東方純愛小話   作:覚め

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神子さん
神子さんのような人望厚い奴であればできる作品
ちなみに作者は恋愛嫌いです


第190話

人里

 

「うっす」

 

「正直者のご到着だ」

 

「大将、近くに団子売ってる場所ある?」

 

「逃げないでくれるか?」

 

「ちっ」

 

隣の席にいるのは豊郷耳様だ。はっきり言って嫌い。お前の奢りだからなと釘を刺す。ナンタラに釘かもしれんが、人望厚い宗教やってるお方は払ってくれるだろう。と言うわけで嫌いな理由だが…一つを除いて本当にしょうもない言いがかりのようなものと自覚している。そのくらいのものだ

 

「うめうめ」

 

「そんなに急がなくても逃げたりはしないはずなんだが」

 

「2秒後には俺のとこ目掛けて猪が飛んでくるかもしれない」

 

「1秒後に大将が行儀の悪い君に怒号を飛ばすかもしれない」

 

「出されたものは食って出る」

 

「君らしいな」

 

「ごっそさん」

 

「はぁ…急ぐ割には少食なんだよなぁ…これくらいで良いかな?」

 

鈴菜庵

 

「こんにちは」

 

「…」

 

「読書中だったか」

 

「道中服変えたり屋根の上歩いたりしたんだがな」

 

「それくらいじゃダメさ」

 

「はー…おい小鈴」

 

「え、あ、はい!」

 

「心理学とかの本こいつに渡しとけ」

 

「わかりました」

 

「いや、良いよ」

 

「?」

 

嫌いな理由一つ目。これは誰もが嫌になると思うが、気がつけば隣に立っているか、後ろにいる。俺が寝ようとした時なんか添い寝してたから驚いたね。蹴って追い出したが。さて次の嫌いな理由だが…人望が厚いと言ったところか。嘘をつかないのに信用されない自分とは対照的に、嘘を言っても信じられそうだから嫌いだ。

 

「所詮は嫉妬か」

 

「嫉妬?」

 

「なんでもない。ところでここは俺の家なんだが」

 

「今更、と言う奴だろう。同じ布団で夜を過ごした仲じゃないか」

 

寺子屋

 

「ここで待ってろよ。本当に」

 

「私が信用ならないのか?」

 

「ならんね」

 

「済まない、待たせた」

 

「慧音」

 

「ふむ…?」

 

「さて、なんの話だ?」

 

「なんもかんも無い。前言ってたストーカーだ」

 

「もしや…こっちの?」

 

「そう。豊郷耳サマだ」

 

「他人行儀とは悲しいな」

 

「…信じられんな」

 

「信じて欲しいとしか言えない。俺はこいつに力で勝てないからこうやって相談しにきてるんだ」

 

「そうか…すまない、こっちとも話をして良いか?」

 

「ん、良いよ」

 

「私か」

 

数十分後

 

「どうだった慧音、ほんと」

 

「触るな」

 

「…?」

 

「すまない、犯罪者に同情はできんよ」

 

「は?」

 

「不意を突かれて襲われたらしいじゃないか。その仕返しでやっているとか」

 

…嘘を言わない俺を信用する場所も、豊郷耳サマの話術で言いくるめられたか…確かに襲った女がずっと着いて来てたら怖いだろう。だが、俺はこいつに不意打ちなんてできない。と言ってみたが…そこら辺で拾った巫女の道具を使ったんだろうで済まされた。

 

「…そうか」

 

「出ていってくれ」

 

自宅

 

「そうか…」

 

「君は嘘をつかずとも信じられない…あの寺子屋の教師ですら、元から君のことを疑心暗鬼だったようだな」

 

「なんで」

 

「君が嘘を嫌いなのは誰も知らない。だが私が嘘を嫌いなことは皆が知っている」

 

「もう良い。出てけ」

 

「君は本当に可哀想だな。そんな君も可愛らしくて好きなんだが」

 

「そもそも!俺はお前に何かしたわけじゃない!なんで俺に付き纏うんだ!?」

 

「なんで…難しいな。気がついたら、とでも言っておこうか?」

 

「出てけ!」

 

「何故?」

 

「この家の持ち主は」

 

「君だと思っていたのか」

 

「そうだ!俺がせっせと働いた後の帰る場所だ!」

 

「そうか。それはすまないことをしたね」ガララッ

 

「…ぉい、誰だ?」

 

「君にはもう関係ないことさ。今日からここは私の家だからね」

 

「は?何言ってんだおい。俺の許可なしに」

 

とか言ってたら放り出された。言葉に嘘はないらしい。家を放り出されて少しの間、放心していた。次の家を探すべきだと思って立ち上がった時にはもう遅かったのだろうか。里の中で唯一家を売っている場所に駆け込んだ。そこでは俺が名指しで出禁になっていた。

 

鈴菜庵

 

「何かあったんですか?家を売ってる所で出禁にされてましたけど…」

 

「…豊郷耳の仕業だ」

 

「へ?」

 

「あいつは俺の家を買いやがった」

 

「そんなことが!?」

 

「いつもより多めの金、土下座。そうすりゃ相手も了承したんだろ」

 

「ところでその豊郷耳さんは」

 

「着いて来るなとは言った」

 

「ああ、なるほど」

 

「今や俺は宿無しだ。ついでと言わんばかりに搾りかす以下だった慧音先生からの信頼もマイナスに叩き落とされた」

 

「うわぁ」

 

「慧音先生の中じゃ俺は神子を不意打ちで襲ったことになってるんだ。なんで…」

 

「あー、泣かないでください。ほら、ね?」

 

「すまん」

 

「…っ!」

 

「どうした小鈴」

 

「あ、いや…すいませんけど、もう帰ってくれます?」

 

「もうそんな時間か」

 

「は、はい」

 

「…誰かに助けてもらえれば良いのになぁ」

 

小鈴庵表

 

「…」

 

「やあ。随分と長い読書だったね?」

 

「もう、やめてくれ」

 

「何を言っているんだ?君が私を無理やり脱がしたから始まっているんじゃないか」

 

知るか。少なくとも俺は知らん。だからこんな人の多い場所でそんなことを言うな。やってない。俺はやってない。なんでみんなこいつの言うこと信じるんだ。なんで。家も取られて信頼も取られてしまったら…考えたくない。人里の視線が怖い。嘘なんかついてないのに…

 

「…家か」

 

「今は私の物だがな?」

 

「買い戻すにはいくらかかる?」

 

「買い戻させないよ。かなりの金額を注ぎ込んでしまったんだ。私が首を横に振る限りは家なんぞ無いよ」

 

「なんで…こんな…」

 

「私が君を愛しているからだよ。早く私を頼ってくれ」




豊郷耳…良かれと思ってやるタイプの恋愛(lv255)
主人公…見た目とかのせいで割と嫌われてる人
的な!
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