わからんわ。
エイプリルフール。その日の午前中だけ嘘をついても良い日。
幻想郷にもその習慣は一応ある。だが…
命蓮寺
「今日の村紗はピンク色のパンティー!」
「何言うんだよ一輪!?」
「今日のご」
「響子も叫ばない!あーもうほんっと!なんで言うかな!?」
「いや…つい好奇心で」
そんな風に喋る彼女らは一応エイプリルフールを満喫しているのである。
いや、エイプリルフールの翌日を楽しんでいる節がある。
翌日…4月2日は嘘をついてはいけない日となっているらしい。嘘かどうかは知らん
「よりによってなんで今日言うのさ!?こうなったら…一輪のブラジャーはスケスケの」
「やめんか!」ゲシッ
「足!?」ゴキィッ
と、こんな感じに毎年なっているからである。
それを見つめる人物が一人いた。今となってはそこにはいない。
その日だけ彼は彼女らを笑いながら見るのだから。
「…やっぱ聖元気ないね」
「私たちが笑わせようとしてんのになー!」
「なー!」
「耳が痛い…」ヒリヒリ
いや、まだ来てないだけなんですけどね。
「盗んだ馬が暴れ出す」
「おー!来たか!聖が元気なくてな!…なんで馬乗ってるんだ?」
「盗んできた。ヒヒーン!ヒヒーン!」
「盗んだ…の聞こえたのですが聞き間違いでしたか?」
「いや、金ぶん投げて攫ってきた」
「人はそれを買ったと言うんだけど君人間だよね?」
「おうよ!人間様示村宗介(しめむらそうすけ)よ!」
「…示村さん、聞きたいことがあるんですが」
「?なんだ?」
「その…なんで去年は来なかったんですか!?」
「この馬のタテガミ整えてたから!」
「命蓮寺より馬が大切なんですか!?」
「あたぼうよ!」
「ひどいです!」
「うわー聖が泣いたー!」
毎年この調子…ではない。が、馬に乗って来るのは初めてなのだ。去年の大半を懐けるのに使ったと言っても過言ではないらしい。
なおたまに暴れ出すそうな。二本足で立とうとすることがあるそうな…?
「ん〜…どうどう、どうどう」
「馬扱いですか!?酷くないですか!?」
「あっはっはっは!お前らんとこの住職さんやっぱ面白いな!」
「遊び道具として見られてるんですか!?」
「その通り!」
「…ご主人、あれ良いの?」
「人の恋路を踏み躙るほど腐ってませんよ」
「いやあれ恋路っていうよりいつもの習慣が戻ってきた感じな気がするんだけど」
「えーと…スケスケのブラとピンク色のパンティー!」
「頭突きぃ!」
「ひでぶっ!?」
「全体重プレス!」ドンッ
「重っ!?」
「…やりなさい」
「ヒヒーン」ポロポロ
「うわぁ!この馬持ち主に糞出してきやがった!臭っ!」
「成敗です」
…これが毎年起こってたら多分彼は毎年来ないだろう。馬も連れてこない。
彼はこのとき心から誓ったことがある。「つまんなくなったらここに来るのやめよ」と。
「くっせ…あーもう最悪だよ」ヌギヌギ
「ここで全裸になろうものなら全力で止めるぞ!」
「勘違いしてるところで悪いけど上着脱ぐだけだよ。あっつー…」
「あら、この馬よく懐きますね」
「胸に釣られたんだろ」
「…」ズーン
「じゃあ星とか懐くのかな」
「もしかしたら女にだけ懐くのかもしれん。それか野生的本能が聖さんの凶暴さを感じとっ」
スパァンッ!
「…何メートル?」
「多分だけど…目測20mくらいかな」
「新記録じゃねえか…」
「凶暴さなんて何一つありませんよ?」
「ほんとそう言うところだよ?」
そして数時間が経ち夕暮れ。
彼も帰らなければいけない時間になった。
馬に乗って帰ろうとしていたのだが…
「おい、なんで逃げるんだよ」
「ヒヒーン」
「テメェ鼻で笑ったな!?」
とまぁこのように嫌われたのか乗れない現実である。
「あれ、もう帰るんですか?」
「まぁね。帰って馬の手入れとか親の様子も見に行かねえといけないし」
「それなら安心です。今村紗と一輪が行きました」
「…一番行っちゃいけない人材だと思います」
「思います!」
「耳に響く…」
「要するにあなたは里に用事があるから…帰るんですよね?」
「そりゃまぁ」
「じゃあその用事が全て済んだら帰らなくて済みますよね?」
「…え?」
「馬関連のものは揃っております。ここで馬のタテガミでも手入れでもなんでもしてください」
「…やだよ。俺帰るから」
「ダメです。逃しません」
「なんでよ」
「…また、去年のように来ないかもしれませんから」
誰が誰だかわかんないけど途中から響子ちゃん忘れてたのだけはわかってる