東方純愛小話   作:覚め

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なんか猛烈に恋しくなっちゃう女の子だもん


紫さんと紫さんが大好きな藍さん

 

最近、誰かに見られている気がする。

…いや誰やねん!って突っ込みたいが割とガチなのだ。マジで。信じて。

俺が家に帰ると人影が見える。だから時々後ろを見るんだが何もいない。

 

「…俺が何かしたのか…?」

 

そう思うと怖くて夜も眠れない。外の世界とは違って武力交渉もして来るかもしれない連中が里にいるのだ。

 

「…幻想郷に来てからまだ2ヶ月だけどさ…流石に監視付きは知らなかったぜ…」

 

このままでは気が狂ってしまう。

 

「…あら、偶然ね」

 

「…ええ、偶然ですね。それはそうとウチ鍵かかってませんでした?」

 

「鍵?ドアから侵入したわよ?」

 

「…こういうことになれたらダメなんだろうけどさぁ」

 

「良いじゃないの別に」

 

この人は…名前も知らないさすらいの誰かだ。女性であることは声とか体型でわかるが…それ以外がわからん。

 

「よくないっすよ…なんでウチ来るんですか?これから寝ようって時に」

 

「え?別に良いじゃない。入って良いんだから」

 

「いや良くないよ!?」

 

でも、はっきり言ってあの人は癒しだ。仕事で疲れた…ではないが、幻想郷で苦労しているときに現れ、笑わせてくれる。ありがたい存在だ。

 

「…そういやお名前聞いてませんでしたね」

 

「お互いに名前も知らなかったわ」

 

「…藻類(そうるい)です。苗字はなくても良いですよね」

 

「良いわよ。私は…紫。これでも地位は上の方よ?」

 

「ゴマするのは苦手なんでお茶出しときますね」

 

「すってるじゃないの」

 

この人がどれくらいの地位かは知らないが本人が言うくらいだすんげえ地位なんだろう。

 

「あ〜…しかし暑い。夏だなもう…」

 

「これでもまだ5月なのがしんどいわね…」パタパタ

 

「…待ってください今どっからうちわ出しました?」

 

「え?胸元から」スッ

 

「…なんだか見てはいけないものを見た気がする…」

 

夏の暑さに頭をやられながらつぶやく。ちりんちりんと風鈴が鳴るが顔は夏の暑さかさっきの胸の収納のせいか真っ赤っか。

 

「しっかしここら辺には妖精が出ないもんですね」

 

「出たら大変よ。不備が見つかっちゃう」

 

「不備?そりゃなんの?」

 

「色々と…ね?よくあるでしょ。欠陥住宅」

 

「ここですか?そうだとしたら引っ越したいんですけど」

 

「少なくともここじゃないわよ。私がいる限りは…だけど」

 

「…?」

 

ちょっと何言ってるかわかんない…?まあ仕方ないさっさと寝てしまうのがベストだ。さて布団を出して…ん?

 

「布団がない…」

 

「私が既にもらっているからよ!」

 

「!?」

 

「ふふっ…やられたわね!」

 

「ちょっ何してるんですか!?ああほら埃まみれに!」

 

「あっ帰ったら藍に怒られる…」

 

「藍?紫さんも怒られるんですね」

 

「…今日だけ泊めさせてください」

 

「良いですよ」

 

そのまた数日後

 

「…今日は視線がないな」

 

珍しく視線を感じない。そうすると逆に不安になる。どこかで俺と出会っていたり家に忍び込んでいたりするのでは?と。いや家にいるけど。

 

「はぁ…最近情緒不安定ってやつになりかけてんな…」

 

「…っと。失礼する」

 

「たしかにこの家はあの人がいる限り欠陥住宅だ」

 

「あの人?わからんが…紫様からの伝言だ」

 

「…様?」

 

「話してないのか…まあ良い。『今日はそっちへ行けません。ごめんなさい、でも明日は必ず行きます』とのことだ。羨ましい奴め」

 

「紫さんが今日は来ない…視線もない…考えすぎだな。うん。あ、じゃあこっちから伝言を」

 

「…なんだ?変な内容だったら言わないが」

 

「昼飯ごちそうさま。見つけ易いところに置いてくれって言っといてくれ」

 

「…とことん運がない奴だ。紫様に好かれるとは」

 

「…待ってあの人どこに消えた!?」

 

変な考えを巡らせる前にどこへ消えたかを探ろうとするが行った先は壁。無論壁抜けはしてない。

え…じゃあ噂に聞く妖怪…?ちょっと怖いかな…かな…

 

翌日

 

「…おはよ」

 

「昨日はごめんなさいね。友人とお茶会があって」

 

「友人と…そういや幻想郷で名前知ってるのが巫女さんと…紫さんだけだ」

 

「霊夢が?あらあらそれは…あの子、警戒心強かったでしょ?」

 

「あんなガードの高い女の子は根気よくやらなきゃ出来ませんよ。ハハハ…ん?」

 

「…チッそう。それなら良かったわ。恋愛でもするのかしら?」

 

「恋愛なんてやるつもりはありませんよ。お誘いがあったら受けますけどね?」

 

「あら待ちの姿勢?」

 

「そういうもんです」

 

「…そう」

 

なんか紫さんの目が暗い気がするけど気にしない気にしない…と、いつもなら思うだろう。だが今日ばかりは無理だった。昨日、思ってしまった。

 

「…紫さん、最近俺視線を感じるんです」

 

「そうなの?自意識過剰じゃなくて?」

 

「まぁ。でも、とある日だけは視線を感じないんです」

 

「…なんの日?」

 

「紫さんが来てくれる日です」

 

「…何が言いたいの?」

 

「僕のこと、幻想郷に入った頃から見てましたか?」

 

「…感が鋭いわね。負けよ負け。見てたわよ」

 

「外れてほしかった」

 

もはや落胆を感じる。ストーカーが紫さんだったなんて…今までの癒しはなんだったんだ…?

 

「…でも、一つだけ誤解があるわね」

 

「え?」

 

「見てたんじゃないわよ」

 

「?」

 

「ずっと…監視してたのよ」

 

「いやそれ見てるやないかーい!」ペシンッ

 

「…真面目なのだけど」

 

「ごめんなさい」

 

「…だから、一つ約束してくれる?」

 

「なんざんしょ…」

 

ゆっくり頭を上に上げていく。駄洒落ではない。するとニッコリと笑っているのに怖い紫さんがいた。

 

「私ね、独占欲と嫉妬がすごいのよ」

 

自分のことを今更アピールするのもなんだと思うが

 

「だから藍が意地悪してくるの」

 

「藍?」

 

「そ。藍。気がついたら殺しちゃってるの。そうね…後ろを見てごらんなさい?」

 

「…後ろ?」

 

後ろを恐る恐る振りかえ

 

「…藍、また殺しちゃったの?」

 

「どうしても我慢ができませんでした」

 

「良いのよ。それが生き物だもの」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…え?純愛はどこに行ったって?
☆知らんな☆
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