東方純愛小話   作:覚め

44 / 201
あの主人公なら大妖怪相手でも踏み潰せそうだなぁって


第44話

 

妖怪の山

 

「…これ、何?」

 

「何って…そのまんま。勇儀を満足させた挙句子供扱いのあなたに興味が湧きまして…」

 

「んで組手?良いけど、俺ももうかなり歳よ?肩凝りがひどくってさぁ」

 

「人望ばか上がりよ?」

 

「イラン」

 

さて、この妖怪の賢者、どこが賢者なのだろうか。俺自身、こいつが企てた月の攻略計画には参加していない。反対派だったからだ。

 

「大体、俺は月の件、まだ許してねえからな」

 

「まだ覚えていてくださるの?まあ嬉しい〜…まだ覚えてたの?」

 

「まあな。この生意気な小娘が…」

 

「精神年齢では私の方が上のようね?」

 

「…めんど、良いわ、もう帰って。俺もう肩こりが酷いから本気出せないんだわ…」

 

「じゃ、本気出さなくて良いわよ?」

 

「面倒な奴。俺を月に送り込んで殺戮マシーンにしようとした癖に」

 

「あらあら、それも覚えてるの?私ったら全部忘れてるのかとばっ」ボンッ

 

…まったく、ここの賢者はうるさい。小さい頃からの付き合いでもないのに馴れ馴れしく、とても気持ちが悪い。これならまだ仕事していた方がマシだ

 

「すまんな。仕事がある。もう一度言うぞ、帰ってくれ」

 

「嫌よ」

 

「…そう。それじゃ、存分に仕事の邪魔でもしてると良いさ。他人に任せることほど頼りないことはないからな」

 

「昔から変わらないわね〜」

 

「えーと…月からの刺客ね。却下と、理由は…多忙な時期のため…っと。これ、月の連中に返しとけ」

 

「…わかったわよ」

 

「用はそれだけか?もう帰ってくれ。地底からも手紙が来てんだぞ。こちとらハンコ部だハンコ部。」

 

「お似合いよ」

 

「そんなお前には…ゴミ行きハンコ。ほらよ」ポンッ

 

さて、これでゴミ箱へ行ってくれるだろうか。言っておくが妖怪は地面に埋めて上に桜の木を植える。綺麗に咲くからな。栄養とかで。というか博麗神社の桜は綺麗だったな…

 

「いやよ。組手、望めるかしら?」

 

「文ちゃん、えーと…あ、あった。これ、速達で天魔に。その次に…ものすごい面倒な奴で…あった、守矢神社に。よろしくね!」

 

「わかりましたー!」

 

「組手!」

 

「…ああ、白狼天狗ちゃん、これ、よろしくできる?」

 

「え、ああ、はい」

 

「ごめんね。で、あとはこの…八雲紫の組手募集…却下。多忙だから。ほれ」

 

「酷くない?」

 

人を戦場に送り込ませようとしたやつに言われたかないよ。こちとらまだ全盛期来てねえんだ黙ってろ。ったく…こっちは許可だな。

 

「…今日中の書類をこっちにと…」

 

「忙しそうね?私もいっじ」ボゴンッ

 

「…はい、組手終了。帰れ」

 

「痛い…」

 

「…よし。消えたか。で、明日までをこっち…それ以降はこっち…と。今日中の奴は駆け回って行くか…」

 

その日、妖怪の山を駆け回る部長天狗がいたとかいなかったとか。

 

次の週

 

「〜!」バンッバンッ

 

「私と組手てしたら良いことあるわよん♪」

 

「クソがぁ!」

 

「部長荒れてんな…」

 

「部長はあんま戦いませんし…ずっと働くタイプだしなぁ…」

 

「そもそもなんだあのクソダサTシャツ私たちの部長に気安く声かけやがって」

 

「口には気いつけとけよーそいつ鬼より上の地獄の女神様だからな。閻魔様よりも上で面倒なんだな…っていうか帰れよ」

 

「だから私と戦えば」

 

「あのさ…チッめんどくせぇ…紫が…あいつ今度懲らしめてやろうかなぁ…!」

 

「…で、どう?」

 

「誰がやるか誰が!」スパァンッ

 

「へぶぁっ」ズドッ

 

「…自業自得だクソTシャツ」

 

「聞こえてるわよん…」

 

