も知らん奴が。全く。俺もかなり感覚が麻痺してる。と言うより、俺があの場で箸とか使って攻撃してたらどうなるんだろうか…いや、考えるのはやめておこう。怖い。

 

「なあ、藍」

 

「何だ?」

 

「あの時着ていた俺の服は人里で買った服なんだが」

 

「あぁ、そうだったな。全く、探す身にもなって欲しいな。注意事項に付け加えておくよ」

 

「…そうかぁ」

 

「私が選んだ服以外は買わないように。そして万が一貰っても着ないように。せめて着る前に見せてくること。良いな?」

 

「分かった分かった。束縛のきつい女は」

 

「嫌われる、か?まさか。お前と私の間にそんな一般論が当てはまる訳ないだろう?」

 

「果たしてどーですかね」

 

「分かってるくせに」

 

「…そういや、俺の部屋についてなんだが」

 

「ん?」

 

「藍、何かした?」

 

「なんでそう思うんだ?お前に害する何かは仕掛けてないんだが」

 

「いや、橙がすごい怖がるんだよ。紫さんに至ってはあそこに入ってる俺の健康状態も聞かれてさ」

 

「何?話したのか?私以外の(おんな)と?私の魅力が足りないから目移りするのか?」

 

「目移りって…お前を呼びに来てたんだよ。ずっと前の話だけどな。連れて来られて2ヶ月くらいだな」

 

「紫様は基本絡む性格だから…まあ、辻褄は合うか」

 

「なんだよ…それで、何したの?紫さんには『正気?死ぬ気なの?』とか言われるんだけど」

 

「…あぁ。あれか。万が一、億が一にもお前の近くに私以外の女がいたらと思うとどうも不安でな。少し結界を張ったんだ」

 

「結界をねぇ。通りで、ふーん」

 

「なあ、頼むよ。私以外と話すなとは言わないから。せめて私以外の女とは話さないでくれ」

 

「それここに来た時から言ってるよな」

 

「し、仕方ないだろう!?これでも不安なんだから!だって、お前は魅力的だし、私の恋人(つがい)という肩書きがある以上、お前が私に変な恨みを持つ奴に誑かされるかもしれないんだ。どうか分かってくれないか?」

 

「むぅ、そうなのか」

 

「そう、そうなんだ。分かってくれたか?」

 

「まあなんとなく。でもなぁ、藍。そうしたら俺は運動って」

 

「運動か?それなら毎晩ヤれば良いだろう?」

 

「いや、そうじゃなくて」

 

なんだこの女。普通の夫婦関係でも躊躇うであろう言葉を容赦なく放つとは。ここに来た時、無理矢理にもヤられた。それが1番のトラウマになっている。それを本人に伝えたらどうなったか?簡単だな。俺の意見は全無視だ。もう嫌だこいつ

 

「全く、お前も我儘だな。私がこんなに尽くして、こんなにも素晴らしい環境を作ってあげたというのに。紫様か?それとも、ロリータコンプレックスの持ち主で、橙に気持ちが向いているのかな?」

 

「ろ、ろりー…?」

 

「それなら、私も考えがあるぞ。私の力をもってすれば、子供になることなど簡単だ。そうすればお前は満足なんだろう?違うか?」

 

「藍、それは違うぞ。俺は」

 

「紫様か。私も、魅力の面では紫様に負けるとも劣らずと思っているのだがな。傾国、とも呼ばれた身体なのだが。国では満足しないか?」

 

「俺は外に出たいんだ」

 

「あぁ、そうか。そうだったな。私が妖怪だからか。所詮、お前も外で人と恋がしたいのだな。種族の違いなら仕方がない。私とお前との間に生まれる子を思えば、そうかもしれないな」

 

「藍、違うんだ。頼むから聞いてくれ」

 

「いや、良いんだ。元を辿れば私が強引に連れてきただけなんだ。でも、それでもな」グリッ

 

「ぁっ…」

 

今どうなってる?右目がいきなり暗くなったんだが。グリって言わなかったか?左目で藍を見るしかないか。だが、頭を抱き締められてるから見れないな。抜け出し禁止、会話禁止、自由な服選び禁止もやっておいてあんな言葉が出るのは、やっぱり普通を知ってるからだろうな。

 

「藍、あのさ。そのことについては何も恨んでないんだ。ただ…」

 

「お前がこの家にいた証…はお前の目玉と、今日貰った飾り物で良いんだ。もう、取り返しがつかないな」

 

「ぇ?」

 

「片目がないのは不便か。じゃあ、私の目を貰ってくれるか。ごめんな、今右目を出すから」




藍さん…出来る限り居て欲しいし、せめて種族が一緒なら私を選んで欲しい。私を途中で捨てるなら、私の物だった証拠が欲しい。
主人公…右目だけ色が違うから余計に浮いちゃうので結局頼れる藍さんの所へ戻る。
的な。
魚みたいな主人公ですね。
あの、生まれた川に戻るアレです。
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