幻想郷のどっか!地底じゃないよ!
「うーんこう言うの苦手なんだがなぁ…っとぁ!?」
『危ない!』ガシッ
「おおっ!?…え?え、え?今の、何!?俺、付喪神でも付いてた!?」
『危ないよー!』
「…全く分からん…」
世の中変なこともあるもんだな…転けたと思ったら何かに引っ張られるなんて…驚きだなぁ。
「って時間やべーじゃん。…走るか!」
『お礼の一言くらい言おうよ!』プンスコ
「ああ、すまん。ありがとな!…?」
人里
「…すいません遅れました」
「え?いやむしろ速いくらいだけど」
「マジで!?」
「んー…ま、なんか食うか?」
「ありがとうございます!」
いやーラッキーラッキー。遅刻していない上に飯まで食えるとは。本当にラッキーな朝だ。昼も夜もラッキーなままでいてくれると嬉しいんだがなぁ
『私も食べるー!』
「…?おっかしいなあ」
「どうしたんですか?」
「お前、なんか誰かの気配感じないか?」
「気配?…さぁ?感じるなら二人分作ったらどうです?」
「んな無茶苦茶な…おにぎりぐらいだぞ」ホレ
「お、ありがとうございまー…ん?」
「やっぱ感じるよな」
「視線が…誰かに見られてる気がする…ううっ早く食っちまおう」バクバク
『あっひどーい!私も欲しかったのにー!』
「…お前なんか連れてきたか?とりあえず視線の正体にはおにぎりで勘弁してもらうか…」
『やったー!』
「…今日、休みにしますか?」
「まあ、休みにしておいた方がいいわな。お前、博麗神社行ってこい」
「わかりました…っなんか寒気が…」
「やっぱ俺もついて行くわ…」
『ん?何事?私も行くー!』
だめだ、博麗神社に行ってお祓いしてもらおう…というかそうしないと落ち着いて生活ができない。お祓いっていくらだっけ…
博麗神社
「…って待ってくださいよ」
「え?何よ」
「憑いてないって本当ですか!?」
「本当よ。憑いてないから祓う必要もない。そういうことよ」
「…そんな…」
『おにーさんどうしたの?困ってるの?』
「…ただ、面倒なのに懐かれてるわね」
「え?」
『懐かれてる?犬かな?猫かな?』
「…でも、大丈夫よ。基本無害だから。好かれれば料理とか作ってくれるかもよ?若い方の」
「え、俺!?」
自宅
「…好かれると、ねぇ…んな馬鹿な」
『作るよ!』
「…ん?フライパンが動いて…料理作ってくれてんのか?付喪神さんは親切だねぇ」
『親切心ー!』ボワァアァァァ
「…いや、フランペまではしなくていいよ…?」
とにかく、それから付喪神との暮らしが始まった。とは言い難い。たまにいなくなる時がある。流石に毎日というのは駄目なのだろう。色々と…なんて、そうこうしているうちにチラシが届いた。
「温泉のチラシだ…場所はちて…地底!?って、まだ何か書いてある…裏?チケットがあるけど…」
地底
「…ありがとうございます」
「良いのよ。それ、あんたに懐いた奴の仕業だし」
「良い気になって良いのか悪いのか…」ウーム
「良いんじゃない?無料で女の子と温泉なんて、デートそのものよ」
『そうだよー!良い気になりなよー!』
「やめんか…女の子?」
「そう。女の子よ。地底に住む妖怪ね」
「…へー」
地底の女の子に好かれるとは…なんとも形容し難いことだ…はっきり言って訳がわからん…というか地底の女の子が地上にいるんだね…
地霊殿
「…って訳なんですけど」
「無料チケット…?はぁ。こいしったら…」
『あ、バレた?」
「すいませんウチの妹が」
「え、妹だったんですか?まぁ料理とか作ってもらってるんで満足ですけど…」
「今役得とか思いましたよね?殴りますよ」
「こわっ」
「…なんて。言ってみたりもします。良いですよ。どうぞこちらへ」
『ひゃっほーい!』
「ああ、それでは失礼」
温泉特有のアレ。カポーン
「…ここって男湯女湯別れてたな。混浴なんてのもあったっけ…まるで外のトイレみたいだぜ…」
『おにーさぁ!?』スッテーン!
「!?誰かいるのか!?」
誰だ!?誰だ!?ダダか!?…って誰もいないか。付喪神の子は流石に女湯だろうな。流石に…気にしない気にしない。温泉の水に空洞ができてるなんて知らない
「おにーさん!」
「…ぶふぁっ」チーン
「えぇ!?ちょっと!?」
「あ、すま…ん…ってなんで君男湯にいるの?」
「?おにーさんと一緒に入りたいから」
「タオルくらい着けなさい…どうせだ。混浴行くか?」
「言っておくけど混浴は女の人ばっかだよ」
「やめておこう…」
流石に女だらけのところに行く自信がない…いや、行ったところですぐに出て行くのがオチだ。男湯にいるか…
「あ、おにーさん」
「ん?」
「おにーさんはこいしのこと見失わない?」
「いきなり何言ってんだ?…ま、見失わないんじゃないか?」
「ほんと!?うれしー!それじゃ…これはただ気になったんだけど…」スッ
「おい待てなんだその包丁」
「こいしのこと、好き?」
「…え」
「答えてほしいな。こいしのこと、好きかどうか。私はね、おにーさんに一目惚れしたんだ」
「…腰抜けた…」
「好きならもちろんおねーちゃんに言うよ?」
「って待て待てだからその包丁は」
「答えてほしいな」
包丁<答えなかったら刺す。好きじゃなかったら刺す。逃げたら刺す。いいから答えろ
「ヒェッ…まぁ、嫌いではない…けど」
「ほんと?嬉しい!それじゃ、繋がろっか!」ガバッ
「え?」ジャバッ
…貴重な経験をしたようなしなかったような…幼女相手にやらしいことをしたようなしなかったような…とにかく、疲れは取れなかった。そして地底からは2度と出れなかった。
地霊殿
「…こいしちゃん」
「何?」
「椅子に括り付けるのはないでしょうよ」
「だっておにーさんを見失ったら怖いもん」
「それならずっと付いてくれば」
「それだ!」
あ、墓穴掘った
結婚は人生の墓場っていうらしいですね。
で、前回の解説って要ります?