それなら自覚ありでそのTシャツか。かわいそうに、死んでくれた方がいいぞ。と言いたいが結構めんどくさそうだからやめとくか。

 

「…ほら、コーヒーあげますから、もうそれ飲んだら帰ってください」

 

「私はブラックじゃなくて砂糖をドバドバ入れるのが好きなのよん…」グスッ

 

「飲ませてやってるんです我慢してください…なんです?」

 

「…あなたってほんと昔から変わらず厄介な女が周りにいるわよ。その内…刺されるんじゃないの?」

 

「変なこと言うな地獄の女神様…」

 

それから数日後

 

「…ヘカーティアぁぁあぁ…!!」ググッ

 

「にとりの技術を応用して作った力弱らせ機械!相手を眠気でいっぱいな感じにして、でも寝れないようにする」

 

「まさか本当に実現するとは…私の科学力が眩しいよ」

 

「…おーい、聞こえてるかー?」

 

「聞こえてますよ、部長。一つ聞きたいんですけど、良いですか?」

 

「何言ってんだか」

 

「先日来た地獄の女神様とはどんな関係ですか?」

 

「あいつは俺の恋人でもなんでもない腐れ縁って奴だ。あいつのせいで俺も強くなってしまった…」

 

「ふふ…にとりさん、どうです?」

 

「嘘発見装置反応なし。本当だよ」

 

おい待て今なんつった?嘘発見装置?…こりゃ本格的に真面目に答えなきゃ無理そうだな。

 

「部長、いつ地獄の女神様と出会いましたか?」

 

「文ちゃんってば大胆ね…俺がまだ100歳とかそんくらいの時。その時からあんま姿形は変わってないな」

 

「にとりさん」

 

「本当」

 

「…それじゃ、私たち部下のことをあなたはどう思ってますか?」

 

「べっつにー。娘さんとか息子さんとか。歳むっちゃ離れてるし、子供とくらいしか」

 

「…!」バァン

 

「台パンはやめてくれるか?」

 

「…面倒だな…」

 

「じゃあ、一人でも印象に残っている天狗は」

 

「天狗…印象かぁ…椛ちゃんだね。強いし、色々と役に立つし。はたてちゃんが一人目の部下だったから覚えてるかな」

 

「射命丸文は?」

 

「速達要員」

 

「クソがぁ!」

 

「文…地面を踏むのはかなりマナーが悪いよ…」

 

「なんで!幻想郷最速ですよ!?」

 

「最速を催促しすぎて記憶に残ってないっすねぇ…最速だけに」

 

…と、俺の渾身の駄洒落は滑った。俺としては別にどうでも良いんだ。恋愛とか印象とか、何も。

 

「…それなら、仕方ないですよね」

 

「文、やるかい?」

 

「お願いします。にとりさん」

 

「…おい、待てその機械なんだ?」

 

「ライブ配信です」ニコッ

 

その後、妖怪の山全域に急遽タブレットが支給され、配信が行われた。内容は『妖怪の山最強の天狗、最弱にしてみた』と言うもの。それは未だかつてないほどの反響を呼び、元最強は暫く遊び道具になったとか。

 

それから数年後

 

「…なんだ、紫。俺を笑いに来たのか」

 

「…笑えたらどれほど良かったことかしら…」

 

「?」

 

「昔からの友人が、いつのまにか別の誰かになった気分よ。あなたは変わってないのに。まるで身体が入れ替わったように、ね」

 

「…んなこと言って。帰れもう。俺は疲れた。刀一本持てないんだ俺は」

 

「…久しぶりだなクソ天狗」

 

「見ろ、守矢の奴が来たぞ」

 

「あら本当。それじゃ」

 

…あーめんど。流石に眠さが頂点を迎えた。寝よう。そろそろ、長い眠りについても大丈夫だ。閻魔様にも裁かれないだろう。きっと、きっとだ。

 

「…なんてな。すまん、私にもあの配信は届いてたんだ。助ければ良かったのにな。すまん、すまん…」

 

「謝られるのは不慣れだ…」チーン

 

妖怪の山 河童工場

 

「おい、部長死んだぞ」

 

「…死んじゃいました、か。あっけなかったですねぇ。ま、クローンがあるから良いですか」

 

 

 

 

 

 




誰も部長に目を向けてない。部長の強さに目を向けたんですねぇ多分。
ドラえもんのポケットにしか目がいかないのと同じようなもんです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。