東方純愛小話   作:覚め

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イザヨイ・サクヤさんです。
寝違えした状態で不老不死になったらずっと寝違えた状態なんですかね。
ほら、老いないから。


第178話

人里

 

唐突で申し訳ない。俺は、十六夜咲夜という人間が大嫌いだ。いや、大嫌いではないな。怖い。どうして怖いのか。出会えばすぐにハグをしてくる。羨ましい?バカを言いなさい。ハグした後気がつけば紅魔館、気がつけば咲夜さんの自室、嫌だろ!!

 

「なんでここで出会うんだ…」

 

「失礼ですね」

 

「!?」

 

「そんなに驚かれますか…。私は何か、酷いことをしたのでしょうか?」

 

「紅魔館であんなことしてよく言うよ、それじゃさよな」

 

「待って。返事は、まだ?」

 

「だ、ダメだって何回も」

 

「恥ずかしがらずに。こんな路地裏に来たのだから、てっきりここなら返事するかと思ったのに…」

 

「ハッ…ていっ!」ブンッ

 

「時間を止められる私に、砂で目潰しだなんて…気を引きたいのね?全く、今以上に気を引きたいだなんて」

 

「け、慧音せんせぇ…!」

 

「慧音?あの寺子屋の教師のことですか…わかったわ。あの教師が貴方を歪めてしまったのね」

 

「ちが、う」

 

「違う?分かってるのよ。貴方は私からの告白を断らなければならない立場なのでしょう?」

 

…これ、これだ。一番怖いのは、この考え。何が怖いって、私たちは両思いだとかの思い込みよりも怖い。紅魔館で働いていた時は逃げられない様に隅に追い詰められたり、吸血鬼に運命とやらを操らせてたし。吸血鬼の人にも言ったのに、なんでだよ。

 

「ほ」

 

「保留、だなんて言わせないわよ。私がどれくらい待ってるか分かってるの?」

 

「ごめんなさい」

 

「…分かった。次会った時は本心で答えてね」

 

「怖かった…紅魔館に行って注意させないとダメだな。それまでに会わないと良いんだけど…」

 

「紅魔館で返事をしてくれるのね。嬉しいわ」

 

「ぁっ」

 

「それじゃあ今度こそ」

 

「…やばい、どうしよう…?」

 

寺子屋

 

「なんだ、そんな事できたのか」

 

「すいません、迷惑だったら」

 

「いや、良いんだ。しかしそんな十六夜咲夜は見たことがないな…」

 

「嘘だったらよかったんですけど…」

 

「そういえば最近人里を訪れる魔法使いが変なことを言ってたな?」

 

「どんなことですか?」

 

「紅魔館に行っても人がいる気がしない、とかなんとか」

 

「い、いつからですか」

 

「んー?…そうだな、確か〜…行ってない間に何があったのかは知らないらしいが、2週間前だったか?」

 

「2週間前…」

 

2週間。つまり、紅魔館を辞めてから俺が十六夜咲夜から離れることの出来た日々は2週間と2日前に消えた。毎日寄るわけではない。だとしたら…でも、人がいないって言うのは生活感がないとも言えるし…門番すらいないのかな…

 

「そこに行ってみようと思ったんですけど」

 

「だとしたら、人がいるのは望み薄か…博麗の巫女にでも頼んだらどうだ?金がないと動かないのがキズだが…」

 

「あの人ですか」

 

「まあそれが嫌なら守矢とか…あ、後はたまに来る仙人とかだな。こっちもこっちで不定期に来るからなんとも」

 

「そうですか…ありがとうございました」

 

「いや、こんなことでしか力になれないのが申し訳ない」

 

「そういえば、その噂の魔法使いさんは」

 

「んー?深い森の中だ」

 

「そうですか。明日にでも神社を訪れてみようと思います」

 

「そうした方がいいだろうな」

 

翌日 博麗神社

 

「…つまり。咲夜が変で、自分に迫ってくる…ってこと?」

 

「はい」

 

「それに紅魔館に人がいないと…こっちは魔理沙からも聞いてるわね」

 

「そうなんですか?」

 

「私もその話を聞いた後行ったわよ。異変だったら大変だし。行ってみた結果…魔理沙は図書館しか行かないからわかんなかったんでしょうけど、本当に誰もいなかったのよ。血一つない」

 

「え」

 

じゃあもしかして本当に本当の…いやいや、血一つないはおかしい。神隠しとか、そう言う類だろうなぁ。しかし困った。吸血鬼さんがいないと注意してもらえないぞ。困ったな…って、人がいないってことは門番もいないってこと?

 

「まー、神隠しなら紫に聞けばいいんだけど。2ヶ月前から冬眠中だからそもそも無理だし」

 

「そうなんですか」

 

「でも、咲夜がいるのに紅魔館に誰もいないってのはおかしいわね。咲夜だけいつも通り?」

 

「あの人は…僕が紅魔館にいた頃より少し強気と言うか」

 

「強気ねぇ」

 

「なんでか、怖くなって。話が通じないって言うか」

 

「んー…魔理沙にもう一回行かせるか」

 

「その魔理沙様だぜ!」

 

「うわっ」

 

「魔理沙、何やってんの。依頼人は咲夜のせいでそう言うのに弱いのよ」

 

「あいつは時間止めて驚かしてくるからな。それじゃあ今から行ってくるぜ!」

 

「行ってらっしゃい」

 

「どうかご無事で」

 

「それでは諸君!さらば!」

 

「元気ですね」

 

「そんなことより…なんでアンタ、魔理沙にご無事でって言ったの?」

 

「いや、なんとなくです」

 

「…そ。それじゃあ結界でも貼りましょうかね!」

 

「本当ですか!?」

 

「当たり前よ。仕事には全力であるべきだもの」

 

良かった。これなら…どうにかなるのかも。なんて思えたら良かった。そもそも、咲夜さんが神社に来ないことを願う時点で馬鹿だった。行くまでの間に気がついたら紅魔館なんてこともあり得た。そして、どうにもそれが実現してしまったらしい。

 

紅魔館

 

「全く、他の女を使ってでも気を引きたいだなんて、その心意気に負けたわよ」

 

「…」

 

「まさか霧雨魔理沙まで使うだなんて…棺桶の中に入ってる姿も似合うのね、彼女」

 

「え…?」

 

「胸に両手を置ける様に両手の甲を刺したのにまだ抵抗して、しつこかったのよ。お陰でもう…でも、安心して。友達と貴方だったら真っ先に貴方を選ぶんだもの。これで分かったでしょう?」

 

「な、そんな…」

 

「なんでお嬢様と呼んでたかわからないガキとその妹も、その友人も支える小悪魔も、門番も。全員貴方の為に捧げたんだもの」

 

「なんでそんなに」

 

「あら、次は何を望むのかしら?随分とワガママで…まあ、それも良いのよね。安心して。この館のどこで私と何をしようが、誰も気が付かないわよ。この館にはもう誰も入らないんだもの」




十六夜咲夜…貴方が好き
被害者…誰か助けてください
レミリア…注意したら死にました。
的な。
いやぁ、魔理沙さんは完全にとばっちりですね。
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